魔王様は世界を支配したい!〜異世界で魔王になったので本気で魔王やる〜

ばにく

文字の大きさ
上 下
33 / 44
予言の魔王編

第33話 至福のひととき

しおりを挟む
 ーーー連合国 緊急会議室ーーー


 「ウングィス王国が魔王の下についただけではない!我がドミネスも奴らの手に渡った!連合国は何をしているのだ!」


 「落ち着いてください、皇帝殿。今現在ゴッドオブデケムの招集、そしてギルドクランへの協力要請をしている最中です。」


 「そんなの待っていられん!奴らはこの短期間で国を丸ごと吸収したのだぞ!」


 その時、一人の男が口を開く。


 「我が国の冒険者に頼んではいかがかな?」


 冒険者国家プライマス王国国王のキューベルト・ハイン。彼は冒険者やギルドを政府の収入としているプライマス王国の国王である。


 「我が国の冒険者は本来であれば軍として使用することはできないが、今回は緊急事態だ。」


 「確かに、プライマス王国の冒険者は一流だと聞いている。我々の冒険者が集まるまでの間頼んでもいいかな?」


 「わかった。」


 「それと、リベルタス王国の対応についても話さねばならん。」


 「奴らがアサイラムに人材支援を行ったことによって、魔王軍の軍事力はますます増えています。加えて魔王直属の精鋭ケーレスとやらも、一人一人がSランク冒険者級、もしくはゴッドオブデケムに匹敵するほどの実力の持ち主。早急に対応せねばなりません。」


 「うむ、まずはリベルタス王国女王シュナ・フォン・ヴァンダルクの排除を優先じゃ。」


 一方ドミネスは恐怖に包まれていた。


 「人間どもよ聞け!この街は我らが魔王様の支配下となった。これより魔王様に忠義を尽くせ!」


 その時、一人の子供がリリスに石を投げる。


 「かいぶつ!父さんを返せ!」


 「こら、やめなさい!」


 暴れる男の子を母親が必死に止める。
 レオが男の子に近づくと、母親は顔が青ざめる。


 「お願いします!命だけは取らないでください!」


 男の子は怯えながらもレオの真っ黒な目を見る。
 その目はどこか勇敢だった。


 「ハッハッハッ!気に入った。リリス、お前のとこでこの子の面倒を見てやれ。」


 「御意。」


 (なんて慈悲深い御方なのかしら♡はぁーん、ますます虜になってしまいますぅ♡)


 「エレーナ、俺はダビネスに帰って次の目標を考える。」


 「承知致しました。」


 ーーーアサイラム ダビネスーーー


 ダビネスに戻ると巨人族のマックスが城で待っていた。


 「魔王様!おかえりなさいませ。例の温泉が完成致しましたのでご案内致します。」


 「ほんとか!」


 俺は早速、疲れを吹き飛ばすために入浴することにした。
 中に入ると、オレンジ色の暖かい空気が疲れ切った身体をすうっと通って行った。息を吸うと硫黄の香りが肺を暖めて癒してくれる。
 これこそ俺が求めていた温泉だ!
 早速湯に浸かることにした。
 湯はめちゃくちゃ熱かったが、熱っついくらいが丁度いい。


 「はぁ~いい湯だ。」


 辺り一面の巨大な窓からは街の風景が見下ろせる。
 水音だけが鳴る空間で、レオは一人幸せを感じていた。
 その時、隣の女湯に誰かが入ってきた。


 「すごーい!」


 「あったかいな!」


 エレーナとローズか。


 「慈悲深き魔王様!私たちのためにこんな贅沢な空間を作ってくださるなんて!」


 「温泉…懐かしいわ。」


 それとリリスにリノか。


 「それにしてもリリス、だらしない体じゃの。」


 「あら、そういうあなたはみっともない体ですわね。女としての魅力が無いことを思い知ったほうがいいですわよ。」


 「なんじゃと!魔王様があんたみたいなふしだらな女を好きになるわけなかろう!」


 「魔王様はあなたみたいなク・ソ・ガ・キには興味無いと思いますわ。」


 「ぐぬぬぬぬ!」


 また喧嘩してるのか。でも確かに、リリスの体は見たいかも…いやだめだめ!魔王として有るまじき行為だ!のぼせる前にさっさと出よう。
 レオが立ち上がった時だった。床に落ちていた石鹸に足を滑らせ、豪快にすっころんだ。その音は凄まじく、隣の女湯にまで聞こえた。


 「今の音は?」


 「男湯からよ!」


 急いで男湯に入ると、そこには仰向けに倒れているレオの姿があった。


 「魔王様!」


 急いでリリスがレオを抱き抱える。


 「しっかりしてください!魔王様!」


 「う、うーん…」


 意識を取り戻したレオの目の前には、巨大な胸が。
 レオの顔は見る見る赤くなっていく。


 「魔王様!お顔が赤いです。のぼせてしまったのですか!?」


 その胸はぶるんと勢いよく揺れる。それがトドメとなってしまった。


 「ち…違うよぉ~…」


 目の前の光景に耐えられなくなったレオは意識を失ってしまった。


 「魔王様!?魔王様ー!」


 それは間違いなく、至福のひとときであった。
 




 


 

 


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。 いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。 テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。 そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。 『強制フラグを、立てますか?』 その言葉自体を知らないわけじゃない。 だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ? 聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。 混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。 しかも、ちょっとだけ違うセリフで。 『強制フラグを立てますよ? いいですね?』 その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。 「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」 今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。 結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。 『強制フラグを立てました』 その声と、ほぼ同時に。 高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、 女子高生と禁断の恋愛? しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。 いやいや。俺、そんなセリフ言わないし! 甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって! 俺のイメージが崩れる一方なんだけど! ……でも、この娘、いい子なんだよな。 っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか? 「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」 このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい? 誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

セリオン共和国再興記 もしくは宇宙刑事が召喚されてしまったので・・・

今卓&
ファンタジー
地球での任務が終わった銀河連合所属の刑事二人は帰途の途中原因不明のワームホールに巻き込まれる、彼が気が付くと可住惑星上に居た。 その頃会議中の皇帝の元へ伯爵から使者が送られる、彼等は捕らえられ教会の地下へと送られた。 皇帝は日課の教会へ向かう途中でタイスと名乗る少女を”宮”へ招待するという、タイスは不安ながらも両親と周囲の反応から招待を断る事はできず”宮”へ向かう事となる。 刑事は離別したパートナーの捜索と惑星の調査の為、巡視艇から下船する事とした、そこで彼は4人の知性体を救出し獣人二人とエルフを連れてエルフの住む土地へ彼等を届ける旅にでる事となる。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

回帰した最強の敗者──世界の理すら変える力で、今度は神をも跪かせて支配から自由を取り戻す──

よいち
ファンタジー
フィリアスは、神々に支配された世界で戦い続けていた。生まれながらに与えられた力では限界を感じながらも、命じられた通りに戦場を駆け抜けてきた。その心には常に疑念があった。なぜ戦い続けなければならないのか、なぜ自分は神々の意志に従い続けるのか。 神の使徒との戦いで致命傷を負い、死を迎える寸前、その前に現れる一人の存在がフィリアスの運命を変える。フィリアスは本来の力を覚醒させ、過去に戻るチャンスを与えられる。再び訪れた過去の世界で、フィリアスはもう一度戦いの舞台に立つ。 今度こそフィリアスは自分の力を完全に使いこなし、神々の支配に抗う覚悟を決める。フィリアスが抱える力の本質とは?そして、フィリアスの行動が世界をどう変えていくのか。

処理中です...