魔王様は世界を支配したい!〜異世界で魔王になったので本気で魔王やる〜

ばにく

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予言の魔王編

第33話 至福のひととき

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 ーーー連合国 緊急会議室ーーー


 「ウングィス王国が魔王の下についただけではない!我がドミネスも奴らの手に渡った!連合国は何をしているのだ!」


 「落ち着いてください、皇帝殿。今現在ゴッドオブデケムの招集、そしてギルドクランへの協力要請をしている最中です。」


 「そんなの待っていられん!奴らはこの短期間で国を丸ごと吸収したのだぞ!」


 その時、一人の男が口を開く。


 「我が国の冒険者に頼んではいかがかな?」


 冒険者国家プライマス王国国王のキューベルト・ハイン。彼は冒険者やギルドを政府の収入としているプライマス王国の国王である。


 「我が国の冒険者は本来であれば軍として使用することはできないが、今回は緊急事態だ。」


 「確かに、プライマス王国の冒険者は一流だと聞いている。我々の冒険者が集まるまでの間頼んでもいいかな?」


 「わかった。」


 「それと、リベルタス王国の対応についても話さねばならん。」


 「奴らがアサイラムに人材支援を行ったことによって、魔王軍の軍事力はますます増えています。加えて魔王直属の精鋭ケーレスとやらも、一人一人がSランク冒険者級、もしくはゴッドオブデケムに匹敵するほどの実力の持ち主。早急に対応せねばなりません。」


 「うむ、まずはリベルタス王国女王シュナ・フォン・ヴァンダルクの排除を優先じゃ。」


 一方ドミネスは恐怖に包まれていた。


 「人間どもよ聞け!この街は我らが魔王様の支配下となった。これより魔王様に忠義を尽くせ!」


 その時、一人の子供がリリスに石を投げる。


 「かいぶつ!父さんを返せ!」


 「こら、やめなさい!」


 暴れる男の子を母親が必死に止める。
 レオが男の子に近づくと、母親は顔が青ざめる。


 「お願いします!命だけは取らないでください!」


 男の子は怯えながらもレオの真っ黒な目を見る。
 その目はどこか勇敢だった。


 「ハッハッハッ!気に入った。リリス、お前のとこでこの子の面倒を見てやれ。」


 「御意。」


 (なんて慈悲深い御方なのかしら♡はぁーん、ますます虜になってしまいますぅ♡)


 「エレーナ、俺はダビネスに帰って次の目標を考える。」


 「承知致しました。」


 ーーーアサイラム ダビネスーーー


 ダビネスに戻ると巨人族のマックスが城で待っていた。


 「魔王様!おかえりなさいませ。例の温泉が完成致しましたのでご案内致します。」


 「ほんとか!」


 俺は早速、疲れを吹き飛ばすために入浴することにした。
 中に入ると、オレンジ色の暖かい空気が疲れ切った身体をすうっと通って行った。息を吸うと硫黄の香りが肺を暖めて癒してくれる。
 これこそ俺が求めていた温泉だ!
 早速湯に浸かることにした。
 湯はめちゃくちゃ熱かったが、熱っついくらいが丁度いい。


 「はぁ~いい湯だ。」


 辺り一面の巨大な窓からは街の風景が見下ろせる。
 水音だけが鳴る空間で、レオは一人幸せを感じていた。
 その時、隣の女湯に誰かが入ってきた。


 「すごーい!」


 「あったかいな!」


 エレーナとローズか。


 「慈悲深き魔王様!私たちのためにこんな贅沢な空間を作ってくださるなんて!」


 「温泉…懐かしいわ。」


 それとリリスにリノか。


 「それにしてもリリス、だらしない体じゃの。」


 「あら、そういうあなたはみっともない体ですわね。女としての魅力が無いことを思い知ったほうがいいですわよ。」


 「なんじゃと!魔王様があんたみたいなふしだらな女を好きになるわけなかろう!」


 「魔王様はあなたみたいなク・ソ・ガ・キには興味無いと思いますわ。」


 「ぐぬぬぬぬ!」


 また喧嘩してるのか。でも確かに、リリスの体は見たいかも…いやだめだめ!魔王として有るまじき行為だ!のぼせる前にさっさと出よう。
 レオが立ち上がった時だった。床に落ちていた石鹸に足を滑らせ、豪快にすっころんだ。その音は凄まじく、隣の女湯にまで聞こえた。


 「今の音は?」


 「男湯からよ!」


 急いで男湯に入ると、そこには仰向けに倒れているレオの姿があった。


 「魔王様!」


 急いでリリスがレオを抱き抱える。


 「しっかりしてください!魔王様!」


 「う、うーん…」


 意識を取り戻したレオの目の前には、巨大な胸が。
 レオの顔は見る見る赤くなっていく。


 「魔王様!お顔が赤いです。のぼせてしまったのですか!?」


 その胸はぶるんと勢いよく揺れる。それがトドメとなってしまった。


 「ち…違うよぉ~…」


 目の前の光景に耐えられなくなったレオは意識を失ってしまった。


 「魔王様!?魔王様ー!」


 それは間違いなく、至福のひとときであった。
 




 


 

 


 
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