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予言の魔王編
第32話 アナライズ作戦
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ーーー帝国領 ドミネスーーー
ドミネスはウングィス王国領の街ダインと、ダビネスの間に位置する街。ウングィス王国を支配下に置いた今、物流や防衛の面で見てもドミネスは重要な役割を果たすだろう。
「こちらガルム、コールサインはアルファ0-1。ギガース・ボウガンの準備が完了した。そっちはどうだ。」
「こちらベータ0-1。こっちも準備完了よ。」
「よし、作戦を開始する。ギガース・ボウガン用意、撃て。」
ギガース・ボウガンはウングィス王国が作った巨大なクロスボウの兵器だ。大まかなところは大砲と変わらないが、その精密性と爆発しないという点において、大砲よりもこっちのほうが相手の行動が一歩遅れるというのが利点だ。
そして、プシューンという音を立てて巨大な矢が発射される。
その矢は正確に城の監視塔を破壊した。
「カタパルト用意、撃て。」
次の瞬間、何台ものカタパルトが巨大な岩を投げた。それは門を粉々に粉砕し、見張り兵を吹き飛ばした。
「効果あり!クリーンヒット。」
「門と見張りは破壊した。突入しろ。」
「りょ~か~い♡これよりベータは市街地に突入する。」
一連の流れを見ていたレオは感心していた。
的確な指示に、見事な連携。ケーレスがここまで成長してたとは!もう俺が作戦を立てることはないかな。
ベータ部隊はがら空きの門を抜けると、街中へと入っていった。
「魔王軍だ!」
「逃げろー!魔王軍が来たぞ!」
「第1目標は帝国軍の殲滅。今は住民は無視しなさい。」
「了解!」
そこへ騒ぎを嗅ぎ付けた帝国軍がやってくる。
「クソ!魔王軍か!」
「全員でかかれ!」
奴らは一直線にこちらへ向かってくる。
「リリス様はお下がりを。」
「あらマルス、別にいいのに。」
マルスは奴らの攻撃をひゅるりとかわすと、流れるように奴らの胴体を斬りつけていく。
一瞬にして全員を倒して道が開くと、部隊は奥へと進んでいく。
「こちらアルファ1-1、街に接近中の冒険者を発見。Sランクが3人、Aランクが2人の5人パーティーです。」
「わかった。こちらアルファ0-1、2-1と3-1に連絡する。接近中の冒険者パーティーを殺せ。終わり次第リリスに加勢しろ。」
「2-1、了解。」
「3-1、了解です。」
そこへのこのこと歩いてくる冒険者達。
「おい、なんか街から煙出てないか?」
「まじだ。なんの騒ぎだ?」
その時、冒険者の胸に物凄いスピードで矢が飛んでくる。それは射抜かれた事すら気づかないほど静かで素早かった。
「おい!どうした!」
次の瞬間、矢の雨が奴らの頭上に降ってくる。
悲鳴をあげながら奴らはバタバタと倒れていき、一瞬にして全滅した。
ケーレスだけじゃなく、各チームリーダーのスキルも高いな。俺が思っていたよりも陸軍は軍としてしっかり機能しているのかもしれない。
「こちらアルファ2-1、ターゲット排除。指示通り主力部隊へ加勢します。」
「3-1同じく。」
しばらくしてから主力部隊に加わると、部隊はあっという間に城を残した全てを制圧してしまった。
城の中では伯爵と数人の貴族が慌てていた。
「ターナー様!残すはこの城のみです。今すぐお逃げください!」
ターナーは硬い顔をして考え込んでいた。
「ターナー伯爵!」
すると奴はようやく口を開いた。
「君たちは逃げろ。」
「何をおっしゃるんですか!」
「奴らは化け物だ。私たちがここから逃げられるわけが無い。だから私が囮になる。」
「馬鹿なことを言わないでください!囮なら私たちがしますから!」
「ダメだ!奴らは君たちに用などないはず。だが私ならまだ君たちが逃げるくらいの時間を稼げる。」
「しかし…!」
「頼む。時間が無いんだ。」
奴らは苦い顔をする。
「わかりました。必ず援軍を連れてこの街を奪還します!」
「…頼んだ。」
「後はこの城だけだわ。」
部隊が城に入ろうとした時だった。
中から男が1人出てきた。
「あらあら、自ら殺されに来るなんて潔いじゃないの。」
「ひとつ聞かせてくれ。なぜこの街を、人々を殺すんだ!」
「愚問ね。ではあなた達は家で飛んでいる虫を殺さないのかしら?」
「虫?我々は虫だと言いたいのか?」
「いいえ、虫以下よ。」
(やはり奴らは我々をその程度のものとしか見ていないのか…!)
「聞きたいことはそれでおしまいかしら?」
(これでいい。これで十分だ。みんなが無事に街から逃げられれば。)
「それと残念だけど、あなたの作戦は失敗ね。」
すると奴の目の前にボトッと不愉快な音を立てた何かが投げられ、転がり落ちる。
それは自分が囮になって逃がしたはずの貴族達の首だった。
「うわぁぁぁ!」
奴は喉が切れるほど叫ぶ。その光景をリリスは満面の笑みで眺めていた。
「なんで…なんでこんなことを…。」
「はぁ、人間の絶望する瞬間って最高だけど、絶望した後ってすぐ冷めちゃうのよねぇ。」
そう言ってリリスは魂が抜けたようにへたり込んでいるターナーの首を無慈悲に刺して殺した。
「こちらベータ0-1、街の制圧完了♡」
「了解。全部隊、作戦は成功した。よくやった。」
それは戦いというより虐殺であった。それほどまでに魔王軍は強く、邪悪なのだった。
「こんなにスムーズに制圧が終わるなら当分は陸軍に任せるとするか。」
レオは席を立ってドミネスへと向かった。
ドミネスはウングィス王国領の街ダインと、ダビネスの間に位置する街。ウングィス王国を支配下に置いた今、物流や防衛の面で見てもドミネスは重要な役割を果たすだろう。
「こちらガルム、コールサインはアルファ0-1。ギガース・ボウガンの準備が完了した。そっちはどうだ。」
「こちらベータ0-1。こっちも準備完了よ。」
「よし、作戦を開始する。ギガース・ボウガン用意、撃て。」
ギガース・ボウガンはウングィス王国が作った巨大なクロスボウの兵器だ。大まかなところは大砲と変わらないが、その精密性と爆発しないという点において、大砲よりもこっちのほうが相手の行動が一歩遅れるというのが利点だ。
そして、プシューンという音を立てて巨大な矢が発射される。
その矢は正確に城の監視塔を破壊した。
「カタパルト用意、撃て。」
次の瞬間、何台ものカタパルトが巨大な岩を投げた。それは門を粉々に粉砕し、見張り兵を吹き飛ばした。
「効果あり!クリーンヒット。」
「門と見張りは破壊した。突入しろ。」
「りょ~か~い♡これよりベータは市街地に突入する。」
一連の流れを見ていたレオは感心していた。
的確な指示に、見事な連携。ケーレスがここまで成長してたとは!もう俺が作戦を立てることはないかな。
ベータ部隊はがら空きの門を抜けると、街中へと入っていった。
「魔王軍だ!」
「逃げろー!魔王軍が来たぞ!」
「第1目標は帝国軍の殲滅。今は住民は無視しなさい。」
「了解!」
そこへ騒ぎを嗅ぎ付けた帝国軍がやってくる。
「クソ!魔王軍か!」
「全員でかかれ!」
奴らは一直線にこちらへ向かってくる。
「リリス様はお下がりを。」
「あらマルス、別にいいのに。」
マルスは奴らの攻撃をひゅるりとかわすと、流れるように奴らの胴体を斬りつけていく。
一瞬にして全員を倒して道が開くと、部隊は奥へと進んでいく。
「こちらアルファ1-1、街に接近中の冒険者を発見。Sランクが3人、Aランクが2人の5人パーティーです。」
「わかった。こちらアルファ0-1、2-1と3-1に連絡する。接近中の冒険者パーティーを殺せ。終わり次第リリスに加勢しろ。」
「2-1、了解。」
「3-1、了解です。」
そこへのこのこと歩いてくる冒険者達。
「おい、なんか街から煙出てないか?」
「まじだ。なんの騒ぎだ?」
その時、冒険者の胸に物凄いスピードで矢が飛んでくる。それは射抜かれた事すら気づかないほど静かで素早かった。
「おい!どうした!」
次の瞬間、矢の雨が奴らの頭上に降ってくる。
悲鳴をあげながら奴らはバタバタと倒れていき、一瞬にして全滅した。
ケーレスだけじゃなく、各チームリーダーのスキルも高いな。俺が思っていたよりも陸軍は軍としてしっかり機能しているのかもしれない。
「こちらアルファ2-1、ターゲット排除。指示通り主力部隊へ加勢します。」
「3-1同じく。」
しばらくしてから主力部隊に加わると、部隊はあっという間に城を残した全てを制圧してしまった。
城の中では伯爵と数人の貴族が慌てていた。
「ターナー様!残すはこの城のみです。今すぐお逃げください!」
ターナーは硬い顔をして考え込んでいた。
「ターナー伯爵!」
すると奴はようやく口を開いた。
「君たちは逃げろ。」
「何をおっしゃるんですか!」
「奴らは化け物だ。私たちがここから逃げられるわけが無い。だから私が囮になる。」
「馬鹿なことを言わないでください!囮なら私たちがしますから!」
「ダメだ!奴らは君たちに用などないはず。だが私ならまだ君たちが逃げるくらいの時間を稼げる。」
「しかし…!」
「頼む。時間が無いんだ。」
奴らは苦い顔をする。
「わかりました。必ず援軍を連れてこの街を奪還します!」
「…頼んだ。」
「後はこの城だけだわ。」
部隊が城に入ろうとした時だった。
中から男が1人出てきた。
「あらあら、自ら殺されに来るなんて潔いじゃないの。」
「ひとつ聞かせてくれ。なぜこの街を、人々を殺すんだ!」
「愚問ね。ではあなた達は家で飛んでいる虫を殺さないのかしら?」
「虫?我々は虫だと言いたいのか?」
「いいえ、虫以下よ。」
(やはり奴らは我々をその程度のものとしか見ていないのか…!)
「聞きたいことはそれでおしまいかしら?」
(これでいい。これで十分だ。みんなが無事に街から逃げられれば。)
「それと残念だけど、あなたの作戦は失敗ね。」
すると奴の目の前にボトッと不愉快な音を立てた何かが投げられ、転がり落ちる。
それは自分が囮になって逃がしたはずの貴族達の首だった。
「うわぁぁぁ!」
奴は喉が切れるほど叫ぶ。その光景をリリスは満面の笑みで眺めていた。
「なんで…なんでこんなことを…。」
「はぁ、人間の絶望する瞬間って最高だけど、絶望した後ってすぐ冷めちゃうのよねぇ。」
そう言ってリリスは魂が抜けたようにへたり込んでいるターナーの首を無慈悲に刺して殺した。
「こちらベータ0-1、街の制圧完了♡」
「了解。全部隊、作戦は成功した。よくやった。」
それは戦いというより虐殺であった。それほどまでに魔王軍は強く、邪悪なのだった。
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