魔王様は世界を支配したい!〜異世界で魔王になったので本気で魔王やる〜

ばにく

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予言の魔王編

第25話 魔王国家アサイラム

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 なんとか入国審査が全て終わった。まったく、なんで魔王なのにこんな雑務しないといけないんだよ!
でも、なかなか興味深い奴が何人かいたな。
 レオは彼らの履歴書をペラペラとめくっていく。
 エレーナはよくこんなもの一日で作ってくれたな。今度何か褒美をあげようか。
 その時、1人の男が目に止まった。
 商業の天才マーク・ヘルメニア。確かにアサイラムに商業は全くと言っていいほどないな…。よし、こいつを採用するか!
 しばらくして魔王城にマークがやってきた。マークは思ってたよりも背が小さく、太っちょのおっさんだった。
 まるで正月にだらだらしてるマサト叔父さんだな。


 「お呼びでしょうか、魔王様。」


 「まあ顔をあげよ。お前にはこの国のビジネスを回す役割を担ってほしい。」


 「ビジネスですか?」


 「ああ、なんでもいい。娯楽や飲食、医薬品やら武器。種類は問わない。ただ国に対して利益のあるものを作ってくれ。」


 「なるほど…ではいちばん適切なのは水商売ですな。」


 「水商売か…水商売!?」


 「ええ、水商売は飲食、娯楽の要素を兼ね備えています。それに利益としてもかなり良く、国民の幸福度も飛躍的に上がるでしょう。」


 なるほど。確かに今のアサイラムに1番必要な要素を多く兼ね備えているのか。


 「幸い、この国には容姿端麗なエルフたちが多く住んでいるので、人材には困らないかと。そして、何人もの美しい女性を侍らすことで魔王様の絶対的な権力というイメージアップにも繋がると思います。」


 レオはやらしい妄想を膨らませる。
 いやいやダメだ!あくまで俺の配下なんだからそういう目で見ちゃダメだろ!でも魔王として配下に手を出すのは普通なのか?それとも女に興味が無い冷酷な魔王のほうがいいのか?ああもう!どっちが正解なんだ~!?


 「魔王様?魔王様!」


 「あ、ああすまない。考え事をしていた。コホン!それではそのプランはお前に任せる。しばらくしてから進捗を教えろ。いいな?」


 「御意。」


 はぁ、魔王って疲れるんだなぁ。一体何が正解なのかわかんないや。


 ーーー魔王城 ケーレスの部屋ーーー


 「え!?魔王様がそんなことを!?」


 「それはホントか?エレーナ。」


 「はい。魔王様は新たなビジネスとして最初にそれを行うみたいです。」


 それを聞いたリリスはかつてないほど興奮していた。


 「ああ!これはチャンスよ!魔王様に女としての魅力をアピールするチャンスなのよ!そしていつか私は魔王様との間に子供を…♡」


 「うえ…リリス姉さんなんだか気味悪いよ。」


 「あらあら、子供のあなたにはわからないでしょうね。」


 「見た目だけでしょ!中身は…ちょっとは大人だし。」


 「まあまあ落ち着けリリス。きっと魔王様はお主如き目もくれてやらんだろ。」


 「はあ?あんたみたいなババアに言われたくないわ。」


 「誰がババアじゃと!?」


 「あんたみたいな口調のやつババア以外に何があるのよ。」


 「おんどれ調子こいてるとわしのポーションの実刑台にするぞ!」


 「ぐぬぬぬぬ!」


 2人はまたもや睨み合っては罵声を浴びせを繰り返していた。


 「あはははは…私はこれで失礼しますぅ…。」


 苦笑いをしてそろりとエレーナは部屋から逃げ出した。


 「ふぅ。言わないほうがよかったかな?」


 ーーー帝国領 グリニアーーー


 「おい!あれはウングィス王国の騎士たちじゃねえか。」


 「なんでグリニアに…!」


 グリニアの周りを囲むように大量のウングィス兵が待機していた。


 「突撃!我らがウングィスに栄光あれ!」


 雄叫びと共に、大量の兵士たちがグリニアに攻め入る。
 人々は次々と兵士に殺されていく。
 するとそこへ一人の男がやってきた。


 「我の名はバートン、帝国参謀総長だ!貴様らのような不当な侵略を行う外道共に生きる道はない!」


 彼を見た兵士たちは戦いもせずに淡々と撤退していく。


 「ありがとうございますバートン様!」


 「ウングィスのクソ共が帰っていくぞ!」


 その状況を見たバートンは気持ちの悪い笑みを浮かべた。


 ーーー連合国 会議室ーーー


 バン!と物凄い力で机が叩きつけられる。


 「なにかの間違いだ!我々はグリニアに侵攻などしていない!」


 「まだ言い訳を続けるか?貴様のせいで多くの罪なき命が奪われた。オズウェル国王よ、これは立派な侵攻だ。連合国に加盟しておきながらこのような非道な行為をするとは許されざることだ!」


 「何回言えばわかるのだ!ウングィス王国は神に誓って侵攻などしていない!」


 「もういい!これは立派な侵略行為だ。よって、ウングィス王国は連合国から追放処分とし、メトゥス帝国とウングィス王国の戦争に連合国は一切関与しないとする!」


 それを聞いたラドルフは絶望し、皇帝は口が裂けるほどの満面の笑みを浮かべた。
 その時ようやく気づいた。これは最初から仕組まれていたことなのだと。メトゥス帝国皇帝ジナ・ソーヴァはこの魔王復活の混乱に乗じて帝国を世界一の国にしようと策略していたのだと。グリニアを攻めたのはウングィス軍ではなく、ウングィス軍に偽装した帝国軍だったのだ。


 (貴様は己の民でさえ手段としか思ってないのか…!)


 残された手段はひとつ。ラドルフはとある人物へ接触する。

 

 
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