21 / 36
第21話 リバイブ
しおりを挟む
「こうして魔王レオは魔神になりました。」
「それでどうなったの?」
「魔王レオは勇者バルボロによって魔王城に追い詰められ、自害しましたとさ。めでたしめでたし。」
「はははは!面白い!」
「違う!」
シュナは勢いよくベッドから起き上がる。
「今のは予知夢…!?そんな、ありえない。あの子が自殺なんて!」
月明かりが照らす薄暗い寝室で、シュナは汗だくになっていた。
「勇者バルボロ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
氷のように冷たくなったリノの頬に手を当てる。すると微かだがその奥に温もりを感じた。レオはその温もりを増やすイメージでリノに魔力を送る。すると、リノの周りで黒いモヤが回転し始めた。同時に死者の叫びがいくつも聞こえてくる。やがて黒いモヤが全てリノの体に入り、叫びも消えた。
その時、リノが少しづつ目を開けた。
「…んん、私…は?」
「リノ、無事か?」
「まおう…さま?魔王様!」
「よかった!成功した。」
レオはリノを強く抱き締めた。
「リノ!ほんとにすまねえ!気が済むまで俺を殴ってくれ!」
ボロボロのジョーカーがリノのところへ来た。
「殴るのはいい、だから美味しいお酒を頼んだ。」
ジョーカーは任してくれと張り切った声で言った。
「魔王様、親衛隊副隊長リノ、ただいま戻りました!」
「ああ、おかえり。リノ。」
その晩、美味しいお酒で宴をし、喜びに包まれた。
「目的は果たした。久しぶりにのんびりできそうだな。」
レオはそう言ってワインをグビっと飲み干した。
次の日、俺は母さんのとこに行くことにした。
ーーーリベルタス王国 ホープシティーーー
久しぶりにリベルタスに来ると、ものすごい人で賑わっていた。ヒューマンだけでなくゴブリンやトロール、ドワーフにドラゴニュートと多種多様な種族が暮らしていた。こうして見ると、いかに共和国や帝国どもが身勝手な暮らしをしてきたかがわかる。彼らのほとんどがトラウマや憎しみを抱えていたり、傷や身体の欠損があった。
「魔王様だ!」
「魔王様!」
人々がレオを見て歓喜の声を上げる。
そこへ2人のドラゴニュートが近づいてきた。
1人はムチムチのお姉さんで、もう1人は真面目な女だった。
目のやり場に困るな…笑
「よくぞお越しくださいました、魔王様。私はマリアンヌと申します。」
「私はクレアと申します!」
「よろしく2人とも、早速シュナに会いたいんだが。」
「承知致しました。ご案内します。」
そうして俺は立派な城へと案内された。こんなでかい城いつの間に作ったんだ?ダビネスにも作ってもらうか。
「こちらでございます。」
大きな扉が開く。奥には窓からの景色を眺めるシュナがいた。
「ありがとう母さん。母さんのおかげでリノを生き返らせることが出来た。」
しばし沈黙が流れる。
「この城に似たものをダビネスに作りたいんだけど…」
そう言ってもシュナは反応しない。
「母さん?」
ようやくシュナが我に返る。
「え?ああ、ええ。わかったわ。」
「少し疲れてるんじゃないか?休んだほうがいいよ。」
「大丈夫よ。」
その時、シュナの顔が少しこわばる。
「レオ、あなたはたとえ私が相手でもこの道を進むと言ったわね。」
「ああ。」
「もし、仮にそれが私以外でも同じことを言える?」
「もちろんだ。父さんの果たせなかった夢を俺が引き継ぐんだ。」
「そう…なら、ひとつ警告しておく。勇者バルボロがあなたにとって最大の脅威になる。今のうちに準備を進めておきなさい。」
「…わかった。」
レオは部屋を後にした。
1人になった部屋で、シュナはまたこわばった顔をして窓を見つめる。
「勇者カイト・バルボロ…あなたに彼が倒せるのかしら。」
準備をしろ…か。そういえば闇の魔法が強すぎて武器を使ってなかったな。まずは魔王らしい武器を手に入れるとするか。
レオはケーレスに連絡をとった。
「それでどうなったの?」
「魔王レオは勇者バルボロによって魔王城に追い詰められ、自害しましたとさ。めでたしめでたし。」
「はははは!面白い!」
「違う!」
シュナは勢いよくベッドから起き上がる。
「今のは予知夢…!?そんな、ありえない。あの子が自殺なんて!」
月明かりが照らす薄暗い寝室で、シュナは汗だくになっていた。
「勇者バルボロ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
氷のように冷たくなったリノの頬に手を当てる。すると微かだがその奥に温もりを感じた。レオはその温もりを増やすイメージでリノに魔力を送る。すると、リノの周りで黒いモヤが回転し始めた。同時に死者の叫びがいくつも聞こえてくる。やがて黒いモヤが全てリノの体に入り、叫びも消えた。
その時、リノが少しづつ目を開けた。
「…んん、私…は?」
「リノ、無事か?」
「まおう…さま?魔王様!」
「よかった!成功した。」
レオはリノを強く抱き締めた。
「リノ!ほんとにすまねえ!気が済むまで俺を殴ってくれ!」
ボロボロのジョーカーがリノのところへ来た。
「殴るのはいい、だから美味しいお酒を頼んだ。」
ジョーカーは任してくれと張り切った声で言った。
「魔王様、親衛隊副隊長リノ、ただいま戻りました!」
「ああ、おかえり。リノ。」
その晩、美味しいお酒で宴をし、喜びに包まれた。
「目的は果たした。久しぶりにのんびりできそうだな。」
レオはそう言ってワインをグビっと飲み干した。
次の日、俺は母さんのとこに行くことにした。
ーーーリベルタス王国 ホープシティーーー
久しぶりにリベルタスに来ると、ものすごい人で賑わっていた。ヒューマンだけでなくゴブリンやトロール、ドワーフにドラゴニュートと多種多様な種族が暮らしていた。こうして見ると、いかに共和国や帝国どもが身勝手な暮らしをしてきたかがわかる。彼らのほとんどがトラウマや憎しみを抱えていたり、傷や身体の欠損があった。
「魔王様だ!」
「魔王様!」
人々がレオを見て歓喜の声を上げる。
そこへ2人のドラゴニュートが近づいてきた。
1人はムチムチのお姉さんで、もう1人は真面目な女だった。
目のやり場に困るな…笑
「よくぞお越しくださいました、魔王様。私はマリアンヌと申します。」
「私はクレアと申します!」
「よろしく2人とも、早速シュナに会いたいんだが。」
「承知致しました。ご案内します。」
そうして俺は立派な城へと案内された。こんなでかい城いつの間に作ったんだ?ダビネスにも作ってもらうか。
「こちらでございます。」
大きな扉が開く。奥には窓からの景色を眺めるシュナがいた。
「ありがとう母さん。母さんのおかげでリノを生き返らせることが出来た。」
しばし沈黙が流れる。
「この城に似たものをダビネスに作りたいんだけど…」
そう言ってもシュナは反応しない。
「母さん?」
ようやくシュナが我に返る。
「え?ああ、ええ。わかったわ。」
「少し疲れてるんじゃないか?休んだほうがいいよ。」
「大丈夫よ。」
その時、シュナの顔が少しこわばる。
「レオ、あなたはたとえ私が相手でもこの道を進むと言ったわね。」
「ああ。」
「もし、仮にそれが私以外でも同じことを言える?」
「もちろんだ。父さんの果たせなかった夢を俺が引き継ぐんだ。」
「そう…なら、ひとつ警告しておく。勇者バルボロがあなたにとって最大の脅威になる。今のうちに準備を進めておきなさい。」
「…わかった。」
レオは部屋を後にした。
1人になった部屋で、シュナはまたこわばった顔をして窓を見つめる。
「勇者カイト・バルボロ…あなたに彼が倒せるのかしら。」
準備をしろ…か。そういえば闇の魔法が強すぎて武器を使ってなかったな。まずは魔王らしい武器を手に入れるとするか。
レオはケーレスに連絡をとった。
11
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?
紺
ファンタジー
ルスダン王国の王、ギルバートは今日も執務を妻である王妃に押し付け後宮へと足繁く通う。ご自慢の後宮には3人の側室がいてギルバートは美しくて愛らしい彼女たちにのめり込んでいった。
世継ぎとなる子供たちも生まれ、あとは彼女たちと後宮でのんびり過ごそう。だがある日うるさい妻は後宮を取り壊すと言い出した。ならばいっそ、お前がいなくなれば……。
ざまぁ必須、微ファンタジーです。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
いともたやすく人が死ぬ異世界に転移させられて
kusunoki
ファンタジー
クラスで「死神」と呼ばれ嫌われていたら、異世界にSSレア種族の一つ【死神】として転生させられてしまった。
……が"種族"が変わっていただけじゃなく、ついでに"性別"まで変わってしまっていた。
同時に転移してきた元クラスメイト達がすり寄ってくるので、とりあえず全力で避けながら自由に異世界で生きていくことにした。
結婚式で王子を溺愛する幼馴染が泣き叫んで婚約破棄「妊娠した。慰謝料を払え!」花嫁は王子の返答に衝撃を受けた。
window
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の結婚式に幼馴染が泣き叫んでかけ寄って来た。
式の大事な場面で何が起こったのか?
二人を祝福していた参列者たちは突然の出来事に会場は大きくどよめいた。
王子は公爵令嬢と幼馴染と二股交際をしていた。
「あなたの子供を妊娠してる。私を捨てて自分だけ幸せになるなんて許せない。慰謝料を払え!」
幼馴染は王子に詰め寄って主張すると王子は信じられない事を言って花嫁と参列者全員を驚かせた。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる