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予言の魔王編
第8話 東洋の桜
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「この泥棒猫が!」
村に着くなり凄まじい罵声が聞こえる。声のほうへ向かっていくと、村の広場へと着いた。そこには檻を囲むように人だかりができていた。
檻の中に人がいるな。あれは…?
檻の中にいたのは黒髪の女だった。
あの顔立ち、日本人か?
その時檻に石が投げられる。
「この泥棒めが!」
「お前は地獄に堕ちろ!」
仕方ない。助けてやるとするか。
「トッツォ、檻の鍵を開けろ。」
「御意。」
そう言うとトッツォは素早く人だかりをすり抜けていき、一瞬で檻の前まで行った。
カキン!
短剣で鍵を壊すと、檻の扉をゆっくりと開ける。
「おいお前!何してんだこの野郎!」
「誰だお前はよお!」
罵声を浴びせてる奴らに俺が殺気を放つ。後ろから殺気を感じた奴らは振り返ることもできずに固まった。
俺は奴らの間を堂々と歩いていく。檻まで行くと、そこにはボロボロの女がいた。その表情はどこか諦めているように感じた。
「女よ、我と共に来い。」
俺は固まってる奴らを無視して彼女を連れダビネスへと帰る。
ーーー魔王国家アサイラム領域 ダビネスーーー
俺は彼女を連れ魔王城(仮)に入る。元はコロシアムだったが、広く頑丈ということで仮の魔王城として使うことにした。俺は彼女を椅子に座らせ話を聞くことにした。
「名前は?なぜ捕まっていた?」
「私の名はリノ、リノ・スズキです。捕まっていた理由は飯が無くて盗み食いをした。ただそれだけです。」
その返事は愛想のない、感情のない話し方だった。
この子は強い。そう直感で感じた。
「飯が無いなら俺がやろう。家がないならここに住め。俺の配下となれ。」
それを聞いた彼女はキョトンとした顔をした。驚いたのか、恐怖したのか、それとも喜んだのか。とにかく彼女の返事は、
「このリノ・スズキ、助けていただいた御恩に報いるためにも喜んで貴方様に忠誠を誓います。」
だった。
とりあえず彼女の強さを知るためにトッツォと戦ってもらうことにした。彼女はどうやら刀の使い手らしい。侍みたいでかっこいいな…!
「手加減は致しません。」
「ああ。本気で来なさい。」
トッツォが短剣を抜く。それに合わせてリノが刀を抜く。その姿はまさしく歴史の侍。そして桜のように繊細で美しかった。
次の刹那、電光石火の如くリノが斬撃を放つ。
(速い…!)
だが間一髪トッツォはそれを受け流した。だがそれもつかの間、リノは次の攻撃の姿勢に入っていた。
素早さがずば抜けてるな…。はっきり言ってここまでの剣術ならゴッドオブデケムと張り合えるだけの実力はあるな。
(くっ!まずい。1度距離を取らないと。)
「スティーリア!」
(氷の魔法?避けた方が良さそう…。)
リノはひらりと風のようにかわすと同時にトッツォの背後をとる。
「なに!?」
トッツォがすぐさま短剣に持ち替え振りかざす。それはリノの刀によって止められる。その後リノはがら空きのトッツォの腹を蹴り飛ばす。
「ぐはっ!」
距離を詰められないように魔法を放つトッツォ。それに反応したリノはすぐさま距離をとる。距離は離した、だが状況はトッツォが圧倒的に不利。そんな絶望の中
リノが喋る。
「その魔法、危ないからちょっと本気出すね。」
リノが刀を構え、詠唱を始める。
「その大いなる力で数多の悪を打ち砕け。その大いなる力で数多の仲間を救い出せ。その大いなる力で平和を手にしたまえ。パレント・タケミカヅチ。グラディウス!」
詠唱と共に凄まじい魔力が辺り一面に広がる。
タケミカヅチ。やっぱり日本人なのか…?
さっきとは比べ物にならないスピードでトッツォとの距離を詰めていく。
(速すぎる…!)
「スティーリア!」
氷柱をするりとかわすその姿はまさに風に靡く桜そのものだった。距離を詰められたトッツォはまた短剣に持ち替える。だが、もう持ち替えるほどの余裕はなかった。
持ち替える瞬間で彼女は刀で短剣を手から吹き飛ばしたのだ。唖然とするトッツォに刀を向け彼女は勝ちを宣言した。
「私の勝ちです。」
間違いない、彼女はゴッドオブデケムに匹敵する強さを持っている。彼女ならいい戦力になってくれる…!
「参りました…。」
俺は席を立ち彼女の元へ向かう。
「見事だったよ、リノ。」
「ありがとうございます、魔王様。」
「君にはブリザードと共に俺の側近をしてもらう。これから俺がどこかに行く時や戦う時、共に来てくれ。」
「はは、承知致しました。」
「ところで君は日本人なのか?」
俺がそう言うと彼女はハッとした顔をする。
「知っているのですか…!?日本を。」
「ああ。」
彼女はそうなのかと安心したような顔をした。
「私は残念ながら日本人ではありません。少なくとも貴方様のような…。ですがとある日本人を知っています。私は、彼に出会って刀の道を極めました。」
「その者の名は?」
「タカ・シゲノブ。」
ーーークアトル共和国 首都 ペンタクルーーー
「あなたの名前をお聞かせください勇者様。」
ここはどこだ?薄暗い。さっきまで学校にいたはずだが…。誰だこの人たちは…これは演劇なのか?
「バ、バルボロ。勇者バルボロです…。」
それを聞いた賢者が目を見開いて驚く。
「勇者バルボロ…!お目覚めになられたのですね。300年ぶりではありますが是非我々にお力をお貸しくださいませ…!」
そう言うとその場にいた賢者が全員膝をつく。
何が起きてるんだ!?誰なんだこの人たちは!ここはどこなんだよ!
「違う、俺の名前はカイトで…。」
「カイト・バルボロ様ですね!承知致しました。」
なんでこうなったんだああ!!!
村に着くなり凄まじい罵声が聞こえる。声のほうへ向かっていくと、村の広場へと着いた。そこには檻を囲むように人だかりができていた。
檻の中に人がいるな。あれは…?
檻の中にいたのは黒髪の女だった。
あの顔立ち、日本人か?
その時檻に石が投げられる。
「この泥棒めが!」
「お前は地獄に堕ちろ!」
仕方ない。助けてやるとするか。
「トッツォ、檻の鍵を開けろ。」
「御意。」
そう言うとトッツォは素早く人だかりをすり抜けていき、一瞬で檻の前まで行った。
カキン!
短剣で鍵を壊すと、檻の扉をゆっくりと開ける。
「おいお前!何してんだこの野郎!」
「誰だお前はよお!」
罵声を浴びせてる奴らに俺が殺気を放つ。後ろから殺気を感じた奴らは振り返ることもできずに固まった。
俺は奴らの間を堂々と歩いていく。檻まで行くと、そこにはボロボロの女がいた。その表情はどこか諦めているように感じた。
「女よ、我と共に来い。」
俺は固まってる奴らを無視して彼女を連れダビネスへと帰る。
ーーー魔王国家アサイラム領域 ダビネスーーー
俺は彼女を連れ魔王城(仮)に入る。元はコロシアムだったが、広く頑丈ということで仮の魔王城として使うことにした。俺は彼女を椅子に座らせ話を聞くことにした。
「名前は?なぜ捕まっていた?」
「私の名はリノ、リノ・スズキです。捕まっていた理由は飯が無くて盗み食いをした。ただそれだけです。」
その返事は愛想のない、感情のない話し方だった。
この子は強い。そう直感で感じた。
「飯が無いなら俺がやろう。家がないならここに住め。俺の配下となれ。」
それを聞いた彼女はキョトンとした顔をした。驚いたのか、恐怖したのか、それとも喜んだのか。とにかく彼女の返事は、
「このリノ・スズキ、助けていただいた御恩に報いるためにも喜んで貴方様に忠誠を誓います。」
だった。
とりあえず彼女の強さを知るためにトッツォと戦ってもらうことにした。彼女はどうやら刀の使い手らしい。侍みたいでかっこいいな…!
「手加減は致しません。」
「ああ。本気で来なさい。」
トッツォが短剣を抜く。それに合わせてリノが刀を抜く。その姿はまさしく歴史の侍。そして桜のように繊細で美しかった。
次の刹那、電光石火の如くリノが斬撃を放つ。
(速い…!)
だが間一髪トッツォはそれを受け流した。だがそれもつかの間、リノは次の攻撃の姿勢に入っていた。
素早さがずば抜けてるな…。はっきり言ってここまでの剣術ならゴッドオブデケムと張り合えるだけの実力はあるな。
(くっ!まずい。1度距離を取らないと。)
「スティーリア!」
(氷の魔法?避けた方が良さそう…。)
リノはひらりと風のようにかわすと同時にトッツォの背後をとる。
「なに!?」
トッツォがすぐさま短剣に持ち替え振りかざす。それはリノの刀によって止められる。その後リノはがら空きのトッツォの腹を蹴り飛ばす。
「ぐはっ!」
距離を詰められないように魔法を放つトッツォ。それに反応したリノはすぐさま距離をとる。距離は離した、だが状況はトッツォが圧倒的に不利。そんな絶望の中
リノが喋る。
「その魔法、危ないからちょっと本気出すね。」
リノが刀を構え、詠唱を始める。
「その大いなる力で数多の悪を打ち砕け。その大いなる力で数多の仲間を救い出せ。その大いなる力で平和を手にしたまえ。パレント・タケミカヅチ。グラディウス!」
詠唱と共に凄まじい魔力が辺り一面に広がる。
タケミカヅチ。やっぱり日本人なのか…?
さっきとは比べ物にならないスピードでトッツォとの距離を詰めていく。
(速すぎる…!)
「スティーリア!」
氷柱をするりとかわすその姿はまさに風に靡く桜そのものだった。距離を詰められたトッツォはまた短剣に持ち替える。だが、もう持ち替えるほどの余裕はなかった。
持ち替える瞬間で彼女は刀で短剣を手から吹き飛ばしたのだ。唖然とするトッツォに刀を向け彼女は勝ちを宣言した。
「私の勝ちです。」
間違いない、彼女はゴッドオブデケムに匹敵する強さを持っている。彼女ならいい戦力になってくれる…!
「参りました…。」
俺は席を立ち彼女の元へ向かう。
「見事だったよ、リノ。」
「ありがとうございます、魔王様。」
「君にはブリザードと共に俺の側近をしてもらう。これから俺がどこかに行く時や戦う時、共に来てくれ。」
「はは、承知致しました。」
「ところで君は日本人なのか?」
俺がそう言うと彼女はハッとした顔をする。
「知っているのですか…!?日本を。」
「ああ。」
彼女はそうなのかと安心したような顔をした。
「私は残念ながら日本人ではありません。少なくとも貴方様のような…。ですがとある日本人を知っています。私は、彼に出会って刀の道を極めました。」
「その者の名は?」
「タカ・シゲノブ。」
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ここはどこだ?薄暗い。さっきまで学校にいたはずだが…。誰だこの人たちは…これは演劇なのか?
「バ、バルボロ。勇者バルボロです…。」
それを聞いた賢者が目を見開いて驚く。
「勇者バルボロ…!お目覚めになられたのですね。300年ぶりではありますが是非我々にお力をお貸しくださいませ…!」
そう言うとその場にいた賢者が全員膝をつく。
何が起きてるんだ!?誰なんだこの人たちは!ここはどこなんだよ!
「違う、俺の名前はカイトで…。」
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