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予言の魔王編
第6話 決勝戦
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ボドボドとたれ続ける血。このままじゃ出血多量で死ぬな。
早いとこ相手の攻撃方法を見つけて潰すしかない。
「始めますよ。レオ。」
すると同時に奴は物凄いスピードで蹴りかかってきた。俺はすかさず距離をとる。だがやつはそれをわかっていた。
なに!?もう目の前に…!?
「遅い!」
「グハッ!」
まともに蹴りを貰ってしまった。まずいな。
圧倒的なスピードと判断力、これをどうにかしないと。
「俺も少しブリザードの真似してみるか。」
ドゴォーン!
俺はブリザードのように地面を思い切り蹴り、粉々にした。
(こいつ!恩恵無しでブリザード並の破壊を…!?)
しかし奴は華麗にステップを踏みそれをかわしやがった。
ちっ、避けられたか。
「レオ、あなたは何者ですか?恩恵無しでここまでの素早さとパワー。ただの人間では到底できない業です。」
「いいだろう、教えてやろう。俺の名は魔王レオ!
300年ぶりに復活した予言の魔王だ!」
そう言うと、会場が怒号と困惑に包まれる。
「何言ってんだあいつ?」
「ふざけてんじゃねーぞ!」
俺には恩恵が無い、だから魔法なしでの戦いは不利だ。
となると一か八か賭けるしかない。
「なあアルバレス、お前は十分に強い。だから本気でやり合いたいんだ。どうだ?魔法アリで戦わないか?」
「なんと!まさかのルールを無視するインテルフィケレマッチを申し込んだ!!」
「バカなのかあいつは!死にかけなのになんで火に油を注ぐようなことするんだ!」
「そのほうが、あなたは勝てるのですか?レオ。」
「まあそうだな。」
アルバレスは魔法アリでもレオに勝てると確信していた。
「いいでしょう。承りました。インテルフィケレマッチに移行します。」
「なんと承諾したああ!?み、みなさん!ここからは命の保証は致しません!見るかたは自己責任でお願いいたします!」
さてと。これで楽に倒せるな。
「魔力解放。テネブラエ・アギト!」
魔力解放とともに俺の凄まじい闇の魔力がコロシアムだけじゃなく街全体に解き放たれる。
(な、なんだこれは…!足が震えてしまっている。やつの、やつの自分が魔王だというのはハッタリなんかじゃない!本当だ…!だが…。)
「パレント・アレス。ケレリタス!」
(フッ。アレス様の身体強化。これでやつは俺のスピードについてこれまい…)
「やっぱりバフがついてたのか。」
「なっ!?」
「テネブラエ・フェリーレ。」
(なぜ追いつけている!?)
俺は咄嗟にガードした奴の腕を破壊するほどのパンチを繰り出す。轟音とともに地形が崩れる。
闇の魔法を手に纏って殴る、通称テネブラエ・フェリーレ。我ながらなかなかにカッコイイ。そして強い!
ってありゃりゃ。生きてるかなあいつ?
「なかなかやるじゃないですか。私の速さについてくるなんて…。」
砂埃だらけの瓦礫の中からアルバレスが出てくる。
奴は動けているものの、既に血だらけ。恐らく骨も砕け散っているだろう。
「生きてるなんて流石だな。チャンピオン。」
「どうやって私の速さについてこれたんですか?」
「俺の魔法だよ。お前のように俺もバフ効果が欲しかったんでな。作った。」
ドゥプレクス。俺のあらゆる能力を2倍にする魔法。原理は不明だが、闇の魔法ってのはどんな魔法でも使えるみたいだな。
「嘘をつくな!貴様にはここで死んでもらう…!」
アルバレスが物凄いスピードで殴りかかる…が、ドゥプレクスの効果がついた俺にはまるでナメクジだ。
そして遅く見える今になってわかった。奴は爪で攻撃をしていたんだ。通りで腕が切れた訳だ。
「爪、切ったほうがいいぞ。」
俺は奴の爪をへし折った。
「ぐあああああ!!!」
奴は血を吐きながら苦痛に叫んだ。
これでやっと攻撃手段を封じた。とどめにかかるぞ。
「テネブラエ・プルヴィス。」
「やめろおおお!!!」
奴の叫びも虚しく、闇の魔法によってやつの上半身は溶けて吹っ飛んだ。会場には下半身が倒れる音だけが響いた。
これでやっと帰れるな。
「動くな!魔王レオ!」
共和国兵士!?やっべ。正体バラしたのすっかり忘れてたな。今は雑魚に構ってる暇はない!早く帰りたいんだよ。
「俺に挑むつもりか?勝てると思ってるのか?雑魚どもが!」
俺の目から黒い波動が飛び出す。その波動に触れた者は白目をむき、瞬時に死んで行った。
俺はちょこっと殺意をぶつけてみたつもりなんだけど…。全員死んじゃったみたいだ。構わず俺は走り去りみんなと合流した。
「流石はレオ様!殺意だけで殺してしまうなんて流石です!」
「あ、ああ…。笑」
「俺より強い武力を持ってるくせにメインは魔法なのか!ますますレオ様のことが好きになりましたな!」
その時、上から凄まじいオーラを纏った者が3人降りてくる。
「止まってよ。魔王達。」
出口は目の前なのに、邪魔が入ったな。見た目は小学生くらいの子供か?でも物凄い殺気と魔力を感じる。
「僕たちはカオス・カテルワ。我らがカオス様の恩恵を受けたゴッドオブデケムの1人。」
「ゴッドオブデケム?」
エレーナが前に話していた10人の恩恵者か。
「僕たちゴッドオブデケムはそこらの恩恵者とは違う。選ばれし10人の恩恵者なんだよ。」
「ほぅ。じゃあどこが違うんだ?」
「全てだよ…!」
その時壁を壊し、あの時森で出会った大蛇と同じ大蛇が飛び出してきた。
「シャー!!!」
大蛇!?まさかこいつが操っていたのか!
「エレーナ危ない!」
「きゃあ!!」
「大丈夫です魔王様。エレーナ様は無事です。」
間一髪トッツォが大蛇を短剣で受け流し、エレーナを守ってくれた。
「この大蛇は私におまかせください。」
そういうとトッツォは大蛇を追いかけ奥へと走っていった。
あの子供だけじゃなく、隣に居る2人の男も危険だな。
2人はブリザードに任せるか。
「ブリザード。俺はあのお子ちゃまを教育する。他の雑魚は任せてもいいか?」
「御意!」
「さあかかっておいで!復活した魔王さんよ!」
「テネブラエ・プルヴィス!」
俺は先制攻撃をする。
(強力な闇の魔法、だけど効かないね。)
「カオス・プロイベーレ!」
奴は禍々しい波動を手から出し、俺のプルヴィスをことごとくかき消していった。
やつから放たれた黒い波動によって俺のテネブラエ・プルヴィスが打ち消されただと!?
「分からない?闇とはカオスそのもの。僕との相性は最悪なんだよ。惜しかったね!僕が相手じゃないければ生きれてたのに。」
一方ブリザードは劣勢を強いられていた。
(この2人、魔王様程じゃないが、似た何かを感じ
る。魔王様も手一杯だし、ここは俺が頑張るしか。)
「パレント・ヘラクレス!ウィレース・オーグメント。」
「ヘラクレスの恩恵、腕力強化。なかなか強そうだね。」
「だが我らカオス・カテルワには無意味。カオスこそが全てなのだ!」
「「パレント・カオス。センシ!」」
(感覚強化!?まずいな、早く決着をつけないと。
地面を持ち上げてあいつらを叩きつけるか。)
「そんなの…」
「バレバレだぞ。」
「なんだと!?」
既に2人はブリザードの背後に回っていた。ブリザードの策がバレていたのだ。
(第六感までも強化されるというのか…!?これがゴッドオブデケムの恩恵…!)
「クッソ!食らえ!」
ブリザードは渾身のパンチを相手の腹に目掛けて放つ。
よし!捕らえた!…なっ!?
なんだこれ…?腹を貫通してるのにビクともしねぇ。
むしろ笑ってやがる。こいつ…!
ブリザードのパンチは完全に奴の胴体を貫通していた。しかし奴は痛がるどころか笑っていたのだ。
「クッソ!離せこの野郎!」
ブリザードが全力で振り払うがなかなか抜けない。
「これがカオス様の恩恵、センシ!我々は痛みさえも忘れられる。本当のカオスへと到達したんだよ!」
その時。
「スティーリア!」
凄まじいスピードの氷柱が奴目掛けて放たれる。
だが奴は軽々とその氷柱を後ろに下がって避けた。
「トッツォ!助かった。」
「大丈夫か!ブリザード。」
大蛇を倒したトッツォがブリザードの援護に入る。
「ぐぬぬぬ、忌々しいエルフめ。」
(トッツォの氷魔法のおかげで奴から距離をとることができた。そして戦況は2対2。)
「トッツォ、俺はあの茶髪のほうをやる。お前にはあの黒髪の男を任せてもいいか?」
「了解。」
2人は同時に走り出し距離を詰める。
「向かってきても無駄だってわからないのか?」
奴はバカにするように笑いながらそう言うと武器を取り出した。
「キリギリス、その筋肉馬鹿は任せたよ。俺はこのエルフを殺す。」
奴はそう言うと身の丈ほどの槍を取り出しトッツォに振る。トッツォは咄嗟にその槍を短剣で受け流すと、奴の後ろに飛び込み弓を放つ。だがその矢はひゅるりとかわされてしまった。
「当たらないな。今の俺達はカオス様のセンシによって感覚が完璧に近いほど強化されている。こんな雑魚の矢など簡単に避けられるんだよ。」
(クッ、矢を避けられるなら近距離戦に持ち込むか…!)
トッツォはまた短剣を抜き、奴に切りかかる。だが奴の槍によって難無く受け止められてしまった。
「無駄だと言ってるだろエルフ。貴様では俺に勝てない。」
「無駄だと言ってるだろう。貴様は力だけのバカなんだ。お前のそのとろい動きなど見え見えなんだよ!」
(クッソ!どうしたらいい。奴に近づくことさえ出来ない…)
2分くらい戦っただろうか。
その時、奴が物凄い勢いで吐血した。
(まずい…!センシの効果が切れ始めた。)
「どうやら時間制限があるみたいだな。」
「ふんっ、だからなんだ?それまでにお前を殺せばいいだけの話だ!」
奴は剣でブリザードに攻撃をする。
(馬鹿だこいつは。時間制限に焦って力で勝っている俺に近距離戦をするとはな。奴は最初の攻撃で腹をえぐられている。このまま持ちこたえればいずれやつは
死ぬ…!)
「くっ!センシが切れ始めたか!」
その隙を見てトッツォは弓での追撃をする。
「ぐはっ!」
3本放った矢のうち1本が奴の腰に刺さった。
「おのれエルフ如きが…!」
(奴の効果が切れ始めた今だ!弓で攻撃する!)
トッツォは弓を素早く何本も放つ。
「そんな単純な攻撃当たるわけがないだろう!」
奴はその矢をひらりとかわした。しかし、かわした方向が悪かった。かわした方向には既にトッツォが狙いを合わしていた。
「かかったな。スティーリア!」
「おのれエルフめ…!!」
奴の叫びと同時に全身に何本もの氷柱が突き刺さる。奴はそのまま血を吐き倒れた。
「ダイトー!!」
「おいおい人の心配してる場合か?」
ブリザードが蹴りを入れ、奴を吹っ飛ばす。
「ぐはっ!」
(センシの効果が完全に切れてしまった。奴を殺さねば…)
奴は最後の力を振り絞り凄まじい速さで突進する。
(まずい!避けれない…!)
「もらったあああ!!!」
グサッ!
奴の剣は完全にブリザードの腹を捕らえた。が…
「ったく、イラつくんだよ…カオスカオス言ってるとよ…ゲホッ。」
ブリザードは血を吐きながらも喋る。
「なんだと…!?」
「そもそも今まで無傷だったのがラッキーだったん…だよ…。元々怪我のひとつやふたつ覚悟してたわ。」
「こいつまさか!」
「もう逃げれねえよな?」
ブリザードは剣を握ってる奴の手を力いっぱい握る。
「やめろ!離せ…!ハッ!」
ドゴーン!
ブリザードが奴に頭突きをかます。肉と肉が当たる音とは思えないほど鈍い音が鳴り響く。奴は白目をむき、鼻血を出しながらフラフラと倒れていった。
「キリギリス…!ダイト!」
「お仲間がやられたようだな?」
「黙れ!今すぐお前を殺してやる…!」
「来な!俺もお前を殺してえんだ。」
「カオス・オッキーデレ!」
「テネブラエ・プルヴィス。」
バゴーン!
黒い塵と黒い斬撃がぶつかり合う。
「甘い!カオスの前には無力だと言っただろ!」
しかし、すでにレオは上に回り込んでいた。
プルヴィスはおとり。本命はこっちだ…!
「死ね…!テネブラエ・フェリーレ!」
俺の拳が奴の体に風穴を作り、吹き飛ばした。
俺は吹っ飛んだ奴に近づく。
体に大穴が空いたのに奴はまだ生きていた。
「カオス…さま。我、カリウス…は、あなた、さまに仕え…れて。光栄、で、した…。」
その言葉を最後に奴は目を閉じた。
ゴッドオブデケム。こいつらが強敵となるのは間違いないだろう。ここで1人殺せたのは大きい。
俺はみんなところへ行く。
「ブリザード、トッツォ、無事か?」
「この通りピンピンですな!魔王様。」
「ええ、私も無事でこざいます。」
さてと、疲れたし帰るとするか。
早いとこ相手の攻撃方法を見つけて潰すしかない。
「始めますよ。レオ。」
すると同時に奴は物凄いスピードで蹴りかかってきた。俺はすかさず距離をとる。だがやつはそれをわかっていた。
なに!?もう目の前に…!?
「遅い!」
「グハッ!」
まともに蹴りを貰ってしまった。まずいな。
圧倒的なスピードと判断力、これをどうにかしないと。
「俺も少しブリザードの真似してみるか。」
ドゴォーン!
俺はブリザードのように地面を思い切り蹴り、粉々にした。
(こいつ!恩恵無しでブリザード並の破壊を…!?)
しかし奴は華麗にステップを踏みそれをかわしやがった。
ちっ、避けられたか。
「レオ、あなたは何者ですか?恩恵無しでここまでの素早さとパワー。ただの人間では到底できない業です。」
「いいだろう、教えてやろう。俺の名は魔王レオ!
300年ぶりに復活した予言の魔王だ!」
そう言うと、会場が怒号と困惑に包まれる。
「何言ってんだあいつ?」
「ふざけてんじゃねーぞ!」
俺には恩恵が無い、だから魔法なしでの戦いは不利だ。
となると一か八か賭けるしかない。
「なあアルバレス、お前は十分に強い。だから本気でやり合いたいんだ。どうだ?魔法アリで戦わないか?」
「なんと!まさかのルールを無視するインテルフィケレマッチを申し込んだ!!」
「バカなのかあいつは!死にかけなのになんで火に油を注ぐようなことするんだ!」
「そのほうが、あなたは勝てるのですか?レオ。」
「まあそうだな。」
アルバレスは魔法アリでもレオに勝てると確信していた。
「いいでしょう。承りました。インテルフィケレマッチに移行します。」
「なんと承諾したああ!?み、みなさん!ここからは命の保証は致しません!見るかたは自己責任でお願いいたします!」
さてと。これで楽に倒せるな。
「魔力解放。テネブラエ・アギト!」
魔力解放とともに俺の凄まじい闇の魔力がコロシアムだけじゃなく街全体に解き放たれる。
(な、なんだこれは…!足が震えてしまっている。やつの、やつの自分が魔王だというのはハッタリなんかじゃない!本当だ…!だが…。)
「パレント・アレス。ケレリタス!」
(フッ。アレス様の身体強化。これでやつは俺のスピードについてこれまい…)
「やっぱりバフがついてたのか。」
「なっ!?」
「テネブラエ・フェリーレ。」
(なぜ追いつけている!?)
俺は咄嗟にガードした奴の腕を破壊するほどのパンチを繰り出す。轟音とともに地形が崩れる。
闇の魔法を手に纏って殴る、通称テネブラエ・フェリーレ。我ながらなかなかにカッコイイ。そして強い!
ってありゃりゃ。生きてるかなあいつ?
「なかなかやるじゃないですか。私の速さについてくるなんて…。」
砂埃だらけの瓦礫の中からアルバレスが出てくる。
奴は動けているものの、既に血だらけ。恐らく骨も砕け散っているだろう。
「生きてるなんて流石だな。チャンピオン。」
「どうやって私の速さについてこれたんですか?」
「俺の魔法だよ。お前のように俺もバフ効果が欲しかったんでな。作った。」
ドゥプレクス。俺のあらゆる能力を2倍にする魔法。原理は不明だが、闇の魔法ってのはどんな魔法でも使えるみたいだな。
「嘘をつくな!貴様にはここで死んでもらう…!」
アルバレスが物凄いスピードで殴りかかる…が、ドゥプレクスの効果がついた俺にはまるでナメクジだ。
そして遅く見える今になってわかった。奴は爪で攻撃をしていたんだ。通りで腕が切れた訳だ。
「爪、切ったほうがいいぞ。」
俺は奴の爪をへし折った。
「ぐあああああ!!!」
奴は血を吐きながら苦痛に叫んだ。
これでやっと攻撃手段を封じた。とどめにかかるぞ。
「テネブラエ・プルヴィス。」
「やめろおおお!!!」
奴の叫びも虚しく、闇の魔法によってやつの上半身は溶けて吹っ飛んだ。会場には下半身が倒れる音だけが響いた。
これでやっと帰れるな。
「動くな!魔王レオ!」
共和国兵士!?やっべ。正体バラしたのすっかり忘れてたな。今は雑魚に構ってる暇はない!早く帰りたいんだよ。
「俺に挑むつもりか?勝てると思ってるのか?雑魚どもが!」
俺の目から黒い波動が飛び出す。その波動に触れた者は白目をむき、瞬時に死んで行った。
俺はちょこっと殺意をぶつけてみたつもりなんだけど…。全員死んじゃったみたいだ。構わず俺は走り去りみんなと合流した。
「流石はレオ様!殺意だけで殺してしまうなんて流石です!」
「あ、ああ…。笑」
「俺より強い武力を持ってるくせにメインは魔法なのか!ますますレオ様のことが好きになりましたな!」
その時、上から凄まじいオーラを纏った者が3人降りてくる。
「止まってよ。魔王達。」
出口は目の前なのに、邪魔が入ったな。見た目は小学生くらいの子供か?でも物凄い殺気と魔力を感じる。
「僕たちはカオス・カテルワ。我らがカオス様の恩恵を受けたゴッドオブデケムの1人。」
「ゴッドオブデケム?」
エレーナが前に話していた10人の恩恵者か。
「僕たちゴッドオブデケムはそこらの恩恵者とは違う。選ばれし10人の恩恵者なんだよ。」
「ほぅ。じゃあどこが違うんだ?」
「全てだよ…!」
その時壁を壊し、あの時森で出会った大蛇と同じ大蛇が飛び出してきた。
「シャー!!!」
大蛇!?まさかこいつが操っていたのか!
「エレーナ危ない!」
「きゃあ!!」
「大丈夫です魔王様。エレーナ様は無事です。」
間一髪トッツォが大蛇を短剣で受け流し、エレーナを守ってくれた。
「この大蛇は私におまかせください。」
そういうとトッツォは大蛇を追いかけ奥へと走っていった。
あの子供だけじゃなく、隣に居る2人の男も危険だな。
2人はブリザードに任せるか。
「ブリザード。俺はあのお子ちゃまを教育する。他の雑魚は任せてもいいか?」
「御意!」
「さあかかっておいで!復活した魔王さんよ!」
「テネブラエ・プルヴィス!」
俺は先制攻撃をする。
(強力な闇の魔法、だけど効かないね。)
「カオス・プロイベーレ!」
奴は禍々しい波動を手から出し、俺のプルヴィスをことごとくかき消していった。
やつから放たれた黒い波動によって俺のテネブラエ・プルヴィスが打ち消されただと!?
「分からない?闇とはカオスそのもの。僕との相性は最悪なんだよ。惜しかったね!僕が相手じゃないければ生きれてたのに。」
一方ブリザードは劣勢を強いられていた。
(この2人、魔王様程じゃないが、似た何かを感じ
る。魔王様も手一杯だし、ここは俺が頑張るしか。)
「パレント・ヘラクレス!ウィレース・オーグメント。」
「ヘラクレスの恩恵、腕力強化。なかなか強そうだね。」
「だが我らカオス・カテルワには無意味。カオスこそが全てなのだ!」
「「パレント・カオス。センシ!」」
(感覚強化!?まずいな、早く決着をつけないと。
地面を持ち上げてあいつらを叩きつけるか。)
「そんなの…」
「バレバレだぞ。」
「なんだと!?」
既に2人はブリザードの背後に回っていた。ブリザードの策がバレていたのだ。
(第六感までも強化されるというのか…!?これがゴッドオブデケムの恩恵…!)
「クッソ!食らえ!」
ブリザードは渾身のパンチを相手の腹に目掛けて放つ。
よし!捕らえた!…なっ!?
なんだこれ…?腹を貫通してるのにビクともしねぇ。
むしろ笑ってやがる。こいつ…!
ブリザードのパンチは完全に奴の胴体を貫通していた。しかし奴は痛がるどころか笑っていたのだ。
「クッソ!離せこの野郎!」
ブリザードが全力で振り払うがなかなか抜けない。
「これがカオス様の恩恵、センシ!我々は痛みさえも忘れられる。本当のカオスへと到達したんだよ!」
その時。
「スティーリア!」
凄まじいスピードの氷柱が奴目掛けて放たれる。
だが奴は軽々とその氷柱を後ろに下がって避けた。
「トッツォ!助かった。」
「大丈夫か!ブリザード。」
大蛇を倒したトッツォがブリザードの援護に入る。
「ぐぬぬぬ、忌々しいエルフめ。」
(トッツォの氷魔法のおかげで奴から距離をとることができた。そして戦況は2対2。)
「トッツォ、俺はあの茶髪のほうをやる。お前にはあの黒髪の男を任せてもいいか?」
「了解。」
2人は同時に走り出し距離を詰める。
「向かってきても無駄だってわからないのか?」
奴はバカにするように笑いながらそう言うと武器を取り出した。
「キリギリス、その筋肉馬鹿は任せたよ。俺はこのエルフを殺す。」
奴はそう言うと身の丈ほどの槍を取り出しトッツォに振る。トッツォは咄嗟にその槍を短剣で受け流すと、奴の後ろに飛び込み弓を放つ。だがその矢はひゅるりとかわされてしまった。
「当たらないな。今の俺達はカオス様のセンシによって感覚が完璧に近いほど強化されている。こんな雑魚の矢など簡単に避けられるんだよ。」
(クッ、矢を避けられるなら近距離戦に持ち込むか…!)
トッツォはまた短剣を抜き、奴に切りかかる。だが奴の槍によって難無く受け止められてしまった。
「無駄だと言ってるだろエルフ。貴様では俺に勝てない。」
「無駄だと言ってるだろう。貴様は力だけのバカなんだ。お前のそのとろい動きなど見え見えなんだよ!」
(クッソ!どうしたらいい。奴に近づくことさえ出来ない…)
2分くらい戦っただろうか。
その時、奴が物凄い勢いで吐血した。
(まずい…!センシの効果が切れ始めた。)
「どうやら時間制限があるみたいだな。」
「ふんっ、だからなんだ?それまでにお前を殺せばいいだけの話だ!」
奴は剣でブリザードに攻撃をする。
(馬鹿だこいつは。時間制限に焦って力で勝っている俺に近距離戦をするとはな。奴は最初の攻撃で腹をえぐられている。このまま持ちこたえればいずれやつは
死ぬ…!)
「くっ!センシが切れ始めたか!」
その隙を見てトッツォは弓での追撃をする。
「ぐはっ!」
3本放った矢のうち1本が奴の腰に刺さった。
「おのれエルフ如きが…!」
(奴の効果が切れ始めた今だ!弓で攻撃する!)
トッツォは弓を素早く何本も放つ。
「そんな単純な攻撃当たるわけがないだろう!」
奴はその矢をひらりとかわした。しかし、かわした方向が悪かった。かわした方向には既にトッツォが狙いを合わしていた。
「かかったな。スティーリア!」
「おのれエルフめ…!!」
奴の叫びと同時に全身に何本もの氷柱が突き刺さる。奴はそのまま血を吐き倒れた。
「ダイトー!!」
「おいおい人の心配してる場合か?」
ブリザードが蹴りを入れ、奴を吹っ飛ばす。
「ぐはっ!」
(センシの効果が完全に切れてしまった。奴を殺さねば…)
奴は最後の力を振り絞り凄まじい速さで突進する。
(まずい!避けれない…!)
「もらったあああ!!!」
グサッ!
奴の剣は完全にブリザードの腹を捕らえた。が…
「ったく、イラつくんだよ…カオスカオス言ってるとよ…ゲホッ。」
ブリザードは血を吐きながらも喋る。
「なんだと…!?」
「そもそも今まで無傷だったのがラッキーだったん…だよ…。元々怪我のひとつやふたつ覚悟してたわ。」
「こいつまさか!」
「もう逃げれねえよな?」
ブリザードは剣を握ってる奴の手を力いっぱい握る。
「やめろ!離せ…!ハッ!」
ドゴーン!
ブリザードが奴に頭突きをかます。肉と肉が当たる音とは思えないほど鈍い音が鳴り響く。奴は白目をむき、鼻血を出しながらフラフラと倒れていった。
「キリギリス…!ダイト!」
「お仲間がやられたようだな?」
「黙れ!今すぐお前を殺してやる…!」
「来な!俺もお前を殺してえんだ。」
「カオス・オッキーデレ!」
「テネブラエ・プルヴィス。」
バゴーン!
黒い塵と黒い斬撃がぶつかり合う。
「甘い!カオスの前には無力だと言っただろ!」
しかし、すでにレオは上に回り込んでいた。
プルヴィスはおとり。本命はこっちだ…!
「死ね…!テネブラエ・フェリーレ!」
俺の拳が奴の体に風穴を作り、吹き飛ばした。
俺は吹っ飛んだ奴に近づく。
体に大穴が空いたのに奴はまだ生きていた。
「カオス…さま。我、カリウス…は、あなた、さまに仕え…れて。光栄、で、した…。」
その言葉を最後に奴は目を閉じた。
ゴッドオブデケム。こいつらが強敵となるのは間違いないだろう。ここで1人殺せたのは大きい。
俺はみんなところへ行く。
「ブリザード、トッツォ、無事か?」
「この通りピンピンですな!魔王様。」
「ええ、私も無事でこざいます。」
さてと、疲れたし帰るとするか。
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だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
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【コミックス第1巻発売です!】
早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
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✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
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20/11/19 HOTランキング1位
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