魔王様は世界を支配したい!〜異世界で魔王になったので本気で魔王やる〜

ばにく

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予言の魔王編

第5話 アレスへの捧げ

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 スゥーハー。集中しろ。


 「それではバトルアリーナ、開催でーす!」


 「いくぞ!若いの!!!」


 「望むところだ!」


 拳と拳が激しくぶつかる。歓声だらけの会場に、その波動が飛んでいき、一瞬で静かになった。
 力では互角。ならば立ち回りで勝つ!


 「俺と張り合えるほどの力を持ってるとはな。お前を少し見誤っていた。レオ。」


 「それは嬉しいね。ブリザード。」


 「こ、これは…!無名のルーキーをあのブリザードが認めた!!!」


 「たった一撃で?」


 「何者なんだあの子供?」


 「じゃあ行くぞ。ブリザード!」


 はっきり言ってブリザードの体格は化け物だ。森にいたらトロールと間違うほどだろう。真正面からじゃ確実に押し負ける。だから、後ろに回る!


 「な、なんというスピードだレオ!」


 (神の恩恵無しでこれか…。この男、何者だ?)


 「だが残念だったな!俺はヘラクレス様の恩恵を受けている。ちょこまか走ったってよ…!」


 何!?地面が!浮いている!?


 「大地を粉々にしちまえば意味ねぇーだろ!」


 ブリザードは素手で地面を思い切り叩き、粉々に割いた。粉々になった地面はまるで割れたクッキーのようになり、その勢いで空に舞った。


 「なんて怪力だよ!」


 これが神の恩恵とやらか。人間では到底行けない境地へと行けるようになる。神ってやつも案外恐ろしいな。
だけど…!


 「なっ!消えた?」


 「おおっと!?レオが会場から消えたぁ!」


 (まさかレオのやつ…。後ろか!?)


 「いない!?」


 「残念。」


 (いつの間に!?)


 「上だよ。」


 俺は宙に浮いた地面を飛び越え空を舞い、そのまま重力をすべて拳に乗っけて渾身のパンチを顔面に食らわす。ボゴーンという鈍い音とともにメキメキと拳が顔面にめり込む。そのままブリザードを後頭部から思い切り地面に叩き付けた。会場全体を砂埃が覆う。


 「ど、どうなったんだー!?」


 砂埃が消えそこにいたのは地面が陥没するほどめり込んだブリザードと、その目の前に立つレオだった。


 「第1試合、勝者…レオー!!!」


 「「うおおおおお!!!!」」


 「すげえなあのルーキー!」


 「よくやった!!」


 俺は素直にその歓声が嬉しかった。初めての強敵。
そいつに完全勝利を決めれたのだから。


 ーーーコロシアム 選手部屋 レオ様ーーー


 「流石ですレオ様!」


 「さすがです魔王様!」


 「めちゃめちゃかっこよかったですぞ!」


 「まあ魔王だからな…。」

 
 試合終わりくらいゆっくり休ませてくれよ…。笑
こういうところに気が利く部下が欲しいなあ。


 ドンッ!思い切り部屋のドアが開いた。


 「ブリザード?」


 「レオ…」


 無言で地面が落ちるかと思うくらい重い足並みで近づいて来る。まさか俺殺される…?


 「頼む!!俺を弟子に入れてくれぇ!!」


 「「「えええぇぇぇ!!!!???」」」


 「いやいやなんのつもり!?」


 「単純なことだ。俺はお前の強さに、力に惚れた。だからついていきたい!ついていかせてほしい!」


 「そんな事言われてもなあ…。」


 「この通りだ!頼む!」


 ブリザードは床が砕けるかと思うくらいに頭を床につける。
 こいつに悪意があるのか確かめる必要があるな。


 「エレーナ、頼む。」


 「わかりました。」


 エレーナがブリザードの額に手をかざす。


 「彼は、彼に悪意はありません。単純に強さを追い求めてるようです。」


 「そうか、わかった。
単刀直入に言う、ブリザード。俺は魔王だ。人を殺したし、これから世界征服もする。それでも俺の強さを求めてついてくるか?」


 「魔王…?ったく、俺はそんなのどうでもいい。俺はお前に、お前の強さに惚れたんだ。だからお前が何をしようと、俺はお前について行く。そう決めたんだ。」


 「分かった、ではブリザード・エンドレス。俺に忠誠を誓うか?」


 「我、ブリザード・エンドレスの名において、貴方様に忠誠を誓わさせていただきます。」


 「ってことで仲間になった。」


 「「「ええええええ!!!???」」」


 真っ暗な部屋に青白い炎が灯った部屋で二人の男が話し合っている。


 「無名のルーキー、レオ。まさかブリザードに勝つとはねえ。」


 「それに、彼からは武力だけじゃない。とてもつもない魔力を感じる。」


 「彼の本当のスタイルは魔法ってことか。
ハッハッハ!なおさら面白いじゃねえか!レオ…。」


 カンパーイ!


 「このワイン本当に美味い!なんて名だ?」


 「レオーナ。エルフ達が作ってる70年物のワインだ。」


 「エルフだからできる代物だな!」


 「それにしてもレオ様凄いです。なんなく決勝まで残ってしまうなんて。」


 「魔法なしでどうしようかと思ってたけど案外行けたな!まあ、決勝が危ないやつだったら魔法を使う。俺は魔王だからな。ルールを守れなんて言われる筋合いはない。」


 「そういうところはしっかり魔王なんだな!」

 ーーーバトルアリーナ 決勝戦ーーー


 「今年のバトルアリーナも早くも決勝!この試合に勝った者がアレス様の恩恵を授かる!お待ちかね、今回戦うのはその名をとどろかせた、無名の…いや、もう無名ではありませんね!希望のルーキー、レオー!!!」


 「やっちまえレオ!」


 「今まで通りボコしちまえ!」


 「そしてそして!対する青コーナー。最強の男にしてアレスの恩恵を授かりし男。昨年バトルアリーナの優勝者の登場だ。チャンピオン!アルバレス・ダイナ!!!!」

 
 奥から眼鏡をつけた長身の男が歩いてくる。
 ん?今までのやつらと違って筋肉ムキムキの男じゃないんだな…。ハッ!?


 「おおっと!試合は既に始まっていたァ!?」


 ボトッ!


 「そんな…!レオ様!!」

 確かにやつが歩いてくるのを見ていた。それなのに、
 今の一瞬で腕を!?


 「レオ!まさかの左腕を落とされてしまったあ!」


 「おい素手で戦うんじゃないのか!」


 「明らかに刃物使ってるだろ!」


 何が起きたんだ?奴は手には何も持っていなかった。単純な力で腕をちぎり落としたのか?いやそれにしては腕の断面が綺麗すぎる。こんなに綺麗に腕が落ちるのは刃物以外に無い。なにをしたんだ…!?こいつは…!


 「さあ始めようか。レオ…。フッ。」
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