魔王様は世界を支配したい!〜異世界で魔王になったので本気で魔王やる〜

ばにく

文字の大きさ
上 下
2 / 46
予言の魔王編

第2話 逃亡

しおりを挟む
 「戦士長が死んだ?」


 「はい。顔は欠損が酷く、戦士長様と分かるのは、鎧しかないのですが。」


 「何かの冗談だろ。クアトル共和国は勿論、他の国ですらあいつの力は認めてる。それに、あいつと同等の強さの奴は俺を含むゴッドオブデケムの10人だけだろ!?」


 (一体誰が、何があったんだ。戦士長に…)


 クアトル共和国。俺を召喚した国であり、この世界のトップ3の強さを誇る国。そんな国の戦士長を殺したなんてバレたら終わりだな…。しばらく普通に暮らしつつ、この世界について知るべきだな。


 「おう、そこの少年よ!腹減ってねぇか?食ってけよ。」


 確かに。この世界に来てから何も食ってないな。最後に食ったのは…ばあちゃんの目玉焼きか。
俺はちっちゃい頃に母を事故で亡くして、俺が12の頃に父親が失踪した。ばあちゃんは母親のように俺を育ててくれた。そんなばあちゃんを今、1人にしてしまってる。
早く帰らないとなあ…


 「それはなに?」


 「これはベールゼブフォの照り焼きだ。外はパリッと、中はグチャっと!照り焼きがやみつきの1品だぜ!」


 おえ!?カエルだと…!?しかもこのカエルめちゃくちゃデカいし。はっきり言って、グロい…。でも。


 「ください!」


 「まいど!」


 でかいカエルの手らしきものが串に刺さった物を渡された。正直美味しそうには見えないが…食うしかないか。


 「い、いただきます…」


 パリッ!


 意外といけるな!タレがカエルの肉によく染みてて美味しい。外はパリッとしててよく焼けている。やっぱり飯は食べてみないと分からないものだな。

 腹も膨らんだ事だし、早速街を探索することに。
街は大きく、建物は白く、記念日でもないのに風船が飛んでて賑わってる。まさにRPGゲームのような街だな。
まずは寝泊まりできる場所を探さないとな。


 カランカラン♪


 「いらっしゃい。宿屋へようこそ。」


 「どうも。寝れるところを探してて。」


 「1泊300ゴールド、3食付で550ゴールドだよ。」


 「わかりました…って、あれ?」


 …金ないな。てかあのカエル800ゴールドしたよな?明らかにぼったくりだよな!?なあ!?


 「ゴホン!すみません、お金が無いので、出直します。」


 まったくなんてことだ。あのカエルを買ってなければ3食と寝るとこを確保出来てたのに!


 ゴツン!


 「痛!」


 「いてて、大丈夫ですか?」


 ぶつかった女の子は優しそうで、どこか悲しそう。


 「君こそ大丈夫?ケガは?」


 「わ、私は大丈夫です。すみませんそれどころじゃなくて、では!」


 「あ、え、ちょっと!」


 行っちゃった。急いでたのかな。


 (!?)


 何だこの匂い?血の匂い?臭い。悪臭だ。あの2人組の男からしてるのか。まったく、風呂には入れっつーの。


 「おい、そこのガキ。」


 「ん?」


 「この女を見てねえか?」


 これは…さっきぶつかった女の子?


 「彼女がどうかしたんですか?」


 「おめえに説明する必要はねえ。知ってるのか答えろ。それと、嘘つこうと思うなよガキ。どうなるかわかるよな?」


 なるほどな。彼女は何かしらのトラブルに巻き込まれてると見て良さそうだな。さっき急いでいたのもこいつらから逃げていたのか?


 「いいや、俺は知らないね。」


 「おいガキ。俺らはここら辺を仕切ってるベノムっつうんだ。俺の能力ペッカートュムは相手の罪を見ることができる。お前が嘘をついていたら、嘘という罪の意識が俺には分かるぞ。」


 「いいさ。見てみな。その能力とやらで。」


 (なにをニヤけてるんだこのガキ。まあいい、お望み通り見てやるか…。!?)


 「おいドリオ!どうした!」


 「あ、あぁ…。あああ!」


 「ドリオ!てめぇ!何しやがった。」


 「何もしていない。ただ、俺はもう罪を犯している。その罪を見て、吐き気を催したのかもな。」


 (これは…!闇の…魔法。こんな殺し方…。うっ!)


 ドリオはその場でうずくまり吐いた。


 「てめぇ!よくもドリオを!」


 俺は手から少量のモヤを出す。


 「うあああああああ!!く、苦しい!誰か!助けてくれ!」


 「ドリオとか言ったか。なぜあの子を探している?」


 「あ、あの女は…心が読めるんだ…。その能力を使って金儲けしようと…。ハッ!?」


 「そうか。教えてくれてありがとう。さようなら。」


 「ま、待ってくれ!頼むうう!!!」


 2人とも1片たりとも肉が残らないように溶かした。
心が読める…か。少し話してみるとするか。と言っても、どこに行ったのかわかんないんじゃ探しようがないな。


 「あ、あのー。」


 「君は…!」


 「た、助けてくれたんですよね?あ、ありがとうございます!」


 見られたのか?だとすれば国のヤツらに話す可能性があるな。ここで殺すか。


 「ま、待ってください!話したりしませんから!」


 「ん?心が読めるのは本当なのか。」


 「はい。あなたにぶつかった時、あなたなら助けてくれるかもと心を読んで思ったんです。」


 だとしても話さないという確証はないな。ここで殺した方が自分の身のためになる。仕方がないか。


 「待ってください!信用出来ないというなら、私の拠点に泊まってください!寝るところが必要なのでしょう?いい洞窟を見つけたんです。」


 「信用できないやつの拠点に行くほど俺はバカじゃないぞ。」


 「それは、そうですけど…。けど、恩を返したいんです!それにあなた、あなた様は魔王なのでしょう!?」


 「だったらなんだ?」


 「詳しいことは後で話すので、とりあえず私の洞窟に来てください!」


 「うわあ、ちょ、待て!」


 俺は強引に彼女の洞窟へと案内された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~

夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。 全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。 適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。 パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。 全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。 ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。 パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。 突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。 ロイドのステータスはオール25。 彼にはユニークスキルが備わっていた。 ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。 ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。 LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。 不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす 最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも? 【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

処理中です...