魔王様は世界を支配したい!〜異世界で魔王になったので本気で魔王やる〜

ばにく

文字の大きさ
上 下
1 / 44
予言の魔王編

第1話 魔王の復活

しおりを挟む
 「行こうぜ、レオ。」



 俺の名は藤堂レオ。高校生活最後の文化祭を楽しむ
ごく普通の高校生だ。

 
 「高校生活もあっという間に終わっちまうな!」


 こいつは親友で幼なじみの犬井カイト。カイトとは毎日一緒に登校してる。


 (毎日毎日その寝癖はどうにかならないのか…)


 いよいよ始まった最後の文化祭。俺たちがやるのは
演劇!古の勇者バルボロの英雄譚というやつだ。
ぶっちゃけ、最後の文化祭がこんな中二病満載の演劇なのが少し気に食わないがしょうがない。思い切り楽しもう。


 「お、魔王のコスプレ似合ってんじゃねーか!」


 「そうかな?」


 やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい!舞台に上がる前に少し練習しておこうかな。
部屋に誰もいないことを確認して、俺は練習を始めた。


 「勇者バルボロよ!世界の半分をくれてやろう。我が魔王軍の仲間になれぇ!」


 もう少し怖い感じで言ったほうがいいかな?


 「ゆ、勇者バルボロよ!バ、バルボロよ!」


 なんか違うんだよなぁ。
レオは気付いていなかった。足元に青白く光る魔法陣が出ていることに。


 「バルボロよ!世界の半分をくれて…な、なんだこれ。」


気付いた頃には辺り一面眩しい光に包まれた。


 「うわあああああ!」


 ガチャ。


 「おいレオ、もう本番始まるぞ。って、あれ。どこ行ったあいつ。」


 「召喚成功しました!」


 「殿下に知らせて来い!」


一体なにが…眩しい光が辺り一面を…ここは、どこだ?


 周りを見ると俺を囲むように白い髭を生やした男たちが俺を見ていた。少し時間がたった頃、男たちがざわつき始めた。


 「本当に勇者なのか?」


 「どう見たって勇者の格好じゃないだろう。」


 「まさか召喚は失敗!?」


 「もしや魔王を召喚してしまったのでは…!?」


 は?何を言ってるんだこいつらは。魔王?確かに文化祭で魔王ハデスの役をしてたけど…それに召喚って。俺を連れてきたのはお前らなのか?


 「お、おい。」


 話しかけると奴らは一斉にビクッと肩が上がった。


 「ここはどこなんだ?勇者って?魔王ってなんのことだ?召喚ってお前らがここに連れてきたのか?学校に帰してくれるんだよな?」


 「残念だが帰すことはできない。魔王よ。」


 奥から重くてジャラジャラしてる赤い鎧を来た男が歩いて来た。


 「おお、戦士長様!」


 「ちょっと待ってくれ、俺は魔王なんかじゃないぞ。」


 「ではなぜそのような格好をしている。異世界人よ。」


 「ぶ、文化祭というものがあって、それの演劇で着ていただけだ!」


 「ブンカサイ?なんだそれは。」


 「祭りだよ。この世界にも祭りくらいあるだろ?」


 「あるにはあるが、そんな魔王を演劇するような祭りなどあるわけが無い。」


 「ちょっと待ってくれ!この世界の普通を俺は知らないが、ほんとにあるんだ!信じてくれ!」


 「例えそれが真実だとしても、そのような文化がある異世界人など、勇者の資格はない。まったく、お前らはなんでこんなガキを召喚しちまったんだ。」


 「すみません、戦士長様。少し位置がズレたのかと。」


 「言い訳はどうでもいい。次は成功させろ。おい、そこの兵士、ガキを処刑しろ。民には予言の魔王は処刑したとでも言って安心させておけ。」


 何を言ってるんだこいつらは。処刑?魔王じゃないと言ってるのに?そもそも呼んだのはこいつらだろ。
イヤだ。死にたくない。


 「じゃあな。異世界人。」


 イヤだ!やめろ!!!!


 カランカラン、と武器が落ちる音が鳴り響く。目を開けると2人の兵士が倒れていた。


 「今のは、闇の魔法!?」


 「このガキ、まさか!」


 なんだこれ、手から黒いモヤみたいなのが。これが、魔法?


 「今すぐそいつを殺せ!」


 とにかくここから生きて出ないと!
俺は力いっぱいにそのモヤを体から出す。そのモヤは周囲の人間にまとって行き、やがてモヤのまとった人間は次々に倒れて行った。


 「戦士長様!危ない!」


 隣に居た兵士が戦士長とやらを庇ってモヤに飲まれた。


 「うわああああ!」


 彼らは全身を炎に包まれたかのように苦しみもがいた。


 (なんなんだこのガキは…闇の魔法を使う者など300年間誰もいなかったはず。それをこのガキは一瞬で。まさかこいつが予言の…!)


 「残りはお前だけだよ。」


 俺は黒いモヤで手錠を溶かし、戦士長の前に立つ。腰を抜かしたこいつの顔はまるで肉食動物を見るウサギのようにガクブル震えていた。


 「ガキ、あんた何者だよ…!」


 俺はこいつの頭を掴んでこう言った。


 「我の名は魔王レオ。この世界の王になる者だ。」


 う、うわあああああああ!
 悲鳴をあげながら戦士長は溶けて黒い塵となった。
 流石にちょっと、カッコつけすぎたかな?笑


 「わあ!すごいな。」


 地下牢から出て地上へ行くと、そこには緑の大地、ビルより大きい木々、そして大きな羽で大空を羽ばたく鳥たちが広がっていた。


 「魔王…か。」


 この世界がそう呼ぶのなら。本気でやってやろうじゃないか。魔王とやらを!
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。 いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。 テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。 そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。 『強制フラグを、立てますか?』 その言葉自体を知らないわけじゃない。 だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ? 聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。 混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。 しかも、ちょっとだけ違うセリフで。 『強制フラグを立てますよ? いいですね?』 その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。 「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」 今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。 結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。 『強制フラグを立てました』 その声と、ほぼ同時に。 高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、 女子高生と禁断の恋愛? しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。 いやいや。俺、そんなセリフ言わないし! 甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって! 俺のイメージが崩れる一方なんだけど! ……でも、この娘、いい子なんだよな。 っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか? 「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」 このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい? 誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初めて入ったダンジョンに閉じ込められました。死にたくないので死ぬ気で修行したら常識外れの縮地とすべてを砕く正拳突きを覚えました

陽好
ファンタジー
 ダンジョンの発生から50年、今ではダンジョンの難易度は9段階に設定されていて、最も難易度の低いダンジョンは「ノーマーク」と呼ばれ、簡単な試験に合格すれば誰でも入ることが出来るようになっていた。  東京に住む19才の男子学生『熾 火天(おき あぐに)』は大学の授業はそれほどなく、友人もほとんどおらず、趣味と呼べるような物もなく、自分の意思さえほとんどなかった。そんな青年は高校時代の友人からダンジョン探索に誘われ、遺跡探索許可を取得して探索に出ることになった。  青年の探索しに行ったダンジョンは「ノーマーク」の簡単なダンジョンだったが、それでもそこで採取できる鉱物や発掘物は仲介業者にそこそこの値段で買い取ってもらえた。  彼らが順調に探索を進めていると、ほとんどの生物が駆逐されたはずのその遺跡の奥から青年の2倍はあろうかという大きさの真っ白な動物が現れた。  彼を誘った高校時代の友人達は火天をおいて一目散に逃げてしまったが、彼は一足遅れてしまった。火天が扉にたどり着くと、ちょうど火天をおいていった奴らが扉を閉めるところだった。  無情にも扉は火天の目の前で閉じられてしまった。しかしこの時初めて、常に周りに流され、何も持っていなかった男が「生きたい!死にたくない!」と強く自身の意思を持ち、必死に生き延びようと戦いはじめる。白いバケモノから必死に逃げ、隠れては見つかり隠れては見つかるということをひたすら繰り返した。  火天は粘り強く隠れ続けることでなんとか白いバケモノを蒔くことに成功した。  そして火天はダンジョンの中で生き残るため、暇を潰すため、体を鍛え、精神を鍛えた。  瞬発力を鍛え、膂力を鍛え、何事にも動じないような精神力を鍛えた。気づくと火天は一歩で何メートルも進めるようになり、拳で岩を砕けるようになっていた。  力を手にした火天はそのまま外の世界へと飛び出し、いろいろと巻き込まれながら遺跡の謎を解明していく。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華
ファンタジー
 愛犬(ポチ)の散歩中にトラックにはねられた主人公。  白い空間で女神様に、愛犬は先に転生して異世界に旅立った、と聞かされる。  すぐに追いかけようとするが、そもそも生まれる場所は選べないらしく、転生してから探すしかないらしい。  転生すると、最初からポチと従魔契約が成立しており、ポチがどこかで稼いだ経験値の一部が主人公にも入り、勝手にレベルアップしていくチート仕様だった。  うちのポチはどこに行ったのか、捜索しながら異世界で成長していく物語である。 ・たまに閑話で「ポチの冒険」等が入ります。  ※ 2020/6/26から「閑話」を従魔の話、略して「従話」に変更しました。 ・結構、思い付きで書いているので、矛盾点等、おかしなところも多々有ると思いますが、生温かい目で見てやって下さい。経験値とかも細かい計算はしていません。 沢山の方にお読み頂き、ありがとうございます。 ・ホトラン最高2位 ・ファンタジー24h最高2位 ・ファンタジー週間最高5位  (2020/1/6時点) 評価頂けると、とても励みになります!m(_ _)m 皆様のお陰で、第13回ファンタジー小説大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます。 ※ 2020/9/6〜 小説家になろう様にもコッソリ投稿開始しました。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...