55 / 58
三章 ミュラー最後の事件簿
狂乱
しおりを挟む
長躯の野生的な青年と銀髪の長い髪を揺らした無表情な女エルフ、そして茶髪の前髪で表情を隠した青年がゆっくりと談話していた。
「レオンがやられた。文書も奴らの手に渡ったままだ」
「肝心のエルドラの行方もわからないままだわ……」
「問題ないです。それにずいぶん面白いことになってるじゃないですか。ゲームはその方が面白い」
「アドルフはともかく、レオンがいないと軍はどうする?」
「全て順調です。彼は知りすぎた、だから切り捨てただけです。彼がいなくなれば軍は僕の言いなりになりますから」
「あの青髪とやらしてくれよ。このままじゃ気をつけがすまねぇ」
「大丈夫です。ちゃんと出番は作っておきますよ」
「文書を奪いにいくの?」
「もちろんです。けどそれは後回しにしましょう」
「ならどうする?」
「混沌を、もっと混沌が欲しい。ゲームは盛り上げないとつまらない」
「ふふ、いいわね」
「僕はね、彼に興味が湧いてきたんです。だからもっと彼のことを知りたい。もっと彼に僕のことで夢中になって欲しいんです」
「エルドラはどうするんだ?」
「放っておけばいいんです。あの人が文書に目が入ってる時に僕らは派手に動く」
「全部計画のうちね……」
「彼の行動原理はなんだと思って考えたんです。けどまさか愛が故にここまで彼が動いていたなんて……。ますます興味が湧いてきた。僕も知りたいなぁ。愛を」
その言葉を聞いて、長躯の青年と銀髪の女が狂ったように嘲笑う。
その笑い声は城内を不気味にこだまする。
茶髪の青年が怪しくほくそ笑みながら、囁きかける。
「貴方はどう思いますか? ラクシャイン?」
倒れ伏すラクシャインは呻くように声を漏らす。
「……テメェら気は確かか?」
ラクシャインの周りには大勢の人が倒れていた。
侍女も、城兵も、官僚も、貴族も、将軍も、王でさえも。
そして城の中は盛大に火が燃え盛っていた。
燃え広がる炎の中で、まるで午後の紅茶を楽しむように三人は寛いでいた。
火の光に照らされたロゼの素顔が眩しく照らされていた。
そして彼の不気味な笑顔が映し出された。
それを見てラクシャインは背筋が凍った。
そしてロゼは不敵に笑う。
「残念ながら、貴方はここで退場です。さぁ幕間劇に興じましょう」
するとロゼはラクシャインの顔を覗き込んだ。
ラクシャインの瞳には不気味な笑顔を浮かべた青年しか映しだされない。
「貴方の断末魔だけでは物足りない。もっと、もっと多くの人間の嘆きの声を、悲鳴を、叫びを。この国中から奏でさせたい」
ラクシャインが声を震わせながら、反抗する。
「テメェの思い通りにさせるかよ……」
焼き崩れる玉座を背後にロゼは妖しい笑みを浮かべた。
「ミュラーはどうやら娼婦にご執心のようです。ルカといったかな。彼女に会いたいなぁ。紹介して頂けませんか?」
その言葉を聞いて、ラクシャインがロゼの顔に唾を吐きかけた。
「クズ野朗め……」
ロゼは吐きつけられた唾を平然と拭い、恐ろしく静かな声で命令を下す。
「リヴァ、リスト、いいよ」
リヴァは嬉々として表情でラクシャインの胸を素手で貫く。
そして死んだラクシャインを無感情にリストは作り上げた火球で焼き尽くした。
「そうだ、城だけじゃ物足りない。燃やしてしまおう。街を、国を、全てをだ。地平線まで広がる焼け野原を作ってしまおう。劇はその方が面白い」
ロゼの恐ろしい提案に、二人の狂人は笑い声を上げた。
燃え盛る炎の中で三人は笑い出す。そしてロゼは不気味に呟く。
「さぁ舞台は整った。もっと僕を楽しませてくれ」
焼き崩れる城、燃え盛る炎の中で三人の姿は消える。
ミュラー達が港に着くと、ミュラーはすぐに街の異変に気づいた。
街が燃えている!?
みんなは!?
ルカは無事か!?
思わずミュラーが駆け出そうとすると、それを遮るように、目の前で馬車が止まる。
馬車の中からリューが深刻そうな顔を出した。
「お待たせしました。ミュラーさん、私の依頼人、エルドラがお待ちです。どうぞ乗って下さい」
「レオンがやられた。文書も奴らの手に渡ったままだ」
「肝心のエルドラの行方もわからないままだわ……」
「問題ないです。それにずいぶん面白いことになってるじゃないですか。ゲームはその方が面白い」
「アドルフはともかく、レオンがいないと軍はどうする?」
「全て順調です。彼は知りすぎた、だから切り捨てただけです。彼がいなくなれば軍は僕の言いなりになりますから」
「あの青髪とやらしてくれよ。このままじゃ気をつけがすまねぇ」
「大丈夫です。ちゃんと出番は作っておきますよ」
「文書を奪いにいくの?」
「もちろんです。けどそれは後回しにしましょう」
「ならどうする?」
「混沌を、もっと混沌が欲しい。ゲームは盛り上げないとつまらない」
「ふふ、いいわね」
「僕はね、彼に興味が湧いてきたんです。だからもっと彼のことを知りたい。もっと彼に僕のことで夢中になって欲しいんです」
「エルドラはどうするんだ?」
「放っておけばいいんです。あの人が文書に目が入ってる時に僕らは派手に動く」
「全部計画のうちね……」
「彼の行動原理はなんだと思って考えたんです。けどまさか愛が故にここまで彼が動いていたなんて……。ますます興味が湧いてきた。僕も知りたいなぁ。愛を」
その言葉を聞いて、長躯の青年と銀髪の女が狂ったように嘲笑う。
その笑い声は城内を不気味にこだまする。
茶髪の青年が怪しくほくそ笑みながら、囁きかける。
「貴方はどう思いますか? ラクシャイン?」
倒れ伏すラクシャインは呻くように声を漏らす。
「……テメェら気は確かか?」
ラクシャインの周りには大勢の人が倒れていた。
侍女も、城兵も、官僚も、貴族も、将軍も、王でさえも。
そして城の中は盛大に火が燃え盛っていた。
燃え広がる炎の中で、まるで午後の紅茶を楽しむように三人は寛いでいた。
火の光に照らされたロゼの素顔が眩しく照らされていた。
そして彼の不気味な笑顔が映し出された。
それを見てラクシャインは背筋が凍った。
そしてロゼは不敵に笑う。
「残念ながら、貴方はここで退場です。さぁ幕間劇に興じましょう」
するとロゼはラクシャインの顔を覗き込んだ。
ラクシャインの瞳には不気味な笑顔を浮かべた青年しか映しだされない。
「貴方の断末魔だけでは物足りない。もっと、もっと多くの人間の嘆きの声を、悲鳴を、叫びを。この国中から奏でさせたい」
ラクシャインが声を震わせながら、反抗する。
「テメェの思い通りにさせるかよ……」
焼き崩れる玉座を背後にロゼは妖しい笑みを浮かべた。
「ミュラーはどうやら娼婦にご執心のようです。ルカといったかな。彼女に会いたいなぁ。紹介して頂けませんか?」
その言葉を聞いて、ラクシャインがロゼの顔に唾を吐きかけた。
「クズ野朗め……」
ロゼは吐きつけられた唾を平然と拭い、恐ろしく静かな声で命令を下す。
「リヴァ、リスト、いいよ」
リヴァは嬉々として表情でラクシャインの胸を素手で貫く。
そして死んだラクシャインを無感情にリストは作り上げた火球で焼き尽くした。
「そうだ、城だけじゃ物足りない。燃やしてしまおう。街を、国を、全てをだ。地平線まで広がる焼け野原を作ってしまおう。劇はその方が面白い」
ロゼの恐ろしい提案に、二人の狂人は笑い声を上げた。
燃え盛る炎の中で三人は笑い出す。そしてロゼは不気味に呟く。
「さぁ舞台は整った。もっと僕を楽しませてくれ」
焼き崩れる城、燃え盛る炎の中で三人の姿は消える。
ミュラー達が港に着くと、ミュラーはすぐに街の異変に気づいた。
街が燃えている!?
みんなは!?
ルカは無事か!?
思わずミュラーが駆け出そうとすると、それを遮るように、目の前で馬車が止まる。
馬車の中からリューが深刻そうな顔を出した。
「お待たせしました。ミュラーさん、私の依頼人、エルドラがお待ちです。どうぞ乗って下さい」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる