11 / 58
一章 ミュラー若かりし頃の過ち
ゴブリンバスターズ
しおりを挟む
ゴブリンの洞窟、いや巣穴か。
暗闇の中から悪臭が立ち込める。
鼻が曲がりそうだ。
松明に火をつけて中へと入る。
念のため俺は二人に注意喚起した。
「壁を注意深く観察して進むぞ。奴等は横穴を作って背後にまわる」
ジラールが不満げにぼやく。
「いくらなんでも装備が棍棒とかっておかしんじゃねぇか?」
俺はため息をついた。
「わかってないな、こんな狭い洞窟じゃ剣は振り回せない。棍棒が一番だ」
最後尾で周囲を見渡すオルマが感心した顔で話しかける。
「ミュラーはこういう状況に詳しいんだね。こういうの慣れてるの? アタシなんてこういう暗い場所、駄目なんだよねー。なんか頼りになるよ!」
俺は松明をかざしながら、答える。
「いや、冒険者の本で読んだだけだ」
こういう時に学問は役に立つというものだ。
勉強していて良かった。
しかし二人の反応は微妙だった。
「ざけんな! 素人じゃねーか! よしよしゴブリンちゃん、ちゃんとおうちまで案内してくれよ」
ジラールの言葉に言い返そうとしたが、喧嘩をしているところではない。
オルマが泣き言をぼやく。
「絶対殺される……。.そもそもゴブリンの穴倉に子供たち置いてきてるなんて、傷一つどころじゃすまされないよ……。最悪種付けされてるかもしれないよー……」
ジラールがゴブリンの尻を撫でながら、天井を仰ぐ。
「そしたらベガス湾の魚の餌だな、俺たちは。クソッタレ!」
奥へ進むと分かれ道があった。
「物語の鉄板だと左が正解だ。左へ行くぞ」
間髪入れずにオルマが俺の後頭部に棍棒をぶち当てる。
「素人は黙ってて!」
いきなり何をするんだ、痛いじゃないか。
するとジラールのゴブリンが右へ行きたそうに、ジラールの手を引っ張る。
「ゴブリンちゃんは右へ行けって言ってるぜ」
俺を嘲笑いながら二人は右へ進みだした。
俺も暗い巣窟野中一人は嫌なので、後へとしぶしぶ続く。
全くこれだから学の無い連中は……。
ほの暗い洞窟の奥へまた奥へと足を進める。
するとジラールがぼそっと呟く。
「……なぁ……びっくりするぐらい何も出てこないな。蜘蛛がいるぐらいだ。しかもすっげーちっこいやつが……」
「……静かにしろ。この先に広間がある」
松明をかざすと狭い通路が徐々に広がってきているのがわかる。
俺は壁から壁にかけてロープを張る。
その様子に不思議そうにオルマが眺める。
「ねぇ何やってんの?」
俺は自信げに答える。
「罠を作ってる。連中は待ち伏せすることはあっても、俺たちが待ち伏せてるとは思いもしないらしい」
ジラールがせせら笑う。
「それも絵本で書いてあったことかよ」
無視した。
「俺がこれから詠唱を唱える。放つ光と同時に飛び込んで奴等を狩れ」
二人は残念な顔をしながら俺を見つめる。
しかし俺は気にせず詠唱を唱える。
『臨光刹那 常闇陽光 奉唱光現 明静暗切 出でよ聖光!』
詠唱を始めると、ジラールとオルマが狼狽えだした。
「おい、こいつ詠唱始めやがったぞ!」
「あー、もう! 仕方ないなぁ!」
眩い閃光が放たれ、広間を照らす。
光と共に二人が駆け出す。
しかし、そこには、そこには何も無かった。
「どうすんだよ、ゴブリンはいねぇ。子供もいねぇ。……マジでベガスの海に沈められるぞ」
苛ついたジラールが松明を俺の前髪が焦げるまで近づけて、悪態を放つ。
俺は教本に従っただけだ。
たまたま何もいなかったんだ。
俺は間違ってない。
そんなに怒んなくてもいいじゃないか。
結局三人で洞窟内をくまなく探したが、ネズミの親子がいただけで、何もいなかった。
ああ、ゴブリン退治したかったなぁ。
オルマがガックリと肩を落としてぼやいた。
「……もう出よう。……ここにはいないよ……」
なお、俺が仕掛けた罠でジラールが盛大にすっころんだ。
本当にこいつはマヌケだな。
暗闇の中から悪臭が立ち込める。
鼻が曲がりそうだ。
松明に火をつけて中へと入る。
念のため俺は二人に注意喚起した。
「壁を注意深く観察して進むぞ。奴等は横穴を作って背後にまわる」
ジラールが不満げにぼやく。
「いくらなんでも装備が棍棒とかっておかしんじゃねぇか?」
俺はため息をついた。
「わかってないな、こんな狭い洞窟じゃ剣は振り回せない。棍棒が一番だ」
最後尾で周囲を見渡すオルマが感心した顔で話しかける。
「ミュラーはこういう状況に詳しいんだね。こういうの慣れてるの? アタシなんてこういう暗い場所、駄目なんだよねー。なんか頼りになるよ!」
俺は松明をかざしながら、答える。
「いや、冒険者の本で読んだだけだ」
こういう時に学問は役に立つというものだ。
勉強していて良かった。
しかし二人の反応は微妙だった。
「ざけんな! 素人じゃねーか! よしよしゴブリンちゃん、ちゃんとおうちまで案内してくれよ」
ジラールの言葉に言い返そうとしたが、喧嘩をしているところではない。
オルマが泣き言をぼやく。
「絶対殺される……。.そもそもゴブリンの穴倉に子供たち置いてきてるなんて、傷一つどころじゃすまされないよ……。最悪種付けされてるかもしれないよー……」
ジラールがゴブリンの尻を撫でながら、天井を仰ぐ。
「そしたらベガス湾の魚の餌だな、俺たちは。クソッタレ!」
奥へ進むと分かれ道があった。
「物語の鉄板だと左が正解だ。左へ行くぞ」
間髪入れずにオルマが俺の後頭部に棍棒をぶち当てる。
「素人は黙ってて!」
いきなり何をするんだ、痛いじゃないか。
するとジラールのゴブリンが右へ行きたそうに、ジラールの手を引っ張る。
「ゴブリンちゃんは右へ行けって言ってるぜ」
俺を嘲笑いながら二人は右へ進みだした。
俺も暗い巣窟野中一人は嫌なので、後へとしぶしぶ続く。
全くこれだから学の無い連中は……。
ほの暗い洞窟の奥へまた奥へと足を進める。
するとジラールがぼそっと呟く。
「……なぁ……びっくりするぐらい何も出てこないな。蜘蛛がいるぐらいだ。しかもすっげーちっこいやつが……」
「……静かにしろ。この先に広間がある」
松明をかざすと狭い通路が徐々に広がってきているのがわかる。
俺は壁から壁にかけてロープを張る。
その様子に不思議そうにオルマが眺める。
「ねぇ何やってんの?」
俺は自信げに答える。
「罠を作ってる。連中は待ち伏せすることはあっても、俺たちが待ち伏せてるとは思いもしないらしい」
ジラールがせせら笑う。
「それも絵本で書いてあったことかよ」
無視した。
「俺がこれから詠唱を唱える。放つ光と同時に飛び込んで奴等を狩れ」
二人は残念な顔をしながら俺を見つめる。
しかし俺は気にせず詠唱を唱える。
『臨光刹那 常闇陽光 奉唱光現 明静暗切 出でよ聖光!』
詠唱を始めると、ジラールとオルマが狼狽えだした。
「おい、こいつ詠唱始めやがったぞ!」
「あー、もう! 仕方ないなぁ!」
眩い閃光が放たれ、広間を照らす。
光と共に二人が駆け出す。
しかし、そこには、そこには何も無かった。
「どうすんだよ、ゴブリンはいねぇ。子供もいねぇ。……マジでベガスの海に沈められるぞ」
苛ついたジラールが松明を俺の前髪が焦げるまで近づけて、悪態を放つ。
俺は教本に従っただけだ。
たまたま何もいなかったんだ。
俺は間違ってない。
そんなに怒んなくてもいいじゃないか。
結局三人で洞窟内をくまなく探したが、ネズミの親子がいただけで、何もいなかった。
ああ、ゴブリン退治したかったなぁ。
オルマがガックリと肩を落としてぼやいた。
「……もう出よう。……ここにはいないよ……」
なお、俺が仕掛けた罠でジラールが盛大にすっころんだ。
本当にこいつはマヌケだな。
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる