悪役令嬢のはずがなぜ王子様に溺愛されているのでしょう

あるヒロインの話

２

　その後、美容室に行き、ストレートパーマを当てた後、服を買いにいった。ヤツ制服の他にジャージくらいしか持ってなかった。
　ラミの周辺にカイル様はいるはず。ならばそこを狙って突撃しよう！

「おはようございま」
『ターン！』

　まずは挨拶をしようと、元気よく声を張り上げる。すぐさまその行動を後悔した。

「ハァハァ……！」
「ちょ、なんでまだ腰を振っているの!?　やめてくれない!?　さっきリノちゃんが来たでしょ!?」
「なら見せつけようよ」
「却下」
「なんで!?　#来_きた__#るべき子作りの日のために予行練習しようよ！」

　コイツ今『来きたるべき子作りの日』って言ったぞ。
　何!?　私の知らない間にこのような関係になっていようとは……ラミ、恐ろしい子！

「ごめんね、リノちゃん。このアホがお騒がせしました」

　そのアホ私にくれないかな、ラミちゃん。

「アホって言う方がアホってなる理論があるけど紳士な俺は無視してあげるよ。リノちゃんおはよう」

　キャァァァァァーーーーーーーーーー！
　今！　挨拶された!!
　ウェーーーーーーーーーーイ！　フォォォォォーーーーーーーーーー！
　いかんいかん、相沢莉乃。私はこの人の妻を目指している身。この程度で動じるなどあってはならない！

「あれっ、そういえばリノちゃん流暢に挨拶できてたよね？　これって俺たちがリノちゃんの心をこじ開けれたって言う証しかな？」

　そういえばこのお方自分のこと『俺』って言ってらっしゃるーー！
　尊いもう無理ィィィィィーーーーーーーーーー！

「ハァッ……ハァッ……」
「あれっ？　なんか息切れしてる？　顔も赤い……」

　そう言い、私の額に手を当ててくる。
　あなたラミちゃん一筋じゃなかったんですかヤダー！
　でも嬉しすぎて倒れるーー！

『バタン！』
「倒れた!?　保健室まで運ばないと！」

　本当は不用意に動かしたらダメなんだけどもうどうでもいい。
　ああ、最高……デェス……。
　どくどくと鼻血が流れる。

「鼻血まで出てきた！　どうしよラミちゃん！」
「えっと……もう運びきったらどうかしら？」

　これはイケる……かも…………。