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第四章 海の国ザナドゥでバカンスを
バカンスの終わり、エーデルシュタイン王国へ
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さて、クラーケン襲来から数日経過した。
まず、ロッソたちはザナドゥを救った英雄として、ザナドゥ王家から褒美をもらった。
約束通り、俺のことは一切話さず、国の英雄としてまた知名度が上がったようだ。
乗っていた乗り物は何かと聞かれ、アレキサンドライト商会の新製品と伝えたところ、新聞社などがアレキサンドライト商会のザナドゥ支店に殺到……そこでサンドローネは『水中スクーター』と『魔導ボート』を大々的に宣伝し、アレキサンドライト商会の知名度も上がったようだ。
発売はまだかまだかと支店に人が殺到した。
「連日、記者や観光客、地元住民や漁師が来るの。まだ開発中で、製品化はまだなんだけどね」
「じゃあ……予約制にしたらどうだ? それか、発売日を決めて発表しちまうとか」
「え? 予約?」
「ああ。いつ発売かって聞きに来るんだろ? だったら、店頭前で名前や住所を記入させて、引換券を渡すんだ。当日、引換券と交換で商品を受け渡しするようにな。そうすれば、どれだけの数が必要になるかわかるし、発売日になって店が混雑しても、引換券と交換だけなら金のやり取りもしなくていい」
「…………それ、いいわね」
「ああ。発売日もちゃんと決めた方がいい。もちろん、余裕を持ったに日にちでな」
「いいわね。引換券の偽造防止策は……魔法でなんとかなるわ。交換だけなら混雑も少なくて済む。よし……新聞社に予約システムの宣伝をしてもらって、早めに対応するわ」
そう言い、数日後には新聞で「アレキサンドライト商会の新製品、予約開始」との見出しがあった。
水中スクーター、そして魔導ボートの予約は殺到……想定の数ピッタリか僅かに上回るくらいだとか。
かなりの数、あり得ない数を想定してたので、サンドローネも驚いたらしい。
◇◇◇◇◇◇
『鮮血の赤椿』の三人は、有名になってからさらに追加の依頼で、遊ぶ暇もあまりないようだった。
スノウさんも、彼女たちの世話で忙しいらしく、ユキちゃんに構うヒマがあまりないらしい。なので、ヒコロクに乗って俺の別荘に遊びに来ることもあった。
「にゃうう」
「ははは、美味しいか?」
「にゃあ」
ホットケーキを焼いてあげたら、とても喜んでくれた。
ロッソたちも、速攻で追加の依頼を終わらせ、ようやく本格的なバカンスを始めた。
俺の別荘に泊りに来たり、水中スクーターで遊んだり、俺とアオはボートで沖に出て釣りもした。
お昼は、スノウさんが準備してくれたバーベキューをしたり、夜は繫華街に出て、サンドローネと合流して宴会などもした。
楽しい、バカンスの時間は過ぎていく。
◇◇◇◇◇◇
ある日、サンドローネが一人で俺の別荘に来た。
「リヒターには、数日の休暇をあげたの。たまには一人の時間もないとね」
「ふーん。で、お前は?」
「もちろん、遊びに来たの……ふふ、私の水着姿、見せてあげるわ」
サンドローネは、黒のビキニ姿でビーチに現れた。
いやはや……パリコレモデルみたいな身体付き。出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んでる。シミ一つない極上の肌に、長い髪はまとめられ、麦わら帽子を被っていた。
「どう?」
「女神みたいだな」
「ふふ、ありがと。でもあなた……私にあまり興味ないでしょ?」
サンドローネは前屈みになると、デカい胸の谷間が見えた。
不思議だった。エロいとは思うが、全く興奮しない。
再認識した。こいつはあくまで仕事仲間であり、そういう対象には見れない。
「興味はあるぞ? その胸揉みたいし、水着引っぺがしてナマで見たい」
「……あなた、私にそういうこと普通に言えるの、本当にすごいと思うわ」
「そうか? まあ、お前とはそういう関係になるつもりゼロだし、お前もそうだろ?」
そう言うと、サンドローネはポカンとして、クスっと笑った。
「そうね。あなたは面白いし、興味津々だけど……男には見えないわ。家族とも違うし、素の私を見せる……鏡みたい」
「鏡?」
「ええ。鏡に映る自分を見て照れる人はいないでしょ? でも、鏡は毎日見る……当たり前のような、そんな存在があなた。どう? 的を得ているかしら?」
「ん~……わからん。まあいいか、泳ぐなり休むなり好きにしてくれ。俺、読書するから」
「じゃあ私も。ところでこれ、タープじゃないわよね……なに?」
「ビーチパラソル。まあ、仕事の話はなしだ」
俺とサンドローネはビーチチェアに座り、読書をする。
波の音、風のニオイ、太陽の眩しさだけが、俺たちの間にあった。
昼は、俺特製のチャーハンを食べ、午後はサンドローネが波打ち際で海水を浴び、海を満喫する。
俺はその様子を眺めながら、心地よい眠気に身を任せるのだった。
◇◇◇◇◇◇
時間は流れ……九月になった。
常夏の国ザナドゥは相変わらず暑いが、エーデルシュタイン王国はあと一か月で秋になる。
そろそろ、帰ることも考えなくてはならない。
サンドローネたちは「あとは支店長に任せて先に帰る」と帰ってしまった。アレキサンドライト商会・ザナドゥ支店はかなり好調、あと数日で水中スクーターと魔導ボートの発売となる。
俺は、遊びにきたロッソたち、スノウさんとユキちゃんに聞く。
「なあ、そろそろエーデルシュタイン王国に帰ることも考えたい」
「そだねー、けっこう遊んだし、もう九月だしね。おっさん、いつ帰る?」
「お前らに合わせる。まあ、荷物は着替えくらいだし、ここは閉めて不動産ギルドに管理任せる手続きすれば、いつでも帰れるけど」
「にゃああー」
スノウさんに抱っこされていたユキちゃんが、俺の方に来た。
抱っこして太ももに座らせ、頭を撫でる。
「……私たちも、依頼は終わったし遊んでるだけ。いつでも帰れる」
「ですわね。でも、お土産は買いたいですわ」
「うんうん。スノウさん、ユキは大丈夫?」
「はい。住んでいた家は処分しましたし、荷物なども少ないので」
「にゃう」
「じゃあ、アタシらの準備があるから、三日後くらいにする? 荷車の手配もあるし、三日後に迎えに来るよ」
こうして、俺のバカンスは終わり、エーデルシュタイン王国に帰ることになった。
◇◇◇◇◇◇
帰る前日、俺は不動産ギルドに管理を任せる手続きをした。
こうすれば、あとは不動産ギルドが管理してくれる。掃除はもちろん、不審者が入らないよう警備をしたり、見回りもしてくれる。
まあ、金目のものはないし、問題はないけどな。
俺は一人、ウッドデッキで夜空を眺めていた。
「いい休暇だった……別荘、プライベートビーチ、水着、リゾート……」
明日には、エーデルシュタイン王国に帰る。
一か月ほどのバカンスが終わった。
なかなか濃い中身だったが、今となってはいい思いでだ。
「もうすぐ秋、そして冬か……温泉とか行きたいな」
この世界にも、温泉はあるのだろうか。
もしあれば、ぜひ行ってみたいし、温泉に浸かってみたい。
「まだまだ、楽しいことは多い。その前に……まず、サンドローネと約束した、秋~冬向けの魔道具を開発しないとな」
海の国ザナドゥ。来年もまた来るとしますかね。
まず、ロッソたちはザナドゥを救った英雄として、ザナドゥ王家から褒美をもらった。
約束通り、俺のことは一切話さず、国の英雄としてまた知名度が上がったようだ。
乗っていた乗り物は何かと聞かれ、アレキサンドライト商会の新製品と伝えたところ、新聞社などがアレキサンドライト商会のザナドゥ支店に殺到……そこでサンドローネは『水中スクーター』と『魔導ボート』を大々的に宣伝し、アレキサンドライト商会の知名度も上がったようだ。
発売はまだかまだかと支店に人が殺到した。
「連日、記者や観光客、地元住民や漁師が来るの。まだ開発中で、製品化はまだなんだけどね」
「じゃあ……予約制にしたらどうだ? それか、発売日を決めて発表しちまうとか」
「え? 予約?」
「ああ。いつ発売かって聞きに来るんだろ? だったら、店頭前で名前や住所を記入させて、引換券を渡すんだ。当日、引換券と交換で商品を受け渡しするようにな。そうすれば、どれだけの数が必要になるかわかるし、発売日になって店が混雑しても、引換券と交換だけなら金のやり取りもしなくていい」
「…………それ、いいわね」
「ああ。発売日もちゃんと決めた方がいい。もちろん、余裕を持ったに日にちでな」
「いいわね。引換券の偽造防止策は……魔法でなんとかなるわ。交換だけなら混雑も少なくて済む。よし……新聞社に予約システムの宣伝をしてもらって、早めに対応するわ」
そう言い、数日後には新聞で「アレキサンドライト商会の新製品、予約開始」との見出しがあった。
水中スクーター、そして魔導ボートの予約は殺到……想定の数ピッタリか僅かに上回るくらいだとか。
かなりの数、あり得ない数を想定してたので、サンドローネも驚いたらしい。
◇◇◇◇◇◇
『鮮血の赤椿』の三人は、有名になってからさらに追加の依頼で、遊ぶ暇もあまりないようだった。
スノウさんも、彼女たちの世話で忙しいらしく、ユキちゃんに構うヒマがあまりないらしい。なので、ヒコロクに乗って俺の別荘に遊びに来ることもあった。
「にゃうう」
「ははは、美味しいか?」
「にゃあ」
ホットケーキを焼いてあげたら、とても喜んでくれた。
ロッソたちも、速攻で追加の依頼を終わらせ、ようやく本格的なバカンスを始めた。
俺の別荘に泊りに来たり、水中スクーターで遊んだり、俺とアオはボートで沖に出て釣りもした。
お昼は、スノウさんが準備してくれたバーベキューをしたり、夜は繫華街に出て、サンドローネと合流して宴会などもした。
楽しい、バカンスの時間は過ぎていく。
◇◇◇◇◇◇
ある日、サンドローネが一人で俺の別荘に来た。
「リヒターには、数日の休暇をあげたの。たまには一人の時間もないとね」
「ふーん。で、お前は?」
「もちろん、遊びに来たの……ふふ、私の水着姿、見せてあげるわ」
サンドローネは、黒のビキニ姿でビーチに現れた。
いやはや……パリコレモデルみたいな身体付き。出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んでる。シミ一つない極上の肌に、長い髪はまとめられ、麦わら帽子を被っていた。
「どう?」
「女神みたいだな」
「ふふ、ありがと。でもあなた……私にあまり興味ないでしょ?」
サンドローネは前屈みになると、デカい胸の谷間が見えた。
不思議だった。エロいとは思うが、全く興奮しない。
再認識した。こいつはあくまで仕事仲間であり、そういう対象には見れない。
「興味はあるぞ? その胸揉みたいし、水着引っぺがしてナマで見たい」
「……あなた、私にそういうこと普通に言えるの、本当にすごいと思うわ」
「そうか? まあ、お前とはそういう関係になるつもりゼロだし、お前もそうだろ?」
そう言うと、サンドローネはポカンとして、クスっと笑った。
「そうね。あなたは面白いし、興味津々だけど……男には見えないわ。家族とも違うし、素の私を見せる……鏡みたい」
「鏡?」
「ええ。鏡に映る自分を見て照れる人はいないでしょ? でも、鏡は毎日見る……当たり前のような、そんな存在があなた。どう? 的を得ているかしら?」
「ん~……わからん。まあいいか、泳ぐなり休むなり好きにしてくれ。俺、読書するから」
「じゃあ私も。ところでこれ、タープじゃないわよね……なに?」
「ビーチパラソル。まあ、仕事の話はなしだ」
俺とサンドローネはビーチチェアに座り、読書をする。
波の音、風のニオイ、太陽の眩しさだけが、俺たちの間にあった。
昼は、俺特製のチャーハンを食べ、午後はサンドローネが波打ち際で海水を浴び、海を満喫する。
俺はその様子を眺めながら、心地よい眠気に身を任せるのだった。
◇◇◇◇◇◇
時間は流れ……九月になった。
常夏の国ザナドゥは相変わらず暑いが、エーデルシュタイン王国はあと一か月で秋になる。
そろそろ、帰ることも考えなくてはならない。
サンドローネたちは「あとは支店長に任せて先に帰る」と帰ってしまった。アレキサンドライト商会・ザナドゥ支店はかなり好調、あと数日で水中スクーターと魔導ボートの発売となる。
俺は、遊びにきたロッソたち、スノウさんとユキちゃんに聞く。
「なあ、そろそろエーデルシュタイン王国に帰ることも考えたい」
「そだねー、けっこう遊んだし、もう九月だしね。おっさん、いつ帰る?」
「お前らに合わせる。まあ、荷物は着替えくらいだし、ここは閉めて不動産ギルドに管理任せる手続きすれば、いつでも帰れるけど」
「にゃああー」
スノウさんに抱っこされていたユキちゃんが、俺の方に来た。
抱っこして太ももに座らせ、頭を撫でる。
「……私たちも、依頼は終わったし遊んでるだけ。いつでも帰れる」
「ですわね。でも、お土産は買いたいですわ」
「うんうん。スノウさん、ユキは大丈夫?」
「はい。住んでいた家は処分しましたし、荷物なども少ないので」
「にゃう」
「じゃあ、アタシらの準備があるから、三日後くらいにする? 荷車の手配もあるし、三日後に迎えに来るよ」
こうして、俺のバカンスは終わり、エーデルシュタイン王国に帰ることになった。
◇◇◇◇◇◇
帰る前日、俺は不動産ギルドに管理を任せる手続きをした。
こうすれば、あとは不動産ギルドが管理してくれる。掃除はもちろん、不審者が入らないよう警備をしたり、見回りもしてくれる。
まあ、金目のものはないし、問題はないけどな。
俺は一人、ウッドデッキで夜空を眺めていた。
「いい休暇だった……別荘、プライベートビーチ、水着、リゾート……」
明日には、エーデルシュタイン王国に帰る。
一か月ほどのバカンスが終わった。
なかなか濃い中身だったが、今となってはいい思いでだ。
「もうすぐ秋、そして冬か……温泉とか行きたいな」
この世界にも、温泉はあるのだろうか。
もしあれば、ぜひ行ってみたいし、温泉に浸かってみたい。
「まだまだ、楽しいことは多い。その前に……まず、サンドローネと約束した、秋~冬向けの魔道具を開発しないとな」
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