45 / 144
第四章 海の国ザナドゥでバカンスを
メタルオーク討伐
しおりを挟む
戦いを終え、再び出発した。
気分が悪いのも収まって来た。俺は歩きながら思う。
やっぱ俺、異世界で魔獣なり人間なりを殺すことができるヤツ、異常としか思えねぇ……平和な現代日本で生まれた俺が、転移なり転生で記憶持ったまま異世界に来て、そう簡単に「殺し」ができるわけがない。たとえそれがゴブリンだろうとも、躊躇いなく殺すことができるやつは、間違いなく異常者だ。
きっと、そこが現実とフィクションの違い……殺さなきゃ物語は進まないし、盛り上がるにかける。
だから、軽い葛藤を挟んで切り替えられる。いちいち抱え込んだら面白くないから。
ダメだ。やっぱ俺、主人公には向いてないわ。
すると、ロッソが言う。
「おっさんって、冒険者には向かないね」
「だな。つくづく俺は、主人公には向かない。安全な街でモノづくりしてる方がいい」
「そうかもね。ま、こういう危険なことは、アタシらの仕事……ねえおっさん、アオのこと怒らないであげて」
「え?」
「アオ、おっさんが強くて頼りになるってずっと言ってるし、その紫っぽい爆ぜる魔法もあるからきっと大丈夫って思ってたみたい。でも……覚悟がないまま戦わせて、命のやり取りをさせちゃった……ごめん」
「気にすんなって。てか、別に気にすることじゃないだろ? 運動不足なのは事実だし、アオも俺に気を遣って言ってくれたんだしな」
アオは、やや気落ちしたように前を歩いている。
気にしていないのに……あとでフォローするか。
「おっさん。これからは、危険なところに行かせないから。素材集めとかは、アタシらの仕事。相互契約したし、おっさんには戦わせない」
「ありがとな。でも、少しはカッコいいところ、見せたかったぜ」
「気付いてないの? おっさん、もう充分カッコいいところ見せてくれたじゃん。アタシらみんな、おっさんのこと気に入ってるし、かなり好きだよ?」
「ははは。そりゃどうも。俺も、お前らみたいな冒険者と知り合えて感謝してる。はは、愛してるぜ」
「あっはっは!! そだね、愛してる愛してる」
ロッソと笑い合うと、ようやく肩の力が抜けるのだった。
◇◇◇◇◇◇
『グオオオオオオ──……ンンン』
ズズン……と、俺とユキちゃんの目の前で、銀色の肌を持つ巨人……メタルオークが倒れた。
現在、オークが生息する森。
そこに堂々と踏み込み、集落化していたオークたち総勢三十匹、リーダー各であるメタルオークを、ロッソがあっさりと討伐した。
いやはや……つ、強い。
「攫われた人、いる?」
「……ダメですわね。全員、食べられたようですわ」
「村を襲うオークの集団、これで討伐終わり……」
すごすぎる。
戦いが日常にないと、こうは動けない。
つくづく、俺はとんでもない少女たちと知り合ったもんだ。
「にゃあー」
「こらこら、危ないから近付いちゃダメだぞ」
ユキちゃんを抱っこし、ヒコロクの傍で待つ俺。
すると、ブランシュがオークをひとまとめに積み、ロッソが火を着けた。
オークは一気に炎上……残ったのは、すでに首を斬られ死んでいるメタルオークだけ。
「おじさんごめん。メタルオーク、ヒコロクに運んでもらうから、帰りは徒歩」
「ああ、いいぞ」
「にゃ」
「ユキはヒコロクの頭の上。いい?」
「にゃあう」
死骸を燃やし終えると、ロッソが欠伸をした。
「じゃ、近くの泉で汗流して、そのままお昼にしよっか」
こうして、メタルオークを討伐……残りはメシ食って帰るだけ。
なんというか、あっさりと終わってしまったな。
◇◇◇◇◇◇
さて、その後は特に何もなかった。
メシ食って、休憩して、徒歩で町まで戻る……ずっとメタルオークの首チョンパ死体と一緒だったが、歩いているうちに慣れた。
そして、俺の別荘前に到着。
「おじさん、今日はごめんね……」
「まーだ言ってんのか? もう気にすんなって。ほれほれ」
「あう」
俺はアオの頭を撫でる。
セクハラかもしれんが、この世界では普通に許された。
「おじさま。今回の依頼は討伐で、素材などはわたくしたちの自由ですの。いつもは素材を売って、三人で分けるんですけど……今回は全ての素材を、おじさまに譲りますわ」
「え? いやいや、必要なぶんだけでいいぞ」
「だめだめ。水中スクーターの代金だって思えばいいよ。ね」
「……じゃあ、ありがたく」
「では、解体後、素材をここにお届けします。早ければ明日にはお持ちしますので」
「ああ、頼む」
「うにゃあ」
「よしよし。じゃあユキちゃん、またな」
俺はユキちゃんを撫でる。すると、ネコミミがぴこぴこ動いた。
ロッソたちは冒険者ギルドへ行き、俺は別荘へ。
時間は夕方……腹減ったけど、あんまり外食する気分にならないな。
「なんかあったかな……」
冷蔵庫を見ると、野菜に肉が少し、卵くらいしかない。
ザツマイは山ほどある。あ、そうだ。
「よーし、久しぶりにチャーハンでも作るかな」
中華鍋……はないからフライパン。
米を焚き、その間に肉を細かく切り、野菜も少し切る。
野菜はレタス、玉ねぎだ。異世界の野菜で名前は忘れた。
肉は豚肉……まあ、これも魔獣の肉。卵はフツーにニワトリだ。
米が炊きあがり、俺は油を敷いて肉野菜と卵を炒め、米を投入……塩コショウ、そして少しだけ魚醤を入れ、強火で炒めた。
パラパラのチャーハンが完成。ちょっと多く作りすぎた……四人前くらいある。
「あら、いい香り」
「ほう……知らん料理じゃな」
「お邪魔いたします、ゲントクさん」
「タイミングいいな。お前ら、俺の特製チャーハン食うか?」
サンドローネ、ラスラヌフ、リヒターの三人は、もちろん断ることはなかった。
◇◇◇◇◇◇
「へえ、美味しいわね……ザツマイって家畜や動物のエサとしか思ってなかったけど」
「うむ。そういえば二千年前……アツコも似たようなものを作っていたような」
「美味しいですね。ザツマイがここまで美味しくなるとは」
「ふっふっふ」
俺のチャーハンを美味そうに食う三人……正直、かなり嬉しい。
そりゃ一人暮らし長いし料理できるし、爺ちゃんが昔、中華料理店で修業したことあるから、俺もその料理を習ったことあるけどさ。
すると、リヒターが少し考え込み、俺に言う。
「……ゲントクさん。これ、商売になりませんか?」
「ん?」
「ザツマイは家畜のエサ。それはエーデルシュタイン王国では変わることのない事実です。ですが、アズマという国では普通に食用で用いられていますし……」
「それよ!! さすがね、リヒター」
サンドローネはビシッとスプーンを俺に付き付ける。おい、行儀悪いぞお嬢様。
「ザツマイ農家は現在、家畜用のエサとしてザツマイを育てているわ。契約金もそう高くない……専属契約をして、ザツマイ料理専門店を立ち上げれば儲かるかもしれないわ」
「それは俺も考えていた。このチャーハンに、ザナドゥの魚を乗せた海鮮丼、分厚い肉を乗せて食べるステーキ丼や豚丼とか、アイデアはいくらでもある」
「……アレキサンドライト商会の新事業になるわ。飲食業に殴り込みね」
おお、サンドローネが嫌らしい顔をしている。
「魚。ザナドゥからエーデルシュタイン王国までは一週間かかるから、海の魚をエーデルシュタイン王国に運ぶのは難しかった。でも、今は製氷機……いや、冷凍庫がある。魚を冷凍すれば、だいたい二週間は持つはずだ。海の魚をエーデルシュタイン王国でも食えるぞ」
「その手もあるわね!! ゲントク、あなたが思いつくかぎりのレシピを書き出して。リヒター、エーデルシュタイン王国に戻ったら不動産ギルドで土地と建物を買うわ」
「おいマテ。俺はバカンス中はやらんぞ」
「……すごくやりがいがありそうなんだけど。もう」
「お嬢。まずはザナドゥ支店を安定させてからにしましょう。もうすぐ支店長となるヘカーテさんも到着しますので」
「そうね……ふふ、ふふふ。なんだか楽しいことがいっぱいね」
「ふむ。ワシは口を挟めんかったが、いずれエーデルシュタイン王国に顔を出すのも面白そうじゃのう」
こうして、アレキサンドライト商会は新事業の一歩を踏み出した。
飲食業。ザツマイを使った専門店。
外食ばかりだけど、せっかくだしいろいろ作ってみようかな。
「ゲントク、そのザツマイをふわふわにする魔道具だけど……」
「炊飯器な。アズマに同じのあるんじゃないのか? あっちじゃ主食らしいし」
「リヒター、探しておいて」
「はい、お嬢」
新事業についてワイワイ話していると、ラスラヌフが言う。
「そうだゲントク、ところで……船の方はどうなったかの」
「とりあえずアイデアはできた。今日は『鮮血の赤椿』と必要な素材を取りにいったんだ。明日あたり、素材が届くから作業するよ」
「感謝する。ふふふ、楽しみじゃの」
「今夜にでも、しっかりした仕様書を作る。試作機は二日くらいで完成させるから、二日後に来てくれ」
「わかった。ふふ、仕事が早く腕のいい魔道具技師は女子供に好かれるぞ。結婚相手もすぐに見つかるじゃろ」
「悪いが、結婚願望ないんでね。一人で気ままに遊び暮らすさ。子供にはまあ、好かれてると思うがな」
この日、俺は珍しく酒を飲まずにベッドに入り、朝までぐっすり眠るのだった。
気分が悪いのも収まって来た。俺は歩きながら思う。
やっぱ俺、異世界で魔獣なり人間なりを殺すことができるヤツ、異常としか思えねぇ……平和な現代日本で生まれた俺が、転移なり転生で記憶持ったまま異世界に来て、そう簡単に「殺し」ができるわけがない。たとえそれがゴブリンだろうとも、躊躇いなく殺すことができるやつは、間違いなく異常者だ。
きっと、そこが現実とフィクションの違い……殺さなきゃ物語は進まないし、盛り上がるにかける。
だから、軽い葛藤を挟んで切り替えられる。いちいち抱え込んだら面白くないから。
ダメだ。やっぱ俺、主人公には向いてないわ。
すると、ロッソが言う。
「おっさんって、冒険者には向かないね」
「だな。つくづく俺は、主人公には向かない。安全な街でモノづくりしてる方がいい」
「そうかもね。ま、こういう危険なことは、アタシらの仕事……ねえおっさん、アオのこと怒らないであげて」
「え?」
「アオ、おっさんが強くて頼りになるってずっと言ってるし、その紫っぽい爆ぜる魔法もあるからきっと大丈夫って思ってたみたい。でも……覚悟がないまま戦わせて、命のやり取りをさせちゃった……ごめん」
「気にすんなって。てか、別に気にすることじゃないだろ? 運動不足なのは事実だし、アオも俺に気を遣って言ってくれたんだしな」
アオは、やや気落ちしたように前を歩いている。
気にしていないのに……あとでフォローするか。
「おっさん。これからは、危険なところに行かせないから。素材集めとかは、アタシらの仕事。相互契約したし、おっさんには戦わせない」
「ありがとな。でも、少しはカッコいいところ、見せたかったぜ」
「気付いてないの? おっさん、もう充分カッコいいところ見せてくれたじゃん。アタシらみんな、おっさんのこと気に入ってるし、かなり好きだよ?」
「ははは。そりゃどうも。俺も、お前らみたいな冒険者と知り合えて感謝してる。はは、愛してるぜ」
「あっはっは!! そだね、愛してる愛してる」
ロッソと笑い合うと、ようやく肩の力が抜けるのだった。
◇◇◇◇◇◇
『グオオオオオオ──……ンンン』
ズズン……と、俺とユキちゃんの目の前で、銀色の肌を持つ巨人……メタルオークが倒れた。
現在、オークが生息する森。
そこに堂々と踏み込み、集落化していたオークたち総勢三十匹、リーダー各であるメタルオークを、ロッソがあっさりと討伐した。
いやはや……つ、強い。
「攫われた人、いる?」
「……ダメですわね。全員、食べられたようですわ」
「村を襲うオークの集団、これで討伐終わり……」
すごすぎる。
戦いが日常にないと、こうは動けない。
つくづく、俺はとんでもない少女たちと知り合ったもんだ。
「にゃあー」
「こらこら、危ないから近付いちゃダメだぞ」
ユキちゃんを抱っこし、ヒコロクの傍で待つ俺。
すると、ブランシュがオークをひとまとめに積み、ロッソが火を着けた。
オークは一気に炎上……残ったのは、すでに首を斬られ死んでいるメタルオークだけ。
「おじさんごめん。メタルオーク、ヒコロクに運んでもらうから、帰りは徒歩」
「ああ、いいぞ」
「にゃ」
「ユキはヒコロクの頭の上。いい?」
「にゃあう」
死骸を燃やし終えると、ロッソが欠伸をした。
「じゃ、近くの泉で汗流して、そのままお昼にしよっか」
こうして、メタルオークを討伐……残りはメシ食って帰るだけ。
なんというか、あっさりと終わってしまったな。
◇◇◇◇◇◇
さて、その後は特に何もなかった。
メシ食って、休憩して、徒歩で町まで戻る……ずっとメタルオークの首チョンパ死体と一緒だったが、歩いているうちに慣れた。
そして、俺の別荘前に到着。
「おじさん、今日はごめんね……」
「まーだ言ってんのか? もう気にすんなって。ほれほれ」
「あう」
俺はアオの頭を撫でる。
セクハラかもしれんが、この世界では普通に許された。
「おじさま。今回の依頼は討伐で、素材などはわたくしたちの自由ですの。いつもは素材を売って、三人で分けるんですけど……今回は全ての素材を、おじさまに譲りますわ」
「え? いやいや、必要なぶんだけでいいぞ」
「だめだめ。水中スクーターの代金だって思えばいいよ。ね」
「……じゃあ、ありがたく」
「では、解体後、素材をここにお届けします。早ければ明日にはお持ちしますので」
「ああ、頼む」
「うにゃあ」
「よしよし。じゃあユキちゃん、またな」
俺はユキちゃんを撫でる。すると、ネコミミがぴこぴこ動いた。
ロッソたちは冒険者ギルドへ行き、俺は別荘へ。
時間は夕方……腹減ったけど、あんまり外食する気分にならないな。
「なんかあったかな……」
冷蔵庫を見ると、野菜に肉が少し、卵くらいしかない。
ザツマイは山ほどある。あ、そうだ。
「よーし、久しぶりにチャーハンでも作るかな」
中華鍋……はないからフライパン。
米を焚き、その間に肉を細かく切り、野菜も少し切る。
野菜はレタス、玉ねぎだ。異世界の野菜で名前は忘れた。
肉は豚肉……まあ、これも魔獣の肉。卵はフツーにニワトリだ。
米が炊きあがり、俺は油を敷いて肉野菜と卵を炒め、米を投入……塩コショウ、そして少しだけ魚醤を入れ、強火で炒めた。
パラパラのチャーハンが完成。ちょっと多く作りすぎた……四人前くらいある。
「あら、いい香り」
「ほう……知らん料理じゃな」
「お邪魔いたします、ゲントクさん」
「タイミングいいな。お前ら、俺の特製チャーハン食うか?」
サンドローネ、ラスラヌフ、リヒターの三人は、もちろん断ることはなかった。
◇◇◇◇◇◇
「へえ、美味しいわね……ザツマイって家畜や動物のエサとしか思ってなかったけど」
「うむ。そういえば二千年前……アツコも似たようなものを作っていたような」
「美味しいですね。ザツマイがここまで美味しくなるとは」
「ふっふっふ」
俺のチャーハンを美味そうに食う三人……正直、かなり嬉しい。
そりゃ一人暮らし長いし料理できるし、爺ちゃんが昔、中華料理店で修業したことあるから、俺もその料理を習ったことあるけどさ。
すると、リヒターが少し考え込み、俺に言う。
「……ゲントクさん。これ、商売になりませんか?」
「ん?」
「ザツマイは家畜のエサ。それはエーデルシュタイン王国では変わることのない事実です。ですが、アズマという国では普通に食用で用いられていますし……」
「それよ!! さすがね、リヒター」
サンドローネはビシッとスプーンを俺に付き付ける。おい、行儀悪いぞお嬢様。
「ザツマイ農家は現在、家畜用のエサとしてザツマイを育てているわ。契約金もそう高くない……専属契約をして、ザツマイ料理専門店を立ち上げれば儲かるかもしれないわ」
「それは俺も考えていた。このチャーハンに、ザナドゥの魚を乗せた海鮮丼、分厚い肉を乗せて食べるステーキ丼や豚丼とか、アイデアはいくらでもある」
「……アレキサンドライト商会の新事業になるわ。飲食業に殴り込みね」
おお、サンドローネが嫌らしい顔をしている。
「魚。ザナドゥからエーデルシュタイン王国までは一週間かかるから、海の魚をエーデルシュタイン王国に運ぶのは難しかった。でも、今は製氷機……いや、冷凍庫がある。魚を冷凍すれば、だいたい二週間は持つはずだ。海の魚をエーデルシュタイン王国でも食えるぞ」
「その手もあるわね!! ゲントク、あなたが思いつくかぎりのレシピを書き出して。リヒター、エーデルシュタイン王国に戻ったら不動産ギルドで土地と建物を買うわ」
「おいマテ。俺はバカンス中はやらんぞ」
「……すごくやりがいがありそうなんだけど。もう」
「お嬢。まずはザナドゥ支店を安定させてからにしましょう。もうすぐ支店長となるヘカーテさんも到着しますので」
「そうね……ふふ、ふふふ。なんだか楽しいことがいっぱいね」
「ふむ。ワシは口を挟めんかったが、いずれエーデルシュタイン王国に顔を出すのも面白そうじゃのう」
こうして、アレキサンドライト商会は新事業の一歩を踏み出した。
飲食業。ザツマイを使った専門店。
外食ばかりだけど、せっかくだしいろいろ作ってみようかな。
「ゲントク、そのザツマイをふわふわにする魔道具だけど……」
「炊飯器な。アズマに同じのあるんじゃないのか? あっちじゃ主食らしいし」
「リヒター、探しておいて」
「はい、お嬢」
新事業についてワイワイ話していると、ラスラヌフが言う。
「そうだゲントク、ところで……船の方はどうなったかの」
「とりあえずアイデアはできた。今日は『鮮血の赤椿』と必要な素材を取りにいったんだ。明日あたり、素材が届くから作業するよ」
「感謝する。ふふふ、楽しみじゃの」
「今夜にでも、しっかりした仕様書を作る。試作機は二日くらいで完成させるから、二日後に来てくれ」
「わかった。ふふ、仕事が早く腕のいい魔道具技師は女子供に好かれるぞ。結婚相手もすぐに見つかるじゃろ」
「悪いが、結婚願望ないんでね。一人で気ままに遊び暮らすさ。子供にはまあ、好かれてると思うがな」
この日、俺は珍しく酒を飲まずにベッドに入り、朝までぐっすり眠るのだった。
541
お気に入りに追加
1,305
あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?
裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。
異世界転移で手に入れた無限鍛冶
のチート能力で異世界を生きて行く事になった!
この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる