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準備完了

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 ライ君、イカリオス隊長、オルトロス隊長、ガルム隊長。四人の隊長は、それぞれの国を落とすために出発した。次に会う時は大陸統一後……心配だけど、大丈夫よね。
 私は、鎧を装備してカディ様の天幕へ。
 そこには、豪華な銀色の鎧を装備したカディ様がいた。

「ラプンツェル。準備はできたか?」
「はい……」
「そう緊張するな。大丈夫、俺がいれば問題ない。ラスタリア王国は滅ぶ」
「……はい」
「よし……出発するぞ」

 天幕を出ると、大勢の兵士が並んでいた。
 私はカディ様の一歩後ろに立つ。今はイカリオス隊長の代わり、カディ様の副官だ。
 カディ様は、剣を抜く。

「戦士たちよ!! これよりラスタリア王国へ進軍する!! 国落としだ!!」
「「「「「オォォォォッ!!」」」」」
 
 兵士たちの雄叫び……すごい、肌を突き刺すような声が響く。
 カディ様は馬に跨る。先発隊がラスタリア王国へ向かい、道中で合流する。カディ様の軍は四万。これまでに征服した国の兵士を混ぜた混合軍だ。
 カディ様が征服した国で最初にしたことは、国民生活の保障だった。これが、国に家族を持つ兵士たちを安心させ、カディ様に従うようになった理由。
 私は、カディ様の隣を馬で進む。

「ラプンツェル。お前は俺と共に、ラスタリア王城で王の首を取る任に就いてもらう」
「わ、わかりました……」
「緊張するな。いつも通り……おっと、お前は知らないんだったな」
「いえ、イカリオス隊長やライ君に聞いています。カディ様の必勝パターン、ですよね」
「ああ」

 カディ様の必勝パターン。部下たちが国を包囲し、カディ様やイカリオス隊長たちが国内へ突撃。王城に乗り込み、王の首を取り勝利宣言……簡単そうに聞こえるけど、カディ様たちは何人もの兵士や騎士を倒しながら王城に乗り込んでいる。今回は私と二人……正直、かなり不安だ。

「安心しろ。俺がいる」

 カディ様は、何度も言う。
 その言葉が私を安心させる……ダメだな、私。本当なら私は、カディ様をお守りする立場なのに。
 でも……ついつい、甘えたくなっちゃう。カディ様のやさしさに。

「ラプンツェル。お前が銀の女神なら、俺が銀の戦神だ。二人の神がいるんだ。この戦争は勝利間違いなしだと思わないか?」
「ふふ、そうですね……カディ様。私、初めてこの『銀』でよかったと思います」

 私は、ポニーテールにした髪を撫でる。
 カディ様も、自分の髪を撫でた。

「俺とお前は、こうして出会う運命だったのかもしれんな」
「え……」
「ラプンツェル。お前に出会えてよかった」
「あ……わ、私もです!! 私も、カディ様に出会えて……よ、よかったです」
「ああ、ありがとう」

 カディ様は優しく微笑む───わ、私……なんでこんなに、胸がドキドキしてるんだろう。

 ◇◇◇◇◇◇

 ラスタリア王国へ進軍すること二日。
 カディ様は、仮設の天幕に私と数名の部隊長を呼び、作戦を伝える。

「わかっているとは思うが……」
「わかっています。殿下の必勝作戦、『電撃』ですね」
「私たちがラスタリア王国を包囲し、殿下とラプンツェル様が城下を超え、王城へ殴り込み。王の首を取る……いつも通りです」
「その通りだ」

 部下の部隊長さんたちも、勝利を確信しているみたい。
 でも、行くのが私というのだけが不安……。

「そろそろ、ラスタリア王国にも、ラグナ帝国軍の動きは伝わっただろう。だがもう遅い、明日には総攻撃を仕掛けるぞ」
「「「「「はっ!! 大陸統一はすぐそこに!!」」」」」
「ああ。お前たちの働きに期待する。頼むぞ、我が最強の戦士たち!!」
「「「「「はい!!」」」」」
 
 みんな気合がすごい。カディ様を信頼しているのがわかるわ。
 私も、負けていられない。
 ライ君、イカリオス隊長に稽古を付けてもらったし、ガルム隊長にもいろいろ教わった。オルトロス隊長も私を心配してくれている。
 私は、ラグナ帝国軍のラプンツェル。
 カディ様のために、剣となる。

「カディ様。私……私も、戦います。カディ様の剣として、戦います!!」
「ああ、頼むぞラプンツェル」

 明日は決戦。
 国落とし。ラスタリア王国を征服する!!
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