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第194話・裸のトーク
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ワイファ王国で【傲慢】を探して二週間以上経過した。
この国は広い。依頼を受けながら、それらしい情報をいくつか見つけては足を運ぶ。《ギフト》の力ではない能力を持つ人間、それが調査対象だ。
ライトたちは、数日捜索をして一日休日を取る。休日は海で遊んだり、のんびり町で買い物をしたり、自由に行動していた。
ライトは、数日に一度マリアを抱く。
マリアが誘うこともあれば、ライトが部屋に連れ込むことがある。だがマリアは抵抗は一切しない。互いに快楽を求めての関係なので、特に拒否はない。
最近はシンクが興味を持ち部屋に入って観察したり、部屋の隅でメリーが寝ていたりしたが、ライトとマリアは特に気にしていなかった。
そして今日。ライトはマリアを抱いた。
深夜まで愛し合い、日中の疲れからか汗だくのまま眠ってしまった。
互いに生まれたままの姿で抱き合い、柔らかい肌を堪能しながらライトは眠りについた……。
「ねぇ―――お話、しましょ?」
何故、こんな……喪服のようなドレスを着た少女が部屋に侵入し、ライトの両肩をガッチリ押さえて跨がっているのか。
ライトは服を着ていない。わけも分からず抵抗して気が付いた。
マリアがいない。
「お、前……マリアはどこに」
「ま、りあ? 女の子――――あっちの部屋」
「……っ!! つーか、離せっ!!」
「――――? あなた、はだか? 服、着ない?」
すると、少女の喪服のようなドレスがドロドロとした液体になり、少女もまた生まれたままの姿になった。
もはや、理解不能だった。
美しい裸体に見惚れかけたライトは、抵抗をやめた。
「……カドゥケウス、こいつはなんだ?」
『こいつは元・女神だ。神界を追放された最強の女神ツクヨミ……なんでここにいるのか、なんで素っ裸になったのか、なんで話がしたいのかはわからん』
そして、カドゥケウスはライトにだけ聞こえる声で言った。
『抵抗しないのは正解だ、相棒。いいか、こいつはこの世界に『夜』を作った女神だ……ハッキリ言ってリリティアが一万人束になって掛かろうが指先一つで瞬殺できる。いいか、抵抗するな。話を聞け』
ライトはツバをゴクリと飲み、目の前で首を傾げる少女……ツクヨミを見る。
真っ暗な部屋でもわかるほど美しい肌、真紅の瞳、純白の長髪だった。見た目の年齢はライトと同年代、肉付きは薄いが胸はそこそこ大きい。そして、裸でライトに跨がっているこの状況は、男として反応してしまう。
「……話は聞く。頼む、降りてくれ」
「ほんと――――?」
「ああ。お前が何しにここに来たか、俺になにを求めるのか、聞かせてくれ」
「パティオンとブリザラ――――あなたに会いたいって」
「は? ってか、話聞けよ……」
ツクヨミは、ライトに跨がったまま話し始めた。
互いに生まれたままの姿で、まるで愛し合う男女のような形で話をする。しかも、一人は大罪神器の所有者、もう1人は神界を追放された最強の女神。
ツクヨミは、裸を見られても気にしていない。というか、どうして脱いだのかライトにはさっぱりわからなかった。
『相棒。抵抗するなよ……復讐の旅を続けたかったらな』
心の中に、カドゥケウスの声が響く。
「パティオン、ブリザラ、言ってた――――あなたの目的を聞きたい? だったかな――――あなた、フリアエを倒す?」
「……ああ。正確には勇者レイジとリリカだ。女神フリアエはついでだ」
「――――じゃあ、パティオンとブリザラは?」
「…………別に、興味ない。そいつらは俺の復讐に関係ないからな」
「わたしは――――?」
「あのな、たった今存在を知ったお前をどうこうするつもりはない」
「そっか――――ねぇ、あなたって、とってもあったかい―――」
「は?……お、おいっ!!」
ツクヨミは、ライトに抱きついた。
意味がわからない。なぜツクヨミが、最強の女神が、人間であり大罪神器の所有者であるライトに……こうも懐く?のだ。
柔らかい。肌と肌が触れあい……ツクヨミの身体は、ちゃんと体温があった。
ライトは動けなかった。
このツクヨミの意図が、まるでわからなかった。
「――――くぅ」
「……ね、寝てる、のか?」
『……みてーだな。マジでわけわからん。なんでここに『闇夜の女神』がいやがる。それにパティオンとブリザラだと? 希望の女神と白銀の女神まで動いてやがるのか……相棒、戦の女神キルシュが動いてる可能性もある。とにかく今はこいつの機嫌を損ねないようにしとけ』
「……こいつ、強いのか?」
『ああ。少なくとも、大罪神器の所有者が束になってかかってようやく手傷を負わせられるくらいだ』
「……勝てるか?」
『ぜっっっっっっったいに無理。いいか、こいつは女神の楽園である『神界』を闇に染め、女神最強と言われてた戦の女神キルシュを指先一つで半殺しにしたんだぞ。神界の女神が総出でようやく人間界に追放できたくらい厄介な奴なんだ』
「…………」
『相棒、これは逆にチャンスかもしれねぇ……こいつ、相棒に懐いてる。手懐ければ最強の戦力になるぞ』
「…………手懐けるかはともかく、俺の復讐は俺のだ。こいつに手は出させない」
『へいへい。何遍も言うが、機嫌を損ねるなよ……ま、せっかくだしこのままヤッちまえ』
「死ね」
当然、寝られるはずもなく……ライトはツクヨミを抱いたまま朝を迎えた。
この国は広い。依頼を受けながら、それらしい情報をいくつか見つけては足を運ぶ。《ギフト》の力ではない能力を持つ人間、それが調査対象だ。
ライトたちは、数日捜索をして一日休日を取る。休日は海で遊んだり、のんびり町で買い物をしたり、自由に行動していた。
ライトは、数日に一度マリアを抱く。
マリアが誘うこともあれば、ライトが部屋に連れ込むことがある。だがマリアは抵抗は一切しない。互いに快楽を求めての関係なので、特に拒否はない。
最近はシンクが興味を持ち部屋に入って観察したり、部屋の隅でメリーが寝ていたりしたが、ライトとマリアは特に気にしていなかった。
そして今日。ライトはマリアを抱いた。
深夜まで愛し合い、日中の疲れからか汗だくのまま眠ってしまった。
互いに生まれたままの姿で抱き合い、柔らかい肌を堪能しながらライトは眠りについた……。
「ねぇ―――お話、しましょ?」
何故、こんな……喪服のようなドレスを着た少女が部屋に侵入し、ライトの両肩をガッチリ押さえて跨がっているのか。
ライトは服を着ていない。わけも分からず抵抗して気が付いた。
マリアがいない。
「お、前……マリアはどこに」
「ま、りあ? 女の子――――あっちの部屋」
「……っ!! つーか、離せっ!!」
「――――? あなた、はだか? 服、着ない?」
すると、少女の喪服のようなドレスがドロドロとした液体になり、少女もまた生まれたままの姿になった。
もはや、理解不能だった。
美しい裸体に見惚れかけたライトは、抵抗をやめた。
「……カドゥケウス、こいつはなんだ?」
『こいつは元・女神だ。神界を追放された最強の女神ツクヨミ……なんでここにいるのか、なんで素っ裸になったのか、なんで話がしたいのかはわからん』
そして、カドゥケウスはライトにだけ聞こえる声で言った。
『抵抗しないのは正解だ、相棒。いいか、こいつはこの世界に『夜』を作った女神だ……ハッキリ言ってリリティアが一万人束になって掛かろうが指先一つで瞬殺できる。いいか、抵抗するな。話を聞け』
ライトはツバをゴクリと飲み、目の前で首を傾げる少女……ツクヨミを見る。
真っ暗な部屋でもわかるほど美しい肌、真紅の瞳、純白の長髪だった。見た目の年齢はライトと同年代、肉付きは薄いが胸はそこそこ大きい。そして、裸でライトに跨がっているこの状況は、男として反応してしまう。
「……話は聞く。頼む、降りてくれ」
「ほんと――――?」
「ああ。お前が何しにここに来たか、俺になにを求めるのか、聞かせてくれ」
「パティオンとブリザラ――――あなたに会いたいって」
「は? ってか、話聞けよ……」
ツクヨミは、ライトに跨がったまま話し始めた。
互いに生まれたままの姿で、まるで愛し合う男女のような形で話をする。しかも、一人は大罪神器の所有者、もう1人は神界を追放された最強の女神。
ツクヨミは、裸を見られても気にしていない。というか、どうして脱いだのかライトにはさっぱりわからなかった。
『相棒。抵抗するなよ……復讐の旅を続けたかったらな』
心の中に、カドゥケウスの声が響く。
「パティオン、ブリザラ、言ってた――――あなたの目的を聞きたい? だったかな――――あなた、フリアエを倒す?」
「……ああ。正確には勇者レイジとリリカだ。女神フリアエはついでだ」
「――――じゃあ、パティオンとブリザラは?」
「…………別に、興味ない。そいつらは俺の復讐に関係ないからな」
「わたしは――――?」
「あのな、たった今存在を知ったお前をどうこうするつもりはない」
「そっか――――ねぇ、あなたって、とってもあったかい―――」
「は?……お、おいっ!!」
ツクヨミは、ライトに抱きついた。
意味がわからない。なぜツクヨミが、最強の女神が、人間であり大罪神器の所有者であるライトに……こうも懐く?のだ。
柔らかい。肌と肌が触れあい……ツクヨミの身体は、ちゃんと体温があった。
ライトは動けなかった。
このツクヨミの意図が、まるでわからなかった。
「――――くぅ」
「……ね、寝てる、のか?」
『……みてーだな。マジでわけわからん。なんでここに『闇夜の女神』がいやがる。それにパティオンとブリザラだと? 希望の女神と白銀の女神まで動いてやがるのか……相棒、戦の女神キルシュが動いてる可能性もある。とにかく今はこいつの機嫌を損ねないようにしとけ』
「……こいつ、強いのか?」
『ああ。少なくとも、大罪神器の所有者が束になってかかってようやく手傷を負わせられるくらいだ』
「……勝てるか?」
『ぜっっっっっっったいに無理。いいか、こいつは女神の楽園である『神界』を闇に染め、女神最強と言われてた戦の女神キルシュを指先一つで半殺しにしたんだぞ。神界の女神が総出でようやく人間界に追放できたくらい厄介な奴なんだ』
「…………」
『相棒、これは逆にチャンスかもしれねぇ……こいつ、相棒に懐いてる。手懐ければ最強の戦力になるぞ』
「…………手懐けるかはともかく、俺の復讐は俺のだ。こいつに手は出させない」
『へいへい。何遍も言うが、機嫌を損ねるなよ……ま、せっかくだしこのままヤッちまえ』
「死ね」
当然、寝られるはずもなく……ライトはツクヨミを抱いたまま朝を迎えた。
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