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第三章
女神の神器
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ラクレス、アクア、レイアースの三人は、砂漠での呪装備破壊、そして魔人の討伐を終え、早馬でソラシル王国に帰還……そのまますぐに、国王ハイゼンベルクとの謁見に臨んだ。
国王ハイゼンベルク、そして七曜騎士『炎』のイグニアスと王女クリス。
三人の前に、ラクレスたちは跪き、砂漠での戦いを説明した。
話を聞き、ハイゼンベルクは顎髭を撫でながら言う。
「ふむ。二人の魔人のうち一名を討伐。残りの一名は逃亡……」
「失態だな。七曜騎士が三人もいて取り逃すとは」
イグニアスが言うが、ハイゼンベルクは笑った。
「はっはっは。まあいいではないか。それに、レイアース……そなたが神器の第三解放まで習得するとはな」
「はっ……その、無我夢中で」
「よきよき。これで、七曜騎士七名のうち、四人が第三解放に到達した。イグニアス……お前の足元まで近づいてきたな」
「ふ、まだ抜かせはしませんよ」
イグニアスは、どこか誇らしげだった。
ラクレスの知らないイグニアスだった。住む世界の違う剣士も、こんな顔をするのかと驚いていると、イグニアスが言う。
「厄介なことになった、か……ダンテ。魔人はこれから、お前の呪装備を狙って来る可能性が高いということだな」
「はっ……(おい、そうなんだよな)」
『ケケケ。恐らくな。少なくとも、冥府六将の直属を一人殺して喰らったんだ。間違いなく、無視できない存在にはなってる。刺客を送るか、六将が直々に来るか……どっちにしても、オレ様にとっちゃ美味しい話だ』
ダンテが言う。
イグニアスは、少し考え込む。
「人間界にある呪装備の等級は低い物ばかり。高い等級の呪装備は全て魔界か、魔人たちが確保、装備しているということだったな。そして、凶悪級以上の呪装備は、等級の低い呪装備を喰らうことで、その強さを増す……」
「その通りでございます」
「そして……魔人たちの中でも最強、『冥府六将』か。存在は知っているが、これまで不動だった。もし……奴らの直属の部下を倒し続け、お前の呪装備がそれを喰らって強化されれば、無視できない存在になる。そうなればきっと、冥府六将が動く……そこを討伐すれば、魔人の戦力も堕ちるだろう」
「……」
その通りだった。
だが、ラクレスは腑に落ちない。
ラクレスは顔を上げ、イグニアスを見る。
「質問をよろしいでしょうか」
「うむ、構わん」
「魔人の目的は、一体……? 俺の呪装備を手に入れるのはいい。ですが、人間界で何をするつもりなのか……」
「女神の器」
と、アクアが口を挟んだ。
「言ってたでしょ。魔人は、『女神の器』とかいう何かを探している。それが何なのかはわからない。でも……女神カジャクトに関する何かなのは間違いない。女神カジャクトをこの世界に呼ぶとかわけわかんないこと言ってたし……それが事実だとしたら、魔人が呪装備を強化しているのは、女神カジャクトと戦うため……今は、戦力を強化しているのだとしたら?」
「…………(驚いた)」
『バカっぽいクソガキだと思ったけど、頭ぁ回るじゃねぇか』
ラクレスも、ダンテも驚いた。
そして、アクアが言う。
「ダンテ。アンタ……知ってることあるでしょ」
「…………」
「呪装備には、半魔神の意思が宿るってあの女も言ってた。アンタの呪装備にある意思は、何か知ってるんじゃない? いい加減、知ってること言いなさいよ」
「…………」
謁見の間で、国王、そしてイグニアスの前で、アクアは言った……いや、言うつもりだったのだ。
呪装備の意思。つまり、ダンテのことを。
『…………仕方ねぇ。おいラクレス、代われ』
(お、おいダンテ)
すると、ラクレスの声が出なくなり、ダンテの声が響く。
『確かに、オレの呪装備にも半魔神の意思がある……いや、正確には、オレとこの魔人の意思は同化している状態だ』
「はあ?」
『オレの呪装備は特別でな。だが……これだけは信じて欲しい。オレは、魔人も半魔神も……そして魔の神も恨んでいる。人間のために剣を振るうことに、間違いはない』
「…………だ、そうですけど。団長」
アクアはイグニアスに言うと、イグニアスは鼻を鳴らす。
「忠誠を疑うことはしない。だが、その忠誠が揺らぐとき……ワシは、貴様を屠るぞ、ダンテ」
『構わない』
「ならいい。それに、そいつが魔人を屠ったのは事実だ』
するとここで、黙っていたクリスが言う。
「さて、これからのことですが……当面は、ダンテは狙われるということでいいのかしら?」
『恐らく』
「なら、ダンテの主要任務は『呪装備の破壊』にすべきね。魔人が出るなら倒せばいいし、人間界にある呪装備も破壊できる。お父様、私がダンテの補佐となり、呪装備を捜索します」
「む……まあ、いいだろう。だが、危険なことはするなよ?」
「お任せを。ふふ」
クリスは微笑み、ダンテに向かってウインクした。
イグニアスも言う。
「ダンテ。これから貴様には呪装備の捜索、破壊活動がメインとなる。敵の魔人も貴様を放っておかない以上、呪装備の破壊に出向く場合、最低一名、七曜騎士を同行させろ。レイアースの例もある……魔人と戦うことで、神器の解放のきっかけにもなるだろう」
その言葉に、アクアとレイアースの肩がぴくっと動いた。
『ケケケ。運が向いてきたぜ……人間界にある呪装備はクソしかねぇが、魔人がこっちに来てくれるなら食い放題、美味いメシにありつけるぜ』
(お前な……でもまあ、呪装備の破壊任務が俺の主要になるのはありがたい。早く命を貯めて、お前から離れるようにならないと)
『ケケケ、まあそういうこった』
こうして、話し合いは終わった。
狙われるラクレス、そしてダンテ。
呪装備の捜索、破壊……これからますます忙しくなるであろう。
ラクレスはようやく、七曜騎士としてやるべきことを見つけるのだった。
国王ハイゼンベルク、そして七曜騎士『炎』のイグニアスと王女クリス。
三人の前に、ラクレスたちは跪き、砂漠での戦いを説明した。
話を聞き、ハイゼンベルクは顎髭を撫でながら言う。
「ふむ。二人の魔人のうち一名を討伐。残りの一名は逃亡……」
「失態だな。七曜騎士が三人もいて取り逃すとは」
イグニアスが言うが、ハイゼンベルクは笑った。
「はっはっは。まあいいではないか。それに、レイアース……そなたが神器の第三解放まで習得するとはな」
「はっ……その、無我夢中で」
「よきよき。これで、七曜騎士七名のうち、四人が第三解放に到達した。イグニアス……お前の足元まで近づいてきたな」
「ふ、まだ抜かせはしませんよ」
イグニアスは、どこか誇らしげだった。
ラクレスの知らないイグニアスだった。住む世界の違う剣士も、こんな顔をするのかと驚いていると、イグニアスが言う。
「厄介なことになった、か……ダンテ。魔人はこれから、お前の呪装備を狙って来る可能性が高いということだな」
「はっ……(おい、そうなんだよな)」
『ケケケ。恐らくな。少なくとも、冥府六将の直属を一人殺して喰らったんだ。間違いなく、無視できない存在にはなってる。刺客を送るか、六将が直々に来るか……どっちにしても、オレ様にとっちゃ美味しい話だ』
ダンテが言う。
イグニアスは、少し考え込む。
「人間界にある呪装備の等級は低い物ばかり。高い等級の呪装備は全て魔界か、魔人たちが確保、装備しているということだったな。そして、凶悪級以上の呪装備は、等級の低い呪装備を喰らうことで、その強さを増す……」
「その通りでございます」
「そして……魔人たちの中でも最強、『冥府六将』か。存在は知っているが、これまで不動だった。もし……奴らの直属の部下を倒し続け、お前の呪装備がそれを喰らって強化されれば、無視できない存在になる。そうなればきっと、冥府六将が動く……そこを討伐すれば、魔人の戦力も堕ちるだろう」
「……」
その通りだった。
だが、ラクレスは腑に落ちない。
ラクレスは顔を上げ、イグニアスを見る。
「質問をよろしいでしょうか」
「うむ、構わん」
「魔人の目的は、一体……? 俺の呪装備を手に入れるのはいい。ですが、人間界で何をするつもりなのか……」
「女神の器」
と、アクアが口を挟んだ。
「言ってたでしょ。魔人は、『女神の器』とかいう何かを探している。それが何なのかはわからない。でも……女神カジャクトに関する何かなのは間違いない。女神カジャクトをこの世界に呼ぶとかわけわかんないこと言ってたし……それが事実だとしたら、魔人が呪装備を強化しているのは、女神カジャクトと戦うため……今は、戦力を強化しているのだとしたら?」
「…………(驚いた)」
『バカっぽいクソガキだと思ったけど、頭ぁ回るじゃねぇか』
ラクレスも、ダンテも驚いた。
そして、アクアが言う。
「ダンテ。アンタ……知ってることあるでしょ」
「…………」
「呪装備には、半魔神の意思が宿るってあの女も言ってた。アンタの呪装備にある意思は、何か知ってるんじゃない? いい加減、知ってること言いなさいよ」
「…………」
謁見の間で、国王、そしてイグニアスの前で、アクアは言った……いや、言うつもりだったのだ。
呪装備の意思。つまり、ダンテのことを。
『…………仕方ねぇ。おいラクレス、代われ』
(お、おいダンテ)
すると、ラクレスの声が出なくなり、ダンテの声が響く。
『確かに、オレの呪装備にも半魔神の意思がある……いや、正確には、オレとこの魔人の意思は同化している状態だ』
「はあ?」
『オレの呪装備は特別でな。だが……これだけは信じて欲しい。オレは、魔人も半魔神も……そして魔の神も恨んでいる。人間のために剣を振るうことに、間違いはない』
「…………だ、そうですけど。団長」
アクアはイグニアスに言うと、イグニアスは鼻を鳴らす。
「忠誠を疑うことはしない。だが、その忠誠が揺らぐとき……ワシは、貴様を屠るぞ、ダンテ」
『構わない』
「ならいい。それに、そいつが魔人を屠ったのは事実だ』
するとここで、黙っていたクリスが言う。
「さて、これからのことですが……当面は、ダンテは狙われるということでいいのかしら?」
『恐らく』
「なら、ダンテの主要任務は『呪装備の破壊』にすべきね。魔人が出るなら倒せばいいし、人間界にある呪装備も破壊できる。お父様、私がダンテの補佐となり、呪装備を捜索します」
「む……まあ、いいだろう。だが、危険なことはするなよ?」
「お任せを。ふふ」
クリスは微笑み、ダンテに向かってウインクした。
イグニアスも言う。
「ダンテ。これから貴様には呪装備の捜索、破壊活動がメインとなる。敵の魔人も貴様を放っておかない以上、呪装備の破壊に出向く場合、最低一名、七曜騎士を同行させろ。レイアースの例もある……魔人と戦うことで、神器の解放のきっかけにもなるだろう」
その言葉に、アクアとレイアースの肩がぴくっと動いた。
『ケケケ。運が向いてきたぜ……人間界にある呪装備はクソしかねぇが、魔人がこっちに来てくれるなら食い放題、美味いメシにありつけるぜ』
(お前な……でもまあ、呪装備の破壊任務が俺の主要になるのはありがたい。早く命を貯めて、お前から離れるようにならないと)
『ケケケ、まあそういうこった』
こうして、話し合いは終わった。
狙われるラクレス、そしてダンテ。
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