43 / 53
第三章
極凶悪級呪装備『次元蟷螂』ヴァルケン③
しおりを挟む
「ケケケッ!! さあ、楽しもうぜ!!」
気を失ったラクレスの代わりに、ダンテの意識が前に出た。
現在、ラクレスの四肢は拘束されている。だが、暗黒鎧が一気に膨張し破裂すると、ヴァルケンの触手鎌が弾けとんだ。
同時に、暗黒物質が周囲に飛ぶ。生身のラクレスの身体が露わになるが、一瞬で鎧が形成された。
「ラクレス!! テメェはいい子ちゃんぶって、心の奥底ではオレ様のことを恐れている!! だからオレ様を完全に使えない!!」
鎧が膨張する。グネグネと意思を持つようにうごめき、背中に蜘蛛の足のような触手が生えると、まるでそれこそが本当の足のように地面に接地する。
そして、両手に暗黒物質の剣、背中には大量の砲身が形成され、露出した目元、口元が狂気に歪んだ。
「教えてやる!! いい子ちゃんじゃない、オレ様のチカラをなぁ!!」
ダンテの蜘蛛脚が、まるで本物の蜘蛛のように走り出す。
「な、なんだこいつ、か、変わりすぎだろ!!」
『ヴァルケン、油断すんな!!』
すると、ダンテの背中にある大量の砲身から、魔力の砲撃が放たれる。
『黒の殺戮砲』……ラクレスとは比べ物にならない魔力の密度で放たれる砲撃は、防御するだけで鎌が砕け散る。
ヴァルケンは、魔力で鎌を復元。
「ギャハハハハ!! まだまだぁ!!」
そして、ヴァルケンの全身に付着していた暗黒物質が固まり、ヴァルケンの足が硬直した。
関節可動域に暗黒物質が付着していた。ガキン!! と、いきなり足が止まる。
すると、いつの間にか背後にいたダンテが砲撃。
そして、真横にいたダンテが剣で斬りつけ、反対側にいたダンテが巨大な暗黒物質の槍をヴァルケンの腹に突き刺す。
そして、真正面にいたダンテが、右腕に暗黒物質を集中させ、巨大な拳を形成していた。
「な、なにが」
『は、はや』
速すぎる。
後ろで砲撃、横から斬撃、反対側から槍を突き刺し、真正面に拳を構えたダンテ。そして、なぜか上空から大量の剣、槍、斧、鎌、鉄球などが落ちてきて全身に突き刺さり、そこで背後から向かっていた砲撃が背中に直撃、足、触手が砕け散り、ダンテに向かって飛ばされた。
「いらっしゃぁぁぁぁい!!」
「ぐぼっっがぁぁぁ!?」
そして、カウンターの拳が顔面に叩きこまれ、鎧が砕け散ったヴァルケンが吹っ飛び、近くの岩石に激突……そのまま倒れた、と思ったら。
「ッ!? な、っが」
足に絡みついた黒い糸のような暗黒物質が、吹き飛ばされたヴァルケンを引き戻す。
ダンテが、左手で放った『黒の糸』を引き戻したのだ。
「終わりなんてねぇぜェェェェェェェ!?」
「うっげぇぇぁ!?」
引き戻され、再び殴られ吹き飛ぶ。
もはや、呪装備も半壊。核が剥き出しになる。
七度、ヴァルケンは殴られては吹っ飛び、殴られては吹っ飛びを繰り返し、顔面があり得ないくらい腫れあがり、鎧が解除されほぼ裸の状態で、四肢が粉々に砕けた状態で宙吊りにされ、ダンテの前に吊るされた。
「ほま、なに、もの……」
「ケケケ……何だと思う? なあ、なあ? なあああ!?」
口を開け、牙を剥き出しにする。
ダンテは、核が剥き出しになった『次元蟷螂』を掴み、ヴァルケンに言う。
「ケケケ、どーやらオマエの仲間ぁ見てるようだな。なあ、冥府六将とかいうクソ雑魚について質問だ。オマエ……|どの魔神の配下だ?」
「ふ、ぇ……?」
「冥府六将。そして六魔神。どーせ、六将とかいうのは魔神のパシリみてぇなモンだろ? オマエ、魔神は同列みたいな言い方してたが、使えてる神はいるはずだ。どいつだ?」
「…………」
こいつは、何なんだ。
ヴァルケンは、目の前にいる黒い鎧の呪装備が、もうただの呪装備には見えなかった。
ヴァルケンは、四つある呪装備の等級の中でも最上位である『極凶悪級』だ。配下の魔装者とは比べ物にならない強さを持つのに、手も足も出なかった。
魔人であるラクレスとは、まるで別物。ヴァルケンは恐怖する……が、ダンテが手にナイフを作ると、何のためらいもなくヴァルケンの頬に刺す。
「聞こえてんのか? 魔神だよ、魔神」
「ほがぁぁぁぁ!?」
「言うつもりねぇならいいわ。死ね」
「まま、まて、いう、いう、り、リンボ……おれら、『辺獄魔神リンボ』様の、崇拝者」
「……リンボね」
そう言い、ダンテは『次元蟷螂』の核を握りつぶした。
「あ、ぁ、ァァァァァッ!! お、オレの、オレのマンティスぅぅぅぅぅ!!」
すると、核を破壊されたことで、ヴァルケンの身体が青く燃える。
その様子を見てダンテは言う。
「なるほどな。オレ様とラクレスみたいに、魂で呪装備と繋がってんのか。その『魔装』とかいうチカラぁ使うのに関係してるのかね?」
「オマエ、オマエ……許さねぇぞ!! オレの敵、エクスパシオン様が確実に取る、オマエなんか!!」
「あぁ、最後にいいこと教えてやる」
ダンテはぐちゃりと笑い、燃えるヴァルケンの身体を触手で持ち上げ、耳打ちするような態勢へ。
そして、ヴァルケンに向かって言う。
「──……だ」
「……え」
「ケケケ、あばよ」
ヴァルケンの全身に糸が絡みつくと、そのまま一気に握りつぶした。
バラバラになったヴァルケンは、青い炎に包まれ……その欠片すら残らない。
ダンテは、近くを浮遊していた『次元蟷螂』マンティスの魂を捕まえ、その場で飲み込んだ。
「いい味してやがる。ケケケ……でもまあ、今回のせいで、補填したラクレスの魂を全部使っちまった。コイツの魂で補填しても、残りカスくらいのチカラしか残らねぇな。まあ……チャンスはまだいくらでもある。さてラクレス、そろそろ起きる時間だぜ」
兜が修復され、散らばった暗黒物質も鎧の元へ。
ラクレスの意識が戻る前、ダンテは小さく呟いた。
「……リンボ。オレ様が必ず殺してやる」
気を失ったラクレスの代わりに、ダンテの意識が前に出た。
現在、ラクレスの四肢は拘束されている。だが、暗黒鎧が一気に膨張し破裂すると、ヴァルケンの触手鎌が弾けとんだ。
同時に、暗黒物質が周囲に飛ぶ。生身のラクレスの身体が露わになるが、一瞬で鎧が形成された。
「ラクレス!! テメェはいい子ちゃんぶって、心の奥底ではオレ様のことを恐れている!! だからオレ様を完全に使えない!!」
鎧が膨張する。グネグネと意思を持つようにうごめき、背中に蜘蛛の足のような触手が生えると、まるでそれこそが本当の足のように地面に接地する。
そして、両手に暗黒物質の剣、背中には大量の砲身が形成され、露出した目元、口元が狂気に歪んだ。
「教えてやる!! いい子ちゃんじゃない、オレ様のチカラをなぁ!!」
ダンテの蜘蛛脚が、まるで本物の蜘蛛のように走り出す。
「な、なんだこいつ、か、変わりすぎだろ!!」
『ヴァルケン、油断すんな!!』
すると、ダンテの背中にある大量の砲身から、魔力の砲撃が放たれる。
『黒の殺戮砲』……ラクレスとは比べ物にならない魔力の密度で放たれる砲撃は、防御するだけで鎌が砕け散る。
ヴァルケンは、魔力で鎌を復元。
「ギャハハハハ!! まだまだぁ!!」
そして、ヴァルケンの全身に付着していた暗黒物質が固まり、ヴァルケンの足が硬直した。
関節可動域に暗黒物質が付着していた。ガキン!! と、いきなり足が止まる。
すると、いつの間にか背後にいたダンテが砲撃。
そして、真横にいたダンテが剣で斬りつけ、反対側にいたダンテが巨大な暗黒物質の槍をヴァルケンの腹に突き刺す。
そして、真正面にいたダンテが、右腕に暗黒物質を集中させ、巨大な拳を形成していた。
「な、なにが」
『は、はや』
速すぎる。
後ろで砲撃、横から斬撃、反対側から槍を突き刺し、真正面に拳を構えたダンテ。そして、なぜか上空から大量の剣、槍、斧、鎌、鉄球などが落ちてきて全身に突き刺さり、そこで背後から向かっていた砲撃が背中に直撃、足、触手が砕け散り、ダンテに向かって飛ばされた。
「いらっしゃぁぁぁぁい!!」
「ぐぼっっがぁぁぁ!?」
そして、カウンターの拳が顔面に叩きこまれ、鎧が砕け散ったヴァルケンが吹っ飛び、近くの岩石に激突……そのまま倒れた、と思ったら。
「ッ!? な、っが」
足に絡みついた黒い糸のような暗黒物質が、吹き飛ばされたヴァルケンを引き戻す。
ダンテが、左手で放った『黒の糸』を引き戻したのだ。
「終わりなんてねぇぜェェェェェェェ!?」
「うっげぇぇぁ!?」
引き戻され、再び殴られ吹き飛ぶ。
もはや、呪装備も半壊。核が剥き出しになる。
七度、ヴァルケンは殴られては吹っ飛び、殴られては吹っ飛びを繰り返し、顔面があり得ないくらい腫れあがり、鎧が解除されほぼ裸の状態で、四肢が粉々に砕けた状態で宙吊りにされ、ダンテの前に吊るされた。
「ほま、なに、もの……」
「ケケケ……何だと思う? なあ、なあ? なあああ!?」
口を開け、牙を剥き出しにする。
ダンテは、核が剥き出しになった『次元蟷螂』を掴み、ヴァルケンに言う。
「ケケケ、どーやらオマエの仲間ぁ見てるようだな。なあ、冥府六将とかいうクソ雑魚について質問だ。オマエ……|どの魔神の配下だ?」
「ふ、ぇ……?」
「冥府六将。そして六魔神。どーせ、六将とかいうのは魔神のパシリみてぇなモンだろ? オマエ、魔神は同列みたいな言い方してたが、使えてる神はいるはずだ。どいつだ?」
「…………」
こいつは、何なんだ。
ヴァルケンは、目の前にいる黒い鎧の呪装備が、もうただの呪装備には見えなかった。
ヴァルケンは、四つある呪装備の等級の中でも最上位である『極凶悪級』だ。配下の魔装者とは比べ物にならない強さを持つのに、手も足も出なかった。
魔人であるラクレスとは、まるで別物。ヴァルケンは恐怖する……が、ダンテが手にナイフを作ると、何のためらいもなくヴァルケンの頬に刺す。
「聞こえてんのか? 魔神だよ、魔神」
「ほがぁぁぁぁ!?」
「言うつもりねぇならいいわ。死ね」
「まま、まて、いう、いう、り、リンボ……おれら、『辺獄魔神リンボ』様の、崇拝者」
「……リンボね」
そう言い、ダンテは『次元蟷螂』の核を握りつぶした。
「あ、ぁ、ァァァァァッ!! お、オレの、オレのマンティスぅぅぅぅぅ!!」
すると、核を破壊されたことで、ヴァルケンの身体が青く燃える。
その様子を見てダンテは言う。
「なるほどな。オレ様とラクレスみたいに、魂で呪装備と繋がってんのか。その『魔装』とかいうチカラぁ使うのに関係してるのかね?」
「オマエ、オマエ……許さねぇぞ!! オレの敵、エクスパシオン様が確実に取る、オマエなんか!!」
「あぁ、最後にいいこと教えてやる」
ダンテはぐちゃりと笑い、燃えるヴァルケンの身体を触手で持ち上げ、耳打ちするような態勢へ。
そして、ヴァルケンに向かって言う。
「──……だ」
「……え」
「ケケケ、あばよ」
ヴァルケンの全身に糸が絡みつくと、そのまま一気に握りつぶした。
バラバラになったヴァルケンは、青い炎に包まれ……その欠片すら残らない。
ダンテは、近くを浮遊していた『次元蟷螂』マンティスの魂を捕まえ、その場で飲み込んだ。
「いい味してやがる。ケケケ……でもまあ、今回のせいで、補填したラクレスの魂を全部使っちまった。コイツの魂で補填しても、残りカスくらいのチカラしか残らねぇな。まあ……チャンスはまだいくらでもある。さてラクレス、そろそろ起きる時間だぜ」
兜が修復され、散らばった暗黒物質も鎧の元へ。
ラクレスの意識が戻る前、ダンテは小さく呟いた。
「……リンボ。オレ様が必ず殺してやる」
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?
ブレイブ
恋愛
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の一年生にして生徒会長。神童燐は普段は冷静に動き、正確な指示を出すが、家族と、恋人、新の前では

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる