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第三章
極凶悪級呪装備『紺玄金斗』カトレア②
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戦いが始まってすぐ、カトレアの壺に吸い込まれた。
レイアース、カトレアは周囲を観察する。
「な、なにここ……さ、砂漠?」
「砂の地面。だが、四方は壁、広さは……くそ、王城にある訓練場よりも広いぞ」
ざらざらした壁があったので、アクアは双剣で斬りつける。
だが、傷どころか跡すら残らない。
すると、上空にカトレアが浮かんでいた。
「無駄ですよ。ここは極凶悪級呪装備『紺玄金斗』アズロナが生み出した疑似空間。アズロナは、無限にモノを吸い込み、それらを元に隔離疑似空間を作り出すことができる。そして、魔装者である私は、その空間を自在に操れる……こんな風に」
カトレアが人差し指をクルクル回すと、アクアとレイアースの足元の砂が動き始めた。
「え、嘘!?」
「あ、蟻地獄……!?」
流砂、そして蟻地獄である。
アクアとレイアースは慌てて走り出すが、至る所で蟻地獄が発生していた。
「ここに来るまで、町一つ覆えるくらいの砂を吸い込みました。さて、どうします?」
「決まってんでしょ、アンタを……ブッ潰す!!」
「え、っぶ」
なんとアクア、その場で跳躍し、レイアースの肩を足場にしてカトレアに向かって飛んだ。
いきなり足場にされたレイアースは転び、顔面から砂に突っ込む。
「『水斬り』!!」
水神器ナルキッス&ニンフィアの刃から水が発生。
アクアは、空中で剣を交差させ、カトレアに向かって斬撃を放った。
だが、どこからともなく現れた瓦礫の山が、カトレアを守る。
斬撃は瓦礫を両断するが、カトレアはすでにいない。アクアは瓦礫を足場に再びジャンプ。
「『水竜』!!」
「ほう」
双剣から、蛇のような水の竜が形成され、カトレアに向かって飛ぶ。
だが、カトレアはその場から動かない。地面にある砂が一気に吹き上がり、水の竜をガードした。
水分を奪われ、砂が泥になり、水の竜が消える。
アクアは舌打ちし、そのまま砂地に着地した。
「もっと連続で攻撃を叩きこんでやる。レイアース、もう一度肩かしなさい」
「……お前、何か私に言うことないのか?」
「は? それより早く早く」
「ええい、私がやる。お前の肩を貸せ!!」
「はあ? 下っ端の七曜騎士が何イキってんのよ。アタシがやる!!」
「七曜騎士は同列だ!! 師匠がそう言ってたぞ!!」
「エクレシアのおばさんが言ったから何よ。こーいうのは年功序列でしょうが!!」
二人は顔を突合せ睨み合う。
カトレアは、そんな二人を白けたように見て、指をパチンと鳴らす。
すると、二人の足元が爆発した。
「「うっきゃぁぁぁぁ!?」」
派手に吹き飛び、二人は頭から砂地に突っ込む……下が砂地だったからダメージはない。
二人はズボッと顔を出し、ブンブン振る。
「……一時休戦。マジでやるわよ」
「同意する。まずは、あいつを倒さなくては」
「まあ、無理ですね。そもそも……私、全然本気じゃないので」
カトレアが指を鳴らすと、砂地から大量の『ワニ』が現れた。
アクアが舌打ちする。
「魔獣。この女、こんなモンまで吸い込んでいたのね……」
「確か、サンドアリゲイツ……砂漠に住む魔獣の中でも、肉食で獰猛なやつだ。ええい、面倒だ」
「なら、一気に蹴散らしてやる。ちょうどいいわ……レイアース、見てなさい」
「……?」
すると、アクアが双剣を構えた。
「『瞬着』」
アクアの全身に水が纏わり付くと、スタイリッシュな水色の鎧となった。
水色、クリアブルーの全身鎧。どこか可憐さ、美しさすら感じる造形に、レイアースは見入ってしまう。
「女神の神器、第二解放『決戦技』!!」
「な、これは……」
莫大な魔力、そしてアクアの身体に文様が走り、双剣が青く、透明に輝いていく。
カトレアの目元がピクリと動き、サンドアリゲイツたちが一斉に動き出し、さらに大量の瓦礫がカトレアを守るように立ちふさがる。
だが、アクアは笑った。
「それ、意味ないから」
そして……双剣を振る。
「決戦技、『ネプテューヌ・タイダルウェイブ』!!」
双剣から恐るべき量の水が放出され、津波となって一帯を覆い尽くす。
サンドアリゲイツたちが一斉に巻き込まれ、さらにカトレアの瓦礫をも飲み込む。
「これは……!! チッ、侮りましたね」
カトレアも津波に飲み込まれると、そのまま反対側の壁に叩き付けられた。
ワニたちは海水で溺れ、叩き付けられ即死。
カトレアも壁に叩き付けられ気を失っているのか、動かない。
アクアは、まるで解説するかのようにレイアースに言う。
「これが、女神の神器二番目の解放、『決戦技』よ。第一解放である『瞬着』は、この決戦技に耐えるための鎧……」
バシャッと、水が落ちるようにアクアの鎧が解除された。
そして、膝を付いて荒い呼吸をする。
「一日、せいぜい二度か三度しか使えない、七曜騎士の大技よ……鎧が纏えるようになったからって、調子に乗らない方がいいわ」
「…………」
レイアースは、素直に関心……いや、アクアを尊敬した。
七曜騎士は同列。だが、今の自分ではアクアに勝てない。
「トドメ、あんたに譲る。あの魔人を倒して、この空か──……」
ズン!! と、アクアの背中にナイフが突き刺さった。
「なっ……」
「あら、外れた」
アクアの背後に、びしょ濡れのカトレアがいた。
アクアは血を吐き、だが意識を失わずにカトレアから距離を取る。
「あん、た……なんで」
「直撃しましたよ? でも、私は魔人、そしてこの空間は私の意のまま……水に飲まれてすぐ、あなたの背後に転移しただけ。ああ、あれはただの死体です」
よく見ると、壁に叩き付けられたのはカトレアではない。
アクアは背中に刺さったナイフを抜かず、剣を構える。
「油断。くそっ……団長に見られたら怒鳴られるわ」
「……アクア、下がっていろ」
「え……?」
レイアースが、アクアの前に出て、カトレアと対峙する。
「お前は、私が倒す」
「……まあいいです。びしょ濡れにされた借りは返したので。あとは、殺しておしまいですね」
「やってみろ」
「……ぐ」
アクアはダメージが大きいのか、その場に崩れ落ちた。
レイアースが剣を構え、守るように前に出る。
カトレアは、手に小さな壺を持っていた。
「そろそろ、終わりにしましょうか……『魔装』」
「私は負けん!! 『瞬着』!!」
カトレア、そしてレイアースの、一対一の戦いが始まる。
アクアは、剣を構えて思った。
(決戦技。私も、使えれば……!!)
レイアース、カトレアは周囲を観察する。
「な、なにここ……さ、砂漠?」
「砂の地面。だが、四方は壁、広さは……くそ、王城にある訓練場よりも広いぞ」
ざらざらした壁があったので、アクアは双剣で斬りつける。
だが、傷どころか跡すら残らない。
すると、上空にカトレアが浮かんでいた。
「無駄ですよ。ここは極凶悪級呪装備『紺玄金斗』アズロナが生み出した疑似空間。アズロナは、無限にモノを吸い込み、それらを元に隔離疑似空間を作り出すことができる。そして、魔装者である私は、その空間を自在に操れる……こんな風に」
カトレアが人差し指をクルクル回すと、アクアとレイアースの足元の砂が動き始めた。
「え、嘘!?」
「あ、蟻地獄……!?」
流砂、そして蟻地獄である。
アクアとレイアースは慌てて走り出すが、至る所で蟻地獄が発生していた。
「ここに来るまで、町一つ覆えるくらいの砂を吸い込みました。さて、どうします?」
「決まってんでしょ、アンタを……ブッ潰す!!」
「え、っぶ」
なんとアクア、その場で跳躍し、レイアースの肩を足場にしてカトレアに向かって飛んだ。
いきなり足場にされたレイアースは転び、顔面から砂に突っ込む。
「『水斬り』!!」
水神器ナルキッス&ニンフィアの刃から水が発生。
アクアは、空中で剣を交差させ、カトレアに向かって斬撃を放った。
だが、どこからともなく現れた瓦礫の山が、カトレアを守る。
斬撃は瓦礫を両断するが、カトレアはすでにいない。アクアは瓦礫を足場に再びジャンプ。
「『水竜』!!」
「ほう」
双剣から、蛇のような水の竜が形成され、カトレアに向かって飛ぶ。
だが、カトレアはその場から動かない。地面にある砂が一気に吹き上がり、水の竜をガードした。
水分を奪われ、砂が泥になり、水の竜が消える。
アクアは舌打ちし、そのまま砂地に着地した。
「もっと連続で攻撃を叩きこんでやる。レイアース、もう一度肩かしなさい」
「……お前、何か私に言うことないのか?」
「は? それより早く早く」
「ええい、私がやる。お前の肩を貸せ!!」
「はあ? 下っ端の七曜騎士が何イキってんのよ。アタシがやる!!」
「七曜騎士は同列だ!! 師匠がそう言ってたぞ!!」
「エクレシアのおばさんが言ったから何よ。こーいうのは年功序列でしょうが!!」
二人は顔を突合せ睨み合う。
カトレアは、そんな二人を白けたように見て、指をパチンと鳴らす。
すると、二人の足元が爆発した。
「「うっきゃぁぁぁぁ!?」」
派手に吹き飛び、二人は頭から砂地に突っ込む……下が砂地だったからダメージはない。
二人はズボッと顔を出し、ブンブン振る。
「……一時休戦。マジでやるわよ」
「同意する。まずは、あいつを倒さなくては」
「まあ、無理ですね。そもそも……私、全然本気じゃないので」
カトレアが指を鳴らすと、砂地から大量の『ワニ』が現れた。
アクアが舌打ちする。
「魔獣。この女、こんなモンまで吸い込んでいたのね……」
「確か、サンドアリゲイツ……砂漠に住む魔獣の中でも、肉食で獰猛なやつだ。ええい、面倒だ」
「なら、一気に蹴散らしてやる。ちょうどいいわ……レイアース、見てなさい」
「……?」
すると、アクアが双剣を構えた。
「『瞬着』」
アクアの全身に水が纏わり付くと、スタイリッシュな水色の鎧となった。
水色、クリアブルーの全身鎧。どこか可憐さ、美しさすら感じる造形に、レイアースは見入ってしまう。
「女神の神器、第二解放『決戦技』!!」
「な、これは……」
莫大な魔力、そしてアクアの身体に文様が走り、双剣が青く、透明に輝いていく。
カトレアの目元がピクリと動き、サンドアリゲイツたちが一斉に動き出し、さらに大量の瓦礫がカトレアを守るように立ちふさがる。
だが、アクアは笑った。
「それ、意味ないから」
そして……双剣を振る。
「決戦技、『ネプテューヌ・タイダルウェイブ』!!」
双剣から恐るべき量の水が放出され、津波となって一帯を覆い尽くす。
サンドアリゲイツたちが一斉に巻き込まれ、さらにカトレアの瓦礫をも飲み込む。
「これは……!! チッ、侮りましたね」
カトレアも津波に飲み込まれると、そのまま反対側の壁に叩き付けられた。
ワニたちは海水で溺れ、叩き付けられ即死。
カトレアも壁に叩き付けられ気を失っているのか、動かない。
アクアは、まるで解説するかのようにレイアースに言う。
「これが、女神の神器二番目の解放、『決戦技』よ。第一解放である『瞬着』は、この決戦技に耐えるための鎧……」
バシャッと、水が落ちるようにアクアの鎧が解除された。
そして、膝を付いて荒い呼吸をする。
「一日、せいぜい二度か三度しか使えない、七曜騎士の大技よ……鎧が纏えるようになったからって、調子に乗らない方がいいわ」
「…………」
レイアースは、素直に関心……いや、アクアを尊敬した。
七曜騎士は同列。だが、今の自分ではアクアに勝てない。
「トドメ、あんたに譲る。あの魔人を倒して、この空か──……」
ズン!! と、アクアの背中にナイフが突き刺さった。
「なっ……」
「あら、外れた」
アクアの背後に、びしょ濡れのカトレアがいた。
アクアは血を吐き、だが意識を失わずにカトレアから距離を取る。
「あん、た……なんで」
「直撃しましたよ? でも、私は魔人、そしてこの空間は私の意のまま……水に飲まれてすぐ、あなたの背後に転移しただけ。ああ、あれはただの死体です」
よく見ると、壁に叩き付けられたのはカトレアではない。
アクアは背中に刺さったナイフを抜かず、剣を構える。
「油断。くそっ……団長に見られたら怒鳴られるわ」
「……アクア、下がっていろ」
「え……?」
レイアースが、アクアの前に出て、カトレアと対峙する。
「お前は、私が倒す」
「……まあいいです。びしょ濡れにされた借りは返したので。あとは、殺しておしまいですね」
「やってみろ」
「……ぐ」
アクアはダメージが大きいのか、その場に崩れ落ちた。
レイアースが剣を構え、守るように前に出る。
カトレアは、手に小さな壺を持っていた。
「そろそろ、終わりにしましょうか……『魔装』」
「私は負けん!! 『瞬着』!!」
カトレア、そしてレイアースの、一対一の戦いが始まる。
アクアは、剣を構えて思った。
(決戦技。私も、使えれば……!!)
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