追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第七章

本気で戦う

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 俺は右手を巨大化させ、全力でエキドナに殴りかかる。
 こいつは今一匹だ。こいつを倒せば、残りはテュポーンだけになる。今ここで、エキドナを倒す。
 
「だりゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
「あら、かわいい拳」

 バジっ!! と、俺の拳がエキドナに止められた……片手で。
 想定内。俺はすぐに手を離し、素早くスキルをセット。
 スキルは『炎龍闘気』で、両手に炎を纏わせ再び殴りかかる。

「だらぁ!!」
「ふふっ」

 パシン、パシンと、俺のラッシュが片手で弾かれる。
 エキドナは一歩も動かない。右手で軽く叩き落とすだけ。
 俺は、全力のラッシュでエキドナを攻める───……が、当たらない。当たる気配がない。
 
「オォォォォォッ!!」
「ふふ、可愛いわねぇ」
「───っ!?」

 俺の額に、エキドナの人差し指が伸び……軽く、デコピンされた。
 それだけで、脳が揺らされ額から血が噴き出す。
 さらに、壁を突き破り宮殿外へ落下、地面に叩きつけられ地面を転がった。

「───~~~……ッッッ!?」

 頭が揺れ、世界がグニャグニャだった。
 ねじ曲がった世界に、エキドナのような何かが俺の傍へ。

「ゴぁ……」

 首を、掴まれたのか?
 わからない。息がしにくい。
 世界がグニャグニャなのに、声はしっかり聞こえてきた。

「やだ。いけない……反対側に飛ばしてしまったわ。ね、まだやる? あなたを殺したくないの。それと、あなたのお友達も。私たちの『舞台』で踊る、いい人材なのよ」
「……ギ」
「無駄なの。わかる? 人間では、私に勝てないの。あなたはたまたま、御父上の力を手にしただけの人間なの。どういう経緯で御父上の力を手に入れたのかは気になるけど……」
「グ、ギギ……」

 視界が、明滅する。
 息ができない。
 死ぬ。死ぬ……死にたく、ない。

「さぁ、戻りましょう。テュポーンを紹介してあげる。私の半身であり、私の弟。きっとあなたも気に入るわ」
「…………」
「約束通り、エキドナは殺してあげる。ふふ、いいオモチャを手に入れ───」

 俺は、噛みついた・・・・・

 ◇◇◇◇◇

 ◇◇◇◇◇

 ◇◇◇◇◇

「───あら」

 エキドナは、自身の腕に違和感を感じ、視線を向けた。
 すると……掴んでいたリュウキが、エキドナの右手に喰らい付いていた。
 両目が黄金に輝き、ギチギチと牙が皮膚に食い込んでいる。
 血は出ていないし、皮膚に傷もついていない。ただ、噛まれているだけ。

「もう。食事はまだあと───……」

 と、エキドナはピクリと眉を吊り上げた。

「ウ、ォ」

 リュウキの闘気が、膨れ上がっていた。
 ギチギチギチギチと、エキドナの皮膚に牙が喰い込んでいく。
 エキドナは、リュウキを振り払う。すると、リュウキの身体が真横に吹き飛び、近くの大岩に叩き付けられた。
 大岩が木っ端みじんに砕け散る。
 そして、リュウキが……立ち上がり吠えた。

「ウォォォォォォォォォォォォォ───ッ!!」
「……へぇ」

 リュウキの黄金に輝く闘気が、一気に噴き出した。
 その規模、先ほどの百倍以上。

「……御父上の力が、彼の理性を崩壊させるくらい噴き出しているわねぇ。死を感じたことによる暴走かしら? 面倒ねぇ」
「ガァァァァァァァ!!」

 リュウキの拳が巨大化し、先ほどとは比べ物にならない速度で飛んできた。
 エキドナは右手で払おうとして……軽く舌打ちし、ひらりと躱す。
 この拳は、弾けない。

「なるほどねぇ……」
「がぁァァァァァァァァァァ!!」
「はいはい、落ち着いて~」
「!?」

 ガシッと、リュウキの身体に『蛇』が絡みついた。
 エキドナの右腕が『蛇』になり、リュウキの全身に絡みついたのである。
 リュウキは暴れ、蛇に嚙みつくが、逆にリュウキの牙が欠けてしまった。

「無駄よ。何度も言ってるけど……その程度じゃ、私は倒せないわ。さ、まずはエルフちゃんのところへ行きましょ。お食事して、その後で遊んであげる。ふふ……あなたのお友達も、ね」
「!!」
「人間たち、そしてリンドブルム……どうなってると思う?」
「…………」
「テュポーンは、私みたいに優しくないかもねぇ」
「───」

 次の瞬間、エキドナの右腕が千切れ飛んだ。

「ッッ……何?」
「ウ、ウ……」

 リュウキが、ぶるぶる震えていた。
 何がスイッチだったのか、リュウキの闘気が先ほどよりも『濃く』なっていく。
 ただ、漠然と放出していた闘気が、濃密になっていく。
 そして───両腕と上半身を包む鱗が、下半身を覆う。

「……わぉ」
「グゥゥアァァガァァァァァァァァァァァァァ!!」

 四分の三スリークォーターの、『龍人形態』。
 明らかに、闘気の『圧』と『質』が変わった。
 そして、両足の脹脛部分の鱗がガパッと開き、闘気が噴出する。

「っ!!」

 エキドナの目の前に、リュウキの拳があった。
 眼前。半秒もしないうちに、命中する。
 油断、ではない。
 エキドナは、見えていない。
 リュウキの拳が、エキドナの顔面に突き刺さった。

「っぐぁ!?」

 今度は、エキドナが吹っ飛び、宮殿の壁を破壊しながら床を転がった。
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