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第七章
イザベラ
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宮殿が騒がしかった。
リュウキが一階で暴れている。
それを聞いたエキドナは、宮殿内にいる人間たちの脳内に、直接命じた。
『邪魔者を排除なさい』
「「「「「はっ!!」」」」」
ギガントマキアの構成員たちは、リュウキの元へ。
エキドナは、絶対に勝てはしないだろうと確信している。テュポーンも同様だ。
せいぜい、時間稼ぎがいいところ。
テュポーンと入れ違いで入ってきたイザベラが跪いて言う。
「これから、どうしますか?」
「そうねぇ……ここ、もう駄目みたいだし放棄しようかしら。人間も残り少ないし、別の国で集めて、また遊びましょう。ねぇ、イザベラ」
「はい、我が盟主」
エキドナは、いつの間にか部屋にいたイザベラを呼ぶ。
ベッドの上では、アキューレがエキドナに組み伏せられている。イザベラは、アキューレを見て軽く舌打ちをした。それを聞いたエキドナはクスクス笑う。
「ふふ、やきもちかしら? 可愛いわねぇイザベラ」
「い、いえ。その……」
「大丈夫。人間ではあなたが一番よ。あなたの息子も愛してあげる」
「あ、ありがとうございます!!」
イザベラは満面の笑みを浮かべ、一礼する。
エキドナの一番のお気に入りであるイザベラは、ギガントマキアの指揮を任されている。
莫大な資金を与え、好きに遊ばせ、その様子を眺めるもエキドナの趣味だった。なので、イザベラがドラグレード公爵家に入り、息子のキルトのためにリュウキの魔力を奪ったことも、当然知っている。
その人間が闘気を得て戻ってきたことは、イザベラに伝えていない。
なぜなら、言うとつまらないから。
だから、エキドナは言う。
「イザベラ。侵入者が誰だかわかるわね?」
「はい。リュウキ……あの抜け殻ですね。何やら妙な『獣化』スキルを得たようですが、我が息子キルト、そして私の敵ではありません」
「ふふっ……そうねぇ」
本当に、可愛い。
イザベラは何も知らない。知らされていないのだ。
リュウキがエンシェントドラゴンの力を継承し、エキドナやテュポーンと同じ『闘気』を得た、人間でありだということを。
もし、何も知らないイザベラがリュウキと戦ったら?
その自信が木端微塵に砕け散ったら?
イザベラは、どんな顔をするのだろうか?
「……~~~っ」
「エキドナ様?」
エキドナは震えた。
ゾクゾクして、身体が震える。
イザベラがどんな顔をするのか、見てみたい。
そのために、一番のお気に入りを壊すことになるかもしれない。
「ね、イザベラ」
「はい」
「あなたの息子、ここにいるの?」
「はい。ギガントマキアの後継者として、連れてきました」
「そう……じゃあ、見せてくれない?」
「はい?」
エキドナは、自らの指を嚙み千切る……すると、水色の血がポタポタ流れ落ちた。
イザベラはゴクリと喉を鳴らす。そして、エキドナが手招きし、ベッドの傍へ。
アキューレは、その光景を見ていた。
「はい、あ~~~~ん」
「あ、あぁぁ……」
青い血が、イザベラの口から喉を伝い、体内に吸収される。
すると───……イザベラの身体に変化が。
三十代半ばのイザベラ。その身体が若返り、十代後半の身体となる。そして、魔力が一気に膨れ上がり……さらに、闘気を纏ったのだ。
「あ、ああ……す、すごぃぃぃ……っ!!」
「ね、イザベラ……私、見たいな」
「……っ」
「あなたと、あなたの子供が……侵入者を、排除する姿を」
「っ!!」
イザベラは立ち上がり、ドレスの裾を持ち上げた。
「仰せの通りに、我が盟主」
◇◇◇◇◇
宮殿内の応接間に、キルトとチーム『アークライト』が集まっていた。
チーム『アークライト』の数は、総勢40名。全員が揃っていても、応接間には余裕がある。一国の王が使うような宮殿に、キルトは満足していた。
「へへへ……これが権力、これが力、これが組織、か」
「キルト様、これから何が始まるんですか?」
プリメラは首を傾げる。
プリメラだけではない。どのような『依頼』でここまで来たのか、何をするのか、キルト以外誰もわかっていない。だが、こんな部屋を用意する時点で、相当な依頼だ。
すると、応接間のドアが開き、イザベラが入ってきた。
「母上。おかえりなさ……え、母上?」
「ええ、あなたの母イザベラよ。キルト」
「……母上はそんなに若くない。お前、一体」
「ふふ、信じられないようね。エキドナ様のお力で若返っただけ……それより、あなたと、あなたのチームを歓迎するわ。ようこそ、『ギガントマキア』へ」
すると、冒険者たちがどよめく。
今、確かに言った。『ギガントマキア』と。
イザベラは、パンパンと手を叩き説明を始めた。
「ギガントマキア。一般には犯罪組織と呼ばれてるわ。でもね、実際には違う。この組織はドラゴンによって作られた組織。そして今、我らが盟主エキドナ様とテュポーン様は……建国の意志を示しているわ」
「け、建国……?」
「ええ。あなたたちも冒険者なら知っているでしょう? その強大な力を……その力で、国を作る」
「は、母上……本気、ですか?」
「ええ。キルト、あなたたちは選ばれたの。偉大なるドラゴンの使徒に」
「お、おお……」
キルトはブルっと震えた。
プリメラも、他の冒険者たちもゴクリと唾を飲み込む。
「あなたたちには選択肢が二つある。一つは、ギガントマキアに忠誠を誓い戦うか。二つめ、記憶を消され、このまま帰るか」
「か、帰れるのか!?」
冒険者の一人が叫ぶ。イザベラは頷いた。
「もちろん。その代わり、今日一日の記憶と、チーム『アークライト』に関する全ての記憶を消すわ」
「……」
「どうするかは任せるわ。ドラゴンの作る国のために働けば、それ相応の地位も約束されている。このまま帰れば何気ない日常が戻るわ……退屈な日常がね」
室内は、静寂に包まれた。
すると、キルトは言う。
「みんな、やろうぜ。へへへ……建国だってよ。マジで面白そうじゃん」
「き、キルト様……」
「オレはやるぜ。新しい国の王に、オレはなる。みんな、オレに付いてこい。オレと一緒なら、なんだってできる。オレがみんなに、ユメを見せてやるよ」
キルトは強く拳を握り、掲げた。
すると、チームの一人が剣を抜いて掲げ、他にも武器を掲げる者が出た。
一人、また一人、また一人……最終的には、全員が武器を掲げた。
「やるぞ!! オレたちの未来のために!!」
「「「「「オォォォォォッ!!」」」」」
チーム『アークライト』は、ギガントマキアに下った。
イザベラは満足そうに微笑み、全員に言う。
「じゃあまず、最初のお仕事……この宮殿の侵入者を、始末する」
イザベラは指を鳴らす。
すると、イザベラの背後に巨大な異空間への入口が開く。
その異空間から、一体の巨大な『鬼』が現れた。
真紅で、傷だらけの肌。手には大剣を持ち、背中には斧を二本背負っている。
頭にはツノが五本生え、現れると同時に吠えた。
吠えると、赤い身体に火が付き燃える。
『ウォォォォォォォォォォォォォ───ッ!!』
大罪魔獣、『憤怒の鬼帝』スルト。
イザベラの切り札の魔獣が、絶叫した。
「さぁ……侵入者を殺しましょうか」
リュウキが一階で暴れている。
それを聞いたエキドナは、宮殿内にいる人間たちの脳内に、直接命じた。
『邪魔者を排除なさい』
「「「「「はっ!!」」」」」
ギガントマキアの構成員たちは、リュウキの元へ。
エキドナは、絶対に勝てはしないだろうと確信している。テュポーンも同様だ。
せいぜい、時間稼ぎがいいところ。
テュポーンと入れ違いで入ってきたイザベラが跪いて言う。
「これから、どうしますか?」
「そうねぇ……ここ、もう駄目みたいだし放棄しようかしら。人間も残り少ないし、別の国で集めて、また遊びましょう。ねぇ、イザベラ」
「はい、我が盟主」
エキドナは、いつの間にか部屋にいたイザベラを呼ぶ。
ベッドの上では、アキューレがエキドナに組み伏せられている。イザベラは、アキューレを見て軽く舌打ちをした。それを聞いたエキドナはクスクス笑う。
「ふふ、やきもちかしら? 可愛いわねぇイザベラ」
「い、いえ。その……」
「大丈夫。人間ではあなたが一番よ。あなたの息子も愛してあげる」
「あ、ありがとうございます!!」
イザベラは満面の笑みを浮かべ、一礼する。
エキドナの一番のお気に入りであるイザベラは、ギガントマキアの指揮を任されている。
莫大な資金を与え、好きに遊ばせ、その様子を眺めるもエキドナの趣味だった。なので、イザベラがドラグレード公爵家に入り、息子のキルトのためにリュウキの魔力を奪ったことも、当然知っている。
その人間が闘気を得て戻ってきたことは、イザベラに伝えていない。
なぜなら、言うとつまらないから。
だから、エキドナは言う。
「イザベラ。侵入者が誰だかわかるわね?」
「はい。リュウキ……あの抜け殻ですね。何やら妙な『獣化』スキルを得たようですが、我が息子キルト、そして私の敵ではありません」
「ふふっ……そうねぇ」
本当に、可愛い。
イザベラは何も知らない。知らされていないのだ。
リュウキがエンシェントドラゴンの力を継承し、エキドナやテュポーンと同じ『闘気』を得た、人間でありだということを。
もし、何も知らないイザベラがリュウキと戦ったら?
その自信が木端微塵に砕け散ったら?
イザベラは、どんな顔をするのだろうか?
「……~~~っ」
「エキドナ様?」
エキドナは震えた。
ゾクゾクして、身体が震える。
イザベラがどんな顔をするのか、見てみたい。
そのために、一番のお気に入りを壊すことになるかもしれない。
「ね、イザベラ」
「はい」
「あなたの息子、ここにいるの?」
「はい。ギガントマキアの後継者として、連れてきました」
「そう……じゃあ、見せてくれない?」
「はい?」
エキドナは、自らの指を嚙み千切る……すると、水色の血がポタポタ流れ落ちた。
イザベラはゴクリと喉を鳴らす。そして、エキドナが手招きし、ベッドの傍へ。
アキューレは、その光景を見ていた。
「はい、あ~~~~ん」
「あ、あぁぁ……」
青い血が、イザベラの口から喉を伝い、体内に吸収される。
すると───……イザベラの身体に変化が。
三十代半ばのイザベラ。その身体が若返り、十代後半の身体となる。そして、魔力が一気に膨れ上がり……さらに、闘気を纏ったのだ。
「あ、ああ……す、すごぃぃぃ……っ!!」
「ね、イザベラ……私、見たいな」
「……っ」
「あなたと、あなたの子供が……侵入者を、排除する姿を」
「っ!!」
イザベラは立ち上がり、ドレスの裾を持ち上げた。
「仰せの通りに、我が盟主」
◇◇◇◇◇
宮殿内の応接間に、キルトとチーム『アークライト』が集まっていた。
チーム『アークライト』の数は、総勢40名。全員が揃っていても、応接間には余裕がある。一国の王が使うような宮殿に、キルトは満足していた。
「へへへ……これが権力、これが力、これが組織、か」
「キルト様、これから何が始まるんですか?」
プリメラは首を傾げる。
プリメラだけではない。どのような『依頼』でここまで来たのか、何をするのか、キルト以外誰もわかっていない。だが、こんな部屋を用意する時点で、相当な依頼だ。
すると、応接間のドアが開き、イザベラが入ってきた。
「母上。おかえりなさ……え、母上?」
「ええ、あなたの母イザベラよ。キルト」
「……母上はそんなに若くない。お前、一体」
「ふふ、信じられないようね。エキドナ様のお力で若返っただけ……それより、あなたと、あなたのチームを歓迎するわ。ようこそ、『ギガントマキア』へ」
すると、冒険者たちがどよめく。
今、確かに言った。『ギガントマキア』と。
イザベラは、パンパンと手を叩き説明を始めた。
「ギガントマキア。一般には犯罪組織と呼ばれてるわ。でもね、実際には違う。この組織はドラゴンによって作られた組織。そして今、我らが盟主エキドナ様とテュポーン様は……建国の意志を示しているわ」
「け、建国……?」
「ええ。あなたたちも冒険者なら知っているでしょう? その強大な力を……その力で、国を作る」
「は、母上……本気、ですか?」
「ええ。キルト、あなたたちは選ばれたの。偉大なるドラゴンの使徒に」
「お、おお……」
キルトはブルっと震えた。
プリメラも、他の冒険者たちもゴクリと唾を飲み込む。
「あなたたちには選択肢が二つある。一つは、ギガントマキアに忠誠を誓い戦うか。二つめ、記憶を消され、このまま帰るか」
「か、帰れるのか!?」
冒険者の一人が叫ぶ。イザベラは頷いた。
「もちろん。その代わり、今日一日の記憶と、チーム『アークライト』に関する全ての記憶を消すわ」
「……」
「どうするかは任せるわ。ドラゴンの作る国のために働けば、それ相応の地位も約束されている。このまま帰れば何気ない日常が戻るわ……退屈な日常がね」
室内は、静寂に包まれた。
すると、キルトは言う。
「みんな、やろうぜ。へへへ……建国だってよ。マジで面白そうじゃん」
「き、キルト様……」
「オレはやるぜ。新しい国の王に、オレはなる。みんな、オレに付いてこい。オレと一緒なら、なんだってできる。オレがみんなに、ユメを見せてやるよ」
キルトは強く拳を握り、掲げた。
すると、チームの一人が剣を抜いて掲げ、他にも武器を掲げる者が出た。
一人、また一人、また一人……最終的には、全員が武器を掲げた。
「やるぞ!! オレたちの未来のために!!」
「「「「「オォォォォォッ!!」」」」」
チーム『アークライト』は、ギガントマキアに下った。
イザベラは満足そうに微笑み、全員に言う。
「じゃあまず、最初のお仕事……この宮殿の侵入者を、始末する」
イザベラは指を鳴らす。
すると、イザベラの背後に巨大な異空間への入口が開く。
その異空間から、一体の巨大な『鬼』が現れた。
真紅で、傷だらけの肌。手には大剣を持ち、背中には斧を二本背負っている。
頭にはツノが五本生え、現れると同時に吠えた。
吠えると、赤い身体に火が付き燃える。
『ウォォォォォォォォォォォォォ───ッ!!』
大罪魔獣、『憤怒の鬼帝』スルト。
イザベラの切り札の魔獣が、絶叫した。
「さぁ……侵入者を殺しましょうか」
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