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第二章
聖王国クロスガルド
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聖王国クロスガルド。
世界最大の王国。この辺り一帯にある小国を束ねる国。
小国と言っても、王様が国を治めているのではない。クロスガルド王国貴族が独立し国を治めているらしく、クロスガルド貴族だけど一国の王様という、よくわからん事情らしい。
小国の数は三十以上。そして、その国の中心にある大国家が。
「聖王国、クロスガルド……」
「でっかいわね。圧倒されるわ……」
俺とレイが見ているのは、クロスガルドにそびえ立つ巨大な『塔』だ。
ルイさんが説明してくれる。
「聖王国クロスガルド。国の総面積は、ぼくたちの故郷ハイゼン王国の十五倍。あそこに見える巨大な『塔』が、クロスガルドの象徴である『クロスガルド聖王城』だ」
「塔が、城?」
「うん。昔、偉大なる『真龍』を呼ぶための塔として建造されたんだ。エンシェントドラゴンがクロスガルド聖王一世と語り合った場所として、そのまま城にしたようだよ」
「え、エンシェントドラゴンが……?」
エンシェントドラゴン、あいつは何をしてたんだ?
そういえば、あいつのこと……あんまり知らないな。暇な時、図書館とかで調べたらわかるかも。
「そして、あっちに見えるのが『クロスガルド・エンシェント教会』だ。エンシェントドラゴンを祀る教会で、『真龍聖教』という教えを広めている。そして……あそこの枢機卿は、ドラゴンなんだってさ」
「「え?」」
「ドラゴン。エンシェントドラゴンの子供が枢機卿なんだ。人の姿をしたドラゴンらしい」
「へぇ~、ドラゴンなんだ。大丈夫なの?」
「うん。もう何千年も枢機卿らしいけど、人に危害を加えたことはないらしい」
「…………」
「ん、どうしたのリュウキ」
「い、いや」
ドラゴンの枢機卿……なんだろう、嫌な予感がする。
到着したのは、小さな宿。馬車を止め、ルイさんが受付をする。
なんとか三部屋確保し、それぞれの荷物を置いてルイさんの部屋へ。
「さて、入学試験の受付はぼくがしてるから、二人は休んでてくれ」
「いいの? 兄さん」
「ああ。せっかくだ、二人で食事でもしてきたらいい。はは、デートだデート」
「に、兄さん!! もう……」
ルイさんは行ってしまった。
レイは俺を見て、ドアを指さす。
「じゃ、ご飯……行こっか」
「ああ。腹減ったしな」
「あのね……ったく」
「何食べる?」
「そうね……」
談笑しながら宿の外へ。
町を歩きながら飲食店を探してみる……いやはや、栄えてる栄えてる。
飲食店が多いのはもちろん、武器防具屋、魔法屋、スキル屋、八百屋にパン屋、道具屋……ん? なんだろう、よくわからん店が多い。
「なぁ、魔法屋? スキル屋? ってなんだ?」
「その名の通り。魔法とスキルを売ってるのよ。でも、レベルは低いし、生活系のスキルや魔法しかないわ。地元住民が自衛のために買うようなものばかりね」
「……へぇ~」
「なに、興味あるの? あたしたちみたいなのが買うスキルはもっと高級店に行かないとないわよ。それこそ、レアスキルやエピックスキルなんてのはオークションじゃないと買えないし。そもそも、あたしたちは十六歳じゃないからスキルを宿せないし、宿す許可が出てもスキルは一個しか宿せないわよ」
「じょ、情報多い……」
「冒険者なら当たり前。そういえばあんたのこと何もしらないわね……家族は?」
「…………まぁ、そのうち話すよ」
「ふーん」
レイはそれほど興味がないのか、すぐに飲食店へ目を向ける。
「お、みてみて。焼肉屋だって。入学試験前に気合いれましょ」
「肉いいな。よし、肉にしよう」
「賛成ッ!!」
レイはパチンと指を鳴らす。
さっそく焼肉屋へ向かいうと───……。
「いでっ」
「おっと」
肩がぶつかってしまった。
男性三人組の一人と肩がぶつかった。
俺は素直に頭を下げる。
「申し訳ない。大丈夫か?」
「いっでぇなぁ!! このガキ……ほぉ、いい女連れてるな。よし、その女置いていけ。それで許してやる」
「何?」
「女置いてけってんだ。それで許してやるよ」
「……悪いけど、それは無理。ぶつかったのは悪かったけど、あんたも前方不注意だ。両成敗ってことで、これで終わりにしよう」
「あぁぁ!? ガキ、舐めんじゃねぇぞ!!」
「お、リュウキ。喧嘩売るなんてやるわね。どうする? 路地裏行く?」
「んー、来て早々に問題起こすのも。それに、入学試験前に面倒事は……」
さて、どうしようか……そう思っていると。
「セバスチャン」
「かしこまりました。お嬢様」
俺の横を誰かが通り抜けた。
老人。一瞬で男三人の首筋に刺突を叩き込み、足払いをして転ばせた。
速いな。俺は見えたけど、レンはどうだろう。
「え、え……いつの間に」
「レディ、お怪我はございませんか?」
「あ、ありがとう、ございます……」
老人は笑顔で一礼した。
俺は老人ではなく、後ろを振り返る。
そこにいたのは、ドレスを着て日傘を差している少女だ。水色のドレス、水色のロングヘア、水色の日傘、水色の瞳……とにかく水色の少女だ。
「大丈夫ですか?」
「お心遣いありがとうございます」
「まぁ」
「ほう」
しまった。貴族令息としての一礼で返してしまった……自分で言うのもなんだけど、礼は綺麗だとよく言われる。
少女はクスっと笑い、日傘を畳む。
「お二方。よろしければ、ご一緒にどうですか?」
「「え……」」
少女が誘ったのは、まさかの焼肉屋だった。
少女は「あら、私としたことが」と呟き、ドレスの裾を持ち上げる。
「お初にお目にかかります。私はアピア。聖王国クロスガルド。マーキュリー侯爵家の者です」
「え。貴族のお嬢様? なんであたしたちに?」
「おい、言葉遣い」
「あ」
「ふふ。構いませんわ。その……お二方が『入学試験』や『冒険者』とお話しているのが聞こえまして。その……私も、試験を受けるのです」
「そうなんだ……」
と、ここでレイのお腹が「ぎゅるる!」と鳴った。
「あ、あはは……その」
「ふふ、では親睦を深めるために、ご一緒にお食事しましょうか」
ご一緒にお食事って……もろ普通の焼肉屋なんだけどなぁ。
世界最大の王国。この辺り一帯にある小国を束ねる国。
小国と言っても、王様が国を治めているのではない。クロスガルド王国貴族が独立し国を治めているらしく、クロスガルド貴族だけど一国の王様という、よくわからん事情らしい。
小国の数は三十以上。そして、その国の中心にある大国家が。
「聖王国、クロスガルド……」
「でっかいわね。圧倒されるわ……」
俺とレイが見ているのは、クロスガルドにそびえ立つ巨大な『塔』だ。
ルイさんが説明してくれる。
「聖王国クロスガルド。国の総面積は、ぼくたちの故郷ハイゼン王国の十五倍。あそこに見える巨大な『塔』が、クロスガルドの象徴である『クロスガルド聖王城』だ」
「塔が、城?」
「うん。昔、偉大なる『真龍』を呼ぶための塔として建造されたんだ。エンシェントドラゴンがクロスガルド聖王一世と語り合った場所として、そのまま城にしたようだよ」
「え、エンシェントドラゴンが……?」
エンシェントドラゴン、あいつは何をしてたんだ?
そういえば、あいつのこと……あんまり知らないな。暇な時、図書館とかで調べたらわかるかも。
「そして、あっちに見えるのが『クロスガルド・エンシェント教会』だ。エンシェントドラゴンを祀る教会で、『真龍聖教』という教えを広めている。そして……あそこの枢機卿は、ドラゴンなんだってさ」
「「え?」」
「ドラゴン。エンシェントドラゴンの子供が枢機卿なんだ。人の姿をしたドラゴンらしい」
「へぇ~、ドラゴンなんだ。大丈夫なの?」
「うん。もう何千年も枢機卿らしいけど、人に危害を加えたことはないらしい」
「…………」
「ん、どうしたのリュウキ」
「い、いや」
ドラゴンの枢機卿……なんだろう、嫌な予感がする。
到着したのは、小さな宿。馬車を止め、ルイさんが受付をする。
なんとか三部屋確保し、それぞれの荷物を置いてルイさんの部屋へ。
「さて、入学試験の受付はぼくがしてるから、二人は休んでてくれ」
「いいの? 兄さん」
「ああ。せっかくだ、二人で食事でもしてきたらいい。はは、デートだデート」
「に、兄さん!! もう……」
ルイさんは行ってしまった。
レイは俺を見て、ドアを指さす。
「じゃ、ご飯……行こっか」
「ああ。腹減ったしな」
「あのね……ったく」
「何食べる?」
「そうね……」
談笑しながら宿の外へ。
町を歩きながら飲食店を探してみる……いやはや、栄えてる栄えてる。
飲食店が多いのはもちろん、武器防具屋、魔法屋、スキル屋、八百屋にパン屋、道具屋……ん? なんだろう、よくわからん店が多い。
「なぁ、魔法屋? スキル屋? ってなんだ?」
「その名の通り。魔法とスキルを売ってるのよ。でも、レベルは低いし、生活系のスキルや魔法しかないわ。地元住民が自衛のために買うようなものばかりね」
「……へぇ~」
「なに、興味あるの? あたしたちみたいなのが買うスキルはもっと高級店に行かないとないわよ。それこそ、レアスキルやエピックスキルなんてのはオークションじゃないと買えないし。そもそも、あたしたちは十六歳じゃないからスキルを宿せないし、宿す許可が出てもスキルは一個しか宿せないわよ」
「じょ、情報多い……」
「冒険者なら当たり前。そういえばあんたのこと何もしらないわね……家族は?」
「…………まぁ、そのうち話すよ」
「ふーん」
レイはそれほど興味がないのか、すぐに飲食店へ目を向ける。
「お、みてみて。焼肉屋だって。入学試験前に気合いれましょ」
「肉いいな。よし、肉にしよう」
「賛成ッ!!」
レイはパチンと指を鳴らす。
さっそく焼肉屋へ向かいうと───……。
「いでっ」
「おっと」
肩がぶつかってしまった。
男性三人組の一人と肩がぶつかった。
俺は素直に頭を下げる。
「申し訳ない。大丈夫か?」
「いっでぇなぁ!! このガキ……ほぉ、いい女連れてるな。よし、その女置いていけ。それで許してやる」
「何?」
「女置いてけってんだ。それで許してやるよ」
「……悪いけど、それは無理。ぶつかったのは悪かったけど、あんたも前方不注意だ。両成敗ってことで、これで終わりにしよう」
「あぁぁ!? ガキ、舐めんじゃねぇぞ!!」
「お、リュウキ。喧嘩売るなんてやるわね。どうする? 路地裏行く?」
「んー、来て早々に問題起こすのも。それに、入学試験前に面倒事は……」
さて、どうしようか……そう思っていると。
「セバスチャン」
「かしこまりました。お嬢様」
俺の横を誰かが通り抜けた。
老人。一瞬で男三人の首筋に刺突を叩き込み、足払いをして転ばせた。
速いな。俺は見えたけど、レンはどうだろう。
「え、え……いつの間に」
「レディ、お怪我はございませんか?」
「あ、ありがとう、ございます……」
老人は笑顔で一礼した。
俺は老人ではなく、後ろを振り返る。
そこにいたのは、ドレスを着て日傘を差している少女だ。水色のドレス、水色のロングヘア、水色の日傘、水色の瞳……とにかく水色の少女だ。
「大丈夫ですか?」
「お心遣いありがとうございます」
「まぁ」
「ほう」
しまった。貴族令息としての一礼で返してしまった……自分で言うのもなんだけど、礼は綺麗だとよく言われる。
少女はクスっと笑い、日傘を畳む。
「お二方。よろしければ、ご一緒にどうですか?」
「「え……」」
少女が誘ったのは、まさかの焼肉屋だった。
少女は「あら、私としたことが」と呟き、ドレスの裾を持ち上げる。
「お初にお目にかかります。私はアピア。聖王国クロスガルド。マーキュリー侯爵家の者です」
「え。貴族のお嬢様? なんであたしたちに?」
「おい、言葉遣い」
「あ」
「ふふ。構いませんわ。その……お二方が『入学試験』や『冒険者』とお話しているのが聞こえまして。その……私も、試験を受けるのです」
「そうなんだ……」
と、ここでレイのお腹が「ぎゅるる!」と鳴った。
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ご一緒にお食事って……もろ普通の焼肉屋なんだけどなぁ。
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