最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

文字の大きさ
上 下
62 / 62
第六章 学園社交界

風魔七忍

しおりを挟む
 黄昏旅団との戦いから二年後──。
 シャドウは一人、かつて師であったハンゾウを埋葬した洞窟にやって来た。
 
「……師匠」

 シャドウは、十八歳になった。
 かつて、新入生社交界で『悪魔』を倒し、残りの黄昏旅団を何とか倒した。
 そして、ハンゾウ最初の弟子である『世界』のサスケと一騎打ち……同じ忍術を使う者同士、戦いは苛烈を極め……シャドウはついに、サスケを打ち破った。
 シャドウは、ハンゾウを埋葬し封じた洞窟に入り、墓前に花を供える。

「師匠。黄昏旅団は壊滅しました。師匠の遺言通り……俺が、いや俺と仲間たちで倒しました」

 シャドウは手を合わせる。
 すると……シャドウの背後に、数名の男女が現れた。

「おうシャドウ、勝手に行くとかひでぇじゃねぇか」

 ライザー。
 ライザーは、義母であるクピドを一騎打ちで倒し、実の母親の仇を取った。
 今はシャドウに仕える忠実なアサシンの一人。

「か、勝手に付いてきてごめんなさい……」

 ルクレ。
 まだ修行中ではあるが、今はアサシン見習いとして修行に明け暮れている。
 どこかオドオドしているが、その雰囲気は治りそうになり。

「まあまあ。ね、シャドウくん、私たちもお花を供えていい?」

 ラウラ。
 協力者だったが、正式に風魔七忍に迎え入れた。今ではアルマス王国の次期女王であり、シャドウのよき理解者でもある。

「……ハンゾウ様」

 ヒナタ。
 シャドウの忠実な部下であり影。ハンゾウ最後の『修行』をシャドウと共に果たすことができて、女としても成長していた。

『……ふむ、奴の匂いがするの』

 ヴライヤ。
 炎竜であり、ハンゾウと戦ったドラゴン。シャドウの『口寄せの術』で召喚して戦うのだが、今では人間の世界が気に入ったのか、小型化して手乗りサイズになってシャドウの部屋に住んでいる。
 そして……六人目。

「……親父の墓か」

 若々しく見えるが四十を超えた男性。
 風魔七忍の七人目であり、黄昏旅団の『世界』を司るアサシン。
 シャドウと戦い改心……今は風魔七忍の一人として、シャドウに仕えている。
 シャドウは振り返り、全員に言う。

「やれやれ……墓前なのに騒がしいな。でも、師匠はそういうの嫌いじゃない」

 全員が笑った。
 七忍揃ったアサシンたちは、ハンゾウの墓前に花を供え祈る。
 そして、祈りを終えるとヒナタが一枚の羊皮紙を出し、シャドウに渡した。

「依頼です。対象はクルムスの町を納める町長……数々の汚職に手を染め、禁止されている奴隷売買にも関わっているとのこと」
「……暗殺対象か。よし、じゃあ……いつも通りいくか」

 墓前を後にした七忍たちは、歩き出す。
 殺しは悪。だが……殺しによって『正義』を為すこともある。
 そのために、風魔七忍は存在する。

「風魔七忍、いくぞ」
「「「「「「はっ!!」」」」」」

 これからも、正義の暗殺者たちは陰に潜み……悪を討つ。

 ─完─
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?

だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。 七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。 え?何これ?私?! どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!? しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの? しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高! ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!? 悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...