最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

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第二章 クオルデン王立魔法学園

接触

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「あー……疲れた」

 学園散策が終わり、ようやく解散。
 シャドウはヒナタと部屋に戻るなり、椅子に深く腰掛けた。
 そして、やや愚痴っぽく言う。

「悪意のない邪魔って本当にあるんだな……クオルデン王国の第二王子とアルマス王国第一王女が並んで、そこに何故か俺とヒナタ……目立ちたくないのに、嫌でも目立つ」
「そうですね……まさか、第一王女ラウラがこちらに接触してくるとは」
「……第一王女が『黄昏旅団』の可能性は?」
「ゼロではありませんが、限りなくゼロです」
「……殿下は?」
「そちらはまだ未調査です。明日、調べて参ります」
「ああ。ったく……何を目の敵にしてるのか、何かあるたびに話しかけてくる第一王女から守るように、俺の間に入ってくる」

 明確な敵意ではない、微妙な敵意……恋敵と言えばいいのか。
 シャドウは、ユアンから微妙に嫌われていると感じていた。

「とりあえず、今後のことを話そう」
「はい」

 シャドウはヒナタに椅子を勧め、ヒナタは座る。

「まず、俺たちは学園に入学した。明日から授業もある」
「はい」
「学生を演じつつ、『黄昏旅団』のメンバーを探す……そして、見つけたら暗殺する。それが厳しいようなら、正面から殺す」
「……はい」
「ヒナタ、お前には苦労を掛けると思うけど……情報収集は頼む。俺も、できる限りやるから」
「お任せください。むしろ、私はそちらが専門です」

 ヒナタは胸に手を当てて、力強く頷いた。
 
「まず最初。ヒナタはゲルニカ先生について調べてくれ。いいか……あいつの勘は鋭い。ヘタに近づきすぎると、気付かれるぞ」
「わかりました」
「よし、話はここまで。とりあえず、明日に備えて休むか」
「はい。ところで、房中術の方ですが」
「ま、まだ無理だな。もうちょい待ってくれ」

 シャドウは誤魔化し、早々にベッドに入るのだった。

 ◇◇◇◇◇◇
 
 その日の夜。
 シャドウは気配を殺し、アサシン服に着替え寮の窓から飛び出した。
 そして、地面に着地し印を結び、土に触れる。

「擬遁、『土塊分身の術』」

 土で人型を作り、幻影を投射し『シャドウ』を作る。そして作り出した『人形』を操り、ベッドに寝かせることで寮から出たことを偽装した。
 シャドウは屋根に上り、ヒナタの部屋の窓を見る。

「……あいつも調査に向かった。俺も、寝る前に行ってみるか」

 向かうべきは、二学年の使っていた訓練場。
 不思議と、そこに行くべきだとシャドウの勘が告げていた。
 屋根を伝い、訓練場に到着……やはり、誰もいないし、静まり返っていた。

「…………」

 シャドウは柱の影から訓練場を眺める。
 間違いなく、気配はない。
 だが───……シャドウの勘は、当たっていた。

『……いるのでしょう?』

 どこからか、声が聞こえてきた。
 ゆっくりと、闇の中から現れたのは……漆黒のフードを被った『何者か』だった。
 顔は見えない。声も掠れたような、男と女の声を合わせたような声。
 訓練場の中央に立つ何者かは、言葉を紡ぐ。

『黄昏旅団所属『死神デス』……ラムエルテ。どうです? この名を聞き、話を聞く気にはなりませんか?』
「───……」

 シャドウはフードを被り、マスクで顔を隠し……ラムエルテと名乗った人物に向けて手裏剣を投げた。
 すると、手裏剣は『黒いモヤ』に包まれ、ボロボロに崩れて消える。

『我は話をしたいだけ。いずれ殺す、殺されるとしても……それくらいなら、いいでしょう?』
「…………」

 大事なのは情報。
 シャドウは柱の影から出ると、中央にいるラムエルテの傍まで向かう。
 互いに、十メートルほどの距離を取り、シャドウは言う。

「……学園には三人の『黄昏旅団』がいる。残りの二人はどこだ」
『これはこれは……面白いですね』

 ラムエルテはパチパチ手を叩くと、シャドウに右人差し指を向ける。

『狙いは、我輩の……いや、ワタクシたちの暗殺、ですか。フフフ……つい先日、『ストレングス』が死亡したとありましたが、アナタも関係していますね?』
「…………」

 シャドウは無視。ラムエルテに情報を与えるつもりはない。

『答えの前に、あなたも名乗っていただけませんか? いいでしょう? ボクも名乗ったんですから』

 一人称が安定しない。喋り方もどこかおかしかった。
 恐らく、喋り方や喋りクセで、身元が割れるのを特定させないため。
 だからシャドウは言う。

「風魔七忍所属暗殺者アサシン、ハンゾウだ」
『……!!』

 動揺したのを、シャドウは見逃さなかった。
 すると、シャドウの周囲に黒いモヤが集まり出す。
 シャドウは高速で印を結び、右手を突き上げた。

「風遁、『竜巻の術』!!」

 自分を中心に、竜巻を発生させる忍術。
 黒いモヤが吹き飛ぶと、シャドウは苦無を抜いて投げ、同時に腰に差す『夢幻』を抜刀しラムエルテに接近する。
 そして、ラムエルテを両断……だが、ラムエルテの身体がモヤとなり、斬撃が無効化された。

『……その名。あなたはまさか……く、ハハハッ!! そうですかそうですか、アナタ……あのハンゾウの弟子ですか。なるほどなるほど……パワーズはハンゾウと相打ち、『女教皇ハイプリエステス』が首を持ち帰ったと聞きましたが……どうやら彼女、マドカにも話を聞く必要がありそうだ』
「…………」
『忍術。まさか、その力を使える者がいるとは……覚えておきましょう。ハンゾウの意志を継ぐ者』
「……逃げるつもりか?」
『いいえ。準備です。お互いに暗殺者……寝首を掻くならご自由に』
「俺は、お前らを全員始末するからな」
『ええ。楽しみにしていますよ……それでは、よき夜を』

 そう言い、ラムエルテは消えた。
 今度こそ、完全に消えた。

「…………」

 黄昏旅団『死神デス』のラムエルテ。
 ゲルニカの正体である可能性、全くの別人である可能性。
 シャドウには判断できない。だが……シャドウは『風魔七忍』の名を出し、敵と接触した。
 つまり、暗殺者として『黄昏旅団』を狙っていると、バレてしまった。
 
「……だからどうした」

 喧嘩を売った。
 命懸けで、暗殺者として。
 シャドウは訓練場から出て、寮に戻る。そして分身を解除し、ベッドに入る。

「……大丈夫。俺は、やれる」

 高鳴る鼓動を抑えるよう、シャドウはベッドで目をつぶるのだった。
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