聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~

さとう

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氷聖剣フリズスキャルヴと氷魔剣フェンリル②/豹変

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「『水祝』」

 ユノは自身の周囲に水の柱を作り出し、ドーム状の氷を作って閉じこもる。
 『カマクラ』……引きこもり用の技で、ユノの故郷で父が雪で作ってくれた雪のドームを、氷で再現したものだ。
 ユノは、カマクラ内で考える。

「うーん、どうしよ……」

 氷は砕かれる。そして、砕いた氷はアミュが再び固めてしまう。
 氷を使えば、相手の手数が増える……つまり、純粋な剣技以外では、アミュに攻撃が届かない。たとえ、武器の形状変化を使っても、基礎能力が『水を生み出す』と『水分を凝結させる』では、結果は変わらない。
 
「……でも」

 負けるわけにはいかない。
 でも不思議なことに、アミュには同じレイピアで戦い、勝利したかった。
 すると、カマクラに亀裂が入る。

「ッ!!」
「つれませんわね、お話しましょ?」

 アミュが『氷魔剣フェンリル』をカマクラに突き刺すと、カマクラが砕け散った。
 ユノは地面を滑るように転がり、フェンリルの連続刺突を回避する。
 
「トゥシュ!!」
「ッ!!」

 ガキン!! と、アミュの突きをユノはフリズスキャルヴの刀身で受ける。
 
「『魔氷狼ノ牙フェンリスファング』!!」
「うっ……!?」

 振り下ろし、振り上げの斬撃が、ほぼ同時に放たれる。
 ユノは苦悶の表情を浮かべた。アミュの斬撃が腕を掠り血が出たのである。
 ユノは皮膚の切れ目を撫で、凍らせて止血。

「……あ、そうだ」

 そして、ひとつ思いついた。
 
 ◇◇◇◇◇

「『水祝』」

 ユノは、今の力でできる、ありったけの水を生み出した。
 位置や規模を無視。できる限り、とにかく大量に水を生み出し、凍らせる。
 めちゃくちゃ数の氷柱が生み出されるが、アミュは気にしない。

「あらあら、数を増やせば対処できないとでも?」
「…………」

 すると、アミュが近くの氷柱に剣を突き刺した。氷柱が砕け散り、周囲に氷の欠片が舞う。
 
「残念ですがわたくし……氷を砕くだけなら、力を消費することはあませんの」

 アミュが剣を振り、周囲の氷柱を破壊しまくる。
 氷が砕ける音、氷の結晶が舞い、キラキラ輝く。
 そして、半分ほど氷柱を破壊した時、アミュは気付いた。

「───あら?」

 ユノがいない。
 アミュは初めて「しまった」と舌打ちしそうになる……が、首を振って戒める。
 自身は令嬢。汚い言葉も、仕草もしない。
 そして、隣にあった氷柱を破壊した時だった。

「どーん」
「きゃあっ!?」
 
 なんと、氷柱のてっぺんに隠れていたユノが、氷柱の破壊と同時に飛び降り、アミュに上空から体当たりを仕掛けてきたのである。
 そして、アミュの身体を拘束し、そのまま足を組んで腕を取る。

「関節殺し」
「あ、っがァァァァァッ!?」

 腕を逆に曲げ、右腕を破壊しようとギリギリと締め上げる。
 ユノは、冷静な声で言った。

「技も、剣技も、氷もダメなら、格闘しかない。わたし、ロセ先輩からいっぱい寝技習ったの。エレノアといっぱい練習した……あなた、格闘は?」
「ギギギッ……い、いだいいだいいだいぃぃぃ!!」
「わたし、格闘や寝技ならあなたより強い。ふふん」
「ッっぎゃああああああああああ!!」

 ベギィヤッ!! と、アミュの右腕の肘関節、手首の関節、肩関節が同時に砕かれた。ロセ直伝の『腕壊し』であり、ロセオリジナルの寝技の一つ……スヴァルトを実験体にして編み出した、恐るべき寝技であった。
 ユノはアミュから離れる。

「う、っぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 アミュは、腕を押さえ身体を丸め、脂汗をダラダラ流し、目をギュッと閉じ、歯を砕けんばかりに食いしばる。
 
「ごめんね、痛い?」
「───……が」
「え?」
「ふざけんなこのクソガキがああああああああああああああ!!」

 鬼のような形相になり、アミュがユノを睨んだ。
 眼が血走り、青筋を浮かべ、大口を開け……令嬢とは思えない表情になる。
 アミュは立ち上がり、綺麗に整った髪をグシャグシャと掻き、綺麗なロングスカートを破って素足を見せ、胸元を破って胸を見せつける。
 
「ああもうヤメだ!! テメエ……アタシの逆鱗に触れたぞゴルァ!!」
「こわい……あなた、それ本性?」
「じゃかあしいわワレ!! もう許さん!! テメエは噛み殺す!!」

 アミュは、『氷魔剣フェンリル』を乱暴に掴み、ユノに切っ先を向けた。

「『魔装ユナイト』!!」

 すると、氷の柱がアミュを取り囲み、冷気がアミュを包み込む。
 何が起きているのか見えない。だが、凶悪な威圧感が伝わって来た。
 そして……氷柱が一気に砕け散ると。

『ウオォォォォォォォ──ン!!』

 現れたのは、青い『狼』だった。
 鎧を纏った狼が遠吠えを放ち、ユノに向かって吠える。

『「氷魔剣フェンリル・アダージュウルブス」だ!! 殺す、噛み殺す!! ぎゃぁぁっはっはっはっは!!』
「狼……なら、こっちだって。『鎧身がいしん』」

 ユノも負けじと鎧形態へ。
 可憐なる氷の鎧。『氷聖剣鎧フリズスキャルヴ・スカディ・アヴローラ』を纏い、レイピアをアミュ……氷の狼に向ける。

『噛み殺す!!』
『決着だね』

 オオカミと氷の女神の戦いは、いよいよ決着へ。
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