聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~

 かつて、四人の魔王が率いる魔族との戦争に敗れて住む地の大半を失った人間たちは、残された土地を七分割し、人間を創造した女神が鍛えし七本の聖剣を『守護聖剣』として、それぞれの大地を守って過ごしてきた。
 女神が残した七本の聖剣を模倣して作られた数多の『模造聖剣』……これを手に、人類は今も襲い来る魔族たちと戦いながら暮らしていた。
 模造聖剣に選ばれし剣士を『聖剣士』と言い、七つの国最大である『トラビア王国』に作られた『聖剣レジェンディア学園』で武を、剣を学ぶ。
 かつて、『聖剣王』と呼ばれた伝説の聖剣士、エドワード・ティラユール。
 そのティラユールの血を引く一人の少年、ロイ……彼は、剣の才能というものに全く恵まれず、素振りすらまともにできない『落ちこぼれ』だった。
 だが、ロイは諦めずに剣を振った。共に聖剣士になると誓った幼馴染、エレノアのために。
 でも───やはりロイは、落ちこぼれのまま。後から剣を習い始めたエレノアにさえ負け続け、父からは「出来損ない」と言われ続ける。
 それでも聖剣士になることを諦めきれず……一年に一度開催される『聖剣選抜の儀』に望む。
 ここで、自分に適合する模造聖剣を手に入れる。聖剣を手に入れさえすれば、聖剣士になれる。
 そう思い参加した『聖剣選抜の儀』で……ロイが手に入れたのは、粗末な木刀。
 不殺の聖剣と呼ばれた、ただの木刀だった。
 それに対し、幼馴染のエレノアが適合したのは……長らく適合者がいなかった、七本の聖剣の一つ。『炎聖剣フェニキア』
 ロイは、聖剣士になる夢をあきらめかけた。
 そんなある日だった。

「狩りにでも行くか……」

 生きるためでもあり、ロイの趣味でもあった『狩り』
 弓で獲物を射る、なんてことの狩りなのだが……ロイが見せたのは、数キロ先から正確に獲物の急所を射抜く、神技級の『弓技』だった。
 聖剣こそ至上の世界で、神技の如き弓を使う少年、ロイ。
 聖剣士にはなれない。でも……それ以上になれる。

『お前しかいない』
「え?」

 そんなロイを認め、『不殺の聖剣』と呼ばれた粗末な木刀が真の力を発揮する。
 それは、人間を滅ぼしかけた四人の魔王たちが恐れた、『五番目の魔王』だった。
 これは、聖剣士になりたかったけど弓矢に愛された少年と、四人の魔王に封じられた最強最悪の魔王が、世界を救う物語。
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