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第九章
白狼と黒狼、白氷と黒炎
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「マルコシアス、『アイスボウ』!!」
『ガルルッ!!』
サフィーの命令で、マルコシアスは『氷の弓』を造りサフィーへ。
弓を掴み、サフィーはマルコシアスに跨ったまま氷の矢を番えた。
敵は黒い狼ことファフニール。マルコシアスよりも大きく、全身から黒い炎に包まれていた。
「マルコシアス、接近!!」
『ガァッ!!』
マルコシアスとファフニールは並走している。
場所は草原。走っているうちに、アースガルズ王国からかなり離れていた。
サフィーは弓を構え、近づいてくるファフニールに向ける……が。
『ゴロロロロロッ!!』
「っく───熱いっ!?」
黒い炎が、マルコシアスとサフィーを襲う。
マルコシアスが氷を生み出して防御するが、ファフニールの火力が強く溶かされる。
さらに、速度もファフニールのが上だ。
理由は、サフィーを載せているから。何も載せていないファフニールのが速いのは当たり前。
『グルルルルッ……!!』
だが、マルコシアスはそれを苦に思わない。思うはずがない。
なぜなら、マルコシアスのトップスピードは、サフィーを載せた状態だ。
「マルコシアス、『アイスダート』!!」
氷の槍が何本も形成され、ファフニールに向かって飛んでいく。
だが、ファフニールの全身が一気に燃え上がり、氷の槍は一瞬で蒸発した。
そして、ファフニールが全身を黒く燃やしながら向かってくる───体当たりが狙いだ。
「回避!!」
『ウォウ!!』
炎を推進力に変えた突進は、想定以上の速度。
マルコシアスは横っ飛び。サフィーも必死でしがみつく───が、少し掠った。
「っぐ……!? あ、っつぅぅぅっ!?」
『ギャゥゥッ!?』
サフィーのスカートと上着が少し燃え、マルコシアスの白い毛も黒くなった。
慌てて氷で炎を消す。少しだけ火傷をしたが、サフィーは無視。
ファフニールが、方向転換をする……その口元が歪んでいた。
「マルコシアス、私はいいから、次は全力で回避……いい? 狙いは回避の瞬間」
『…………くぅん』
「大丈夫。振り落とされないから……信じて」
『…………』
マルコシアスは、小さく頷いた。
そして───ファフニールが全身を燃やし、前足で地面を何度も蹴っている。まるで『逃げられないぞ』とでもいうかのように、口元が歪んでいる。
サフィーはごくりと唾を飲みこみ、マルコシアスにしがみつく。
マルコシアスも唸り、身体を低くた。
『ゴルルルルォォォォォォォッ!!』
『───ッ!!』
全身が真っ黒に燃え、ファフニールが走り出した。
マルコシアスがさらに身体を低くする。
そして───ファフニールの体当たりが当たる直前で横っ飛びした。
「ぐっ───ッ!!」
その勢いに、サフィーは飛ばされそうになる。
だが、堪える。
もう、弱々しかったかつての自分じゃない。S級召喚師サフィアとして、気合を入れる。
サフィーは、マルコシアスから手を放し、身体の上に立ち、弓を構える。
狙いはファフニールの脚。
サフィーは、剣や槍、弓などの武器も使える。ずっと訓練してきたのだ。
「当たれ……ッ!!」
氷の矢が放たれる。
ファフニールは後ろを向いていた。
まだ方向転換が終わっていない。
矢が当たる───。
「えっ……!?」
『ッ!!』
だが……サフィーの矢は、溶けて蒸発した。
かなりの力を込めた氷の矢が、あっさり溶けた。
つまりこれは、ファフニールはマルコシアスの力を上回っている。
『黒炎』が、『氷結』の力を上回っている。
「そんな……」
『ガルルルルッ!!』
「あ、ま、マルコシアス───回避」
次の瞬間───ファフニールの口から、炎の塊が吐き出された。
マルコシアスが氷の壁を作るが、壁は砕け散る。
そして、炎がマルコシアスに直撃……サフィーは投げ出された。
「いっ、っきゃぁぁぁぁっ!?」
『ッガ……!?』
地面を転がり、サフィーとマルコシアスは動けなくなってしまった。
◇◇◇◇◇◇
サフィーは再びマルコシアスに乗る。
だが、投げ出されたせいで身体の節々が痛んだ。腕や脚に打撲痕があり、スカートは焦げ服は破れて血がにじんでいる……生まれて初めて、こんなに怪我をした。
でも、不思議と涙は出なかった。
マルコシアスも、青っぽい白毛が焦げ、血が出ているのか赤く染まっている。
それでも、マルコシアスは立ち上がり、サフィーを乗せる。
「マルコシアス……いける?」
『……』
マルコシアスは頷く。
そして、口元をニヤリと歪めた。
昔から───病弱で、『経絡糸』が体外に飛び出ていたせいで不必要な生気を取り込んでしまう体質のせいで、マルコシアスを召喚してやれなかった。
調子のいい時に召喚してやったときは、こんな風に笑っていた。
今は、こうして戦える。
一緒に。マルコシアスの背に乗って。
「マルコシアス。もうちょっと頑張ろう……きっと、きっと勝てる」
『───グル』
ファフニールの全身が再び黒く燃え上がる。
トドメ───大きな口を開け、炎を貯めていた。
サフィーは満身創痍。マルコシアスも足を痛めたのか動きがぎこちない。
きっと、逃げられない。
「ねぇ、マルコシアス。私……頑張れたよね」
『…………』
マルコシアスはサフィーを下ろし、その身をこすりつけた。
サフィーも、マルコシアスを撫でる。
心は温かい。でも、マルコシアスの体毛はほんのり冷えている。
身体が治ったころ、よく寮の裏に召喚しては、日向ぼっこをした。
その時、サフィーもマルコシアスに寄りかかり、よく昼寝をした。そんなサフィーを見て、アルフェンが笑っていたのを覚えている。
つい最近の出来事なのに、ずっと昔に感じた。
「アルフェン。きっと勝てるよね……」
『…………グル』
「私……私、まだ、答えを聞いてない」
『…………』
「私の気持ち、ぶつけたから……ちゃんと答え、聞かないと」
サフィーはマルコシアスい言い聞かせるように前を向く。
マルコシアスも、そんなサフィーを守るように、身体から冷気を発した。
「マルコシアス、いける?」
『…………ああ』
「頑張ろう」
『ああ』
「そして……答えを、聞かなきゃ」
『そうだな』
キラキラと、マルコシアスの身体を包む冷気が輝きだした。
マルコシアスは遠吠えをする。
そして───ファフニールの貯めた黒い炎が、巨大な黒狼となって吐き出された。
『ゴァァァァァァァッ!!』
黒炎の狼は、マルコシアスとサフィーを焼き尽くさんと向かってくる。
でも……サフィーは落ち着いていた。
そして、マルコシアスを撫でながら。
「『融合』───」
静かに、呟いた。
◇◇◇◇◇◇
周囲が一瞬で冷気に包まれた。
水蒸気爆発が起きたのか。黒い炎が冷気に包まれる。
『───!?』
ファフニールは驚愕した。
自分の放った黒い炎はどうなったのか。
水蒸気で全く見えない。果たして、サフィーたちを焼き尽くしたのか。
動くべきか悩んだ。この水蒸気が晴れれば答えが見える。
その一瞬の躊躇が、勝敗を分けた。
「───見えました」
『!?』
声が聞こえた。
水蒸気が晴れていく。
そこにいたのは、焼き尽くした死体───ではない。
サフィーだった。
「マルコシアス───『白銀狼ノ氷弩』」
それは、氷のようなデザインの『クロスボウ』だった。
サフィーの身体には狼の毛皮のような物が巻かれ、フードを被っていた。まるでクロスボウを構える『狩人』のような姿。
相棒型の召喚獣が『融合』を使うと、その召喚獣の特性が色濃く出た姿になる。ダモクレスがタイタンと融合すると巨人のような姿になるのに対し、サフィーはマルコシアスと融合すると狩人のような姿になった。
巨大なクロスボウを構えるサフィーの目は、青く輝いていた。
クロスボウには、氷の矢がセットされている。
鏃は、狼の顔になっている。その顔はマルコシアスそのものだ。
『ガ……ガルァァァァッ!!』
「…………」
ファフニールは、再び全身を燃やしサフィーに向かってくる。
だが、サフィーは冷静だった。
冷静に───狙いをつけ、引金に指をかける。
「ごきげんよう」
氷のような冷たい声で、公爵令嬢のサフィーは引金を引いた。
氷の矢は恐ろしい速度で飛ぶ。
だが、ファフニールには効かない。ファフニールは氷の矢を無視し───。
『───!?!?』
矢は口から入り、体内を貫通し、尻から出ていった。
ファフニールは一瞬で凍り付き、矢は地面に着弾。巨大な氷柱となる。
『───』
氷の彫像と化したファフニールは、驚愕に目を見開いたまま静かに砕け散った。
こうして、サフィーとマルコシアスの戦いは終わった。
◇◇◇◇◇◇
『融合』を解除したサフィーは、へなへなとへたり込んだ。
「……あ、『融合』……私が」
『ウォン』
「マルコシアス……」
マルコシアスは、サフィーにすり寄る。
融合の影響なのか、怪我も消えていた。
サフィーは喜びに顔を歪め、マルコシアスに抱きつく。
「か、勝ちましたぁ!! やったぁ!!」
『くぅぅん!』
「えへへ……ありがとう、マルコシアス」
『ウォン!!』
「よーし! 早くみんなのところに戻って……あ。こ、このままじゃちょっと……恥ずかしいです」
サフィーは、自分の服が破れてボロボロなのにようやく気付き、一人顔を赤らめた。
『ガルルッ!!』
サフィーの命令で、マルコシアスは『氷の弓』を造りサフィーへ。
弓を掴み、サフィーはマルコシアスに跨ったまま氷の矢を番えた。
敵は黒い狼ことファフニール。マルコシアスよりも大きく、全身から黒い炎に包まれていた。
「マルコシアス、接近!!」
『ガァッ!!』
マルコシアスとファフニールは並走している。
場所は草原。走っているうちに、アースガルズ王国からかなり離れていた。
サフィーは弓を構え、近づいてくるファフニールに向ける……が。
『ゴロロロロロッ!!』
「っく───熱いっ!?」
黒い炎が、マルコシアスとサフィーを襲う。
マルコシアスが氷を生み出して防御するが、ファフニールの火力が強く溶かされる。
さらに、速度もファフニールのが上だ。
理由は、サフィーを載せているから。何も載せていないファフニールのが速いのは当たり前。
『グルルルルッ……!!』
だが、マルコシアスはそれを苦に思わない。思うはずがない。
なぜなら、マルコシアスのトップスピードは、サフィーを載せた状態だ。
「マルコシアス、『アイスダート』!!」
氷の槍が何本も形成され、ファフニールに向かって飛んでいく。
だが、ファフニールの全身が一気に燃え上がり、氷の槍は一瞬で蒸発した。
そして、ファフニールが全身を黒く燃やしながら向かってくる───体当たりが狙いだ。
「回避!!」
『ウォウ!!』
炎を推進力に変えた突進は、想定以上の速度。
マルコシアスは横っ飛び。サフィーも必死でしがみつく───が、少し掠った。
「っぐ……!? あ、っつぅぅぅっ!?」
『ギャゥゥッ!?』
サフィーのスカートと上着が少し燃え、マルコシアスの白い毛も黒くなった。
慌てて氷で炎を消す。少しだけ火傷をしたが、サフィーは無視。
ファフニールが、方向転換をする……その口元が歪んでいた。
「マルコシアス、私はいいから、次は全力で回避……いい? 狙いは回避の瞬間」
『…………くぅん』
「大丈夫。振り落とされないから……信じて」
『…………』
マルコシアスは、小さく頷いた。
そして───ファフニールが全身を燃やし、前足で地面を何度も蹴っている。まるで『逃げられないぞ』とでもいうかのように、口元が歪んでいる。
サフィーはごくりと唾を飲みこみ、マルコシアスにしがみつく。
マルコシアスも唸り、身体を低くた。
『ゴルルルルォォォォォォォッ!!』
『───ッ!!』
全身が真っ黒に燃え、ファフニールが走り出した。
マルコシアスがさらに身体を低くする。
そして───ファフニールの体当たりが当たる直前で横っ飛びした。
「ぐっ───ッ!!」
その勢いに、サフィーは飛ばされそうになる。
だが、堪える。
もう、弱々しかったかつての自分じゃない。S級召喚師サフィアとして、気合を入れる。
サフィーは、マルコシアスから手を放し、身体の上に立ち、弓を構える。
狙いはファフニールの脚。
サフィーは、剣や槍、弓などの武器も使える。ずっと訓練してきたのだ。
「当たれ……ッ!!」
氷の矢が放たれる。
ファフニールは後ろを向いていた。
まだ方向転換が終わっていない。
矢が当たる───。
「えっ……!?」
『ッ!!』
だが……サフィーの矢は、溶けて蒸発した。
かなりの力を込めた氷の矢が、あっさり溶けた。
つまりこれは、ファフニールはマルコシアスの力を上回っている。
『黒炎』が、『氷結』の力を上回っている。
「そんな……」
『ガルルルルッ!!』
「あ、ま、マルコシアス───回避」
次の瞬間───ファフニールの口から、炎の塊が吐き出された。
マルコシアスが氷の壁を作るが、壁は砕け散る。
そして、炎がマルコシアスに直撃……サフィーは投げ出された。
「いっ、っきゃぁぁぁぁっ!?」
『ッガ……!?』
地面を転がり、サフィーとマルコシアスは動けなくなってしまった。
◇◇◇◇◇◇
サフィーは再びマルコシアスに乗る。
だが、投げ出されたせいで身体の節々が痛んだ。腕や脚に打撲痕があり、スカートは焦げ服は破れて血がにじんでいる……生まれて初めて、こんなに怪我をした。
でも、不思議と涙は出なかった。
マルコシアスも、青っぽい白毛が焦げ、血が出ているのか赤く染まっている。
それでも、マルコシアスは立ち上がり、サフィーを乗せる。
「マルコシアス……いける?」
『……』
マルコシアスは頷く。
そして、口元をニヤリと歪めた。
昔から───病弱で、『経絡糸』が体外に飛び出ていたせいで不必要な生気を取り込んでしまう体質のせいで、マルコシアスを召喚してやれなかった。
調子のいい時に召喚してやったときは、こんな風に笑っていた。
今は、こうして戦える。
一緒に。マルコシアスの背に乗って。
「マルコシアス。もうちょっと頑張ろう……きっと、きっと勝てる」
『───グル』
ファフニールの全身が再び黒く燃え上がる。
トドメ───大きな口を開け、炎を貯めていた。
サフィーは満身創痍。マルコシアスも足を痛めたのか動きがぎこちない。
きっと、逃げられない。
「ねぇ、マルコシアス。私……頑張れたよね」
『…………』
マルコシアスはサフィーを下ろし、その身をこすりつけた。
サフィーも、マルコシアスを撫でる。
心は温かい。でも、マルコシアスの体毛はほんのり冷えている。
身体が治ったころ、よく寮の裏に召喚しては、日向ぼっこをした。
その時、サフィーもマルコシアスに寄りかかり、よく昼寝をした。そんなサフィーを見て、アルフェンが笑っていたのを覚えている。
つい最近の出来事なのに、ずっと昔に感じた。
「アルフェン。きっと勝てるよね……」
『…………グル』
「私……私、まだ、答えを聞いてない」
『…………』
「私の気持ち、ぶつけたから……ちゃんと答え、聞かないと」
サフィーはマルコシアスい言い聞かせるように前を向く。
マルコシアスも、そんなサフィーを守るように、身体から冷気を発した。
「マルコシアス、いける?」
『…………ああ』
「頑張ろう」
『ああ』
「そして……答えを、聞かなきゃ」
『そうだな』
キラキラと、マルコシアスの身体を包む冷気が輝きだした。
マルコシアスは遠吠えをする。
そして───ファフニールの貯めた黒い炎が、巨大な黒狼となって吐き出された。
『ゴァァァァァァァッ!!』
黒炎の狼は、マルコシアスとサフィーを焼き尽くさんと向かってくる。
でも……サフィーは落ち着いていた。
そして、マルコシアスを撫でながら。
「『融合』───」
静かに、呟いた。
◇◇◇◇◇◇
周囲が一瞬で冷気に包まれた。
水蒸気爆発が起きたのか。黒い炎が冷気に包まれる。
『───!?』
ファフニールは驚愕した。
自分の放った黒い炎はどうなったのか。
水蒸気で全く見えない。果たして、サフィーたちを焼き尽くしたのか。
動くべきか悩んだ。この水蒸気が晴れれば答えが見える。
その一瞬の躊躇が、勝敗を分けた。
「───見えました」
『!?』
声が聞こえた。
水蒸気が晴れていく。
そこにいたのは、焼き尽くした死体───ではない。
サフィーだった。
「マルコシアス───『白銀狼ノ氷弩』」
それは、氷のようなデザインの『クロスボウ』だった。
サフィーの身体には狼の毛皮のような物が巻かれ、フードを被っていた。まるでクロスボウを構える『狩人』のような姿。
相棒型の召喚獣が『融合』を使うと、その召喚獣の特性が色濃く出た姿になる。ダモクレスがタイタンと融合すると巨人のような姿になるのに対し、サフィーはマルコシアスと融合すると狩人のような姿になった。
巨大なクロスボウを構えるサフィーの目は、青く輝いていた。
クロスボウには、氷の矢がセットされている。
鏃は、狼の顔になっている。その顔はマルコシアスそのものだ。
『ガ……ガルァァァァッ!!』
「…………」
ファフニールは、再び全身を燃やしサフィーに向かってくる。
だが、サフィーは冷静だった。
冷静に───狙いをつけ、引金に指をかける。
「ごきげんよう」
氷のような冷たい声で、公爵令嬢のサフィーは引金を引いた。
氷の矢は恐ろしい速度で飛ぶ。
だが、ファフニールには効かない。ファフニールは氷の矢を無視し───。
『───!?!?』
矢は口から入り、体内を貫通し、尻から出ていった。
ファフニールは一瞬で凍り付き、矢は地面に着弾。巨大な氷柱となる。
『───』
氷の彫像と化したファフニールは、驚愕に目を見開いたまま静かに砕け散った。
こうして、サフィーとマルコシアスの戦いは終わった。
◇◇◇◇◇◇
『融合』を解除したサフィーは、へなへなとへたり込んだ。
「……あ、『融合』……私が」
『ウォン』
「マルコシアス……」
マルコシアスは、サフィーにすり寄る。
融合の影響なのか、怪我も消えていた。
サフィーは喜びに顔を歪め、マルコシアスに抱きつく。
「か、勝ちましたぁ!! やったぁ!!」
『くぅぅん!』
「えへへ……ありがとう、マルコシアス」
『ウォン!!』
「よーし! 早くみんなのところに戻って……あ。こ、このままじゃちょっと……恥ずかしいです」
サフィーは、自分の服が破れてボロボロなのにようやく気付き、一人顔を赤らめた。
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