召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第二章

風紀委員長ダオーム

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 ダオームは、全身が紫電に包まれていた。
 ダオームの召喚獣『ライボルトアックス』は紫電を操る。電気刺激で全身を強化し、巨大戦斧を振り回し戦うのがダオームの戦闘スタイルだ。このことは、リグヴェータ家にいた頃から変わっていない。
 アルフェンは、向かってくるダオームと真っ向勝負することにした。

「ラァァァァイッ!!」
「ふんっ!!」

 ダオームの戦斧が縦に振り下ろされる。
 アルフェンを殺す気満々の一撃。アルフェンは、斧を右手で摑み防御した。

「何ぃっ!? オレの斧を受け止め───なら、これで!!」
「ぬっ、ぐぁぁががががががががっ!?」

 バチバチと雷が全身を駆け巡る。
 アルフェンは、痺れて動けなかった。が……耐えられないほどではない。寄生型の耐久力は生身の人間を遥かに超える……ちょうどいい刺激だった。

「ぐ、ぐぎぎ……っ!! たた、耐えられれる……っ!!」
「馬鹿な!? この……バケモノめ!!」
「ふぅぅんぬぅぅぅぅがぁぁぁぁぁっ!!」
「なっ───」

 アルフェンは、右腕の力を最大限にして、ダオームの斧を思いきり掴み、そのままぶん投げた。
 ダオームは斧を握ったままだったので、そのまま演習場の地面をゴロゴロ転がる。
 斧が吹っ飛んだが、ダオームはすぐに手元に戻す。

「この、馬鹿力め……お、オレ以上の腕力だと……!?」
「あ~痺れたぁ……うん、慣れれば気持ちいいかも」
「な……舐めるなこのガキ!!」

 再び、ダオームは紫電を帯びて向かってくる。
 今度は、受け止めるつもりはなかった。アルフェンは、一瞬でダオームの真横に移動し、右腕を巨大化させダオームに向けて放つ。

「『獣の一撃ジャガーインパクト』!!」
「ぐぉぶえぇっ!?」

 まっすぐ向かう力は真横からの衝撃に弱い。
 アルフェンは、身をもって知っていた。なので、直線的なダオームの動きは、簡単に読めた。
 ダオームは再びゴロゴロ転がる。今度は殴られて吹っ飛んだのでダメージが大きく、受け身を取らずに転がったので打撲や打ち身だらけになった。

「ぐ、おぉぉ……い、痛いぃぃ……痛いぃぃ」
「痛いって……あんた、怪我したことないのかよ。俺なんて毎日殴られて修行してるけど」

 ダオームは立てなかった。
 アルフェンは、あまりの弱さに呆れてしまった。まさか、あんなに強そうに見えた兄ダオームが、これほど弱いとは……。

「俺……こんなに弱い人の弟だったのか」

 正確には、アルフェンが強すぎるだけだ。だがアルフェンは自分が強くなったとは気付いていない。三人がかりじゃないとタイタンと戦えないなんて、まだまだ弱いと思っているのだ。
 そして、ウィリアムとサフィーも合流した。

「こっちは終わったぜ。案の定、お前を狙って攻撃しようとしてたぞ」
「決闘を侮辱する行為、許せませんでした!」
「二人ともありがとな。こっちも終わった」

 ウィリアムは、ダオームを見てつまらなそうに言った。

「にしても、弱すぎだろ。つーかお前、手加減したんだろ?」
「ああ。能力は使ってないし、殴っただけ」
「B級上位でもこの程度か……つまんねーの。この学園で得るものはなさそうだ」

 ウィリアムがつまらなそうにつぶやいた瞬間───アルフェン、サフィー、ウィリアムは演習場の出口を見た。
 アルフェンたちが入ってきた方と反対側に、一人の女子生徒が立っていたのだ。

「一部始終、見させてもらった。風紀委員の粛清を妨害する行為……貴様ら三人、生徒会長の権限により『停学処分』とさせてもらう」
「「はぁ?」」
「て、てて、停学!?」
「罪状は職務遂行妨害。風紀委員長の粛清に逆らい、その行為を妨害した罪だ。貴様らがS級だろうとこの学園の生徒である以上、私の決定には逆らえない。問題行為を起こす生徒は、学園に報告せねばな」

 リリーシャは勝ち誇っていた。
 つまり、ダオームの粛清とかいう身勝手な行為を止めたことで、アルフェンたちは停学になった。
 確かに、リリーシャの言う通り。アルフェンたちはS級だが、学園の生徒である。生徒会長の決定に逆らえるはずがない。
 ウィリアムは、殺気を漲らせてリリーシャを睨む。

「おいクソ女……半殺しにされたくなきゃ、舐めた口利くんじゃねぇ。オレらにビビッて隠れてた腰抜けが、権力振りかざして悦に入ってんじゃねぇぞ」

 ビキビキと左腕が変化し、銃口となった指を突き付ける。
 だが、リリーシャは怯まない。

「お前たちの振る舞いは学園上層部に報告する。たとえ校長先生が味方だろうと、お前たちをよく思わない教師たちが、この問題行動を取り上げてくれるだろう。ふん、寮に戻って謹慎しているんだな」

 そう言って、リリーシャは去った。
 代わりに、ゾロゾロと医療チームが入り、ダオームたちを運んで行く。
 残されたアルフェンたちは、仕方なく演習場を出ようとした。

「キリアス兄さん。失礼します」
「…………」

 話しかけられたキリアスは、何も言わず俯いていた。
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