37 / 178
第二章
風紀委員長ダオーム
しおりを挟む
ダオームは、全身が紫電に包まれていた。
ダオームの召喚獣『ライボルトアックス』は紫電を操る。電気刺激で全身を強化し、巨大戦斧を振り回し戦うのがダオームの戦闘スタイルだ。このことは、リグヴェータ家にいた頃から変わっていない。
アルフェンは、向かってくるダオームと真っ向勝負することにした。
「ラァァァァイッ!!」
「ふんっ!!」
ダオームの戦斧が縦に振り下ろされる。
アルフェンを殺す気満々の一撃。アルフェンは、斧を右手で摑み防御した。
「何ぃっ!? オレの斧を受け止め───なら、これで!!」
「ぬっ、ぐぁぁががががががががっ!?」
バチバチと雷が全身を駆け巡る。
アルフェンは、痺れて動けなかった。が……耐えられないほどではない。寄生型の耐久力は生身の人間を遥かに超える……ちょうどいい刺激だった。
「ぐ、ぐぎぎ……っ!! たた、耐えられれる……っ!!」
「馬鹿な!? この……バケモノめ!!」
「ふぅぅんぬぅぅぅぅがぁぁぁぁぁっ!!」
「なっ───」
アルフェンは、右腕の力を最大限にして、ダオームの斧を思いきり掴み、そのままぶん投げた。
ダオームは斧を握ったままだったので、そのまま演習場の地面をゴロゴロ転がる。
斧が吹っ飛んだが、ダオームはすぐに手元に戻す。
「この、馬鹿力め……お、オレ以上の腕力だと……!?」
「あ~痺れたぁ……うん、慣れれば気持ちいいかも」
「な……舐めるなこのガキ!!」
再び、ダオームは紫電を帯びて向かってくる。
今度は、受け止めるつもりはなかった。アルフェンは、一瞬でダオームの真横に移動し、右腕を巨大化させダオームに向けて放つ。
「『獣の一撃』!!」
「ぐぉぶえぇっ!?」
まっすぐ向かう力は真横からの衝撃に弱い。
アルフェンは、身をもって知っていた。なので、直線的なダオームの動きは、簡単に読めた。
ダオームは再びゴロゴロ転がる。今度は殴られて吹っ飛んだのでダメージが大きく、受け身を取らずに転がったので打撲や打ち身だらけになった。
「ぐ、おぉぉ……い、痛いぃぃ……痛いぃぃ」
「痛いって……あんた、怪我したことないのかよ。俺なんて毎日殴られて修行してるけど」
ダオームは立てなかった。
アルフェンは、あまりの弱さに呆れてしまった。まさか、あんなに強そうに見えた兄ダオームが、これほど弱いとは……。
「俺……こんなに弱い人の弟だったのか」
正確には、アルフェンが強すぎるだけだ。だがアルフェンは自分が強くなったとは気付いていない。三人がかりじゃないとタイタンと戦えないなんて、まだまだ弱いと思っているのだ。
そして、ウィリアムとサフィーも合流した。
「こっちは終わったぜ。案の定、お前を狙って攻撃しようとしてたぞ」
「決闘を侮辱する行為、許せませんでした!」
「二人ともありがとな。こっちも終わった」
ウィリアムは、ダオームを見てつまらなそうに言った。
「にしても、弱すぎだろ。つーかお前、手加減したんだろ?」
「ああ。能力は使ってないし、殴っただけ」
「B級上位でもこの程度か……つまんねーの。この学園で得るものはなさそうだ」
ウィリアムがつまらなそうにつぶやいた瞬間───アルフェン、サフィー、ウィリアムは演習場の出口を見た。
アルフェンたちが入ってきた方と反対側に、一人の女子生徒が立っていたのだ。
「一部始終、見させてもらった。風紀委員の粛清を妨害する行為……貴様ら三人、生徒会長の権限により『停学処分』とさせてもらう」
「「はぁ?」」
「て、てて、停学!?」
「罪状は職務遂行妨害。風紀委員長の粛清に逆らい、その行為を妨害した罪だ。貴様らがS級だろうとこの学園の生徒である以上、私の決定には逆らえない。問題行為を起こす生徒は、学園に報告せねばな」
リリーシャは勝ち誇っていた。
つまり、ダオームの粛清とかいう身勝手な行為を止めたことで、アルフェンたちは停学になった。
確かに、リリーシャの言う通り。アルフェンたちはS級だが、学園の生徒である。生徒会長の決定に逆らえるはずがない。
ウィリアムは、殺気を漲らせてリリーシャを睨む。
「おいクソ女……半殺しにされたくなきゃ、舐めた口利くんじゃねぇ。オレらにビビッて隠れてた腰抜けが、権力振りかざして悦に入ってんじゃねぇぞ」
ビキビキと左腕が変化し、銃口となった指を突き付ける。
だが、リリーシャは怯まない。
「お前たちの振る舞いは学園上層部に報告する。たとえ校長先生が味方だろうと、お前たちをよく思わない教師たちが、この問題行動を取り上げてくれるだろう。ふん、寮に戻って謹慎しているんだな」
そう言って、リリーシャは去った。
代わりに、ゾロゾロと医療チームが入り、ダオームたちを運んで行く。
残されたアルフェンたちは、仕方なく演習場を出ようとした。
「キリアス兄さん。失礼します」
「…………」
話しかけられたキリアスは、何も言わず俯いていた。
ダオームの召喚獣『ライボルトアックス』は紫電を操る。電気刺激で全身を強化し、巨大戦斧を振り回し戦うのがダオームの戦闘スタイルだ。このことは、リグヴェータ家にいた頃から変わっていない。
アルフェンは、向かってくるダオームと真っ向勝負することにした。
「ラァァァァイッ!!」
「ふんっ!!」
ダオームの戦斧が縦に振り下ろされる。
アルフェンを殺す気満々の一撃。アルフェンは、斧を右手で摑み防御した。
「何ぃっ!? オレの斧を受け止め───なら、これで!!」
「ぬっ、ぐぁぁががががががががっ!?」
バチバチと雷が全身を駆け巡る。
アルフェンは、痺れて動けなかった。が……耐えられないほどではない。寄生型の耐久力は生身の人間を遥かに超える……ちょうどいい刺激だった。
「ぐ、ぐぎぎ……っ!! たた、耐えられれる……っ!!」
「馬鹿な!? この……バケモノめ!!」
「ふぅぅんぬぅぅぅぅがぁぁぁぁぁっ!!」
「なっ───」
アルフェンは、右腕の力を最大限にして、ダオームの斧を思いきり掴み、そのままぶん投げた。
ダオームは斧を握ったままだったので、そのまま演習場の地面をゴロゴロ転がる。
斧が吹っ飛んだが、ダオームはすぐに手元に戻す。
「この、馬鹿力め……お、オレ以上の腕力だと……!?」
「あ~痺れたぁ……うん、慣れれば気持ちいいかも」
「な……舐めるなこのガキ!!」
再び、ダオームは紫電を帯びて向かってくる。
今度は、受け止めるつもりはなかった。アルフェンは、一瞬でダオームの真横に移動し、右腕を巨大化させダオームに向けて放つ。
「『獣の一撃』!!」
「ぐぉぶえぇっ!?」
まっすぐ向かう力は真横からの衝撃に弱い。
アルフェンは、身をもって知っていた。なので、直線的なダオームの動きは、簡単に読めた。
ダオームは再びゴロゴロ転がる。今度は殴られて吹っ飛んだのでダメージが大きく、受け身を取らずに転がったので打撲や打ち身だらけになった。
「ぐ、おぉぉ……い、痛いぃぃ……痛いぃぃ」
「痛いって……あんた、怪我したことないのかよ。俺なんて毎日殴られて修行してるけど」
ダオームは立てなかった。
アルフェンは、あまりの弱さに呆れてしまった。まさか、あんなに強そうに見えた兄ダオームが、これほど弱いとは……。
「俺……こんなに弱い人の弟だったのか」
正確には、アルフェンが強すぎるだけだ。だがアルフェンは自分が強くなったとは気付いていない。三人がかりじゃないとタイタンと戦えないなんて、まだまだ弱いと思っているのだ。
そして、ウィリアムとサフィーも合流した。
「こっちは終わったぜ。案の定、お前を狙って攻撃しようとしてたぞ」
「決闘を侮辱する行為、許せませんでした!」
「二人ともありがとな。こっちも終わった」
ウィリアムは、ダオームを見てつまらなそうに言った。
「にしても、弱すぎだろ。つーかお前、手加減したんだろ?」
「ああ。能力は使ってないし、殴っただけ」
「B級上位でもこの程度か……つまんねーの。この学園で得るものはなさそうだ」
ウィリアムがつまらなそうにつぶやいた瞬間───アルフェン、サフィー、ウィリアムは演習場の出口を見た。
アルフェンたちが入ってきた方と反対側に、一人の女子生徒が立っていたのだ。
「一部始終、見させてもらった。風紀委員の粛清を妨害する行為……貴様ら三人、生徒会長の権限により『停学処分』とさせてもらう」
「「はぁ?」」
「て、てて、停学!?」
「罪状は職務遂行妨害。風紀委員長の粛清に逆らい、その行為を妨害した罪だ。貴様らがS級だろうとこの学園の生徒である以上、私の決定には逆らえない。問題行為を起こす生徒は、学園に報告せねばな」
リリーシャは勝ち誇っていた。
つまり、ダオームの粛清とかいう身勝手な行為を止めたことで、アルフェンたちは停学になった。
確かに、リリーシャの言う通り。アルフェンたちはS級だが、学園の生徒である。生徒会長の決定に逆らえるはずがない。
ウィリアムは、殺気を漲らせてリリーシャを睨む。
「おいクソ女……半殺しにされたくなきゃ、舐めた口利くんじゃねぇ。オレらにビビッて隠れてた腰抜けが、権力振りかざして悦に入ってんじゃねぇぞ」
ビキビキと左腕が変化し、銃口となった指を突き付ける。
だが、リリーシャは怯まない。
「お前たちの振る舞いは学園上層部に報告する。たとえ校長先生が味方だろうと、お前たちをよく思わない教師たちが、この問題行動を取り上げてくれるだろう。ふん、寮に戻って謹慎しているんだな」
そう言って、リリーシャは去った。
代わりに、ゾロゾロと医療チームが入り、ダオームたちを運んで行く。
残されたアルフェンたちは、仕方なく演習場を出ようとした。
「キリアス兄さん。失礼します」
「…………」
話しかけられたキリアスは、何も言わず俯いていた。
95
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる