召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第一章

実技授業

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 午後。召喚獣を使った授業が始まった。
 アルフェンたちは、F級教室の裏に集合し、オズワルドを待つ。
 そして、授業のチャイムと同時にオズワルドが現れた。
 
「それでは、これより実技に入る。召喚獣を呼び出せ」

 アルフェンたちは、召喚獣を呼び出す。
 召喚獣はもう一人の自分と言っても過言ではない。複雑な詠唱を必要としたり、精神を集中しなければならないという制約はない。
 ただ、心に呼びかけるだけ。それだけで、心に住む召喚獣を現実に呼び出せる。

「モグ、おいで」
『もぐ!』

 アルフェンは、自分の手のひらに黒いモグラを召喚する。
 モグは前足をひょいっと上げ、アルフェンに応えた。

「来い!! サラマンダー!!」
「ボイス、来な」
「ぴ、ピッグ……きて」

 ラッツは小さな火トカゲ、ハウルは小鳥、マーロンはミニブタを召喚する。

「ホワイト、わたしの召喚獣」
「おいで、モモちゃん」

 レイチェルは白蛇、ラビィはピンクのウサギを召喚。
 残りのクラスメイトたちも、小型の召喚獣を続々と呼び出す。
 召喚が終わると、オズワルドはため息を吐いた。

「見ての通り、これがF級だ」

 その声色は、あからさまに失笑が入り混じっていた。
 数名の男子の眉がつり上がる。

「召喚獣には、一個体につき一つ『能力』が宿る。そして、召喚獣の特徴として、大きければ大きいほど等級が高く、成長も速い。小さな召喚獣など愛玩動物と変わらん」

 オズワルドは、生徒たちの召喚獣を眺める。

「そして、召喚獣の戦術だ。召喚獣の固有能力というのは戦闘に適したものが殆どだ。召喚獣をけしかけ、能力を使用し、魔人を滅する。これが一般的な召喚獣戦術だ。それ以外もあるが……貴様らには無縁なので意味がないな」

 そう言って、オズワルドはため息を吐いた。
 本当に、興味がないのか失望しているのか。アルフェンもあまりいい気はしない。

「では、それぞれ能力を見せてもらおうか。多少なりとも使える能力があれば、等級査定に加えておいてやろう」

 こうして、オズワルドの前で召喚獣の能力を行使する。
 だが、オズワルドを満足させる結果にはならなかった。

「オレのサラマンダーは『火を操る』能力です!」
『カァァッ!』

 ラッツの火トカゲが、指先ほどの炎を吐いた。

「次」
「え……終わり?」

 そして、マーロンのミニブタことピッグ。

「ぴ、ピッグの能力は『身体を膨らませる』能力ですぅ」
『ぷぎぃぃ~~~っ!』

 ミニブタが、子豚ほどのサイズになった。

「次」
「え……」

 ハウルのボイスも、レイチェルの白蛇ホワイトも、オズワルドの目に留まらない。
 もちろん、アルフェンのモグもだった。
 だが、ラビィは少しだけ違った。

「も、モモちゃんの能力は、『足のケガを治す』です」
「む……怪我を?」
「は、はい。その……足だけです。その、擦り傷とか切り傷くらいですけど」
「ほう、回復型か……珍しい」

 オズワルドは、少しだけ気になったようだ。
 ラッツを呼ぶ。

「なんすか?───っでぇ!?」
「えっ……」

 ラッツを呼ぶと同時に、ラッツの足をナイフで切りつけた。
 傷は浅いが、血はしっかり出ている。
 ラビィは青ざめ、アルフェンが駆け寄ろうとすると、オズワルドが手で制する。

「治せ」
「あ、あ……は、はい」
「先生!! いくらなんでも」
「黙れ」

 ゾワリと、殺気を込めた声だった。
 アルフェンの動きが止まり、オズワルドはラビィを見る。

「回復型は貴重だ。下半身だけという制約らしいが、成長すればその枷を外せるかもしれん。まずは貴様の能力を見せてみろ……やれ」
「ぐ、い、いってぇ……」

 呻くラッツを見かねたのか、ラビィはモモちゃんを離す。
 すると、ラッツの周りをぴょんぴょん跳ねまわり出した。
 同時に、ラッツの切れた太腿がキラキラ光り出し、傷口が綺麗にふさがった。

「な、治りました……」
「ふむ、回復速度も申し分ないな。下半身だけという制約が気になるところだが……ふむ、その枷もいずれは外れるだろう。貴様、名は?」
「ら、ラビィです……」
「……召喚士本人のメンタルも考慮せねばな」

 オズワルドは、羊皮紙に何かを書き込んでいた。
 アルフェンたちがオズワルドを睨むのも無視し、ラビィに言う。

「能力を高めておけ。次回の等級査定、期待している」
「…………」

 その後も授業は続いたが……険悪な空気は流れたままだった。
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