12 / 178
第一章
オズワルド
しおりを挟む
入学式が終わり、アルフェンたちF級クラスは、学園内にあるF級教室へ向かった。
向かったと言っても、F級の待遇は非常に悪いので予想通り。
学園の教室棟ではなく、教室棟脇にある物置小屋の隣にある木造の平屋だった。
教室を見るなり、ラッツは嗤う。
「あっはっは。ここまで露骨だと怒りもしねーな」
ケラケラ笑うラッツ。アルフェンは壊れかけた引き戸を開け、教室内へ。
あまりにも酷い教室だった。
埃っぽく、窓ガラスには亀裂が入り、椅子や机はボロボロだ。
すると、女子の一人がアルフェンを押しのけ教室内へ。
「まずは掃除ね。さ、みんなでやるわよ!」
女子はパンと手を叩き、クラスメイトたちに言う。
いきなりのことに、今までクラスを仕切っていたラッツが前に出る。
「おいおいおい。いきなり仕切りだして委員長かオメーは」
「ふん。この教室の有様を見て、思ったことを言っただけよ!」
「ははーん? つーかよ、いきなり仕切るなよ。仕切るならなんで最初から、採寸のときや係決めから仕切らねーんだよ?」
「そ、そんなのどうでもいいでしょ! さ、さっさと掃除するわよ。先生も来ちゃう!」
女子とラッツがギャーギャー騒ぎだしたので、アルフェンが止めた。
「はいはいそこまで。さっさと掃除しようぜ」
「おいアルフェン。この仕切り屋には一言……」
「誰が仕切り屋よ!」
「あーもううるさい! 掃除すんだろ? えーっと……名前」
「あたしはレイチェルよ! フロンティア男爵家の五女レイチェル!」
「じゃ、レイチェルとラッツに仕切ってもらおうぜ。男子はラッツ、女子はレイチェルの言うこと聞いて掃除開始! みんなそれでいいかー?」
「「「「「異議なーし!!」」」」」
「お、ノリいいじゃん。じゃ、ラッツ頼むぜ」
「お、おう……やるなアルフェン」
「くっ……ま、まぁいいわ。ラビィ、こっち来て! あたしの補佐!」
すると、桃髪の少女ラビィがレイチェルの傍へ。
アルフェンをチラっと見てすぐ目を逸らした。
「おーし男子! 机と椅子の修繕からやろうぜ!」
「女子のみんな! 窓ふき、床掃除、蜘蛛の巣取りから始めるわよ!」
特に打ち合わせもしていないのに、見事な連携だった。
◇◇◇◇◇◇
掃除が終わり、なんとか教室らしくなった。
相変わらず椅子と机はボロボロ、窓ガラスもヒビが入っているが、テープで補修。床掃除をしたので埃っぽさは消え、教室と言えなくもない姿に。
生徒たちは、とりあえず適当に座って待つ……だが、一時間しても誰も来ない。
そして、一時間と十五分後……ようやく教師が来た。
「揃っているな」
最初の一言が、これだった。
ずっと待っていたのに、さすがのアルフェンも気分が悪い。
それに、目の前の男性教師は……どこか、見下したような目をしていた。
二十代半ばほどの年齢。茶色い髪をオールバックにし、メガネをかけていた。
「とりあえず、F級のお前らには召喚士の基礎知識だけを学んでもらう。ああ、召喚士として期待はしていない。学ぶことを学んだら卒業し、好きなように生きろ」
「「「「「…………」」」」」
「おや? なんだその目は……いいか、最初の授業だ。生徒として扱って欲しければ、召喚獣の等級を上げろ。そうすれば少しはマシな環境で授業も受けれるし、必要なことも学べる」
男性教師は、教室の空気を吸うのも嫌なのか顔を歪める。
「はぁ……空気が淀んでいるな。とりあえず『召喚士教本』を置いておく。明日から授業を始めるので今日は終わりだ。ああ、名乗っていなかったな。B級召喚士のオズワルドだ。覚えなくてもいいぞ」
そう言って、オズワルドは去った。
アルフェンの隣に座っているハウルは言う。
「貴族だろうが平民だろうが、召喚士は等級が全て……か」
「…………はぁ」
アルフェンはため息を吐いた。
これから卒業まで、やっていけるのか不安だった。
向かったと言っても、F級の待遇は非常に悪いので予想通り。
学園の教室棟ではなく、教室棟脇にある物置小屋の隣にある木造の平屋だった。
教室を見るなり、ラッツは嗤う。
「あっはっは。ここまで露骨だと怒りもしねーな」
ケラケラ笑うラッツ。アルフェンは壊れかけた引き戸を開け、教室内へ。
あまりにも酷い教室だった。
埃っぽく、窓ガラスには亀裂が入り、椅子や机はボロボロだ。
すると、女子の一人がアルフェンを押しのけ教室内へ。
「まずは掃除ね。さ、みんなでやるわよ!」
女子はパンと手を叩き、クラスメイトたちに言う。
いきなりのことに、今までクラスを仕切っていたラッツが前に出る。
「おいおいおい。いきなり仕切りだして委員長かオメーは」
「ふん。この教室の有様を見て、思ったことを言っただけよ!」
「ははーん? つーかよ、いきなり仕切るなよ。仕切るならなんで最初から、採寸のときや係決めから仕切らねーんだよ?」
「そ、そんなのどうでもいいでしょ! さ、さっさと掃除するわよ。先生も来ちゃう!」
女子とラッツがギャーギャー騒ぎだしたので、アルフェンが止めた。
「はいはいそこまで。さっさと掃除しようぜ」
「おいアルフェン。この仕切り屋には一言……」
「誰が仕切り屋よ!」
「あーもううるさい! 掃除すんだろ? えーっと……名前」
「あたしはレイチェルよ! フロンティア男爵家の五女レイチェル!」
「じゃ、レイチェルとラッツに仕切ってもらおうぜ。男子はラッツ、女子はレイチェルの言うこと聞いて掃除開始! みんなそれでいいかー?」
「「「「「異議なーし!!」」」」」
「お、ノリいいじゃん。じゃ、ラッツ頼むぜ」
「お、おう……やるなアルフェン」
「くっ……ま、まぁいいわ。ラビィ、こっち来て! あたしの補佐!」
すると、桃髪の少女ラビィがレイチェルの傍へ。
アルフェンをチラっと見てすぐ目を逸らした。
「おーし男子! 机と椅子の修繕からやろうぜ!」
「女子のみんな! 窓ふき、床掃除、蜘蛛の巣取りから始めるわよ!」
特に打ち合わせもしていないのに、見事な連携だった。
◇◇◇◇◇◇
掃除が終わり、なんとか教室らしくなった。
相変わらず椅子と机はボロボロ、窓ガラスもヒビが入っているが、テープで補修。床掃除をしたので埃っぽさは消え、教室と言えなくもない姿に。
生徒たちは、とりあえず適当に座って待つ……だが、一時間しても誰も来ない。
そして、一時間と十五分後……ようやく教師が来た。
「揃っているな」
最初の一言が、これだった。
ずっと待っていたのに、さすがのアルフェンも気分が悪い。
それに、目の前の男性教師は……どこか、見下したような目をしていた。
二十代半ばほどの年齢。茶色い髪をオールバックにし、メガネをかけていた。
「とりあえず、F級のお前らには召喚士の基礎知識だけを学んでもらう。ああ、召喚士として期待はしていない。学ぶことを学んだら卒業し、好きなように生きろ」
「「「「「…………」」」」」
「おや? なんだその目は……いいか、最初の授業だ。生徒として扱って欲しければ、召喚獣の等級を上げろ。そうすれば少しはマシな環境で授業も受けれるし、必要なことも学べる」
男性教師は、教室の空気を吸うのも嫌なのか顔を歪める。
「はぁ……空気が淀んでいるな。とりあえず『召喚士教本』を置いておく。明日から授業を始めるので今日は終わりだ。ああ、名乗っていなかったな。B級召喚士のオズワルドだ。覚えなくてもいいぞ」
そう言って、オズワルドは去った。
アルフェンの隣に座っているハウルは言う。
「貴族だろうが平民だろうが、召喚士は等級が全て……か」
「…………はぁ」
アルフェンはため息を吐いた。
これから卒業まで、やっていけるのか不安だった。
133
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる