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第六章 蓬雷の国アムルタート
いざ、蓬雷の国へ
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ミュランさんと別れた翌日。
俺とエルサは朝風呂を満喫し、朝食をしっかり食べて宿を出た。
ちなみに朝ご飯……ご飯、みそ汁、焼き魚、漬物、和え物だった。マジで感動して泣きそうになったわ。
アムルタート王国の文化、エルサは驚きだろうけど、俺は懐かしさがメインかな。
国境に向かい、いざアムルタート王国へ踏み込むと……そこは春だった。
「わあ~……綺麗ですね」
「すっげえ……」
オスクール街道は、桜の木が植えられていた。
季節は春……なのかどうか知らんけど、街路樹は全て桜の木で、満開である。
この木、桜の木でいいのかな。異世界チックな名前があるのかな。
「なんかさ……脇道入って寄り道するのがもったいないな」
「はい。この木、ずっと見ていたいです」
でも、地図やパンフレットで確認したが、アムルタート王国は多くの『寺院』や『温泉』がある。火山地帯なのか知らんけど、そこら中に温泉があり、村や町も多い。
中でも絶対に行きたいのは。
「温泉郷ヤクモ……ここは絶対に行きたいな」
「はい。あの~……温泉って、そんなに素晴らしいものなんですか?」
「人生損するレベルだな。エルサはハマること間違いなし」
「そ、そこまで……」
断言する。エルサは温泉にハマる。
オスクール街道を歩きながら地図を開いて確認する。
「温泉郷ヤクモはまだまだ遠い。まず、『天麗寺』ってところに行ってお参りしよう。ここ、でっかい大仏があるみたいだ」
「だいぶつ……?」
「えーっと、神様の像だな。エルサのパンフレットによると、天麗寺の神は『子宝』の神……あ」
「こ、子宝……その、子供はまだ早いと思います」
「わ、わかってる!! じゃなくて、有名だし、いろいろありそうだしな!!」
恥ずかしい!!
子供か……いずれは、なんてな。
まあ、今はそういうことは言わないでおく。
『きゅるる』
『もあぁぁ』
「ん? どうしたムサシ」
「コロンちゃんも、あらら……ふふ、仲良しですね」
コロンちゃんはのしのし歩き、頭の上にムサシが乗っていた。
微笑ましい……というか、かわいい。
「さて、今日はオスクール街道をゆっくり歩いて、久しぶりに野営しよう」
「はい。えーっと……半日歩けば、ちょうどいい野営用の広場があるみたいです。あ!! レクス、ここ温泉あるみたいですよ」
「え、マジで!!」
地図を見ると、なんと温泉マークが描かれていた。
異世界でも温泉マークあるのか……なんか不思議。
とにかく、元気出てきた。さあ、アムルタート王国の冒険、スタートだ!!
◇◇◇◇◇◇
半日、桜の木を眺めながら歩き、途中の茶屋で団子を食べたりして進み、夕方近くになった。
到着したのは、オスクール街道から少し外れた広場。
柵が設置され、地面が綺麗に慣らされ、さらにひと区画ごとに柵で区切られている。近くには井戸があり、さらに温泉マークのついた建物もあった。
設備が整ったキャンプ場みたいな感じ。久しぶりの野営だし、まずは鈍った身体を慣らさないとな。
「人、そんなにいませんね」
「確かに……」
俺たち以外にも何組かいる。若い冒険者チームが数組、熟練っぽい男女数名のチームが一つだ。合計して二十人もいない。
とりあえず、他の人たちと少し距離を取り、一つの区画で野営の準備をする。
テントを一つ張り、折り畳みベッドを一つ置く。
椅子とテーブル、焚火台を出し、ランプに火を入れて吊るしておく。
「よし、まずは夕飯……鍋にするか?」
「はい!!」
夕飯は鍋。ハルワタート王国の海産、もうなくなりそうだ。
アムルタート王国で買った野菜と、ウォフマナフ王国で買った冷凍肉の鍋にするか。味付けはスパイス……うん、エルサ好みの辛い鍋だ。
これに、麺を用意しておく……鍋のシメは麺だからな!!
「じゃ、メシ食ったら温泉行くか」
「はい。交代で行きましょうね」
メシの鍋、我ながらいい出来だった。
エルサ、ムサシも大満足。コロンちゃんは食べるなりグースカ寝てしまったので感想はわからんけど。
さて、エルサに片付けを任せ、俺は温泉へ。
温泉マークの建物に入ると、中には脱衣所がある。嬉しいことに誰もいない。
さっそく服を脱いで中に入る。
「おお、すっげえ……!!」
湯舟はそれほど大きくないが立派な木造りで、洗い場は三か所あった。
すごいな……マジで和風の風呂だ。
温泉だし、硫黄のニオイもする。少し硫黄は弱い感じがするけど。
さっそく身体と髪を洗って温泉へ。
「っく、っはぁぁ……」
素晴らしい……それしか言えん。
温泉だ。これこそ温泉。
ややぬめりのある温泉を肌に馴染ませ、顔を洗う。
「これ、これだ……アムルタート、最高」
アムルタート王国、俺は本気で好きになっていた。
◇◇◇◇◇◇
「上がったぞ~」
「あ、おかえりなさい」
読書をしていたエルサは、本を閉じて俺を出迎える。
「エルサ、温泉最高だ……ほら見て、俺の肌スベスベ。男の俺ですらこんなスベスベになるなら、エルサはどうなっちまうんだ……?」
「わあ……確かにスベスベですねえ」
「じゃあ交代。ゆっくりしてきなよ」
「はい。じゃあ行こっか、ムサシくん」
『きゅい』
なんとエルサ、ムサシを連れて行ってしまった。
それから一時間後……ホカホカでスベスベのエルサと、毛並みのいいムサシが戻ってきた。
「おんせん……素晴らしいですね」
『きゅるるる~……』
「だろ? ささ、冷たいお茶でも飲もう」
こうして、この日はトラブルもなく、野営をすることができたのだった。
エルサに温泉の良さを教えられたことが何よりの収穫……これからのハルワタート王国、きっといい旅になるぞ!!
俺とエルサは朝風呂を満喫し、朝食をしっかり食べて宿を出た。
ちなみに朝ご飯……ご飯、みそ汁、焼き魚、漬物、和え物だった。マジで感動して泣きそうになったわ。
アムルタート王国の文化、エルサは驚きだろうけど、俺は懐かしさがメインかな。
国境に向かい、いざアムルタート王国へ踏み込むと……そこは春だった。
「わあ~……綺麗ですね」
「すっげえ……」
オスクール街道は、桜の木が植えられていた。
季節は春……なのかどうか知らんけど、街路樹は全て桜の木で、満開である。
この木、桜の木でいいのかな。異世界チックな名前があるのかな。
「なんかさ……脇道入って寄り道するのがもったいないな」
「はい。この木、ずっと見ていたいです」
でも、地図やパンフレットで確認したが、アムルタート王国は多くの『寺院』や『温泉』がある。火山地帯なのか知らんけど、そこら中に温泉があり、村や町も多い。
中でも絶対に行きたいのは。
「温泉郷ヤクモ……ここは絶対に行きたいな」
「はい。あの~……温泉って、そんなに素晴らしいものなんですか?」
「人生損するレベルだな。エルサはハマること間違いなし」
「そ、そこまで……」
断言する。エルサは温泉にハマる。
オスクール街道を歩きながら地図を開いて確認する。
「温泉郷ヤクモはまだまだ遠い。まず、『天麗寺』ってところに行ってお参りしよう。ここ、でっかい大仏があるみたいだ」
「だいぶつ……?」
「えーっと、神様の像だな。エルサのパンフレットによると、天麗寺の神は『子宝』の神……あ」
「こ、子宝……その、子供はまだ早いと思います」
「わ、わかってる!! じゃなくて、有名だし、いろいろありそうだしな!!」
恥ずかしい!!
子供か……いずれは、なんてな。
まあ、今はそういうことは言わないでおく。
『きゅるる』
『もあぁぁ』
「ん? どうしたムサシ」
「コロンちゃんも、あらら……ふふ、仲良しですね」
コロンちゃんはのしのし歩き、頭の上にムサシが乗っていた。
微笑ましい……というか、かわいい。
「さて、今日はオスクール街道をゆっくり歩いて、久しぶりに野営しよう」
「はい。えーっと……半日歩けば、ちょうどいい野営用の広場があるみたいです。あ!! レクス、ここ温泉あるみたいですよ」
「え、マジで!!」
地図を見ると、なんと温泉マークが描かれていた。
異世界でも温泉マークあるのか……なんか不思議。
とにかく、元気出てきた。さあ、アムルタート王国の冒険、スタートだ!!
◇◇◇◇◇◇
半日、桜の木を眺めながら歩き、途中の茶屋で団子を食べたりして進み、夕方近くになった。
到着したのは、オスクール街道から少し外れた広場。
柵が設置され、地面が綺麗に慣らされ、さらにひと区画ごとに柵で区切られている。近くには井戸があり、さらに温泉マークのついた建物もあった。
設備が整ったキャンプ場みたいな感じ。久しぶりの野営だし、まずは鈍った身体を慣らさないとな。
「人、そんなにいませんね」
「確かに……」
俺たち以外にも何組かいる。若い冒険者チームが数組、熟練っぽい男女数名のチームが一つだ。合計して二十人もいない。
とりあえず、他の人たちと少し距離を取り、一つの区画で野営の準備をする。
テントを一つ張り、折り畳みベッドを一つ置く。
椅子とテーブル、焚火台を出し、ランプに火を入れて吊るしておく。
「よし、まずは夕飯……鍋にするか?」
「はい!!」
夕飯は鍋。ハルワタート王国の海産、もうなくなりそうだ。
アムルタート王国で買った野菜と、ウォフマナフ王国で買った冷凍肉の鍋にするか。味付けはスパイス……うん、エルサ好みの辛い鍋だ。
これに、麺を用意しておく……鍋のシメは麺だからな!!
「じゃ、メシ食ったら温泉行くか」
「はい。交代で行きましょうね」
メシの鍋、我ながらいい出来だった。
エルサ、ムサシも大満足。コロンちゃんは食べるなりグースカ寝てしまったので感想はわからんけど。
さて、エルサに片付けを任せ、俺は温泉へ。
温泉マークの建物に入ると、中には脱衣所がある。嬉しいことに誰もいない。
さっそく服を脱いで中に入る。
「おお、すっげえ……!!」
湯舟はそれほど大きくないが立派な木造りで、洗い場は三か所あった。
すごいな……マジで和風の風呂だ。
温泉だし、硫黄のニオイもする。少し硫黄は弱い感じがするけど。
さっそく身体と髪を洗って温泉へ。
「っく、っはぁぁ……」
素晴らしい……それしか言えん。
温泉だ。これこそ温泉。
ややぬめりのある温泉を肌に馴染ませ、顔を洗う。
「これ、これだ……アムルタート、最高」
アムルタート王国、俺は本気で好きになっていた。
◇◇◇◇◇◇
「上がったぞ~」
「あ、おかえりなさい」
読書をしていたエルサは、本を閉じて俺を出迎える。
「エルサ、温泉最高だ……ほら見て、俺の肌スベスベ。男の俺ですらこんなスベスベになるなら、エルサはどうなっちまうんだ……?」
「わあ……確かにスベスベですねえ」
「じゃあ交代。ゆっくりしてきなよ」
「はい。じゃあ行こっか、ムサシくん」
『きゅい』
なんとエルサ、ムサシを連れて行ってしまった。
それから一時間後……ホカホカでスベスベのエルサと、毛並みのいいムサシが戻ってきた。
「おんせん……素晴らしいですね」
『きゅるるる~……』
「だろ? ささ、冷たいお茶でも飲もう」
こうして、この日はトラブルもなく、野営をすることができたのだった。
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