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第四章 炎砂の国アシャ
砂漠への準備
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さて、まずは昼飯。
買い物に時間を割きたかったので、お昼は宿の近くにある飲食店へ。
レンガ作りでドーム状の、石窯みたいな店に入った。
ここはアシャ王国で出されるような食事が体験できるらしいが……エルサがヤバかった。
「すごい!! 本当にすごいです!!」
「お、おお……」
俺たちの前に出されたのは、これでもかとスパイスを振りかけた肉盛合せ。
しかも……辛い。とにかく辛かった。
辛い物大好きエルサはもう大変。「アシャ王国、わたし大好きです!!」と行ってもいないのに大好き宣言しちゃった……パンフレットによると、アシャ王国はスパイスの国でもあるらしい。
「なになに……へえ、アシャは香辛料を貿易の材料にしているのか。砂漠でどうやって育ててるんだろ」
「お土産は決まりましたね」
いや、まあいいけど……エルサ、ほんと辛いの好きだな。
アシャ王国では、濃い味付けの料理が多いようだ。基本的に水気がないから、料理は『焼き』が基本。魔獣の肉を焼いてスパイスたっぷり振りかけたり、野菜分などは輸入した物を使っているそうだ。
まあ俺も若いし、肉は好きだし濃い味付けも好きだけど……食物繊維は大事よ。
というわけで、アイテムボックスには野菜多めに入れておこう。野営では野菜スープは必ず作る。
「よし、メシ食ったし買い物行くか」
「はい。ふふふ、香辛料……」
エルサが楽しそうで何より……さて、まずは服だな。
◇◇◇◇◇◇
服屋には、風通しのいいマントやターバンみたいなのが売っていた。
俺は適当にマントと帽子を買い、適当に合わせてアイテムボックスへ……男の買い物なんてこんなもんだ。
エルサは、いろいろな刺繍の入ったマントをいくつも見比べて悩んでいた。こういうのは男にはわからん。
「ん~……レクス、どっちがいいと思いますか?」
「どれどれ」
エルサが悩んでいるのは、涼し気な氷の結晶みたいな刺繍の入ったマントと、冷たげな水の波紋みたいな刺繍のマントだ。どっちも暑い砂漠にはぴったりだろう。
とまあ……俺の意見としては。
「どっちも買えば? 気分で変えればいいじゃん」
「そういう問題じゃありません。どっちがいいかを聞いてるんです!!」
「は、はい……すみません」
怒られた。
な、なんか間違えたな……よし。
「じゃ、じゃあ……そっちの水の波紋みたいなやつ。エルサは水属性だし、ぴったり……かなぁ」
「なるほど。じゃあこっちにしますね!!」
正解……なのか?
女の子に似合う服とか選ぶのは、俺にはまだ無理みたいだ。
一緒に会計に持っていくと、店員さんが言う。
「アシャ王国に入るんですね? だったら、アシャ王国の伝統衣装はいかがです?」
「「伝統衣装?」」
「はい。砂漠のアシャワン部族が着ている衣装ですね」
と、店員が見せてくれたのは……なんとまあ、すげえ。
「こ、これ……ですか?」
「ええ、これが女性用。こっちが男性用です」
一言で言うなら、『裸に近い民族衣装』だった。
男は上半身裸、褌、腰蓑だけ。女は胸を隠すシールみたいなやつ、腰蓑に、骨とかで作ったアクセサリーだ。
男はまあいい。ってか女の方やべえ……胸を隠すの、ブラジャーみたいなやつじゃなくて、胸にカポッとはめるような、押さえるというかくっつけるような、ヤシの実を半分に割ったような胸当てだ。
これに腰蓑って……変態だろ。
なんとなくエルサを見ると、目が合った。
「れ、レクス……これ、着ます?」
「いや無理」
「で、ですよね」
このヤシの実ブラを付けたエルサを想像……うおぅ、エロい。
「……何か想像しました?」
「滅相もない」
余計な事言ったら殺されるかも。
というか、アシャワン部族、みんなこれ着てるのか? 文化が違うのは理解しているが……さすがにこれを着た女性とは顔を合わせにくいぞ。
とりあえず民族衣装は買わないでマントと帽子を買い、店を出た。
しばし無言で歩くと、エルサが言う。
「……レクス、あれを着た人、見たいですか?」
「……どんな答えを期待してるんだ」
とりあえず、もうこの話はおしまいだ!!
◇◇◇◇◇◇
その後、新鮮な野菜をいっぱい買い、野営道具を買い足した。
砂漠では薪が買えるかわからないので、薪もいっぱい買う。
水も樽でいくつか買い、旅の資金がかなり減ってしまった。
「参ったな……資金がそろそろヤバイぞ」
「ですね。けっこうお買い物したし、アールマティ王国ではあまりお金稼いでないですし……」
「そうだな……国境の町の冒険者ギルドで、アシャ王国に向かう依頼とかあれば受けるか? お金稼ぎつつ、アシャ王国に向かう依頼とかあれば最高だよな」
「あ、確かにいいですね。そろそろ冒険者活動もしたいですし」
「……まだ時間あるな」
時間的には、夕方前くらいだ。
冒険者ギルドに顔を出し、依頼掲示板を確認するくらいはできるだろう。
さっそく、エルサと冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドは町の中央にあり、横長のレンガ造りで、どこか砦みたいに見えた。
さっそく中に入り、依頼掲示板を確認すると。
「あ、レクス。これ見てください……『砂漠行き、隊商護衛』ですって」
「お、どれどれ」
依頼は、国境の町からアシャ王国に向かう隊商を護衛するという内容だ。
商人は二人組で、依頼金もけっこう安い。
向かう先は、国境からオスクール街道を進んだ『アサドの町』だ。
「最初の町に向かう依頼か。ちょうどいいな」
「はい。じゃあ、受けちゃいますか」
依頼書をはがし受付へ。
依頼を受け、明日の朝一番にギルドへ来るように言われた。
「よし。じゃあ明日出発だ。準備も終わったし、自由行動にするか?」
「そうしましょう!! ふふふ……わたしは激辛巡りをしてきますので。ではまた!!」
エルサはギルドを出て行った……速い。
さて、晩飯はまだ早い。俺はムサシを召喚し肩に載せる。
「さて、少し散歩でもするか」
『きゅるる~』
明日は砂漠だ。どこか高台にでも登って、砂漠を確認しておこうかな。
アールマティ王国ともお別れ。砂漠ではどんな出会いがあり、どんな戦いがあるのだろうか。
俺はワクワクしながら、町を散歩するのだった。
買い物に時間を割きたかったので、お昼は宿の近くにある飲食店へ。
レンガ作りでドーム状の、石窯みたいな店に入った。
ここはアシャ王国で出されるような食事が体験できるらしいが……エルサがヤバかった。
「すごい!! 本当にすごいです!!」
「お、おお……」
俺たちの前に出されたのは、これでもかとスパイスを振りかけた肉盛合せ。
しかも……辛い。とにかく辛かった。
辛い物大好きエルサはもう大変。「アシャ王国、わたし大好きです!!」と行ってもいないのに大好き宣言しちゃった……パンフレットによると、アシャ王国はスパイスの国でもあるらしい。
「なになに……へえ、アシャは香辛料を貿易の材料にしているのか。砂漠でどうやって育ててるんだろ」
「お土産は決まりましたね」
いや、まあいいけど……エルサ、ほんと辛いの好きだな。
アシャ王国では、濃い味付けの料理が多いようだ。基本的に水気がないから、料理は『焼き』が基本。魔獣の肉を焼いてスパイスたっぷり振りかけたり、野菜分などは輸入した物を使っているそうだ。
まあ俺も若いし、肉は好きだし濃い味付けも好きだけど……食物繊維は大事よ。
というわけで、アイテムボックスには野菜多めに入れておこう。野営では野菜スープは必ず作る。
「よし、メシ食ったし買い物行くか」
「はい。ふふふ、香辛料……」
エルサが楽しそうで何より……さて、まずは服だな。
◇◇◇◇◇◇
服屋には、風通しのいいマントやターバンみたいなのが売っていた。
俺は適当にマントと帽子を買い、適当に合わせてアイテムボックスへ……男の買い物なんてこんなもんだ。
エルサは、いろいろな刺繍の入ったマントをいくつも見比べて悩んでいた。こういうのは男にはわからん。
「ん~……レクス、どっちがいいと思いますか?」
「どれどれ」
エルサが悩んでいるのは、涼し気な氷の結晶みたいな刺繍の入ったマントと、冷たげな水の波紋みたいな刺繍のマントだ。どっちも暑い砂漠にはぴったりだろう。
とまあ……俺の意見としては。
「どっちも買えば? 気分で変えればいいじゃん」
「そういう問題じゃありません。どっちがいいかを聞いてるんです!!」
「は、はい……すみません」
怒られた。
な、なんか間違えたな……よし。
「じゃ、じゃあ……そっちの水の波紋みたいなやつ。エルサは水属性だし、ぴったり……かなぁ」
「なるほど。じゃあこっちにしますね!!」
正解……なのか?
女の子に似合う服とか選ぶのは、俺にはまだ無理みたいだ。
一緒に会計に持っていくと、店員さんが言う。
「アシャ王国に入るんですね? だったら、アシャ王国の伝統衣装はいかがです?」
「「伝統衣装?」」
「はい。砂漠のアシャワン部族が着ている衣装ですね」
と、店員が見せてくれたのは……なんとまあ、すげえ。
「こ、これ……ですか?」
「ええ、これが女性用。こっちが男性用です」
一言で言うなら、『裸に近い民族衣装』だった。
男は上半身裸、褌、腰蓑だけ。女は胸を隠すシールみたいなやつ、腰蓑に、骨とかで作ったアクセサリーだ。
男はまあいい。ってか女の方やべえ……胸を隠すの、ブラジャーみたいなやつじゃなくて、胸にカポッとはめるような、押さえるというかくっつけるような、ヤシの実を半分に割ったような胸当てだ。
これに腰蓑って……変態だろ。
なんとなくエルサを見ると、目が合った。
「れ、レクス……これ、着ます?」
「いや無理」
「で、ですよね」
このヤシの実ブラを付けたエルサを想像……うおぅ、エロい。
「……何か想像しました?」
「滅相もない」
余計な事言ったら殺されるかも。
というか、アシャワン部族、みんなこれ着てるのか? 文化が違うのは理解しているが……さすがにこれを着た女性とは顔を合わせにくいぞ。
とりあえず民族衣装は買わないでマントと帽子を買い、店を出た。
しばし無言で歩くと、エルサが言う。
「……レクス、あれを着た人、見たいですか?」
「……どんな答えを期待してるんだ」
とりあえず、もうこの話はおしまいだ!!
◇◇◇◇◇◇
その後、新鮮な野菜をいっぱい買い、野営道具を買い足した。
砂漠では薪が買えるかわからないので、薪もいっぱい買う。
水も樽でいくつか買い、旅の資金がかなり減ってしまった。
「参ったな……資金がそろそろヤバイぞ」
「ですね。けっこうお買い物したし、アールマティ王国ではあまりお金稼いでないですし……」
「そうだな……国境の町の冒険者ギルドで、アシャ王国に向かう依頼とかあれば受けるか? お金稼ぎつつ、アシャ王国に向かう依頼とかあれば最高だよな」
「あ、確かにいいですね。そろそろ冒険者活動もしたいですし」
「……まだ時間あるな」
時間的には、夕方前くらいだ。
冒険者ギルドに顔を出し、依頼掲示板を確認するくらいはできるだろう。
さっそく、エルサと冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドは町の中央にあり、横長のレンガ造りで、どこか砦みたいに見えた。
さっそく中に入り、依頼掲示板を確認すると。
「あ、レクス。これ見てください……『砂漠行き、隊商護衛』ですって」
「お、どれどれ」
依頼は、国境の町からアシャ王国に向かう隊商を護衛するという内容だ。
商人は二人組で、依頼金もけっこう安い。
向かう先は、国境からオスクール街道を進んだ『アサドの町』だ。
「最初の町に向かう依頼か。ちょうどいいな」
「はい。じゃあ、受けちゃいますか」
依頼書をはがし受付へ。
依頼を受け、明日の朝一番にギルドへ来るように言われた。
「よし。じゃあ明日出発だ。準備も終わったし、自由行動にするか?」
「そうしましょう!! ふふふ……わたしは激辛巡りをしてきますので。ではまた!!」
エルサはギルドを出て行った……速い。
さて、晩飯はまだ早い。俺はムサシを召喚し肩に載せる。
「さて、少し散歩でもするか」
『きゅるる~』
明日は砂漠だ。どこか高台にでも登って、砂漠を確認しておこうかな。
アールマティ王国ともお別れ。砂漠ではどんな出会いがあり、どんな戦いがあるのだろうか。
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