大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

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常夏の村

第573話、帰ってきたアシュトたち

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 ドラゴンロード王国から、転移魔法で緑龍の村に帰ってきた。

「ただいまー……って、やっぱり暑いな」
「夏、だっけ? シエラ様が言ってた」
「ああ。緑龍の村に夏が来たって……この暑さ、夏か」

 転移したのは、自宅のリビング。
 ルミナのネコミミがさっそくペタンと垂れた。

「あついぞ……」
「夏だからな。ルミナ、夏は知ってるか?」
「みゃう。知らない……あつい」
「あとで教えてやるよ、ほれほれ」
「ごろごろ……あつい、撫でるな」

 ルミナは俺から離れると、自分の部屋に戻った。
 ローレライとクララベルも、荷物を持つ。

「あーあ。お兄ちゃんとの休みも終わりかー」
「ははは。たっぷり遊んだよな」
「うん! すーっごく楽しかった!」

 クララベル、すっごくいい笑顔だ。
 建国祭で王族の務めを果たした後、ガーランド王とアルメリア王妃の計らいで、ローレライとクララベルはお休みになった。おかげで、残りの滞在期間、遊びまくった。
 ミュディもドレスのお仕事が終わって合流し、町でい~っぱい遊び、美味い物を食べまくり、いっぱいお土産を買ったり、ローレライとクララベルの秘密の泉で日光浴をしたり、ディアーナたちと合流して城下町を散策した。
 ディアーナたちは途中で帰ったけど、俺たちはのんびりドラゴンロード王国を満喫したってわけだ。

「ふぅ……さすがに疲れたわね」
「うん。姉さま、眠いー」
「ふふ、少しお昼寝したら、お土産の整理をしましょうか」
「んー……お兄ちゃん、またね」

 二人は部屋へ。
 あんまり暑そうに見えないけど……ドラゴンだからかな?
 ミュディは、すでに汗をかいていた。

「わたしも部屋に戻るね。夏服出そうっと」
「俺も着替えるよ……あっつい」

 ミュディと別れ、部屋に戻る。
 クローゼットから夏服を出して着替え、お土産を持って薬院へ。
 薬院には、薄着のココロがいた。

「あ、先生! お帰りなさい」
「ただいま、ココロ。何か問題はあったか?」
「いえ、なにも。暑さで気分を悪くした人が何人か……でも、全員が水分補給と休憩で回復しました」
「そうか。あ、これお土産」
「わぁ、ありがとうございます」

 『ドラゴンまんじゅう』と書かれた箱を渡す。
 ココロは嬉しそうに受取った。

「それにしても、暑いな……」
「ですね。でも、ディミトリ商会さんが扇風機を置いてくれましたし、エルミナさんがプールを作ってくれたので、快適に過ごしてますよ」
「……扇風機? プール?」
「はい。これです」

 ココロが指さしたのは、丸い網をかぶせてある風車だった。
 氷の魔石が埋め込んであるのか、風車が回ると冷たい風は出る。

「ディミトリか。なかなか気が利くな」
「これのおかげで涼しいです!」
「あと……プールってのは?」
「えーっと。エルミナさんが夏の対策にって、天使族の方……あの、派手な感じの人にお願いして作ってました」

 派手な感じの天使……アドナエルか。
 
「おっきな溜池みたいなやつですね。みなさん、その……下着みたいな恰好で、泳いでました」
「下着……ああ、ミズギか。ってか、そんなの作ったのか……やれやれ、ちょっと見に行くか。ココロ、案内してくれないか?」
「はい!」

 プールねぇ……どんな感じの作ったのかな。

 ◇◇◇◇◇◇

 一言で表すなら、『おおきな円形の溜池』だった。
 これがプールか。お、脱衣所みたいな建物もある。

「ここがプールです」
「大きいな……」
「夏が過ぎたら、溜池にするって言ってました」
「なるほど、考えてるんだな」

 プールでは、ミズギを着た天使族や悪魔族、銀猫や竜騎士たちもいた。
 そして、浮き輪でプカプカ浮くエルミナとシェリーもいた。

「ん?……あ、お兄ちゃんだ」
「え、アシュト? お、アシュト! おーい!」
 
 バシャバシャと泳ぎながらエルミナとシェリーが来た。
 二人のミズギ姿、久しぶりだな。
 ココロは、露出の多い恰好の二人に照れているのか、一歩下がって俺の背中に隠れてしまう。
 エルミナは、全く気にせず言った。

「どう?」
「……?」
「プール! ふふん、私のアイデアよ!」
「へぇ。さすがエルミナ。夏対策はばっちりだな」
「ふふーん!」

 胸を張るエルミナ……そういえばエルミナ、少し胸が大きくなったような気がする。
 すると、シェリーが濡れた髪をかき上げながら言う。

「お兄ちゃん、怒らないの? ぜったい怒ると思った」
「別に怒らないよ。エルミナが何かやるのはいつものことだし、みんなもこの暑さで参っただろ? このプール、みんな気持ちよさそうに使ってるしな」
「確かに。仕事終わりとかに寄ったり、休みの日は朝から浮き輪で浮かんだりと、好評よ」
「ちょっと! 私が何かやるのがいつものことってどういう意味!?」

 ぷんすか怒るエルミナの頭を押さえる。
 
「とりあえず、プールに関してはこのままでいいよ。そうだココロ、今日はもう終わりでいいからさ、エルミナたちとプールで遊んだらどうだ?」
「え……で、でもわたし」
「お、いいわね! シェリー、ココロに合うミズギ探すわ!」
「そうね。ココロ……脱ぐと意外にデカいのよ。むむぅ……」
「え、え、え」

 さて、俺は薬院に戻るかね……がんばれココロ。

 ◇◇◇◇◇◇

 家に戻ると、シルメリアさんとミュアちゃんが出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ、ご主人様。そして、申し訳ございません……お出迎えに送れました」
「ただいま。シルメリアさん、ミュアちゃん」
「にゃあ。ご主人さまー」

 ミュアちゃんが抱きついてきたので頭とネコミミを撫でた。
 俺は二人にお土産を渡し、薬院へ戻る。
 ミュアちゃんが、冷たいカーフィーを持ってきたので、遠慮なく飲み干す。

「っぷはぁ……うまい」
「にゃう。ご主人さま、あつい?」
「うん。夏……けっこう長引きそうかな」
「エルミナ、長くなるかもって言ってたー」
「そっかぁ」

 夏。夏かぁ……海とはまた違い、ここ緑龍の村が暑いんだよな。
 俺はカーフィーを飲み欲し、上着を脱ぐ。
 
「さて。ドラゴンロード王国のお菓子でも食べようか」
「にゃあ! 食べたい!」
「うん。じゃあ、子供たちをみんな呼んでおいで」
「にゃうー!」

 ミュアちゃんは、ダッシュで部屋を出ていった。
 俺は扇風機を自分に向け、お代わりのカーフィーを飲み始めた。
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