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グランドファーザー&マザー
第476話、祖父と祖母の帰還
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ビッグバロッグ王国・エストレイヤ邸
アイゼンは、目の前に現れた二人の男女を見て目を丸くした。
「ち、父上!! それと……母上!? おお……なんという」
「がっはっは!! アイゼン……んん? なんだお前、しばらく見ないうちにいい身体になったじゃないか!! よく焼け、よく鍛えておる!!」
「アイゼン、お久しぶりですね」
「父上、母上、お久しぶりです……お二人とも、お元気そうで何よりです」
「堅苦しいのぉ……アイゼン、久しぶりに飲もう!! がっはっは!」
「ち、父上……相変わらず豪快ですね」
エストレイヤ家祖父ギルガメッシュ。
ビッグバロッグ王国で一番、貴族らしくない貴族と呼ばれた歴戦の英雄で、『巌窟帝ギルガメッシュ』と呼ばれた『地』属性の魔法師だ。
性格は豪快。細かいことを考えるのが苦手で、『とりあえず殴れ』を信条としている。
貴族の生活が嫌でエストレイヤ家の全てをアイゼンに譲り、シェリーが生まれてすぐ、妻セレスティーヌを連れて世界中を巡る旅に出た。
アイゼンは、二人を応接室に通し、話を聞く。
「改めて、お久しぶりです。いやはや、お二人とも変わっていませんね」
「馬鹿もん!! みよこの筋肉!!」
「あなた、熱くるしいからおやめなさい。ところでアイゼン、リュドガたちの話はまだ聞いていませんか?」
「話、ですか?」
「……まだのようですね。すぐに報告が入るでしょうが、私から説明しておきましょう」
セレスティーヌは、リュドガたちに会った経緯を話した。
肉食トカゲの大群、たまたま入った岩場でリュドガたちを助けたことを説明する。
「なんと。肉食トカゲの大群に加え、巨大種まで」
「そういうことです。リュドガなら問題なかったかもしれませんが、念のため」
「母上、ありがとうございます……!!」
アイゼンは頭を下げた。
セレスティーヌは微笑み、紅茶を飲む。
すると、話を聞くのが面倒で黙っていたギルガメッシュが言う。
「ところで、孫たちはいるかの? リュドガのせがれや嫁のアリューシアにも挨拶したいのお!!」
「えっと、曾孫ならいますが……孫のアシュトとシェリーは、説明が必要で」
「…………アイゼン、何か隠していますね。話なさい」
「うっ……」
セレスティーヌの笑みに、アイゼンは逆らえなかった。
昔からそうだ。セレスティーヌは笑った時が一番怖い。
アイゼンが目を反らしただけで、何かあったと思い付いたようだ。
「その……説明します」
アイゼンは、アシュトをオーベルシュタインに送った経緯を話した。
◇◇◇◇◇◇
「…………なるほど。オーベルシュタインにね」
「は、はい……」
「おいおいおいおい、まさかオーベルシュタインに息子を送ったってのかぁ!? がっはっはっは!! 自分の息子を死地に送るとは……アイゼン、冗談でも済ませられんぞ」
セレスティーヌとギルガメッシュは、本気の眼差しでアイゼンを見た。
心が折れかけるが、アイゼンは続けた。
「確かに、その通りです。私は実の息子を死なせるような行動を取りました……ですが、アシュトは私の想像以上に逞しい子でした。名門貴族エストレイヤ家に必要ないと思い、追放のような形でエストレイヤ家から出しましたが……その逆、エストレイヤ家こそ、アシュトには必要なかったのです」
「…‥どういうこった?」
「アシュトは、オーベルシュタインで村を作りました。追放からたった三年ほどです」
「シェリーも、一緒なのですね?」
「はい。それと、アトワイト家のミュディもです。今ではアシュトの嫁として、共に暮らしています」
「ほぉ~」
ギルガメッシュは、感心しているようだった。
そして、にんまりと笑う。
「オーベルシュタイン……ふふ、そろそろ入ってみようと考えてたところだ。ちょうどいいな!!」
「そうですね……可愛い孫に会いに行きましょうか」
「え」
「がっはっは!! だがその前に、息子と孫を相手に一杯やらねば!! アイゼン、美味い酒をたんまり用意してくれ!! それと、城下で美味い店を百軒探しとけ!!」
「わ、わかり……百軒!?」
「それくらいあるだろう? オーベルシュタインに入る前に英気を養わねばな!!」
「……私は、アリューシアとルナマリアを誘って飲みます。あなたたちと一緒だと身体が持ちませんから」
「おう!!」
「ひゃ、百軒……」
アイゼンは、ギルガメッシュが王国最強の酒豪ということを思い出した。
「……ヒュンケルも巻き込むか。父上、ギュスターヴ家のヒュンケルも連れて構いませんか?」
「おう、呼べ呼べ!! がーっはっはっは!!」
アイゼンは、目の前に現れた二人の男女を見て目を丸くした。
「ち、父上!! それと……母上!? おお……なんという」
「がっはっは!! アイゼン……んん? なんだお前、しばらく見ないうちにいい身体になったじゃないか!! よく焼け、よく鍛えておる!!」
「アイゼン、お久しぶりですね」
「父上、母上、お久しぶりです……お二人とも、お元気そうで何よりです」
「堅苦しいのぉ……アイゼン、久しぶりに飲もう!! がっはっは!」
「ち、父上……相変わらず豪快ですね」
エストレイヤ家祖父ギルガメッシュ。
ビッグバロッグ王国で一番、貴族らしくない貴族と呼ばれた歴戦の英雄で、『巌窟帝ギルガメッシュ』と呼ばれた『地』属性の魔法師だ。
性格は豪快。細かいことを考えるのが苦手で、『とりあえず殴れ』を信条としている。
貴族の生活が嫌でエストレイヤ家の全てをアイゼンに譲り、シェリーが生まれてすぐ、妻セレスティーヌを連れて世界中を巡る旅に出た。
アイゼンは、二人を応接室に通し、話を聞く。
「改めて、お久しぶりです。いやはや、お二人とも変わっていませんね」
「馬鹿もん!! みよこの筋肉!!」
「あなた、熱くるしいからおやめなさい。ところでアイゼン、リュドガたちの話はまだ聞いていませんか?」
「話、ですか?」
「……まだのようですね。すぐに報告が入るでしょうが、私から説明しておきましょう」
セレスティーヌは、リュドガたちに会った経緯を話した。
肉食トカゲの大群、たまたま入った岩場でリュドガたちを助けたことを説明する。
「なんと。肉食トカゲの大群に加え、巨大種まで」
「そういうことです。リュドガなら問題なかったかもしれませんが、念のため」
「母上、ありがとうございます……!!」
アイゼンは頭を下げた。
セレスティーヌは微笑み、紅茶を飲む。
すると、話を聞くのが面倒で黙っていたギルガメッシュが言う。
「ところで、孫たちはいるかの? リュドガのせがれや嫁のアリューシアにも挨拶したいのお!!」
「えっと、曾孫ならいますが……孫のアシュトとシェリーは、説明が必要で」
「…………アイゼン、何か隠していますね。話なさい」
「うっ……」
セレスティーヌの笑みに、アイゼンは逆らえなかった。
昔からそうだ。セレスティーヌは笑った時が一番怖い。
アイゼンが目を反らしただけで、何かあったと思い付いたようだ。
「その……説明します」
アイゼンは、アシュトをオーベルシュタインに送った経緯を話した。
◇◇◇◇◇◇
「…………なるほど。オーベルシュタインにね」
「は、はい……」
「おいおいおいおい、まさかオーベルシュタインに息子を送ったってのかぁ!? がっはっはっは!! 自分の息子を死地に送るとは……アイゼン、冗談でも済ませられんぞ」
セレスティーヌとギルガメッシュは、本気の眼差しでアイゼンを見た。
心が折れかけるが、アイゼンは続けた。
「確かに、その通りです。私は実の息子を死なせるような行動を取りました……ですが、アシュトは私の想像以上に逞しい子でした。名門貴族エストレイヤ家に必要ないと思い、追放のような形でエストレイヤ家から出しましたが……その逆、エストレイヤ家こそ、アシュトには必要なかったのです」
「…‥どういうこった?」
「アシュトは、オーベルシュタインで村を作りました。追放からたった三年ほどです」
「シェリーも、一緒なのですね?」
「はい。それと、アトワイト家のミュディもです。今ではアシュトの嫁として、共に暮らしています」
「ほぉ~」
ギルガメッシュは、感心しているようだった。
そして、にんまりと笑う。
「オーベルシュタイン……ふふ、そろそろ入ってみようと考えてたところだ。ちょうどいいな!!」
「そうですね……可愛い孫に会いに行きましょうか」
「え」
「がっはっは!! だがその前に、息子と孫を相手に一杯やらねば!! アイゼン、美味い酒をたんまり用意してくれ!! それと、城下で美味い店を百軒探しとけ!!」
「わ、わかり……百軒!?」
「それくらいあるだろう? オーベルシュタインに入る前に英気を養わねばな!!」
「……私は、アリューシアとルナマリアを誘って飲みます。あなたたちと一緒だと身体が持ちませんから」
「おう!!」
「ひゃ、百軒……」
アイゼンは、ギルガメッシュが王国最強の酒豪ということを思い出した。
「……ヒュンケルも巻き込むか。父上、ギュスターヴ家のヒュンケルも連れて構いませんか?」
「おう、呼べ呼べ!! がーっはっはっは!!」
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