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オーベルシュタイン、二度目の冬
第427話、アシュトの冬とのんびりな一日
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冬になり、百日ほど経過した。
父上や母上は緑龍の村にすっかり慣れ、三日に一度は俺の家で食事をする。
母上も、すっかり元気になった。
血色もいいし、肌や髪の艶も戻った。以前みたいな化粧はせず、ありのままの姿で父上と一緒にいる。
図書館で読書をしたり、ローレライたちとドラゴンチェスで盛り上がったり、ミュディから裁縫を習ったり……毎日とても楽しそうだ。
父上も、鍛冶を習い始め、自身で使う農具などをいくつも生み出した。
春になったらビッグバロッグの菜園で使うと今から楽しみにしている。
二人は、とても充実した毎日を送っていた。
「……と、こんな感じ」
『そうか……よかった』
俺は、リンリンベル越しのリュドガ兄さんに、父上と母上の様子を伝えた。
三日に一度くらいの確率で兄さんは連絡をしてくる。
『エストレイヤ家は問題ない。いや……スサノオとエクレールが父上に会いたいと言ってたな』
「あはは。お爺ちゃんっ子だったしね」
『ああ。あと二百日ほどか……スサノオとエクレールも三歳になる』
「早いね……もう三歳かぁ」
『オレも二十八になる。まだまだ若いつもりだが、月日が流れるのは早い』
「うん……」
多分……俺は、父上や兄さん、母上の死を看取るだろう。
スサノオとエクレール、その息子、孫、ひ孫……ハイヒューマンとなり長寿となった俺は、これからたくさんの出会いと別れを経験しなくてはならない。
『アシュト。春になったらまた会えるか?』
「もちろん。あ、春の新年会をやる予定だからさ、兄さんやルナマリア義姉さん、スサノオとエクレールを連れてこっちに来れない?」
『ほぉ、それはいいな。よし、予定を開けておこう』
「やった。絶対だよ、兄さん」
『ああ。わかってる』
通話が終わり、俺は自室のベッドに倒れた。
「はぁ~……冬、長いなぁ」
外は雪が降っている。
一面が銀世界だ。これがあと二百日も続くのか……いや、冬は嫌いじゃないけど。
俺は薬師だ。薬草を育てたりしたいし、森に入って薬草採取もしたい。
冬は薬草が育たないから、どうしても好きじゃない。
「……あ、そうだ。洞窟にカビの採取をしに行かないと」
俺はベッドから起き上がり、薬院へ向かう。
カビと言うと不潔なイメージだが、薬になるカビもある。
葉っぱや茎を磨り潰したり、樹液を採取するだけが薬師じゃない。大自然の恵みを利用し治療をするのが薬師なのである……と、シャヘル先生から習い、フレキくんに伝えた。
「護衛……バルギルドさんは狩りに行くって言ってたし……ディアムドさんは鍛冶場かな」
ライラちゃんからもらった帽子と手袋をつけ、コートを着る。
一応、村の外だし護衛は必要だ。洞窟内に魔獣でもいたら食われてしまう。
薬院に採取キットを取りに行き、外へ。
「叔父貴、お疲れ様です」
「あ、グラッドさん……」
ちょうど、サラマンダーのグラッドさんが通りかかった。
うん。この人なら安心だ。
「あの、ちょっとお願いしたいことが……」
「へい、なんでしょう?」
洞窟にカビ採取の行くことを伝えると、二つ返事で了承。
部下のサラマンダーを三名呼び、俺を含めた五人で洞窟に行くことになった。
なんとも頼もしい……じゃあ、行きますか。
◇◇◇◇◇◇
村の近くにある洞窟。
ここは、年中気温が一定で湿気も多く、カビや苔が大量に発生している。
何も知らない人が踏み込めば不快しか感じないだろうが、俺から見ると宝の山だ。以前、シャヘル先生を連れて来たときは大喜びしてたからな。
サラマンダーの皆さんと一緒に洞窟に到着。
一人が入口で見張り、残り三人が俺と一緒に奥へ。
「……ぅ、これは」
「あはは。やっぱり気になりますよね」
「も、申し訳ございやせん!!」
洞窟には、カビと苔が大量発生していた。
カビは吸い込むと肺をやられるので、口を覆うマスクを装着する。
持参した瓶にカビを採取していく。
「叔父貴、これはどういう薬になるんで?」
「これは消毒薬です。カビを液体培養して、ろ過すると消毒液になります。ハイエルフの秘薬は大量に作れないから、自然の怪我などは従来の薬品で治療しているので」
「なるほど……叔父貴、オレらにできることがあれば、何でも言ってつかぁさい」
「ありがとうございます。じゃあ、苔を採取してもらっていいですか?」
「へい!! おめーら、やるぞ!!」
「「うぃっす!!」」
グラッドさんと二人のサラマンダーに協力してもらい、カビと苔を採取した。
瓶いっぱいのカビと苔を受け取り、さっそく村に戻る。
サラマンダーの皆さんにはお礼にお酒を渡し、薬院でさっそく仕事を始めた。
「カビの液体培養から……ふふふ、楽しいな」
仕事があるのはいいことだ。
すると、薬院のドアがノックされる。
「はーい」
「お兄ちゃん!! ケーキ作ったから食べよっ!!」
「おお、クララベル……いいね。ケーキか」
クララベルが、ケーキの箱を片手に来た。
洞窟から帰ったばかりだし、お茶を飲むのはいいかも。
さっそく湯を沸かし、苦いカーフィーでも。
「お兄ちゃん、わたしのカーフィーは砂糖とミルクたっぷりでね!!」
「おいおい、甘いケーキなら苦いカーフィーのが」
「いーや。苦いの嫌いだも~ん」
「やれやれ……」
クララベルは箱からケーキを出しカットする。
俺もカーフィーの準備をしていると、またもやドアがノックされた。
「はいよー」
「アシュト。面白い本を持ってきたのだけど、一緒に読書……あら、クララベル」
「姉さま!! 姉さま姉さま、姉さまも一緒にケーキ食べよ!!」
「ケーキ?……なるほど、あなたが作ったのね?」
「うん!!」
俺はカップを追加、苦ーいカーフィーを二つに砂糖とミルクたっぷりのを一つ用意。
クララベルの作ったフルーツケーキと一緒に出す。
「じゃ、いただきまーす」
「いただきまーす。あのね、今日のは自信作なの。お兄ちゃんと姉さま、おかわりもしてね」
「ありがとう。ふふ、クララベルってばすっかり料理好きになったわね」
フルーツケーキは甘くて美味しい。だからこそ苦いカーフィーが最高にマッチした。
しばし、ケーキとカーフィーを楽しんでいると。
「そういえばお兄ちゃん、なにかお仕事してたの?」
「ん、ああ」
「そうなの? 邪魔して悪かったわ」
「いいよ、大したことじゃないし」
「ふーん。なにしてたの?」
何気なくクララベルが聞いてきた。
俺はカーフィーを飲み欲して言う。
「ああ、カビの培養だな」
「「…………」」
二人は、なぜか顔をひきつらせた……そりゃ普通の人はカビの培養なんてしないよね!! でも薬師だから、薬で使うんだからしょうがないじゃん!!
父上や母上は緑龍の村にすっかり慣れ、三日に一度は俺の家で食事をする。
母上も、すっかり元気になった。
血色もいいし、肌や髪の艶も戻った。以前みたいな化粧はせず、ありのままの姿で父上と一緒にいる。
図書館で読書をしたり、ローレライたちとドラゴンチェスで盛り上がったり、ミュディから裁縫を習ったり……毎日とても楽しそうだ。
父上も、鍛冶を習い始め、自身で使う農具などをいくつも生み出した。
春になったらビッグバロッグの菜園で使うと今から楽しみにしている。
二人は、とても充実した毎日を送っていた。
「……と、こんな感じ」
『そうか……よかった』
俺は、リンリンベル越しのリュドガ兄さんに、父上と母上の様子を伝えた。
三日に一度くらいの確率で兄さんは連絡をしてくる。
『エストレイヤ家は問題ない。いや……スサノオとエクレールが父上に会いたいと言ってたな』
「あはは。お爺ちゃんっ子だったしね」
『ああ。あと二百日ほどか……スサノオとエクレールも三歳になる』
「早いね……もう三歳かぁ」
『オレも二十八になる。まだまだ若いつもりだが、月日が流れるのは早い』
「うん……」
多分……俺は、父上や兄さん、母上の死を看取るだろう。
スサノオとエクレール、その息子、孫、ひ孫……ハイヒューマンとなり長寿となった俺は、これからたくさんの出会いと別れを経験しなくてはならない。
『アシュト。春になったらまた会えるか?』
「もちろん。あ、春の新年会をやる予定だからさ、兄さんやルナマリア義姉さん、スサノオとエクレールを連れてこっちに来れない?」
『ほぉ、それはいいな。よし、予定を開けておこう』
「やった。絶対だよ、兄さん」
『ああ。わかってる』
通話が終わり、俺は自室のベッドに倒れた。
「はぁ~……冬、長いなぁ」
外は雪が降っている。
一面が銀世界だ。これがあと二百日も続くのか……いや、冬は嫌いじゃないけど。
俺は薬師だ。薬草を育てたりしたいし、森に入って薬草採取もしたい。
冬は薬草が育たないから、どうしても好きじゃない。
「……あ、そうだ。洞窟にカビの採取をしに行かないと」
俺はベッドから起き上がり、薬院へ向かう。
カビと言うと不潔なイメージだが、薬になるカビもある。
葉っぱや茎を磨り潰したり、樹液を採取するだけが薬師じゃない。大自然の恵みを利用し治療をするのが薬師なのである……と、シャヘル先生から習い、フレキくんに伝えた。
「護衛……バルギルドさんは狩りに行くって言ってたし……ディアムドさんは鍛冶場かな」
ライラちゃんからもらった帽子と手袋をつけ、コートを着る。
一応、村の外だし護衛は必要だ。洞窟内に魔獣でもいたら食われてしまう。
薬院に採取キットを取りに行き、外へ。
「叔父貴、お疲れ様です」
「あ、グラッドさん……」
ちょうど、サラマンダーのグラッドさんが通りかかった。
うん。この人なら安心だ。
「あの、ちょっとお願いしたいことが……」
「へい、なんでしょう?」
洞窟にカビ採取の行くことを伝えると、二つ返事で了承。
部下のサラマンダーを三名呼び、俺を含めた五人で洞窟に行くことになった。
なんとも頼もしい……じゃあ、行きますか。
◇◇◇◇◇◇
村の近くにある洞窟。
ここは、年中気温が一定で湿気も多く、カビや苔が大量に発生している。
何も知らない人が踏み込めば不快しか感じないだろうが、俺から見ると宝の山だ。以前、シャヘル先生を連れて来たときは大喜びしてたからな。
サラマンダーの皆さんと一緒に洞窟に到着。
一人が入口で見張り、残り三人が俺と一緒に奥へ。
「……ぅ、これは」
「あはは。やっぱり気になりますよね」
「も、申し訳ございやせん!!」
洞窟には、カビと苔が大量発生していた。
カビは吸い込むと肺をやられるので、口を覆うマスクを装着する。
持参した瓶にカビを採取していく。
「叔父貴、これはどういう薬になるんで?」
「これは消毒薬です。カビを液体培養して、ろ過すると消毒液になります。ハイエルフの秘薬は大量に作れないから、自然の怪我などは従来の薬品で治療しているので」
「なるほど……叔父貴、オレらにできることがあれば、何でも言ってつかぁさい」
「ありがとうございます。じゃあ、苔を採取してもらっていいですか?」
「へい!! おめーら、やるぞ!!」
「「うぃっす!!」」
グラッドさんと二人のサラマンダーに協力してもらい、カビと苔を採取した。
瓶いっぱいのカビと苔を受け取り、さっそく村に戻る。
サラマンダーの皆さんにはお礼にお酒を渡し、薬院でさっそく仕事を始めた。
「カビの液体培養から……ふふふ、楽しいな」
仕事があるのはいいことだ。
すると、薬院のドアがノックされる。
「はーい」
「お兄ちゃん!! ケーキ作ったから食べよっ!!」
「おお、クララベル……いいね。ケーキか」
クララベルが、ケーキの箱を片手に来た。
洞窟から帰ったばかりだし、お茶を飲むのはいいかも。
さっそく湯を沸かし、苦いカーフィーでも。
「お兄ちゃん、わたしのカーフィーは砂糖とミルクたっぷりでね!!」
「おいおい、甘いケーキなら苦いカーフィーのが」
「いーや。苦いの嫌いだも~ん」
「やれやれ……」
クララベルは箱からケーキを出しカットする。
俺もカーフィーの準備をしていると、またもやドアがノックされた。
「はいよー」
「アシュト。面白い本を持ってきたのだけど、一緒に読書……あら、クララベル」
「姉さま!! 姉さま姉さま、姉さまも一緒にケーキ食べよ!!」
「ケーキ?……なるほど、あなたが作ったのね?」
「うん!!」
俺はカップを追加、苦ーいカーフィーを二つに砂糖とミルクたっぷりのを一つ用意。
クララベルの作ったフルーツケーキと一緒に出す。
「じゃ、いただきまーす」
「いただきまーす。あのね、今日のは自信作なの。お兄ちゃんと姉さま、おかわりもしてね」
「ありがとう。ふふ、クララベルってばすっかり料理好きになったわね」
フルーツケーキは甘くて美味しい。だからこそ苦いカーフィーが最高にマッチした。
しばし、ケーキとカーフィーを楽しんでいると。
「そういえばお兄ちゃん、なにかお仕事してたの?」
「ん、ああ」
「そうなの? 邪魔して悪かったわ」
「いいよ、大したことじゃないし」
「ふーん。なにしてたの?」
何気なくクララベルが聞いてきた。
俺はカーフィーを飲み欲して言う。
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