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やっと出逢えた、そのあまりの安心感に俺はいつの間にか眠ってしまっていたようだった。

「ん……」

目を開けると、知らない天井が見えた。酷く暗い部屋だ。

「…目が覚めたか」

ふ、と視界に人影が映る。途端にふんわりと胸が熱を持って、愛おしいという気持ちでいっぱいになる。
俺を覗き込んでいたのは、あの声の主。魂で俺を呼んでくれていたひと。
真っ直ぐで艶やかな長い黒髪、一等星みたいにきらきらと輝く金の瞳。すらりと伸びた背筋に美術品みたいに端正な身体付き。何もかもが神様が特別に誂えたかのような、美しい男だった。

「気分はどうだ…?」

男は蕩けるような声でそう言って、俺の頬を撫でた。触れられたそこが熱を持つ。

「…ん。よく寝たから…良い気分だよ。ありがとう」

体を起こして、俺は男に寄り添った。肩をそっと抱かれる。

「……ああ。…礼を言うのは私の方だ。我が声に応えてくれて…感謝する……」

男の声は震えていて、それだけの想いが言葉に詰まっていた。

「……寂しかった、んだよな」
「……そうだ。……この果てのない暗黒の世界で……たった独りだと知って、到底耐え切れるものではなかった」

男の言う暗黒の世界、というのが何なのか俺には分からない。ただ、男がそこで独りぼっちだった事がどうしても許せなかった。

「うん。…だから俺が来たんだ。どうしてもあんたを独りにしたくなかった。俺がいるよって、言ってあげたかった…」
「……そうか」

そのまま視線を絡ませて、そうするのが当たり前みたいにどちらからともなく口付けた。唇をこすり合わせて、舌を絡める。

「ふ……、ぁ、う…っ」

ただキスしてるだけなのに、驚くほど気持ちが良い。頭がふわふわする。

「…っお前の、名を、呼びたい」

男が俺を欲の熱で揺れる目で見つめながらそう言った。

「紫、夕。俺、紫夕って、いうんだ…」
「シユウ。シユウ……シユウ。私の、…シユウ…」

男は何度も俺の名前を繰り返して、宝物を貰ったみたいに目を蕩けさせた。その間に体中を撫でられて、あちこちがびくびく勝手に跳ねる。

「はっ、ぁ、あんた、はっ…?俺、俺も、あんたを呼びたい…!」
「ああ、シユウ。──私の名はアステリア。お前に呼ばれる為の名だ……」

アステリア。綺麗な名前だ。

「アステリ、ア。アステリア、…ぁ、アステリ、ア…ッ!」

名前を呼ぶ度に男は、アステリアは俺を強く抱き締め、体中に触れた。当然のように生まれたままの姿で抱き合っていた事に今気が付いて、互いの下肢が触れ合う。もうすっかり勃ち上がった性器がすりすりと擦れあって気持ちよくて堪らない。

「んっ、ぁあ!アステ、リアっ…!それっ、そこ、きもちいい…!」 
「ああ、…っそうだ、な…。ほら、もっと、つよく…」
「あぁ!あ、あっ、ぅあ…!」

アステリアに抱き上げられ、向かい合って密着する。対面座位のような姿勢で互いの腹の間で性器同士がぎゅうぎゅうに擦れ合う。

「ひぃ…っ!あ、あぁ…あ…!」
「……っ、は、ぁ…。私の……魂の、番…っ!」
「ん!んんーっ!」

再び深く口付けあって、夢中になりながら舌を吸いあった。どうしてこんなに気持ちが良いんだろうとぼんやり考えながら、アステリアの大きな手で性器を扱かれる。

「っあぁあ…!い、くっ、イくっ…ぅ…!」

今までで味わった事ないほどの快楽と共に、アステリアの手の中に精を放った。

「……シユ、ウ……っ!」

ほとんど同時にアステリア自身もぶるりと震えて、どぷりと濃い精液が腹にかかる。

「はあ…は…はふっ……」
「は……っ」

2人で抱き合ったまま上がった息を整えて、また濡れた唇を重ねた。

「…お前の中に入りたい。良いか?シユウ…」
「うん…俺も、アステリアが、欲しい」

落ち着きかけた火がまた燃え上がるのが分かる。裸の胸をぴったりくっつけたまま腰を浮かせると、尻臀を下から支え持ち上げるようにアステリアの大きな手が回った。そのまま長い指が自分じゃ触れた事も無い後孔の縁をなぞる。そのままゆっくり潜り込んできた指が触れる所全部が気持ち良くて、無意識にきゅうきゅうと締め付けてしまう。

「ふあ…ぁ……っ!」
「ああ…なんて、愛らしい…」
「ひう…っく…!あ、アステリアぁ…!」

こんな所で快感を得るなんて信じられなかったけど、アステリアに触れられてるならそれも当然だとすんなり納得してしまう。理屈じゃなく、魂で惹かれあって存在を求め合う相手なんだと改めて理解した。

「っう、ん、ん…ん…んぅあ!」

奥の気持ちいい場所に触れられて、さっき精を吐き出したばかりの性器がまたぐんっと大きく固くなる。

「や、ぁ…!ア、ステリア…っ、も、はやく…ほしい……!」
「……っ、ああ、そうだな、すまない…」

くぅっと腰が揺れて、アステリアの首筋に唇を寄せながら熱を強請る。するりと指が抜けて行き、代わりに比べ物にならないほど熱くて太いものが肌に触れる。

「シユウ、…私の、愛……っ」
「は、あ、…ぁ、あああ…!!」

ず、ずっ、と腹の奥までいっぱいになるくらい、アステリアの剛直が俺の中を埋め尽くす。あまりの熱と快感に、それだけでイってしまいそうだった。ぶるぶる身体が震えて、腕も足も全部使ってアステリアに縋り付く。

「シユウ…っシユウ…!愛している…!」
「あああ!っ、あ!ぁああ!」

欲に掠れきった声を聞きながら、そのまま激しく揺さぶられた。体の最奥を攻め立てられて、敏感な前は互いの腹筋で擦られて、気持ち良すぎて泣いてしまう。

「うぁあっ、あ…んん!きもち、いっ!あすて、あすてりあっ、ぁす、てりああッ!」

ずっ、ばちゅっ、ごちゅん!
激しく肌がぶつかり合って、神経を直接焼かれてるみたいに激しい快楽が頭をとろけさせる。

「っ、ぅ…私、の、…私のものだっ…。シユウ、シユウ…!おまえは、永遠、に……私の…っ!」

アステリアはうわ言みたいにそう呟いて、腹を突き破りそうなくらい深く俺を貫いた。ぐりゅぅっ!と信じられないくらいの快楽を産む場所を抉られて、目の前がちかちかと光る。

「ああぁあっ!! ひ、ぃあぁ…!!イ、く、また…ぁ、ああ、ぁ!」
「そう、だ、…共に…っ!」

もう何も考えられなかった。頭が真っ白になって、アステリアが愛おしい。それだけしかなかった。

「ぁ、あ───!!」

びくうっ!と仰け反って、体を貫いて頭を焼きそうな快楽に身を委ねた。全身ががくがく震えて、同時に腹の奥に吐き出されたアステリアの精の熱に泣きたくなるくらい幸せな気持ちになる。
互いの汗や体液で濡れたまま、俺達はしばらくの間ぴったりとくっついて抱き合っていた。






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