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第1章 ディンブラ・ティー
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昼時を少しすぎ、太陽もお昼休憩なのか先程の突き刺さるような日差しは優しくも暖かな陽の光になり食後の緩まった体を温める。
ほのかに吹く風に公園の名前も分からない木々が青々とした葉を揺らしてざわざわと立てる音が、耳に心地よくゆっくりと気が遠のいて行きそうになるのを翠璃は公園のベンチに腰掛けてまぶたの重みを感じた。
木製のベンチからは長時間太陽光を受けて熱を貰ったようで床暖房のように触れる場所は心地いいほどに温かかった。
「橙子ちゃーん、見つかったー?」
「ううん。まだー」
あまりの心地良さにまぶたがゆっくりと下がっていた時に前方から先程からずっと一緒にいる女子の声が聞こえてハッと目を開いてぶんぶんの左右に首を振って眠気を覚ますような動きをする。
「でも、ありそうだよねー」
「そんなにすぐ見つからないのよ」
「まぁ、そうだよね。…うーん…」
そんなことを言いながらスカートを折りたたんでしゃがみこむ2人は緑色の絨毯のように広がった野草を一つ一つ漁っていた。
そんなことをしている2人が理解出来ず翠璃は欠伸をする代わりに大きなため息をついて背もたれに体を預けて腕を組みその背中に声をかける。
「まったく…そんな雑草なんかいじって何が楽しいんだか…」
「雑草なんかじゃないよーぉ。蒼達は四つ葉のクローバーを探してるのー」
断固として参加しようとしない翠璃に心外だなーと蒼が唇をとがらせるが橙子は気づいてないのかあえて無視しているのか真剣に辺りのシロツメクサの葉を見つける度に枚数を確認することを何度も繰り返す。
「まぁ、なんでもいいけど…それまだ続くの?」
「見つかればすぐ終わるわよ」
そう言う橙子だったが手にして枚数を数えるクローバーは望んでいる枚数でないことが分かりまたため息を漏らして肩を落とす。
その様子を見た翠璃はこれは日が暮れるわねと絶望しまたため息を漏らす。
「もぉ、橙子ちゃん!!そんなにため息吐くから幸せ逃げるんだよー」
付き合わされてる蒼はプクッと頬をふくらませて橙子に不満をぶつける。
「ご、ごめんー」
「もうっ…あ、ああっ!!みーっけ!!」
橙子の謝罪を受け入れて手元を見らずに野草を引きちぎり蒼はその手にあるものを確認すると、大声とともに先程やりもキラキラと目を輝かせて橙子や翠璃だけでなく公園に居た他の人々にまで見せるように頭上に掲げる。
その手には小さいが四つ葉のクローバーが握られていた。
「やったー、蒼1番にみーっけ」
「あー、先越されちゃったぁ」
「ごめんねぇ、橙子ちゃん」
嬉しそうに笑う蒼は大事そうに四つ葉のクローバーを握りしめて落胆する橙子を優しく抱きしめて慰めるようにする。
「大丈夫だよすぐに橙子ちゃんもみつかるよ、ほら、蒼の幸せおすそ分けしてあげるーっ」
「ふふっ、ありがとう蒼ぃ」
橙子が微笑み返すと蒼は翠璃のいるベンチのもとに戻っていき、置いていたショルダーバッグから財布を取り出して大切そうに取り立ての幸せをしまった。
「あ、そうだ。蒼、飲み物買ってくるけど、翠璃ちゃん達はいる?」
「私は大丈夫」
「じゃあ私はミネラルウォーターお願いしてもいい?」
「りょうかーい、じゃあ行ってくるね」
橙子は引き続きしゃがみこんで幸せを探し翠璃は蒼におつかいを頼んで蒼は自動販売機のある方へ歩いていった。
その背中を眺めた翠璃はまた懲りずに芝生を漁る橙子が哀れにも思えて声をかける。
「こんなに探しても見つからないなんて…アンタにはよっぽど運がないのね」
「う、うるさいわね…っ…今の私が幸せだからクローバーなんか必要ないって神様が思ってるから見つからないだけよ!!」
そう強がる橙子だったが立ち上がってまた違う場所に移動してまた探し出す。
翠璃は少し離れた橙子にため息を漏らすと、ベンチから立ち上がり3人分のショルダーバッグを肩にかけてシロツメクサが沢山生えている一角に橙子に背を向けるようにしゃがみこんで1輪ずつ摘み始める。
2輪摘むとそれを編み込んでまた1輪摘んで加えていき、数ヶ月も前に雑誌の撮影で教えてもらった花かんむりを編んでいく。
シロツメクサの花だけでなく枚数も気にしないままにアクセントでクローバーも加えて数分編むことで花かんむりが完成した。
完成させた花かんむりを満足気に眺めると立ち上がり得意げに橙子に声をかける。
「ねぇ、アンタの言う幸せは見つかって?」
花かんむりを後ろ手に隠して必死に四つ葉のクローバーを探している橙子を見下ろすように口角を上げる。
突然に自分の目の前に現れた翠璃を見上げる橙子はその小馬鹿にするような表情にムッとして無視する。
全く反応のない橙子に翠璃もムッとして見下ろしたまま続ける。
「ちょっと、この私を無視するなんて、神様だってアンタには幸せ与えないわよ?」
「もうなんなのよ。いちいち突っかかってきて」
「そんな雑草1つで幸せになれるなんておめでたい人ねって言ってるの」
作った花かんむりを手にしながら本当はこうじゃないのにと素直になれずにいつものような憎まれ口をたたく翠璃は焦りからかキュッと編んだ所をにぎりしめる。
「なに?馬鹿にするだけならほっといて」
そんなことを知らない橙子はいつも通りの翠璃に言い返すとアンタには幸せがよってこないわね、と立ち上がり違う場所に向かおうと翠璃に背を向ける。
待っての言葉よりも早く翠璃の手は橙子の手を掴んで引き止めていた。
「もう、何よ…っ」
引き止められれば自分勝手な振る舞いばかりする翠璃に呆れた橙子だったがその翠璃に投げ捨てられるように自分の頭に何かを乗せられる。
当の翠璃は手を力強く振り払い恥ずかしそうに勢いよく背を向ける。
いきなりのことで橙子は目をぱちくりさせて頭に投げられたものを警戒しながらもゆっくりと手で触って確認する。
自分の髪の毛とリボンと植物の手触りを感じてそれをゆっくりと取り上げる。
「これ…、花かんむり…?」
「ふ、ふんっ!!たかが雑草に幸せを乞うようなアンタには、その辺に生えてる雑草のティアラで十分よ!!」
橙子は翠璃と被せられた花かんむりを交互に見つめると翠璃が作ったのか信じられないのか驚きを隠せない様子だった。
翠璃は背後で反応を感じられない橙子に少しの不安を覚え首だけで振り返り表情を不安げに伺う。
「ちょっと…何とか言いなさいよね」
「え?あ、うん…ありがとう…」
「はぁ、何よ。それだけ?」
思ってたよりも反応の薄い橙子に翠璃は不満げに眉を寄せる。
「花かんむりなんて、アンタ作れたのね」
「はぁ?馬鹿にしないで、それくらい当たり前にできるわよ」
「ふふ、でも下手くそね」
握りしめたせいで少しよれた花かんむりにほころぶ橙子の顔を見ると不意に心揺さぶられ思わず目をそらす。
「う、うるさいブス!!アンタなんかが私に口答えするんじゃないわよ!!」
「はぁあ?私はブスなんかじゃありませんー!!この歪んだ花かんむりが映えるのは私の美しさがカバーしてるからですぅー」
「まぁ、面白い冗談だこと。今日も面白いご冗談がお得意なのねー」
「そんな事で笑えるなんて随分とセンスが歪んでらっしゃるのねぇ、先が思いやられること」
「はぁ?ふざけんなブス!!」
「ブスって言う方がブスよ!!」
素直になれずにいつものような憎まれ口からまたいつものように橙子と口喧嘩に発展する。
今はいつもの止めてくれる蒼がいないために終わりが見えずヒートアップしていくと共に辺の人は何事かと2人を怪異な目で見つめる。
2人おなじタイミングで辺の人からの視線に気づくとなんでもないですよー、と作り笑いを振り撒いて元々翠璃のいたベンチに戻った。
「もう、恥かいたじゃない」
「誰のせいだと思っ…って」
恥をかいたことを自分のせいにする橙子に反論しようとしたら目の前に何かを握った橙子の右手に止められる。
その手に何が握られているのか注視すると、先程から橙子が必死に探していた幸せの象徴四つ葉のクローバーだった。
あんなに探してたのに本当は見つけてたなんて、と驚く。
「…何よ」
「…お返し。花かんむりの」
「は?アンタ、これ探してたでしょ?」
なかなか受け取らない翠璃に強引に握らせる橙子は恥ずかしそうに顔を逸らす。
「そうね。でももう私には必要ないから」
「は?」
「もういらないからあげるわよ。アンタ幸薄そうだし」
「はぁ?大きなお世話よ。それにねアンタなんかからの施しなんていらないっての」
「はぁ?…もぅ…だからっ!!」
なかなか言ってることを理解してくれない翠璃に痺れを切らした橙子は日焼けしたあとのように頬を真っ赤に染めて恥ずかしそうに翠璃の目を一旦見つめるがすぐに伏せてボソボソと続ける。
「わ、私は…もう、…この、翠璃の花かんむりに幸せにしてもらったから…このクローバー分の幸せは…アンタにあげるって言ってんの…」
なにかに耐えるように自分のスカートを強く握りしめる橙子はそこまで言うと私も飲み物買ってくる!!と自分のショルダーバッグをひったくってその場から逃げるように花かんむりをしたまま走っていった。
クローバーを握らされたままその場に取り残された翠璃は橙子が吐き捨てるように言った言葉をゆっくりと理解すると徐々に顔が熱くなるのが分かった。
それを否定するように自分の拳で顔を冷やすようにすると自分も飲み物買いに行こうと2人がいるはずの自動販売機のある方に向かった。
だだっ広い公園を歩くには今日はいている靴は相性が悪いのか他の理由のせいか上手く歩けない。
転けそうになりながらも公園端にある自動販売機が見えてくれば赤と青の自動販売機の前に蒼と橙子らしい女子の姿とは別にそれを囲むように大学生くらいのチャラついた品のなさ溢れる男4人らしき姿が見えた。
そんなに良くない目を凝らして何をしているのか様子を伺う。
120mlのペットボトルと缶ジュースを両手に持った小柄な蒼を庇うように花かんむりをした橙子が男達と何かを話しているが、表情から見るに楽しそうな雰囲気出ないことが分かる。
「と、橙子ちゃん…」
「蒼、大丈夫よ」
「なぁ、いいでしょー?今俺らお金ないんだよねー」
「私達もあなな達にあげるお金なんて持ってません」
「とか言って、さっき財布に入ってたしょ?」
ある程度近づくと会話の内容が聞こえてきて2人は男らに金銭を要求されているのだとわかった。
だらしなく品のない格好の男たちだが4人のうち1人だけが体格がよく抵抗したら何されるのか分からない恐怖を感じる。
蒼を自分の背後に立たせる橙子はニタニタと笑う男たちに屈しないように強く睨みつけていたが足が少し震えてるように思えた。
「だから…あなな達にあげる分なんて持ってないの」
「ふーん…」
もう一度橙子が男のひとりにそう言うと2人の背後にあった自動販売機を思いっきり蹴り上げ、大きな音を立てる。
2人は驚き声を漏らし蹴られた場所に目をやると、自動販売機が弱いのか男が強いのかボコっと凹んでいた。
橙子と蒼は思わず手を握り合って恐怖を共有していた。
「…あー、蹴るところズレちゃったなー」
わざとらしくそういう男はもう一度2人を見つめて無表情でダメ?と首を傾げる。
その顔を見ると2人は泣きそうになって持っていた財布を震える手で差し出そうとしていた。
「もぉ、2人とも遅いじゃないの」
やっと着いた翠璃が恐怖におののく2人にそう声をかけると2人だけでなく男たちも翠璃の方を振り返る。
視線が自分に集まると2人にこっちとアイコンタクトをするが2人は思うように動けないらしく首を横に振る。
「なんだー連れがいたのかぁ」
「あ、俺この子見たことある!!」
「モデルの子だろ?ホンモノ可愛いー」
男が翠璃の正体に気づくと2人から注意が離れる。
翠璃は男たちを無視して自動販売機の前で怯える橙子と蒼の手を掴んでその場から逃げるように離れようとするがまた行先を男に阻まれる。
「おいおい、モデルさんは笑顔じゃないとでしょー?」
「邪魔。退きなさい」
「だったら俺らにお金ちょうだい?」
「…全く…」
呆れたようすの翠璃は通路を塞ぐ男に背を向け蒼達を見つめる。
「もぉ、夏も近いんだから…虫除けをしとかないとこうやって変な虫が寄ってくるのよ…嫌ねぇ…害虫なんて…」
男たちに聞こえるほどの声でそういう翠璃に2人は危機感を覚える。
害虫扱いされた男たちも納得いかないようでさらに3人を囲む。
「へぇ、最近のモデルってのは鼻がたけーなー」
「でも、ちゃんとした礼儀をつけるのも大人の役目だしな」
翠璃の目の前の男は脅すように指を鳴らし出す。
「…ここで手を上げるの?」
「それは君次第かな」
「ふふっ、馬鹿な男ね」
「は?」
翠璃は何がおかしいのかクスッと笑うとショルダーバッグから自分の手帳型のケースに入った携帯を取り出して見せつけた。
「私、あんた達がこの子達脅してアレ蹴ったとこ動画撮ってるのよ」
「はぁ?脅し?そんなの怖くねーな」
「脅し?そんな可愛いもので済むかしらね。あなな達は私達が誰の娘かわかった上で手をだしたんでしょう?」
翠璃が意味深な言葉をニコリと不敵に笑って男に告げる。
少し焦りの表情を見せる男たちは互いに顔を見合わせる。
自信ありげに余裕をかます翠璃はさらに畳み掛ける。
「それにね私はあなたたちもご存知、トップモデルよ?SNSにでもこの動画あげたらあなた達…か弱い女の子に手を上げたクズ虫として一生いきて行かないといけなくなるわよ?」
自分らよりも力のある男らに対して怖気ずくことなく堂々とした態度で立ち向かう翠璃に橙子も蒼も頼もしく思えた。
後ろにいた男の1人は後退り、もう1人はもうなにかする気になれずリーダー格の男を戸惑いながら見ていた。
翠璃は自信ありげに腕を組んでキツい目で睨みながら続ける。
「そうね、このまま引き下がるんだったら見逃してあげてもいいわ。…それでも私達に関わりたいんだったら、そうね…二、三年塀の中で虐げられる覚悟をしなさい」
ピシャリとそこまで翠璃が言い終わる頃には4人居た男は2人しか残っておらず、ずっと目の前で行き先を邪魔するリーダー格のを最後に睨みつける。
その圧にもう1人の男もその場から逃亡し、たった一人の子されたリーダー格の男も大きな舌打ちをすると逃げていった。
今まで行く手を拒んでいた障害物が消えると翠璃は大役を終えたあとのように大きく息をつく。
「み、翠璃ちゃん…っ!!翠璃ちゃあん!!」
涙ぐんでいた蒼は頼もしく男を追い払った翠璃に抱きついて感謝を全身で伝え、橙子も怖かったのか静かに翠璃のブラウスを握りしめて頭を肩にくっつけて安心を求める。
「もう、わかったわよ。…でもいい?あんなヤツらには弱く見せたらダメよ?」
「うんっ、うんっ…っ怖かったよぉ…!!」
自分の胸元でわんわん泣く蒼を宥めるように頭を優しく撫でる。
背後からあげた花かんむりが揺れてカサカサと動く音にこそばゆく感じ、離れるように肩を動かすも離れようとしない橙子にも声をかける。
「はぁ…ほら、もう飲み物も買ったし公園は満足でしょ?さっさと帰るわよ」
蒼は泣きじゃくった顔をを恥ずかしげに持っていたハンカチで隠しながら翠璃から離れてそうしようと頷く。
「ほら、あんたも離れなさいよ」
「…」
橙子に声をかける翠璃だったが何も言わない橙子にため息をつくと無理やり体を離して向き合うように振り返って縮こまる橙子の肩と頬に手を添える。
見られたくもない情けない顔をよりによって翠璃にいきなり見られてしまった橙子はほんのり赤くなった目元を恥ずかしそうに両手で隠し俯く。
翠璃はそんな橙子の手を無理に引き剥がそうとする。
「何泣いてんのよ」
「な、泣いてなんか…なぃ…」
「嘘も下手くそなのね…全くもう…」
翠璃はため息をつくと橙子の顎を手で持ち上げて顔を上げさせ、橙子が驚いた隙に手を剥がして半顔だけを晒させる。
見られたくないので逸らそうとする顔は動かせず、その頬に翠璃は手を添えて赤くなった頬骨の辺りを優しく親指の腹で撫でる。
「…橙子、泣き顔本当にブスよ。…橙子の顔は、笑顔しか似合わないんだから…泣いてたらもったいないでしょ…」
「…えっ?」
翠璃が自分の名前を久々に呼んだと思いきや普段の彼女からは考えられないような言葉を投げられ思わず驚きの声を上げる。
翠璃は驚く橙子が不思議に思え首を傾げる。
橙子がせっかく引いてきたのにまた別に頬を染めて目を泳がせるので、翠璃はやっと自分が目の前の女の子にかけた言葉を改めて思い出すとすぐに手を離して背を向ける。
「か、かかか勘違いしないでよね!!いい歳した女子高生がいつまでも泣いてるなんてみっともないからそう言っただけで…べ、別にアンタみたいなブスなんか泣いても笑ってもずっとブスよ!!」
徐々に頬を赤く染め眉間に皺を寄せたまま大きめの声で否定する翠璃に蒼はすっかり笑顔になり安心したように眺めていた。
慰められたり貶されたりと忙しい橙子は普段通りブスを連呼する翠璃に安心したのかやっと顔を覆っていた手を離すと背を向ける翠璃に少し赤くなった目元でヘラりと笑った。
「…ありがとう…翠璃…」
普段通りのこちらまでつられて微笑んでしまうような笑みを浮かべる橙子に思わず翠璃は心臓が変に脈打った自分にも苛立ち、悔しそうにふんっと目を逸らすとずっとふたりを見ていた蒼の手を引いて橙子を置き去りにして歩き出した。
もどかしい2人の距離感に微笑むと蒼と待ってーと2人を追いかける橙子に翠璃は不本意な脈拍を感じるのだった。
ほのかに吹く風に公園の名前も分からない木々が青々とした葉を揺らしてざわざわと立てる音が、耳に心地よくゆっくりと気が遠のいて行きそうになるのを翠璃は公園のベンチに腰掛けてまぶたの重みを感じた。
木製のベンチからは長時間太陽光を受けて熱を貰ったようで床暖房のように触れる場所は心地いいほどに温かかった。
「橙子ちゃーん、見つかったー?」
「ううん。まだー」
あまりの心地良さにまぶたがゆっくりと下がっていた時に前方から先程からずっと一緒にいる女子の声が聞こえてハッと目を開いてぶんぶんの左右に首を振って眠気を覚ますような動きをする。
「でも、ありそうだよねー」
「そんなにすぐ見つからないのよ」
「まぁ、そうだよね。…うーん…」
そんなことを言いながらスカートを折りたたんでしゃがみこむ2人は緑色の絨毯のように広がった野草を一つ一つ漁っていた。
そんなことをしている2人が理解出来ず翠璃は欠伸をする代わりに大きなため息をついて背もたれに体を預けて腕を組みその背中に声をかける。
「まったく…そんな雑草なんかいじって何が楽しいんだか…」
「雑草なんかじゃないよーぉ。蒼達は四つ葉のクローバーを探してるのー」
断固として参加しようとしない翠璃に心外だなーと蒼が唇をとがらせるが橙子は気づいてないのかあえて無視しているのか真剣に辺りのシロツメクサの葉を見つける度に枚数を確認することを何度も繰り返す。
「まぁ、なんでもいいけど…それまだ続くの?」
「見つかればすぐ終わるわよ」
そう言う橙子だったが手にして枚数を数えるクローバーは望んでいる枚数でないことが分かりまたため息を漏らして肩を落とす。
その様子を見た翠璃はこれは日が暮れるわねと絶望しまたため息を漏らす。
「もぉ、橙子ちゃん!!そんなにため息吐くから幸せ逃げるんだよー」
付き合わされてる蒼はプクッと頬をふくらませて橙子に不満をぶつける。
「ご、ごめんー」
「もうっ…あ、ああっ!!みーっけ!!」
橙子の謝罪を受け入れて手元を見らずに野草を引きちぎり蒼はその手にあるものを確認すると、大声とともに先程やりもキラキラと目を輝かせて橙子や翠璃だけでなく公園に居た他の人々にまで見せるように頭上に掲げる。
その手には小さいが四つ葉のクローバーが握られていた。
「やったー、蒼1番にみーっけ」
「あー、先越されちゃったぁ」
「ごめんねぇ、橙子ちゃん」
嬉しそうに笑う蒼は大事そうに四つ葉のクローバーを握りしめて落胆する橙子を優しく抱きしめて慰めるようにする。
「大丈夫だよすぐに橙子ちゃんもみつかるよ、ほら、蒼の幸せおすそ分けしてあげるーっ」
「ふふっ、ありがとう蒼ぃ」
橙子が微笑み返すと蒼は翠璃のいるベンチのもとに戻っていき、置いていたショルダーバッグから財布を取り出して大切そうに取り立ての幸せをしまった。
「あ、そうだ。蒼、飲み物買ってくるけど、翠璃ちゃん達はいる?」
「私は大丈夫」
「じゃあ私はミネラルウォーターお願いしてもいい?」
「りょうかーい、じゃあ行ってくるね」
橙子は引き続きしゃがみこんで幸せを探し翠璃は蒼におつかいを頼んで蒼は自動販売機のある方へ歩いていった。
その背中を眺めた翠璃はまた懲りずに芝生を漁る橙子が哀れにも思えて声をかける。
「こんなに探しても見つからないなんて…アンタにはよっぽど運がないのね」
「う、うるさいわね…っ…今の私が幸せだからクローバーなんか必要ないって神様が思ってるから見つからないだけよ!!」
そう強がる橙子だったが立ち上がってまた違う場所に移動してまた探し出す。
翠璃は少し離れた橙子にため息を漏らすと、ベンチから立ち上がり3人分のショルダーバッグを肩にかけてシロツメクサが沢山生えている一角に橙子に背を向けるようにしゃがみこんで1輪ずつ摘み始める。
2輪摘むとそれを編み込んでまた1輪摘んで加えていき、数ヶ月も前に雑誌の撮影で教えてもらった花かんむりを編んでいく。
シロツメクサの花だけでなく枚数も気にしないままにアクセントでクローバーも加えて数分編むことで花かんむりが完成した。
完成させた花かんむりを満足気に眺めると立ち上がり得意げに橙子に声をかける。
「ねぇ、アンタの言う幸せは見つかって?」
花かんむりを後ろ手に隠して必死に四つ葉のクローバーを探している橙子を見下ろすように口角を上げる。
突然に自分の目の前に現れた翠璃を見上げる橙子はその小馬鹿にするような表情にムッとして無視する。
全く反応のない橙子に翠璃もムッとして見下ろしたまま続ける。
「ちょっと、この私を無視するなんて、神様だってアンタには幸せ与えないわよ?」
「もうなんなのよ。いちいち突っかかってきて」
「そんな雑草1つで幸せになれるなんておめでたい人ねって言ってるの」
作った花かんむりを手にしながら本当はこうじゃないのにと素直になれずにいつものような憎まれ口をたたく翠璃は焦りからかキュッと編んだ所をにぎりしめる。
「なに?馬鹿にするだけならほっといて」
そんなことを知らない橙子はいつも通りの翠璃に言い返すとアンタには幸せがよってこないわね、と立ち上がり違う場所に向かおうと翠璃に背を向ける。
待っての言葉よりも早く翠璃の手は橙子の手を掴んで引き止めていた。
「もう、何よ…っ」
引き止められれば自分勝手な振る舞いばかりする翠璃に呆れた橙子だったがその翠璃に投げ捨てられるように自分の頭に何かを乗せられる。
当の翠璃は手を力強く振り払い恥ずかしそうに勢いよく背を向ける。
いきなりのことで橙子は目をぱちくりさせて頭に投げられたものを警戒しながらもゆっくりと手で触って確認する。
自分の髪の毛とリボンと植物の手触りを感じてそれをゆっくりと取り上げる。
「これ…、花かんむり…?」
「ふ、ふんっ!!たかが雑草に幸せを乞うようなアンタには、その辺に生えてる雑草のティアラで十分よ!!」
橙子は翠璃と被せられた花かんむりを交互に見つめると翠璃が作ったのか信じられないのか驚きを隠せない様子だった。
翠璃は背後で反応を感じられない橙子に少しの不安を覚え首だけで振り返り表情を不安げに伺う。
「ちょっと…何とか言いなさいよね」
「え?あ、うん…ありがとう…」
「はぁ、何よ。それだけ?」
思ってたよりも反応の薄い橙子に翠璃は不満げに眉を寄せる。
「花かんむりなんて、アンタ作れたのね」
「はぁ?馬鹿にしないで、それくらい当たり前にできるわよ」
「ふふ、でも下手くそね」
握りしめたせいで少しよれた花かんむりにほころぶ橙子の顔を見ると不意に心揺さぶられ思わず目をそらす。
「う、うるさいブス!!アンタなんかが私に口答えするんじゃないわよ!!」
「はぁあ?私はブスなんかじゃありませんー!!この歪んだ花かんむりが映えるのは私の美しさがカバーしてるからですぅー」
「まぁ、面白い冗談だこと。今日も面白いご冗談がお得意なのねー」
「そんな事で笑えるなんて随分とセンスが歪んでらっしゃるのねぇ、先が思いやられること」
「はぁ?ふざけんなブス!!」
「ブスって言う方がブスよ!!」
素直になれずにいつものような憎まれ口からまたいつものように橙子と口喧嘩に発展する。
今はいつもの止めてくれる蒼がいないために終わりが見えずヒートアップしていくと共に辺の人は何事かと2人を怪異な目で見つめる。
2人おなじタイミングで辺の人からの視線に気づくとなんでもないですよー、と作り笑いを振り撒いて元々翠璃のいたベンチに戻った。
「もう、恥かいたじゃない」
「誰のせいだと思っ…って」
恥をかいたことを自分のせいにする橙子に反論しようとしたら目の前に何かを握った橙子の右手に止められる。
その手に何が握られているのか注視すると、先程から橙子が必死に探していた幸せの象徴四つ葉のクローバーだった。
あんなに探してたのに本当は見つけてたなんて、と驚く。
「…何よ」
「…お返し。花かんむりの」
「は?アンタ、これ探してたでしょ?」
なかなか受け取らない翠璃に強引に握らせる橙子は恥ずかしそうに顔を逸らす。
「そうね。でももう私には必要ないから」
「は?」
「もういらないからあげるわよ。アンタ幸薄そうだし」
「はぁ?大きなお世話よ。それにねアンタなんかからの施しなんていらないっての」
「はぁ?…もぅ…だからっ!!」
なかなか言ってることを理解してくれない翠璃に痺れを切らした橙子は日焼けしたあとのように頬を真っ赤に染めて恥ずかしそうに翠璃の目を一旦見つめるがすぐに伏せてボソボソと続ける。
「わ、私は…もう、…この、翠璃の花かんむりに幸せにしてもらったから…このクローバー分の幸せは…アンタにあげるって言ってんの…」
なにかに耐えるように自分のスカートを強く握りしめる橙子はそこまで言うと私も飲み物買ってくる!!と自分のショルダーバッグをひったくってその場から逃げるように花かんむりをしたまま走っていった。
クローバーを握らされたままその場に取り残された翠璃は橙子が吐き捨てるように言った言葉をゆっくりと理解すると徐々に顔が熱くなるのが分かった。
それを否定するように自分の拳で顔を冷やすようにすると自分も飲み物買いに行こうと2人がいるはずの自動販売機のある方に向かった。
だだっ広い公園を歩くには今日はいている靴は相性が悪いのか他の理由のせいか上手く歩けない。
転けそうになりながらも公園端にある自動販売機が見えてくれば赤と青の自動販売機の前に蒼と橙子らしい女子の姿とは別にそれを囲むように大学生くらいのチャラついた品のなさ溢れる男4人らしき姿が見えた。
そんなに良くない目を凝らして何をしているのか様子を伺う。
120mlのペットボトルと缶ジュースを両手に持った小柄な蒼を庇うように花かんむりをした橙子が男達と何かを話しているが、表情から見るに楽しそうな雰囲気出ないことが分かる。
「と、橙子ちゃん…」
「蒼、大丈夫よ」
「なぁ、いいでしょー?今俺らお金ないんだよねー」
「私達もあなな達にあげるお金なんて持ってません」
「とか言って、さっき財布に入ってたしょ?」
ある程度近づくと会話の内容が聞こえてきて2人は男らに金銭を要求されているのだとわかった。
だらしなく品のない格好の男たちだが4人のうち1人だけが体格がよく抵抗したら何されるのか分からない恐怖を感じる。
蒼を自分の背後に立たせる橙子はニタニタと笑う男たちに屈しないように強く睨みつけていたが足が少し震えてるように思えた。
「だから…あなな達にあげる分なんて持ってないの」
「ふーん…」
もう一度橙子が男のひとりにそう言うと2人の背後にあった自動販売機を思いっきり蹴り上げ、大きな音を立てる。
2人は驚き声を漏らし蹴られた場所に目をやると、自動販売機が弱いのか男が強いのかボコっと凹んでいた。
橙子と蒼は思わず手を握り合って恐怖を共有していた。
「…あー、蹴るところズレちゃったなー」
わざとらしくそういう男はもう一度2人を見つめて無表情でダメ?と首を傾げる。
その顔を見ると2人は泣きそうになって持っていた財布を震える手で差し出そうとしていた。
「もぉ、2人とも遅いじゃないの」
やっと着いた翠璃が恐怖におののく2人にそう声をかけると2人だけでなく男たちも翠璃の方を振り返る。
視線が自分に集まると2人にこっちとアイコンタクトをするが2人は思うように動けないらしく首を横に振る。
「なんだー連れがいたのかぁ」
「あ、俺この子見たことある!!」
「モデルの子だろ?ホンモノ可愛いー」
男が翠璃の正体に気づくと2人から注意が離れる。
翠璃は男たちを無視して自動販売機の前で怯える橙子と蒼の手を掴んでその場から逃げるように離れようとするがまた行先を男に阻まれる。
「おいおい、モデルさんは笑顔じゃないとでしょー?」
「邪魔。退きなさい」
「だったら俺らにお金ちょうだい?」
「…全く…」
呆れたようすの翠璃は通路を塞ぐ男に背を向け蒼達を見つめる。
「もぉ、夏も近いんだから…虫除けをしとかないとこうやって変な虫が寄ってくるのよ…嫌ねぇ…害虫なんて…」
男たちに聞こえるほどの声でそういう翠璃に2人は危機感を覚える。
害虫扱いされた男たちも納得いかないようでさらに3人を囲む。
「へぇ、最近のモデルってのは鼻がたけーなー」
「でも、ちゃんとした礼儀をつけるのも大人の役目だしな」
翠璃の目の前の男は脅すように指を鳴らし出す。
「…ここで手を上げるの?」
「それは君次第かな」
「ふふっ、馬鹿な男ね」
「は?」
翠璃は何がおかしいのかクスッと笑うとショルダーバッグから自分の手帳型のケースに入った携帯を取り出して見せつけた。
「私、あんた達がこの子達脅してアレ蹴ったとこ動画撮ってるのよ」
「はぁ?脅し?そんなの怖くねーな」
「脅し?そんな可愛いもので済むかしらね。あなな達は私達が誰の娘かわかった上で手をだしたんでしょう?」
翠璃が意味深な言葉をニコリと不敵に笑って男に告げる。
少し焦りの表情を見せる男たちは互いに顔を見合わせる。
自信ありげに余裕をかます翠璃はさらに畳み掛ける。
「それにね私はあなたたちもご存知、トップモデルよ?SNSにでもこの動画あげたらあなた達…か弱い女の子に手を上げたクズ虫として一生いきて行かないといけなくなるわよ?」
自分らよりも力のある男らに対して怖気ずくことなく堂々とした態度で立ち向かう翠璃に橙子も蒼も頼もしく思えた。
後ろにいた男の1人は後退り、もう1人はもうなにかする気になれずリーダー格の男を戸惑いながら見ていた。
翠璃は自信ありげに腕を組んでキツい目で睨みながら続ける。
「そうね、このまま引き下がるんだったら見逃してあげてもいいわ。…それでも私達に関わりたいんだったら、そうね…二、三年塀の中で虐げられる覚悟をしなさい」
ピシャリとそこまで翠璃が言い終わる頃には4人居た男は2人しか残っておらず、ずっと目の前で行き先を邪魔するリーダー格のを最後に睨みつける。
その圧にもう1人の男もその場から逃亡し、たった一人の子されたリーダー格の男も大きな舌打ちをすると逃げていった。
今まで行く手を拒んでいた障害物が消えると翠璃は大役を終えたあとのように大きく息をつく。
「み、翠璃ちゃん…っ!!翠璃ちゃあん!!」
涙ぐんでいた蒼は頼もしく男を追い払った翠璃に抱きついて感謝を全身で伝え、橙子も怖かったのか静かに翠璃のブラウスを握りしめて頭を肩にくっつけて安心を求める。
「もう、わかったわよ。…でもいい?あんなヤツらには弱く見せたらダメよ?」
「うんっ、うんっ…っ怖かったよぉ…!!」
自分の胸元でわんわん泣く蒼を宥めるように頭を優しく撫でる。
背後からあげた花かんむりが揺れてカサカサと動く音にこそばゆく感じ、離れるように肩を動かすも離れようとしない橙子にも声をかける。
「はぁ…ほら、もう飲み物も買ったし公園は満足でしょ?さっさと帰るわよ」
蒼は泣きじゃくった顔をを恥ずかしげに持っていたハンカチで隠しながら翠璃から離れてそうしようと頷く。
「ほら、あんたも離れなさいよ」
「…」
橙子に声をかける翠璃だったが何も言わない橙子にため息をつくと無理やり体を離して向き合うように振り返って縮こまる橙子の肩と頬に手を添える。
見られたくもない情けない顔をよりによって翠璃にいきなり見られてしまった橙子はほんのり赤くなった目元を恥ずかしそうに両手で隠し俯く。
翠璃はそんな橙子の手を無理に引き剥がそうとする。
「何泣いてんのよ」
「な、泣いてなんか…なぃ…」
「嘘も下手くそなのね…全くもう…」
翠璃はため息をつくと橙子の顎を手で持ち上げて顔を上げさせ、橙子が驚いた隙に手を剥がして半顔だけを晒させる。
見られたくないので逸らそうとする顔は動かせず、その頬に翠璃は手を添えて赤くなった頬骨の辺りを優しく親指の腹で撫でる。
「…橙子、泣き顔本当にブスよ。…橙子の顔は、笑顔しか似合わないんだから…泣いてたらもったいないでしょ…」
「…えっ?」
翠璃が自分の名前を久々に呼んだと思いきや普段の彼女からは考えられないような言葉を投げられ思わず驚きの声を上げる。
翠璃は驚く橙子が不思議に思え首を傾げる。
橙子がせっかく引いてきたのにまた別に頬を染めて目を泳がせるので、翠璃はやっと自分が目の前の女の子にかけた言葉を改めて思い出すとすぐに手を離して背を向ける。
「か、かかか勘違いしないでよね!!いい歳した女子高生がいつまでも泣いてるなんてみっともないからそう言っただけで…べ、別にアンタみたいなブスなんか泣いても笑ってもずっとブスよ!!」
徐々に頬を赤く染め眉間に皺を寄せたまま大きめの声で否定する翠璃に蒼はすっかり笑顔になり安心したように眺めていた。
慰められたり貶されたりと忙しい橙子は普段通りブスを連呼する翠璃に安心したのかやっと顔を覆っていた手を離すと背を向ける翠璃に少し赤くなった目元でヘラりと笑った。
「…ありがとう…翠璃…」
普段通りのこちらまでつられて微笑んでしまうような笑みを浮かべる橙子に思わず翠璃は心臓が変に脈打った自分にも苛立ち、悔しそうにふんっと目を逸らすとずっとふたりを見ていた蒼の手を引いて橙子を置き去りにして歩き出した。
もどかしい2人の距離感に微笑むと蒼と待ってーと2人を追いかける橙子に翠璃は不本意な脈拍を感じるのだった。
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