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第一章 まったり喫茶店

 もしもの夢。シュナイダーif。

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 もしも、の夢を見た。
 それは、私が諦めることなく、努力をした場合のーーーーもしかしたらの未来だ。

「ローニャ……君がミサノ嬢に嫌がらせをしているというのは本当かい?」

 寝支度を済ませた私の部屋に訪ねてきたシュナイダーの問いに、私は誠意を込めて否定をした。浮気を疑って、嫉妬しているわけではない、と。

「……信じて、シュナイダー」

 シュナイダーの手を両手で包み込み、祈るように告げた。

「ミサノ嬢の誤解よ、私は嫌がらせなんていないわ。お願いだから信じて」
「……。信じるよ……ローニャ」

 そう言ってくれたシュナイダーの心が離れてしまわないように。
私は努力をすることにした。
 祖父からもらった砂時計をひっくり返した。緑色の砂は、宝石のようにキラキラと輝いている。時間を数えるように、それを眺めた。
 この七年を振り返る。あっという間に思える時間の中で、芽生えた恋。
 シュナイダーとは運命の愛で結ばれていないかもしれない。

 けれども、それでも、私は……。

 握った彼の手を手放さないと、決意をした。
 シュナイダーのために、頑張れた今までを無駄にしないように。
 シュナイダーのために、注いでもらった愛を溢れ落としてしまわないように。
 シュナイダーのために、愛を注ぎ返すために。
 愛してくれる彼を、愛しているからこそーーーー。



 翌日、私は男子寮の扉の前でシュナイダーを待つ。

「ローニャ? どうしたんだい?」
「あれ、ローニャ嬢。おはよう」

 出てきたシュナイダーは、ヘンゼルと一緒にいた。

「おはよう、シュナイダー。それにヘンゼル。私、考えたの。誤解を解消するために、少しでもシュナイダーのそばにいようと思って……だめかしら?」

 にこりと微笑んで首を傾げて確認をする。

「おや、朝から見せ付けてくれるね? じゃあオレはお邪魔なようだから、先に行くよ」
「ありがとう、ヘンゼル」
「ヘンゼル……」

 爽やかに笑って、ヘンゼルは先に学園に向かう。
 冷やかしに呆れた様子だったけれど、シュナイダーは私に手を差し出してくれた。

「じゃあ、これからは毎日登下校しよう」
「ええ、そうしましょう。シュナイダー」

 ギュッと握り締めて、私とシュナイダーは仲を見せ付けるように登校をする。
 忙しい学園生活だけれど、努力をして二人の時間を作った。
 その間に私の取り巻き令嬢達とミサノ嬢が攻防戦をしていたものだから、私とシュナイダーで仲裁をする。もちろん、私の関与はないことをミサノ嬢に伝えた。睨まれたけれど、それはいつものこと。どうしても、ミサノ嬢とは仲良くなれそうにはなかった。
 けれども、しっかりシュナイダーの誤解はとけたのだ。
 私は嫌がらせをしていない、と証明した。
 二人の時間が増えたおかげなのか、私とシュナイダーはより愛を深めた気がする。
 幼い頃、約束してくれたように、きっと私達は共に愛を育めた。

「愛しているわ、シュナイダー」
「! ……初めて、言ってくれた」
「とっておきたかったけれど、なんだか気持ちが溢れてしまって」
「嬉しいよ。オレも愛している」

 そう笑い合ったあと、触れるだけのキスをしたのだった。

――――そんな夢を見た。

 幸せな夢だけれど、起きて振り返れば、悲しい気持ちになる。
 だってそれは、もう叶うことのない未来だもの。
 でもいいのだ。もういいの。
 私はベッドから降りて、朝の支度をした。
 そして、店の準備を妖精ロトとこなし、店の白いドアを開ける。

「まったり喫茶店にようこそ、いらっしゃいませ」

 そう笑顔で、お客さんを迎えた。


 ◆◇◆あとがき◆◇◆
体調不良で本編書けそうにないので、
シュナイダーif投げさせてもらいました。
来月こそは本編、頑張りますね!
明日から4巻発売予定! よろしくお願いします!!!
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