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○11 悪魔が甘く教え込む。※
しおりを挟む翌朝、私は切り出した。
「ゼノ……あのね。私のことを、イカせなくてもいいんだよ?」
朝からする話ではないが、昨夜はあのあと夢も見ないほど速攻で寝落ちたので、今しかないのだ。
今日は憂鬱な婚約者交流会だし。
もっさり従者に扮したゼノヴィスは、ダサ眼鏡越しにキョトンとした。
「私、一回で十分だから。それに毎晩は大丈夫」
「……気持ちよくなかったの?」
「気持ちはいいけど、何度も絶頂するのは疲れるし、つらいというか……。互いに気持ちよくなるのはいいことだと思うけど、やっぱりまだ本番もしないし、私はいいかなって!」
不安げに眉を下げるゼノヴィスに明るく答える。
性欲の違いかもしれない。
いや、多分、ゼノヴィスがやや性欲旺盛にむしゃぶりつくのがいけないのだと思う。
元々、悪魔は貪欲だって書物にあったし、これくらいの性欲が普通なのかもしれない。
ゼノヴィスは思う存分、欲を発散していいけど、私は本当に遠慮したい。特段翌日に響くとはではないが、気が飛びそうなので、自制してほしい。
遠回しに、私は遠慮した。
「……オレは一緒に気持ちよくなりたい」
しかし納得してくれないゼノヴィス。
俯いてしまった。
うっ……。
「で、でも、ほら。私の問題は片付いてないし! そのあと、また話し合おう?」
「……」
「……うっ……」
まだ本番をするわけでもないし、その時にまた夜の営みについて話し合えばいい。
そう言っても、ゼノヴィスは沈黙。
ど、どうしよう! こんなゼノは初めて! 怒ったの? 不満なの?
結局、ゼノヴィスの機嫌が治らないまま、婚約者アレキサンドが来てしまった。
いつもと同じ。無駄な時間とも言える、庭園のガゼボでお茶会。
なんかそばに待機しているゼノヴィスが、どんよりしすぎている気がする……!
そこまで!? 何度もイカせないでって言っただけでそうなる!?
形だけの婚約者を前に、背後の暗い雰囲気の恋人が気になって気になってしょうがない。
気がそぞろになってしまい、世間話への相槌しかしていなかったのに、夜会に誘ってきた婚約者に。
「行くわけがないでしょ」
と、ピシャリと言い放ってしまった。
面食らった顔の婚約者を見て、しまった、と思う。
この無駄にプライドの高い婚約者に、怒りを買わせるのはよくない。なんせ、前回は短剣を突き刺して殺しにきたのだから。これは悪手だ。
「そうか。すまない。まだ早かったな」
幸い、怒り狂うどころか、謝ってくれた。
まだ私を気遣うべきだと考えているのか、はたまた、本気ではなかったのだろうか。
自分は今頃、ヒロインの逢瀬を重ねているので、まだ婚約関係にある私に罪悪感を覚えての誘いだったのかも。
そんなものを覚えるなら、さっさと婚約解消してくれればいいのに。
そしたら、今どんより暗くなっている恋人と思う存分、イチャつけるので!
もしもアレキサンドが婚約解消を承諾するならそれはそれでいいと思っていたのだけど、どうにもこの男、ヒロインとデートを重ねても言い出さないのだ。
「今日はもう帰るよ。見送りは結構だ。また誘うよ、ディナ」
スッと立ち上がったかと思えば、スッと私の手を取り、手の甲にちゅっとしてきた。
ぞわわっ!
悪寒と嫌悪が駆け巡った瞬間!
なんて奴! これ、アレだろ!? 浮気してるのが疚しくて、誤魔化してきたんでしょ!? 悍ましい男!
「拭くもの!」
メイドに至急出させると、ゼノヴィスが引ったくった。
「片付けろ!」
暗示をかけられたメイド達は速やかに茶菓子を片付けていき、ゼノヴィスはせっせと私の手の甲を拭き取る。
「あの男……オレのディナによくもっ」
さっきの暗いオーラは、禍々しいオーラにすげ替えられていた。
「ぜ、ゼノ? 落ち着いて?」
「……」
目が合うのは、むっすーとしたゼノヴィス。
手の甲に、れろーと濡れた舌が這わせられたので「ひゃ!」と悲鳴を上げてしまう。
誰もいないが、ここは庭園だ。誰かに見られたらどうするんだ。
その言葉は吐けず、唇を塞がれた。
噛みつくようなキスをされて、抱き締められる。
「ん! んん! だめ! ゼノ!」
「大丈夫。結界は張った」
私をベンチに戻すと、眼鏡を外して、前髪を掻き上げたゼノヴィスは言う。
確かに、認識阻害と防音の結界が張られていることに気付く。
「誰も来ないよ」
「んんー!」
ベンチに縫い付けるように押さえたゼノヴィスに、また唇を奪われた。
確かに誰も来ない確率の方が高いだろう。暗示でメイドは追い払ったし、私が一人で庭園に残ることは少なくない。
もっとも、そう認識させているだけで、実際は口直しにゼノヴィスとお茶をしていたりするんだけど。
「やらぁ」
舌が絡みつくキスの合間に、胸をいじるゼノヴィスの手を剥がそうとした。
でも無理で、ドレスの上から揉まれる。すぐに硬く立った乳首をこねくり回された。
じゅる、ちゅっと激しいキスを止めて、唇を離したかと思えば。
「ディナ。ドレス、上げて」
「えっ?」
無茶を言われてしまい、頭が真っ白になる。
じっと見据えるゼノヴィスの圧に負けて、外だというのに、私は恐る恐るの手つきで、自分のドレスの裾をゆっくりと上げた。
「……恥ずかしそうに、真っ赤になってドレスを捲るディナ。可愛い」
ゴクリと息を呑んだゼノヴィスが興奮したように言うから、余計恥ずかしくなる。
「言わないでっ」
「ほら、そのまま上げてて」
プルプル震えてしまう私が自ら晒す下着に手をかけるゼノヴィスは、躊躇なく脱がしていく。
「糸、引いている」と言われるくらい、ソコが濡れていることは自覚していた。
「ディナ。連続絶頂に慣れようね」
「え? え、ちょ、んうっ!♡ ゼノ!♡」
なんか怖いこと言われた気がするとハッとなった次の瞬間には、蜜壺に吸い付かれて、快楽でしびれてしまう。指の腹でクリトリスをこねられて、気持ちがいい。
「ゼノ♡ だめ♡ あっ♡ ここは、だめぇ♡」
せめて部屋で! だってここ、庭園!
私は婚約者に会ったばかりなのに! その直後に、こんなイケナイこと……!
背徳感も押し寄せて、気が狂いそう。とても感じてしまう。
これはすぐにイッちゃう!♡
舌先でれろれろと刺激されて、じゅぼじゅぼと出し入れされて、めちゃくちゃにされたその蜜壺に溢れる愛液をじゅるじゅると吸われる。襲い来る快楽にあっという間に上り詰めて、絶頂を迎えた。
「ああーんっ!♡ ……はぁはぁ、あ!?♡ なんでっ♡やめて♡ イッた!♡イッたのにっ♡」
絶頂を迎えたのに、またぐりぐりとクリトリスをこね続けて、じゅるじゅると吸い尽くすゼノヴィス。
足も手も、ガクガクと震えた。小さな絶頂が続く。
何これ♡ だめぇ♡
「あ♡ああッ♡んんーッ♡ふぅ♡ンンンッ♡」
必死に、快楽にも声が零れることにも耐える。唇を噛みしめて、身体を逸らす。
「だめだよ、ディナ。ドレス上げてて」
言い聞かせる声を、ソコに吹きかけながら、チロチロとクリトリスを弄ぶゼノヴィスは、酷なことを言い出す。
「ほら、しっかり上げて。ディナのいやらしいところ、見せて。オレしか見てないよ。オレしか聞いてない。気持ちいいことに身を委ねていいんだよ」
「ふぅー♡ううーん♡ンンッ♡」
「気持ちいいって言って? それとも、よくないの?」
一瞬不安げな表情を見せるゼノヴィスに、ふるふると首を振って見せる。
ホッと安心したように、私の右の太ももをれろりと舐め上げるゼノヴィス。
「じゃあ、そう言ってね? ここで。たくさん気持ちよくなって、ディナ」
「んあッ!♡」
ちゅぱっと大きいな音を立てて、股に吸い付いて唇を離したゼノヴィスは、また愛撫を再開させた。
ここ。
庭園という外で、ガゼポという壁もない場所のベンチで。真昼間で明るい時間帯に。
何度も絶頂を迎えるなんて。
気がおかしくなる。おかしくなっちゃう♡
なのに気持ちいい♡ ンンンッ♡ いい♡ いいの♡
「あっ、あんっ♡ ゼノ♡ 気持ち、いい♡ いいの♡ あッああんっ♡」
家の庭園で、喘ぐ。開放感で気が昂って、感度まで高まった気がする。
「ふ♡ンッ♡」
「あんっ♡ ゼノ♡」
ゼノヴィスはお気に召したように、ぐりぐりと口元を押し付けて、私の蜜壺を堪能した。
興奮した鼻息が吹きかかるクリトリスを、親指で押しつぶされて、また絶頂を迎える。
「んあああッ! イク♡ンンンッ♡イッたのに♡またぁ♡んあッああんッ♡ ゼノぉ♡はあんッ♡」
派手にビクビクと震えながら、絶頂が続く。ゼノヴィスはまた執拗に責め立てて、絶頂させる。
喘ぎが止まらない唇から唾液が垂れ落ちてしまう。
些細な刺激さえもびくんと跳ねてしまう状態になってようやく、ソコからゼノヴィスの唇が離れた。
「はぁ……気持ちよかった? ディナ」
「……ん」
疲れ切ってぼんやりしたまま、頷いて答える私の頭をゼノヴィスは撫でる。
「わかってないから、教えてあげるね、ディナ」
「……?」
耳元に甘く囁かれたのは、なんだろう。
ポーと見上げていると、ゼノヴィスはズボンを寛げて、自分のそそり立った肉棒を取り出した。
「初夜では、オレのコレがここに入るんだよ?」
「ん!?♡」
ずぬっとゼノヴィスの指が二本、ナカに差し込まれたから、身体が震える。
「繋がったら、こうしてしごくように、ナカをこするんだ」
「あっ♡ やっ♡ んあ♡」
ゼノヴィスが左手で自分の肉棒をしごく動きに合わせて、右手の二本の指がぐちゃぐちゃと入り口を出入りし始めた。
「はぁ♡はぁ♡ 早くこの中に入りたい♡ イイところをいっぱい突いて喘がせたい♡ こんな風に♡」
「はあんッ♡ ああんっ、そこ、そこだめっ、ああっ♡」
「だめじゃなくて、気持ちいいって言って」
「いいのっ♡気持ちいいから、ああっ、だめなのにっ♡ んあああっ!♡」
弱いところを指先でグッグッとつつかれて、あっという間に上り詰めてしまい、イってしまう。
背中を逸らしてビクビク震える私を休ませることなく、なおもゼノヴィスは指を動かして、自分の腰まで動かして激しくしごく。
じゅぼじゅぼ♡ しゅこしゅこ♡
「そう♡ もっと喘いで♡ オレで気持ちよくなって♡ はぁはぁ♡ 庭園で自分からドレスを上げるディナ♡ おねだりしてるみたい♡ 可愛い♡ オレの可愛いディナ♡ 欲しがってるの、あげるねっ!♡」
与え続けられる快楽で意識は朦朧とするから、恥ずかしいって気持ちが増すだけで、また絶頂に上り詰めてしまう。
ゼノヴィスが息を詰めたとほぼ同時に、絶頂に達した。かと思えば、ゼノヴィスも射精。どぷっと白い液体が胸から腹にかけてびゅるるっと吐き出される。
なのに、終わらない。快楽が終わらない。
ゼノヴィスの指はまだ執拗に私のイイところを突いてきて、肉棒も精液を絞り出すみたいにしごき続ける。
「ゼノ♡ゼノぉおッ♡あああッ♡」
「イっても、止まらない♡止まれないよ♡まだ気持ちよくなりたい♡ ディナのナカに入ったなら、止まるわけないんだから♡今だってそうなんだから♡ はぁ♡イイ♡外でもするのイイね、すっごく興奮する♡」
「だめぇえっゼノぉお♡ んああんっ!♡」
また大きな絶頂に上り詰めた。一体、今日は何回果てただろう。
くたりとベンチの凭れると、やっと行為が止まった。
「んぅ、ディナ♡」
「あん♡」
ゼノヴィスがキスをしてきた。ねっとりと唇を這わせて、舌を絡め合わせる。戯れるように。
絶頂の余韻に浸る甘い時間。
「ディナ……初夜だって、一回じゃ終わらないからね? 何度だって気持ちよくなろう? ね?」
言い聞かせるように、じゅるっと私の舌を吸い上げて、れろれろと絡めるゼノヴィス。
「ちゃんと、ディナが覚えるように教えてあげるからね……♡」
「はん♡」
まだ液体の似非精液を塗りたくるようにお腹を撫でてくるゼノヴィスの手に身体は、反応して小さく震えた。
絶倫悪魔に、連続絶頂を身体に甘く教え込まされる……♡
ゾクゾクと恐怖と期待に襲われる。
ゼノヴィスならいいと、口付けを受け入れ続ける私は、とことん彼に甘いのか。
もうすでに手遅れなほどに、堕とされているのかもしれない。
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