幼馴染

kisaragi

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一章

16. 映像

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「みぃ、おはよう。」

「おはよう。」

今日は水曜日。まだ体が休みモードでなかなか起きれない。

「みぃ、起き上がって。」

「うーん…。」

体が重い。昨日、体育をして筋肉痛になった。

「みぃ、そろそろ時間やばいから起きて。」

「休む。」

「だめ。体調悪くないだろ。」

「起きれない…。」

「もう。」

「わっ。ほく、降ろして。」

「無理。」

ずっとベッドに寝転がっていると、ほくにお姫様抱っこされてそのまま一階に連れてかれる…。

「あら、おはよう。どうしたの?笑」

「美蘭が全く起きないから連れてきた。」

「もう、ほく降ろして。」

強制的に椅子に座らせられた。まだ寝たかったのに。

「美蘭、まじで遅刻するよ。」

「んー。」

「髪の毛やるからご飯食べてて。」

ほくはもう先にご飯を食べ終えてたみたい。髪の毛をセットしてくれてる。

「美蘭、早く食べなさい。遅刻するわよ。」

「麻美ちゃん、今日休んでもいい?」

「どうかしたの?」

「筋肉痛」

「はいはい。行きなさい。笑」

麻美ちゃんにも休んじゃダメって言われた…。もう腕が重くてご飯を食べられない。

「美蘭、まじで食べて。」

「無理…。本当に腕痛いもん。」

「俺が食べさせるから食べて。」

「はーい…。」

「今日だけだぞ。」

「ありがとう。」

ほくがご飯を食べさせてくれる。赤ちゃんみたいだけど、今日は腕に力が入んない…。本当に運動不足だ…。

「はい。食べて。」

「ん。ありがとう。」

「はい。あーん。」

「ん。」

「もう、美蘭赤ちゃんみたいじゃない。笑 北斗はお母さんね。笑」

「美蘭ホントに腕が上がらないんだもん。笑」

麻美ちゃんにも笑われた。絶対、握力を測ったせいだ。

「よし。みぃ着替えれる?」

「無理…。」

「じゃあ、先俺の部屋行ってて。」

「分かった。」

階段登るのも一苦労。制服が掛けてあるほくの部屋に戻る。

「ほく、ありがとう。」

「うん。」

ほくがお弁当と水筒を持ってきてくれた。

「みぃ、じゃあ服脱いで。」

「うーん。」

「はいはい、もう俺やるから。」

結局ほくに全部やってもらった。いつも一緒にお風呂入ってるけど、着替えさせてもらうのに少しドキドキした。
そんなことより筋肉痛辛すぎる。

「はい、できた。」

「ありがとう。」

「俺も着替えるからちょっと待ってて。」

「うん。」

ほくが着替えをする。ネクタイを締めてる姿にキュンとした。

「みぃ、行くよ。」

「うん。」

『いってきます』

「いってらっしゃーい!」

2人とも制服に着替え終わり、学校に向かう。

「あーー、足痛い。」

「みぃ、運動不足すぎたね。笑」

「うん…。今日体育なくて良かった。」

痛みに耐えながら学校に行く。

「美蘭、おはよ!どうしたの?」

「結衣、おはよ…。筋肉痛やばい…笑」

「ええ。そうなの?笑 美蘭運動はできるのに。笑」

「完全に運動不足…。」

学校に着いて疲れ果てていると、結衣に心配される。もうすでに家に帰りたい。

「美蘭、ご飯食べよ!」

「うん!今日空き教室でもいい?階段登る気力ない…笑」

「いいよ、そうしよ。笑」

同じ階にある空き教室でご飯を食べることに。空き教室は机と椅子もあるから屋上で地べたに座るよりは少しは楽かな。

「美蘭、食べれる?」

「うん…。頑張る。」

ほくに頑張るって言ったけどやっぱり痛すぎて食べられない。

「美蘭、食べさせるよ。」

「ごめん。ありがとう。」

「美蘭めちゃくちゃ重症じゃん。笑」

「はい、食べて。」

「ん。ありがとう。」

またほくに食べさせてもらうことになった。申し訳ないな…。

「終わった。」

「ほくごめん。本当にありがとう。」

「うん。」

なんとかお弁当を食べ切ることができた。ほくは今、自分のお弁当を食べてる。

「ほく、明日は美蘭が食べさせてあげるね。」

「大丈夫。」

「北斗冷た。笑 美蘭が可哀想でしょ。」

「ほんとだよ。家ではこんなんじゃないのに…。」

「俺、北斗が美蘭と2人っきりでいる時どんな感じかめっちゃ気になる。美蘭今度動画撮ってきてよ。」

「やめろ。普通だから。」

「普通ではないよ。笑」

ほくは家ではめちゃくちゃふざけたり甘えたりしてくる。全然普通じゃない。笑

「そろそろ戻ろっか!」

「そうだね!」

教室に戻り5限と6限の授業を受ける。午後の授業って眠たくなっちゃう。

「ほく、帰ろ。」

「うん。」

やっと授業が終わり、家に帰る。
筋肉痛の痛みにもだいぶ慣れてきた。

「ただいま。」

「あれ、麻美ちゃんいないみたいだね。」

「だね。」

家に帰ると麻美ちゃんがいなかった。リビングに行くと、今日は北斗パパとデートするから、帰りが遅くなると書いてあるメモを見つけた。

「ほく、ご飯後で作ろ!」

「そうだね。」

とりあえず、ほくの部屋で少し休憩することにした。。

「みぃ、着替えれる?」

「うん。痛みに慣れてきた。」

「良かった。」

ほくと一緒に部屋着に着替える。

「ほく、今日一日ありがとう。」

「うん。なんかご褒美ちょうだい。」

「えぇ。」

「お願い。」

「何欲しいの?」

「ハグして。」

「それでいいの?」

「うん。」

「分かった。」

ほくにハグをした。なんかすごく嬉しそう。

「今日はみぃがご飯作るよ。ほくに色々してもらったし。」

「いいの?ありがとう。」

私がご飯を作ることにした。何作ろうかな。

「ほく、何食べたい?」

「んー。オムライス。」

「いいね。」

ほくがオムライスが良いと言ったのでオムライスを作ることに。

「ん?ほくどうした?」

玉ねぎを切っていると後ろからほくにハグされる。

「ご褒美くれるんでしょ?」

「さっきハグしてあげたじゃん。」

「一回とは言ってないもん。」

「もう…。危ないよ。」

包丁を使っているから危ないのに…。

「あ、ウィンナー出すの忘れた。」

「冷蔵庫?」

「うん。ほくちょっとまってて。」

冷蔵庫にウィンナーを取りに行こうとするとほくがずっと着いてくる…。

「ほく、赤ちゃん?」

「違う。」

「ずっと着いてくるじゃん…。」

ずっとハグされたままなんとかオムライスが完成した。

「できたよ。」

「みぃ、ありがとう。」

ハグしたままほっぺたをすりすりしてくる。ほくってやっぱ犬だよね。

「みぃ、食べさせて。」

「学校では大丈夫って言ってたのに。笑」

「いいの。はやく、食べさせて。」

「はいはい。」

今日はリビングで食べることにした。カーペットの上に座って食べようとしたら、ほくが食べさせてほしいらしい。ずっとハグされたまま食べさせてあげる。可愛い。

「ん。おいしい。」

「よかった。」

「ごちそうさま。」

やっとのことでご飯を食べ終わり、お皿を洗ってお風呂に入る。

「今日はマッサージして寝ないとな。明日には筋肉痛治ってるかな。」

「もしかしたら明日もちょっと痛むかもな。」

「やだなぁ。」

そんな会話をしながら、お風呂から上がり、いつも通り映像を見る。


「はぁっ。はぁっ。いやっ!!!!」

「みぃ、どうした?!」

ほくが死んでいる映像が見えた。体育館にいて、バスケットゴールが落ちてきて、ほくの首が…。怖くて怖くて、涙が止まらない。

「みぃ、大丈夫だよ。」

「はぁっ。うっ…。」

ほくに背中をさすられる。映像が残虐で吐き気さえ感じる。ほくがいなくなってしまう恐怖も襲ってくる。

「ほく。死なないで。」

「うん。死なないよ。話せる?」

「うん…。」

ほくに強く抱きしめてもらいながら、ほくが体育館で亡くなってしまった映像のことを話す。でも、バスケットゴールが落ちてきたことは思い出したくなくて言わなかった。

「そっか。明日は体育もないし、体育館にいかないようにするから大丈夫だよ。」

「うん…。絶対体育館に入らないでね。」

「分かった。約束する。」

ほくと約束をしてベッドに入る。だけど、映像を思い出してしまいなかなか寝付けない。

「みぃ、起きてるの?」

「うん。怖くて寝れない。」

「どうしよっか。また、映画でも見る?」

「うん。ほくずっとハグして。」

「分かった。」

さっきとは立場が逆転してしまった。でも、怖すぎてそんなこと言ってられない。

「みぃおいで。」

「うん。」

部屋のソファに座り、映画を見る。

「みぃ、大丈夫だよ。」

「うん。」

「絶対体育館いかないから。」

「うん。もっと強くハグして。」

「うん。」

映画なんて頭に入ってこないけど、ほくにハグされてだいぶ落ち着いてきた。

「みぃ、大好きだよ。」

「ありがとう。」

ほくにほっぺにキスされる。きっと大丈夫だよね。

「みぃそろそろ寝れそう?」

「うーん…。」

「みぃ、もうここで寝な。あとで、ベッドに運んであげるから。みぃが寝るまで起きてる。」

「うん。分かった。」

だんだん眠くなってきた。

「ほく、手握っていい?」

「うん。いいよ。」

「ありがとう。おやすみ。」

「うん。おやすみ。」

ほくにくっついて眠りについた。明日一日何事もなく過ごせますように。


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