自己評価下の下のオレは、血筋がチートだった!?

トール

文字の大きさ
上 下
5 / 10
第一章

5.男なら、自分の道は自分で決める!!

しおりを挟む


「ディーク、オメェ冒険者登録したんだって?」

冒険者登録したその日の夜、父さんが久々に早く帰ってきた。

子供の話を聞こうっていう姿勢は素晴らしい事だし尊敬もできる。

けどな、

「何で母さんを膝の上に乗せたまま話をしようとしてんだ!? 良い年して恥ずかしくないのかよ!?」
「あ゛? ミヤビは俺の愛するつがいだぜぇ。膝に乗っけるだけじゃなく×××ピー●●●ピーも今すぐしてぇ。そんなつがいへの愛のどこに恥じ入る所があるよ」

親父ィィーーーー!!!! 思春期真っ只中の息子に言う事じゃねぇ!! 

「ロード、おかしな事口走ってないで息子の話を聞いてあげてよ。そして私にこのお菓子をもっとください」
「ミヤビ~!! オメェは本当に可愛くてしっかりした母親だなぁ!! ほら、俺が食べさせてやっから口開けろ。あ~ん」

誰か、この夫婦暗殺してくれませんか?

「で、何で冒険者になろうと思ったんだ? 冒険者になるぐれぇならウチで騎士になりゃ良いだろ」

母さんを餌付けしながらデレデレした顔で聞いてくる親父をぶん殴りたい。
そんな衝動を我慢しつつ返事をする。

「別に就職したわけじゃないし、騎士には絶対ならないからな!」
「あ゛ぁ゛?」

怖ぇ!! 父さんマジ怖ぇ!! 何でこの人こんなに凶悪な顔してんだ!?顔面凶器ってこの人の事言うんだよ!!

「ロード、説明したでしょ。浮島の学校では16才になるとバイトが許されるって。ディークも冒険者はバイトでするの。それに将来何になるかはディークの自由でしょ」

か、母さんがまともな事を言ってる!!

「バイトってなぁ職業訓練だろ? それなら騎士団の見習いも同じようなもんだし、俺も目ぇ配れるから安全じゃねぇか」
「ロードは息子を溺愛しすぎ」

溺愛されてるのはアンタだ母さん!! 今だってすげぇ頬擦りされてるし。

「ディークはただでさえミヤビに似て可愛いんだぜ。心配になるのは仕方ねぇだろ」

父さんの目と脳は死んでるからな。何しろ平凡以下の母さんの容姿を絶世の美女だと思い込んでる。

「ロビンだって武器屋でバイトすんだぞ!! 心配じゃねぇのかよ!? (客が)」
「ロビンは武器が大好きだから大丈夫だろ。剣の腕も鍛えてるし、なんならそこらの騎士よりよっぽど強いしな。襲われても余裕で撃退すんだろ」
「ロビンの心配じゃなく店の心配だよ!! 」
「……何とかなんだろ」
「軽ぅッ んな適当で良いのか!?」
「んなもん今から心配したってしょうがねぇだろ」

ロビンの事になると適当に済ます父さんは、オレの事となると口出ししてくる。それもこれもオレが母さん似なのが原因なんだ。
父さんは純粋な人族で、人族はつがいに対しての執着が尋常じゃない。つがいに出会った人族は、頭の中がつがいで始まりつがいで終わるというつがい一色で染まる恐ろしい一族だ。
母さんのように見た目がいまいちでも、父さんから見れば世界一美人で可愛いのだとか。

だから、つがいそっくりの自分の子供は溺愛度が違うらしい。

「ディーク。ロードはロビンだって溺愛してるからね」
「ったりめぇだろ。俺とミヤビの子なんだからよぉ。ま、ミヤビを一番愛してるけどな」

バカ夫婦は黙ってろ。

「オメェは行動もミヤビに似てるからなぁ。危なっかしくて口煩くもなんだろ」
「オレは母さんみたいに逮捕されたりとか、おかしな行動はしない!!」
「んな!? 何故それを!?」

空気を読まない母さんが、何で知ってるの!? もしやあのハゲが喋ったの!? と慌てている。やっぱり逮捕された事は真実だったらしい。本当、何やってんだアンタ。

「確かに母さんは前代未聞の問題を起こす事が多々あるが、オメェはその素質を色濃く継いでる」

ぐっ 言い返せない……。

「ちょっと君ら失礼すぎないか」

この母さんの血を継いでる事は確かだし。

「だからこそ、騎士団ウチにバイトに来た方が安心だろ? ウチなら何かと融通も効くぞ」
「お、オレはもう子供じゃない!! コネでバイト先を決めるとか嫌なんだ!! だってそんなの男らしくないだろ!?」

コネでバイトが決まったなんて、友人達に知られたら恥ずかしくて学校に行けない!!

「!! ディーク……そうだな。父さんが悪かった。オメェは男だもんな」

あの父さんが謝っただと!?

「あの小さかったディークが、いつの間にかいっぱしの男みてぇに言いやがる」
「ついこの間まであぶあぶ言ってよちよちしてたのにね」
「ああ。少し力入れて掴んだだけで死にそうだったのによぉ。今もだけど」
「それはロードが規格外のデカさと腕力持ってるからだよ」
「自分で便所もいけねぇガキだったのに」
「抱っこしてないとすぐご機嫌ななめになってたし」
「お漏らししてギャン泣きしてたっけな」
「シミが世界地図みたいになってる、マンガみたいなお漏らしだったよね」

お前ら、十数年前の話を数日前みたいに語んなや!!



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~

ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 男爵家出身のレーヴェは、婚約者と共に魔物討伐に駆り出されていた。  婚約者のディルクは小隊長となり、同年代の者たちを統率。  元子爵令嬢で幼馴染のエリンは、『医療班の女神』と呼ばれるようになる。  だが、一方のレーヴェは、荒くれ者の集まる炊事班で、いつまでも下っ端の炊事兵のままだった。  先輩たちにしごかれる毎日だが、それでも魔物と戦う騎士たちのために、懸命に鍋を振っていた。  だがその間に、ディルクとエリンは深い関係になっていた――。  ディルクとエリンだけでなく、友人だと思っていたディルクの隊の者たちの裏切りに傷ついたレーヴェは、炊事兵の仕事を放棄し、逃げ出していた。 (……僕ひとりいなくなったところで、誰も困らないよね)  家族に迷惑をかけないためにも、国を出ようとしたレーヴェ。  だが、魔物の被害に遭い、家と仕事を失った人々を放ってはおけず、レーヴェは炊き出しをすることにした。  そこへ、レーヴェを追いかけてきた者がいた。 『な、なんでわざわざ総大将がっ!?』  同性婚が可能な世界です。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

スキルも魔力もないけど異世界転移しました

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!! 入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。 死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。 そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。 「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」 「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」 チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。 「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。 6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

地味で冴えない俺の最高なポディション。

どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。 オマケに丸い伊達メガネ。 高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。 そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。 あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。 俺のポディションは片隅に限るな。

花の聖女として異世界に召喚されたオレ

135
BL
オレ、花屋敷コガネ、十八歳。 大学の友だち数人と旅行に行くために家の門を出たらいきなりキラキラした場所に召喚されてしまった。 なんだなんだとビックリしていたら突然、 「君との婚約を破棄させてもらう」 なんて声が聞こえた。 なんだって? ちょっとオバカな主人公が聖女として召喚され、なんだかんだ国を救う話。 ※更新は気紛れです。 ちょこちょこ手直ししながら更新します。

処理中です...