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第一章
5.男なら、自分の道は自分で決める!!
しおりを挟む「ディーク、オメェ冒険者登録したんだって?」
冒険者登録したその日の夜、父さんが久々に早く帰ってきた。
子供の話を聞こうっていう姿勢は素晴らしい事だし尊敬もできる。
けどな、
「何で母さんを膝の上に乗せたまま話をしようとしてんだ!? 良い年して恥ずかしくないのかよ!?」
「あ゛? ミヤビは俺の愛するつがいだぜぇ。膝に乗っけるだけじゃなく×××や●●●も今すぐしてぇ。そんなつがいへの愛のどこに恥じ入る所があるよ」
親父ィィーーーー!!!! 思春期真っ只中の息子に言う事じゃねぇ!!
「ロード、おかしな事口走ってないで息子の話を聞いてあげてよ。そして私にこのお菓子をもっとください」
「ミヤビ~!! オメェは本当に可愛くてしっかりした母親だなぁ!! ほら、俺が食べさせてやっから口開けろ。あ~ん」
誰か、この夫婦暗殺してくれませんか?
「で、何で冒険者になろうと思ったんだ? 冒険者になるぐれぇならウチで騎士になりゃ良いだろ」
母さんを餌付けしながらデレデレした顔で聞いてくる親父をぶん殴りたい。
そんな衝動を我慢しつつ返事をする。
「別に就職したわけじゃないし、騎士には絶対ならないからな!」
「あ゛ぁ゛?」
怖ぇ!! 父さんマジ怖ぇ!! 何でこの人こんなに凶悪な顔してんだ!?顔面凶器ってこの人の事言うんだよ!!
「ロード、説明したでしょ。浮島の学校では16才になるとバイトが許されるって。ディークも冒険者はバイトでするの。それに将来何になるかはディークの自由でしょ」
か、母さんがまともな事を言ってる!!
「バイトってなぁ職業訓練だろ? それなら騎士団の見習いも同じようなもんだし、俺も目ぇ配れるから安全じゃねぇか」
「ロードは息子を溺愛しすぎ」
溺愛されてるのはアンタだ母さん!! 今だってすげぇ頬擦りされてるし。
「ディークはただでさえミヤビに似て可愛いんだぜ。心配になるのは仕方ねぇだろ」
父さんの目と脳は死んでるからな。何しろ平凡以下の母さんの容姿を絶世の美女だと思い込んでる。
「ロビンだって武器屋でバイトすんだぞ!! 心配じゃねぇのかよ!? (客が)」
「ロビンは武器が大好きだから大丈夫だろ。剣の腕も鍛えてるし、なんならそこらの騎士よりよっぽど強いしな。襲われても余裕で撃退すんだろ」
「ロビンの心配じゃなく店の心配だよ!! 」
「……何とかなんだろ」
「軽ぅッ んな適当で良いのか!?」
「んなもん今から心配したってしょうがねぇだろ」
ロビンの事になると適当に済ます父さんは、オレの事となると口出ししてくる。それもこれもオレが母さん似なのが原因なんだ。
父さんは純粋な人族で、人族はつがいに対しての執着が尋常じゃない。つがいに出会った人族は、頭の中がつがいで始まりつがいで終わるというつがい一色で染まる恐ろしい一族だ。
母さんのように見た目がいまいちでも、父さんから見れば世界一美人で可愛いのだとか。
だから、つがいそっくりの自分の子供は溺愛度が違うらしい。
「ディーク。ロードはロビンだって溺愛してるからね」
「ったりめぇだろ。俺とミヤビの子なんだからよぉ。ま、ミヤビを一番愛してるけどな」
バカ夫婦は黙ってろ。
「オメェは行動もミヤビに似てるからなぁ。危なっかしくて口煩くもなんだろ」
「オレは母さんみたいに逮捕されたりとか、おかしな行動はしない!!」
「んな!? 何故それを!?」
空気を読まない母さんが、何で知ってるの!? もしやあのハゲが喋ったの!? と慌てている。やっぱり逮捕された事は真実だったらしい。本当、何やってんだアンタ。
「確かに母さんは前代未聞の問題を起こす事が多々あるが、オメェはその素質を色濃く継いでる」
ぐっ 言い返せない……。
「ちょっと君ら失礼すぎないか」
この母さんの血を継いでる事は確かだし。
「だからこそ、騎士団にバイトに来た方が安心だろ? ウチなら何かと融通も効くぞ」
「お、オレはもう子供じゃない!! コネでバイト先を決めるとか嫌なんだ!! だってそんなの男らしくないだろ!?」
コネでバイトが決まったなんて、友人達に知られたら恥ずかしくて学校に行けない!!
「!! ディーク……そうだな。父さんが悪かった。オメェは男だもんな」
あの父さんが謝っただと!?
「あの小さかったディークが、いつの間にかいっぱしの男みてぇに言いやがる」
「ついこの間まであぶあぶ言ってよちよちしてたのにね」
「ああ。少し力入れて掴んだだけで死にそうだったのによぉ。今もだけど」
「それはロードが規格外のデカさと腕力持ってるからだよ」
「自分で便所もいけねぇガキだったのに」
「抱っこしてないとすぐご機嫌ななめになってたし」
「お漏らししてギャン泣きしてたっけな」
「シミが世界地図みたいになってる、マンガみたいなお漏らしだったよね」
お前ら、十数年前の話を数日前みたいに語んなや!!
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