3 / 10
第一章
3.冒険者ギルド
しおりを挟むルマンド王国には数多の冒険者ギルドがあり、その中でも王都のギルドには伝説のSSランク冒険者も名前を連ねているらしい。オレはそんな凄い所でこれから冒険者登録をするのだ。
ドキドキしながらギルド内へ足を踏み入れる。
「冒険者ギルドへようこそ。ご依頼ですか? ご登録ですか?」
想像していたよりも広く、綺麗な室内に戸惑いながらキョロキョロしているとゴツイお姉さんに声をかけられた。
「あ、えっと……登録をお願いしたいんですけど」
「ご登録ですね。こちらへどうぞ」
受付に案内され、違うお姉さん(これまたゴツイ)から登録方法を説明される。冒険者ギルドの受付ってゴツイお姉さんしか採用されないんだろうか。
「━━……では、続いて魔力の属性判定ですが、ご自身の魔石はお持ちでしょうか?」
「あ、持ってます。これを提示したらいいんですか?」
母さんが、得意魔法をほんのちょっと閉じ込めた魔石を持って行ったら時間短縮になるって教えてくれたんだよな。
普段は全然だけど、たまには役に立つ。
「ありがとうございます。属性は“風”ですね。魔力の買取は致しますか?」
「え? 魔力って買い取ってもらえるんですか?」
「はい。勿論魔石の買取も行っております。魔力は属性にもよりますが、1回500~1000ジット、魔石は一つ50万~100万ジットでお取引させていただいております」
え!? こんな石ころが100万!? ウチの周り沢山落ちてるけど!?
「いかがなさいますか?」
「あ、勿論売りま……ッ」
ちょっと待て。そもそもウチの周りに落ちてるこの石って“魔石”なのか? 1つ100万もするようなものが石ころなわけないだろ。それに、もしこれがこのお姉さんの言う魔石じゃなかったら、偽造した罪で逮捕されたり……?
「あの、お売りになりますか??」
「ま、魔力だけお願いします!!」
「かしこまりました。ではこちらの魔石に今お持ちの魔石を当てていただけますか?」
お姉さんは白に近い薄い水色の石を持ってきた。
「は、はい!!」
魔石じゃないかもしれないけど大丈夫かな。と緊張しながら魔石を当てるとオレの魔力がほんの少しその白っぽい魔石に移動し、水色に染まる。
「あら? もういっぱいに……おかしいわね。一度しか使用していないはずなのに……申し訳ありません。新しい魔石と交換しますので次はこちらへお願いしても宜しいですか?」
「あ、はい」
よくわからないけど、容器がいっぱいになったからほかの容器に入れて欲しいって事かな?
「ちょっと!? あなたその魔石にどれだけの魔力を注いだの!? 2つの魔石をいっぱいにしてもまだその魔石の色が変わってないじゃない!?」
え? このお姉さん急に怒りだしたけど、オレ何かマズい事した?
「あのねボク。普通はその位の魔石30個分でギルドの魔石がいっぱいになるものなの。にもかかわらず、ギルドの魔石2つをいっぱいにしてもあなたの魔石の色は変わっていないでしょう」
ボクって……子供と間違われてるのか?
「つまり、あなたの魔石もその中にある魔力の量も、普通では考えられないのよ」
え……でも魔力はほんのちょっとしか込めてない。もしかして、ウチの石が原因とか?? 魔石じゃないから何かおかしな事になってるんじゃ……。
「どうした? 何かあったのか?」
お姉さんの剣幕に困ってオロオロしていたら、ハゲたおっさんが話し掛けてきた。
「ギルド長!! それが……」
このハゲたおっさん、ギルド長なのか? 今受付のお姉さんがそう呼んだよな?
ギルド長と呼ばれた人物は、オレをチラッと見てお姉さんに視線を戻したと思ったら、「ん?」と唸って直ぐ様こちらを見返してきた。
「ん~? 坊主、もしかして嬢ちゃんの弟か?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1ジット=1円玉と同サイズの銅貨
10ジット=10円玉と同サイズの銅貨
50ジット=50円玉と同サイズの銀貨
100ジット=100円玉と同サイズの銀貨
500ジット=500円玉と同サイズの銀貨
1000ジット=1円玉と同サイズの金貨
5000ジット=50円玉と同サイズの金貨
10000ジット=1円玉と同サイズの白金貨
お金の価値は1ジット=1円
78
お気に入りに追加
586
あなたにおすすめの小説

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている
青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子
ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ
そんな主人公が、BLゲームの世界で
モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを
楽しみにしていた。
だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない……
そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし
BL要素は、軽めです。

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
第12回BL小説大賞に参加中!
よろしくお願いします🙇♀️

スキルも魔力もないけど異世界転移しました
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!!
入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。
死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。
そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。
「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」
「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」
チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。
「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。
6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる