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第一章
3.冒険者ギルド
しおりを挟むルマンド王国には数多の冒険者ギルドがあり、その中でも王都のギルドには伝説のSSランク冒険者も名前を連ねているらしい。オレはそんな凄い所でこれから冒険者登録をするのだ。
ドキドキしながらギルド内へ足を踏み入れる。
「冒険者ギルドへようこそ。ご依頼ですか? ご登録ですか?」
想像していたよりも広く、綺麗な室内に戸惑いながらキョロキョロしているとゴツイお姉さんに声をかけられた。
「あ、えっと……登録をお願いしたいんですけど」
「ご登録ですね。こちらへどうぞ」
受付に案内され、違うお姉さん(これまたゴツイ)から登録方法を説明される。冒険者ギルドの受付ってゴツイお姉さんしか採用されないんだろうか。
「━━……では、続いて魔力の属性判定ですが、ご自身の魔石はお持ちでしょうか?」
「あ、持ってます。これを提示したらいいんですか?」
母さんが、得意魔法をほんのちょっと閉じ込めた魔石を持って行ったら時間短縮になるって教えてくれたんだよな。
普段は全然だけど、たまには役に立つ。
「ありがとうございます。属性は“風”ですね。魔力の買取は致しますか?」
「え? 魔力って買い取ってもらえるんですか?」
「はい。勿論魔石の買取も行っております。魔力は属性にもよりますが、1回500~1000ジット、魔石は一つ50万~100万ジットでお取引させていただいております」
え!? こんな石ころが100万!? ウチの周り沢山落ちてるけど!?
「いかがなさいますか?」
「あ、勿論売りま……ッ」
ちょっと待て。そもそもウチの周りに落ちてるこの石って“魔石”なのか? 1つ100万もするようなものが石ころなわけないだろ。それに、もしこれがこのお姉さんの言う魔石じゃなかったら、偽造した罪で逮捕されたり……?
「あの、お売りになりますか??」
「ま、魔力だけお願いします!!」
「かしこまりました。ではこちらの魔石に今お持ちの魔石を当てていただけますか?」
お姉さんは白に近い薄い水色の石を持ってきた。
「は、はい!!」
魔石じゃないかもしれないけど大丈夫かな。と緊張しながら魔石を当てるとオレの魔力がほんの少しその白っぽい魔石に移動し、水色に染まる。
「あら? もういっぱいに……おかしいわね。一度しか使用していないはずなのに……申し訳ありません。新しい魔石と交換しますので次はこちらへお願いしても宜しいですか?」
「あ、はい」
よくわからないけど、容器がいっぱいになったからほかの容器に入れて欲しいって事かな?
「ちょっと!? あなたその魔石にどれだけの魔力を注いだの!? 2つの魔石をいっぱいにしてもまだその魔石の色が変わってないじゃない!?」
え? このお姉さん急に怒りだしたけど、オレ何かマズい事した?
「あのねボク。普通はその位の魔石30個分でギルドの魔石がいっぱいになるものなの。にもかかわらず、ギルドの魔石2つをいっぱいにしてもあなたの魔石の色は変わっていないでしょう」
ボクって……子供と間違われてるのか?
「つまり、あなたの魔石もその中にある魔力の量も、普通では考えられないのよ」
え……でも魔力はほんのちょっとしか込めてない。もしかして、ウチの石が原因とか?? 魔石じゃないから何かおかしな事になってるんじゃ……。
「どうした? 何かあったのか?」
お姉さんの剣幕に困ってオロオロしていたら、ハゲたおっさんが話し掛けてきた。
「ギルド長!! それが……」
このハゲたおっさん、ギルド長なのか? 今受付のお姉さんがそう呼んだよな?
ギルド長と呼ばれた人物は、オレをチラッと見てお姉さんに視線を戻したと思ったら、「ん?」と唸って直ぐ様こちらを見返してきた。
「ん~? 坊主、もしかして嬢ちゃんの弟か?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1ジット=1円玉と同サイズの銅貨
10ジット=10円玉と同サイズの銅貨
50ジット=50円玉と同サイズの銀貨
100ジット=100円玉と同サイズの銀貨
500ジット=500円玉と同サイズの銀貨
1000ジット=1円玉と同サイズの金貨
5000ジット=50円玉と同サイズの金貨
10000ジット=1円玉と同サイズの白金貨
お金の価値は1ジット=1円
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