異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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ズボラライフ2 ~新章~

135.金運の無い神王ってなに?

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「おっさーん、魔石売りに来たよ~」
「お、嬢ちゃんもう日が落ちてんぞ。さっさと帰らねぇと旦那が心配す…………え?」

ギルド長がハゲ……整理整頓された頭を掻きながら、私の掛け声に仕方無くという体で奥の部屋から出て来たのだが、私の後ろを見て固まった。

「おっさん、魔石買取って欲しいんだけど……って、何固まってんの?」
「いや……だって、後ろ……っ」

後ろにはローブを被ったロードしかいない。

「後ろ?」
「じ、嬢ちゃんの後ろに、デケェのがいんだろうがよぉ!!!」

あ、やっぱりロードの事だった。

「ああ、この人私の旦那さん。何かついてくるって言うから連れて来たよ」
「だ!? 嬢ちゃんの……ってことは、し、し、しだんちょ……っっ」

ひぃっと言いながら平伏すおっさんに首を傾げる。

「みーちゃん、この人何してるの~?」

隣のトモコが同じように首を傾げて聞いてくるので、分からないと首を振ると、ロードが困ったようにおっさんに声を掛けた。

「んな事しなくていい。お忍びで来てんだ。顔を上げてくれや」
「し、し、しだ……っ」
「おっさん、大丈夫??」

上手く喋れないおっさんに声を掛けたら、ロードが、オメェは俺の後ろにいろ。とおっさんから距離をとらせようとする。

「何で?」
「俺にやかせてぇのか」
「やく??」

何を焼くの?

「ったく。オメェは俺のつがいだろうが。男に近付くんじゃねぇよ」
「え、その設定まだ有効だったの!?」

さっきまでカルロさんやレンメイさんも一緒に居たのに!?

「俺の知らねぇ野郎と仲良さげにしてたらやくに決まってんだろ」
「仲良さげって、その人ギルドマスターだよ?? 私は冒険者で、魔石売りに来たんだから喋るに決まってるでしょ」
「それでもだ。つがいの本能なめんなよ」

何を言ってるんだか。

「ギルドマスターのおじさん、何かすいませ~ん。これ、魔石なんですけど、買い取ってもらえますか~?」
「お、ぁ、おお……」

私とロードが揉めている間に、トモコが魔石をカウンターへ置いた。
カルロさんとレンメイさんに貢がせたやつだ。

悪い女である。 

「こりゃすげぇ。魔石ってより宝石じゃねぇか!」
「まぁ魔石と魔宝石の違いって、魔力の量が満タンかそうでないかですからね~。今、貴族の間じゃ“魔宝石”の価値が爆上がりしてますからこの“魔宝石”も高く買い取ってくださいね~。知ってます? この国の王様が王妃様の誕生日に“魔宝石”あげたの」
「そりゃ知ってるが、魔石と魔宝石が同じだって!? どういうこった!?」
「ん~? ロードさん、これギルドに伝わってないの~?」

トモコがおっさんの反応に、やっべ! という顔をしてロードを振り返る。

「あ? そういやぁ、伝え忘れてたか?」

おいぃぃぃ!!

「これ、冒険者にとっては結構大事だからね!? 買取金額に大きな違いが出てくるんだから!」
「わりぃ、わりぃ」
「かっる! 何それかっる!!」
「いや、だってよぉ……俺も魔石の事だけじゃなく色々仕事が立て込んでんだよ。ミスの一つや二つすんだろ。事務作業苦手だしよぉ」
「アナさんが居ながらなんでそうなるの!」
「アナシスタも忙しくしてっから、確認してもらわずに陛下に提出しちまってな」
「そこはせめてルーベンスさんに回しなよ!?」
「あのおっさんに回したら書類がまたこっちに返ってくんだろうがっ」

それロードのせいでしょ!?

「あの~……そういう事なら悪いんですが、“魔宝石”は買取れないんですけど……」

ギルドのおっさんが恐ろしい事を口にした!!

「そりゃそうだな。また国から“魔宝石”の詳細については追って沙汰を出す。すまねぇな」
「えぇ!? じゃあこれ買い取ってもらえないの!? わざわざ魔物退治したのに!?」
「仕方ねぇだろ。ほら、帰んぞ」
「え~!!」

ええェェェェ!!!!




こうして、私の魔物退治は何一つお金にはならなかった。

「みーちゃんって、金運ないよね」
「!!!?」


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