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ズボラライフ2 ~新章~
128.尾行されてました!!
しおりを挟む南門そばの停車場で馬車を降り、同じ姿勢で固まってしまった体を解す。
「やっぱり結構揺れたねぇ」
「私達が人間だったらお尻が4つに割れてたね。絶対」
そんなわけあるか。むしろ尻が4つに割れる奴が人間じゃないわ。
「どうして皆、車で移動しないのでしょうか~? 人間は変わってますね~」
ショコたん、車は浮島にしかないものなんだよ。
「それで、これから何処に行くんだ?」
リンがまるで子供3人を引率する先生のような顔をして聞いてくる。
十代なのに一気に老けたね。それ、私達のせい?
かわいそうだが、リンしか王都に詳しい人はいないので、案内はしてもらいたい。なのでここで解散には絶対ならないのだ。
「コリーちゃんの家に行くついでに、その辺のお店も見てみたいかなぁ。後、市場にも行ってみたい!」
「市場って、お前市場で何見る気だよ」
「この世界の食材を見てみたいんだよ。何か珍しいのがあったらロードにそれ使って料理してもらうの。最近色々練習もしてるみたいだし」
想像したらヨダレが出そうになる。
「お前からもよく聞いてるし、オレも何度か食べさせてもらったけど、やっぱりアレを師団長が作ってるなんて想像出来ねぇ」
「分かる~!! 私も毎回、ロードさんとあの料理のギャップに我が目を疑ってる~」
最近、双子の為に凝りだしたお子様ランチとキャラ弁の事を言ってるのだろう。
トモコとリンが通じ合ったようで頷いている。
双子はまだ離乳食で、お子様ランチもキャラ弁も食べれないって言ってるのに、今から練習だって言って作るもんだから、色んな人に差し入れしてるんだよね。ロードにも困ったもんだよ。
まぁ、美味しいから良いけどさ。
「じゃあ、市場に向かうか。気になる店はその都度入ればいいだろ」
「賛成~」
「ショコラは主様が行くところならどこでもついて行くきます~」
◇◇◇
「━━━……やっぱりつけられてるな」
雑貨屋さんをのぞいていた時、リンがボソリと言った。ショコラが「そうですね~」と頷き、トモコがゴル○13みたいな顔をする。
「殺りますか~?」
ショコたんが可愛い顔をして腰にさした刀を握った。
「いや、ここじゃ人が多い。出来れば人気のない場所に誘い出して捕らえたい」
「じゃあ一本中に入った通りまで誘導する~?」
「ああ。そのまま自然な様子で歩いてくれ」
え、何? 何で皆そんなに冷静なの!? 尾行されてるんだよね!? ちょ、怖いと思ってるの私だけ!?
リンもナチュラルに声が漏れない結界とか張ってるけど、いつからそんな事出来るようになったの!?
「みーちゃん、この通りを入った所にも可愛い店がある気がするなぁ!! そんな匂いがするなぁ!!」
下手ァァァ!! 誘導下手すぎるぞトモコ!
「はぁ……」
リンが溜め息吐いてるよ。
あ、右手と右足が一緒に出てる! 顔もまだゴル○13!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
モーリス視点
何だ? 急に静かになったな。
まぁ、雑貨に夢中になってるってところか。姿は見えてんだ。焦る事ぁねぇよな。
「みーちゃん、この通りを入った所にも可愛い店がある気がするなぁ!! そんな匂いがするなぁ!!」
突然、人間離れした美女がそう言って歩き出した。特徴がないのが特徴みてぇなガキの手を引き、大通りから一本中に入った道へと、おかしな歩き方で向かって行く。
「何だ?」
一瞬ついて行くか迷ったが、ここで見失えば機会がなくなると思い、少し離れてついて行く事にした。
別に殺そうとは思ってねぇさ。ただ、絶対フォルプロームに帰って来ない確約をもらいてぇだけだ。
そりゃあ死んでもらうほうが都合はいいけどよ。
大通りとは違い、人通りの少ない路地に、こんな所に店なんてあるのかよと思いながら、バレても面倒だともう少し距離を取ろうとしたその時だった。
「主様をつけ回すとは無礼千万ですね~」
気付けばオレは地面に転がされ、剣を突きつけられていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
雅視点
あれ、この人馬車に乗ってた大店の遊び人な若旦那だ。
ショコラに刀を突きつけられて呆然としている若旦那に、リンが近付いていく。
「お前は何者だ。何故オレ達をつけ回す」
リンの言葉にハッと我に返った若旦那は、突然フッと笑ったかと思ったら、何だか偉そうな態度で、
「おいおい。たかが騎士が他国の代表にこんな事してもいいのかよ」
何言ってるんだろう。この若旦那。
「他国の代表だと……?」
リンの顔が顰められ、訝しげに聞き返している。
若旦那は未だにショコラに刀を突きつけられたままだが、より偉そうに言った。
「オレはフォルプローム国の代表だ。そのオレにこんな無礼を働くとは、国際問題ものだぜぇ」
なんか、イラッとする人だなぁ。
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