異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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ズボラライフ2 ~新章~

122.誕生日パーティーの開幕

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「……珍しく言うことを聞いて、帰ったのではなかったのかね」
「やっぱり気になって戻ってきました!」
「ただ迷子になってただけだよね~」

こらっ 余計な事言わないの!

トモコを睨んで黙らせ、ルーベンスさんと王様にヘラリと笑って誤魔化す。
だってこれから王様と交渉しようと思ってるんだもんね!

「先程の爆発は、魔法の訓練中に起こった小規模の事故だったのだよ。怪我人も軽症の者が数人だったのでミヤビ殿が気にするような事でもない。早く帰りたまえ」

くっ ルーベンスさんめ! 私を追い出す気だな!?

「そうなんですか。それは不幸中の幸いでした。あ、私王様に話があるんですけど…「ヒィィッ」」

王様に悲鳴と共に後退られたんですけど。

なんで? ルーベンスに対してその反応ならわかるけど、私にその反応っておかしくない?

「君が陛下に話だと?」

訝しげに眉をひそめ、こちらの考えを読んでやろうとしているかのように、目をじっと見つめられる。

「えっと、明日の件で……」

何も悪い事などしていないのに、なんでか悪い事したかのようなソワソワした気持ちになってくる。

「明日……? 明日の陛下関連イベントといえば、王妃様の誕生日か」

目がっ ルーベンスさんの目が攻めたててくる!

「み、ミヤビ殿が、僕の王妃の誕生日の件で、どのような話しがあるのでしょうか!!?」

王様なんだから様付けしなくていいと言ったからか、ミヤビ殿呼びに直してくれたが、敬語はとれないらしい。態度は何故かビクビクしているし、私が一体何をしたというのか。

「明日の王妃様の誕生日に「ダメだ」」

言い終わる前にダメ出しされた。

「まだ何も言ってない上、なんでルーベンスさんがダメ出しするんですか!?」
「君の考えている事など聞かずとも分かる」
「な、何だって!?」

エスパー!?

「君は自分の立場を考えたまえ。王妃の誕生日パーティーに参加したいなどと口にする事も許されないのだからな」

やっぱりエスパー!!!

「わ、私はただの精霊です!!」
「精霊とて人間からしてみれば神のようなものだ。王妃の誕生日パーティーに参加すればパワーバランスが崩れる。ただでさえ、いつ崩れるかもわからぬ脆さだというのに」

そんなぁ……。

せっかく色んなドレスが見れるチャンスだったのに。ハァ……。仕方ないか。政治の問題が絡んでくるなら、首を突っ込むのはよくないもんね。今回は残念だけど、ウチのTVで中継を観るだけにしよう。












なぁんて、諦めると思うなよ。フフフッ━━━……。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



バナン(フォルプローム国国務大臣)視点


広いホールの真ん中で、磨き上げられた宝石を身に着け、それに負けぬほどのドレスを翻し踊る男女。

音楽家達は久々の大きなパーティーに、張り切って曲を奏でる。

豊かさをアピールするように、軽食と酒が用意され、国力の差をまざまざと見せつけられる。

食糧すらギリギリで、これといった産業も無い我が国とは大違いだな。

「こりゃ良い! 食った事もねぇ料理がたらふく食えてて、酒も浴びるほど飲めるぜっ」

今やこの下品な男が我が国の代表とは……。恥でしかない。

こんな馬鹿モーリスの事よりも、やっとルマンド王国にやって来れたのだ。この国にいられる内に、早く様と接触せねばならない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



雅視点


バレないよう透明化の魔法をかけて王宮に侵入したら、即ロードにバレた。

「何でトモコは良くて私はダメなの!?」
「オメェの今までの行動を思い出してからものを言え!」

このゴリラは、指輪の位置情報を使って予め待ち伏せし、透明化している私を投網で捕まえたのである。

投網って、魚か!!

「王妃様の誕生日パーティー見たい!! 流行のドレス見たい!! 美味しいご飯食べたいーーー!!」
「んなもん家に居ても見れるし、うまい飯なら俺が作ってやってんだろ!」
「見るのと体験するのでは大違いなんだよぉ!!」
「駄々捏ねるんじゃねぇ!」

陸に打ち上げられた魚のようにバタついても、丸太のような腕から抜け出す事は不可能だった。

ゴリラの力は神王をも上回るのか!!

「どうしてこんな事にィィィ!!」
「オメェの行動パターンなんぞ把握済みだアホ」


愛する妻に対する態度じゃねぇーーーーーーーー!!!!!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 



忘れかけているであろう人物の紹介


モーリス: フォルプローム国の現代表。反乱軍の元リーダーで平民だったシンデレラボーイ。戦う事は得意だが、事務作業は出来ない。

バナン: フォルプローム国の現国務大臣。リンのお父さんの部下で元宰相だったが、リンの兄であった国王に追放され反乱軍に。現在は仕事の出来ないモーリスの下でモーリスの仕事の一切をやらされている。リンを国王にしたい。

リンゼイ: リンの本名

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