異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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ズボラライフ2 ~新章~

118.サプライズほど迷惑なものはない

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「うわぁ~!! 虹色の薔薇とガーベラって可愛いね~」
「そうだね。私としてはガーベラの方がおしゃれな感じがするなぁ」
「淡い虹色だから、薔薇も上品でステキだよ~。貴族なら薔薇の方が好みかもね~」

なるほど。やはりルーベンスさんに渡すなら薔薇か。

「でも虹薔薇だけっていうのもインパクトに欠けるような……」
「え~そうかな?? あ、じゃあ食べれる虹薔薇は~?」
「それだとまた食べ物になっちゃうよ」
「そっか。むむむ~。貴族が好きそうな……宝石?」

宝石だと!?

「ほら、貴族って何かと宝飾品で競い合ってるし~」
「な、なるほど……でも宝石ってさ、賄賂みたいでなんかイメージ悪くない?」
「そうかな~。小説とかではプレゼントで宝飾品は当たり前だよ~?」

そ、そう言われてみれば……?

「あっ じゃあ花の形の宝石にしてみたら~? そしたらデザイン性があって賄賂っぽくないよ!」
「それだ!! 虹薔薇のブーケの中央に、薔薇の形の宝石とかどう!?」

トモコの案のおかげでピーンときた!!

「良い~!! それおしゃれ~っ」
「青い薔薇!! 青いバラの宝石にしよう!!」
「ぅお~ッ 夢のような宝石!! なら花びらの部分はロイヤルブルームーンストーンとかどうかな~? ただの青じゃなくて、淡くてちょっと虹色っぽいから、虹薔薇とも合う気がする!! 茎や葉っぱはグリーントルマリンとかスフェーンとか、ペリドットでも良いかも~」
「おおっ じゃあそれで創ってみる!!」

こうして出来上がった薔薇の形の宝石は、一見本物の花びらのよな繊細さを持ちながら、触れると宝石の硬さがあり、一枚一枚が美しく光を反射する緻密なカットを施されている。
それは全体が透き通った青で、光の反射によって淡い青から紫のグラデーションだったり虹色になったりする、ロイヤルブルームーンストーンという幻想的な宝石で出来ている。
茎や葉は、グリーントルマリン、スフェーン、ペリドットがグラデーションのように合わさった、新緑の瑞々しい木々のような、とんでもなく綺麗な宝石だった。

「ふぉぉぉぉ!! 神々の楽園にある、虹のかかる満月の夜だけ花を咲かせる幻の聖なる宝珠って感じだね~!!」

トモコが興奮して、子供のようにキラキラした瞳を薔薇の宝石に向けている。

「そう言われると大したものみたいに見えてくるね~」

さっそく、虹薔薇のブーケの真ん中に宝石を入れ込む。

「これでルーベンスさんをあっと言わせられるかな」
「絶対驚くよ~」

ニヒヒッと二人で笑い合うと、私達は仕事を再開したのだった。


◇◇◇


「ルーベンスさーん」

仕事が終わりの夕方、トモコと二人でニヤニヤしながらルーベンスさんの執務室へと訪れる。勿論例のブーケを差し入れする為だ。

「ミヤビ殿……これは人族の女神様もご一緒でしたか」

部屋に入ると書類から顔を上げ、私とトモコに視線を移すと、椅子から立ち上がりトモコの前で片足をつく。

おかしい。私神王なのに、ルーベンスさんに片足をついた挨拶をされた事がない。

「どもども~。今日はショコたんの代わりに護衛してま~す」
「……そうですか」

色んな事を飲み込んで、「そうですか」の一言で済ませるとティーセットを来客用の机に手早く準備している。

ルーベンスさんってトモコの事苦手意識があるみたいだから。ランタンさんよりは大丈夫みたいだけど。

「この時間帯にお見えになられるのは珍しいですが、何かございましたか」

何故かトモコには敬語を使う余所余所しさ。トモコの方はいつも通りニコニコ……いや、ニヤニヤしている。

バレるから止めなさい。

「何かあったわけじゃなくて、ルーベンスさんに差し入れ持ってきたんです!」
「差し入れ……?」

訝しげに見てくるが、普通差し入れって聞いたら喜ぶ所じゃない? 

「みーちゃん、早く出してあげなよ~」

ニヤニヤがニマニマに進化したトモコはサプライズには向いていないと思う。
私達のやり取りを見て、眉間に縦線が増えたサプライズの相手の事は見て見ぬフリをしよう。

「急かさない、急かさない」

トモコのニマニマを見てテンションがピークに達し、フフフ……と自分でもびっくりする程不気味な笑いが口からもれてしまう。

「今すぐこの場から逃げ出したいのだがね……」

え、何て??

ルーベンスさんがボソッと何事かを呟いたがよく聞こえなかった。まぁ良い。あのブーケを見れば喜びにひっくり返るルーベンスさんが拝めるかもしれんからな!! フハハハハッ

「ルーベンスさん! 差し入れですよ!!」

無限収納インベントリからバッと取り出した虹色ブーケを、プロポーズもかくやといわんばかりにルーベンスさんの目の前に掲げれば、ギョッと目を見開いたまま暫く動かなくなった。

あれ? 時間が停止してる?

「ルーベンスさん……?」
「な…………」

な?

「な……、な……ッッ」

なな??

「ッ何という物を持ち込んだのかね!!!!!!!!」
「何という……あ、これは虹色の薔薇と、オーロラのバラ型の宝石……「そんな事を聞いたんじゃあないッッ!!!!!!」」

あれぇ??? 

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