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ズボラライフ2 ~新章~
102.余韻に浸る
しおりを挟む「精霊がルーテル公爵の執務室に入っただと……?」
「はい。幼い侍女らしき少女を連れられ、陛下とブランチャード侯爵がいらっしゃる時間に入室されました」
「陛下もその場に居たというのか……いや、それよりも、やはり精霊というのは第3師団長の偽りであったか」
「そのようです。精霊様は神に仕えるお立場。神獣様が共を付けていない事を考えると、あの方は神獣様と同等かもしくはそれ以上のお立場にあるかと」
「ふむ……確かマガレー子爵の娘が、あの精霊は神王様の御子様の乳母だと騒いでいたか……荒唐無稽だと思っていたが、あながちそうでもないらしい」
「ウィンストン様、例え第3師団長のつがい様が神王様の御子様の乳母君とはいえ、人間(第3師団長)があのように神王様に触れることなど神々が許すはずはございません。そして神獣様のあの御方への態度は乳母君のそれではないと考えます」
「お前の推測はこうだろう? 恐らくあの精霊は、神王様の御息女ではないか」
「ご推察の通りでございます」
「とはいえ未だ推測の域を出ぬ。精霊の調査は引き続き行い、逐一報告をしろ」
「かしこまりました」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロリーオ国王視点
「はぁ……楽しかったなぁ。ばーべきゅパーティー」
「フフッ あれから2週間は経つというのに、楽しまれたようで良かったですね」
「だって見たこともない建物に、開放感のある自然の中での美味しい料理、そしてシメのきゃんぷふぁいやー!! どれも素晴らしかったじゃないか」
何より最高だったのは、面倒な貴族たちが居なかったって所だよね!!
「それに、神王様のお住まいが空の上だっていうロマン!! カルロは知ってたかい!?」
「存じ上げておりますよ」
「やっぱりカルロも知ってたんだね。招待された事はあるの!? どんな所!?」
「陛下、そのようにご興味がおありならロードに聞いてみてはいかがですか」
「え……お、怒られないかな?」
「案外招待してくれるかもしれませんよ」
マジで!?
◇◇◇
「あ゛? 天空神殿について教えてほしいだぁ?」
「う、うん。あっ 聞いたからって何かしようって思ってないよ!? ただ空の上に街があるって男のロマンじゃないか! だから話だけでも聞きたくてっ」
「あー……別に構わねぇが、何が聞きてぇんだ?」
ロヴィンゴッドウェル卿から聞いた“天空神殿”の詳しい話が聞きたくて、怒られるのを覚悟してロードを呼んだんだけど、こんなに軽く了承してもらえるとは思わなかった!!
「本当にいいの!? 神王様のお住まいの話だよ!?」
「いや、ありゃミヤビが悪ノリして創った遊び場で住処じゃねぇ」
「ええ!?」
悪ノリで空に遊び場を創った!? お住まいじゃない!? ど、どういう事!?
カルロを見てもニコニコ笑っているだけだ。
「まぁ偶に音楽祭やらパーティーやらで使っちゃいるが」
「音楽祭? そんな楽しそうな催しに呼んでもらった覚えはないけど?」
「お前らがミヤビの正体に気付く前にやったんだよ。笑顔で凄んでくるんじゃねぇ」
「次にそういう催しがあったら是非招待してほしいものだね」
「わかったから近付いてくんな!!」
カルロいいなぁ。僕も招待してもらいたいけどダメだよね……。
「音楽祭は1年に1回行うらしいから、どうせミヤビがオメェらを誘うだろうぜ」
え? オメェらって言った?
「良かったですね陛下。次は招待してくれるようですよ」
「ぼ、僕も良いの!?」
「あ゛? 深淵の森に招待してもらってんだから誘われると思うぜ。あそこに誘われるのはミヤビが信頼してる奴だけだ」
え? え? 僕、信頼……? え、本当に?
「なっ 何泣いてんだ陛下っ」
「だって、嬉しくて……っ」
「何も泣くこたぁねぇだろ」
呆れた声をロードは出したけど、僕が神王様に信頼されてるなんて……思ってもみなかったんだっ
「と、とにかく、そんなに天空神殿が見たけりゃミヤビに言ってみろ。すぐ連れて行ってくれんだろ」
え? 招待されるの待たなくて良いの?
「ロード、陛下には仕事をしてもらわないと困るんだけどね? もしミヤビ殿があの扉を陛下の為に創ってしまったら、“浮島”から戻って来なくなってしまうかもしれないだろう」
あの扉?
「……ミヤビにゃ陛下の部屋には扉を創らねぇよう注意しとく」
「そうしてくれると助かるよ」
ねぇ、扉って何の扉なの??
「さぁ陛下、楽しいお話の後はきちんとお仕事しましょうか」
カルロが子供に諭すように僕を執務机に追いやる。僕はもう子供じゃないからね? って言ってもニコニコするだけだから困ってしまう。
「お、なら俺も戻るとすっかな」
「ロード、ちょうど君に渡す書類があったんだよ」
「え゛」
「はいこれ。先日提出された第3師団の予算概算要求書だけど、計算間違いかなのかな? バカみたいな予算増額要求がきてるみたいでね。もう一度精査して再提出してもらいたいんだ」
「げっ な、何でお前が陛下の書類見てんだよ!?」
「私は陛下の護衛だけでなく秘書官のような役割も兼任しているからね。補佐として書類の精査も先日から行っているよ」
「んな事聞いてねぇぞ!?」
「今言ったからね。次はこんなふざけた予算概算要求出してこないように頼むよ」
「わ、分かったよ……」
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※いつもご愛読いただきありがとうございます!!
今回は閑話のような話が続くので、2話同時更新です。一応本編のつもりなんですけど、主人公が一切出てこないのでスミマセン。
楽しんでいただけると嬉しいです。
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