異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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ズボラライフ2 ~新章~

99.神からしたらどんな身分であっても等しく人間である

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トモコ視点


この子、みーちゃんのストーカーだったよぉ~~~~!!!!
そりゃお店に入れるわけだよ~。悪意どころか好意だもん。


「天から降りてこられる神王様を初めて拝見させていただいた時、ワタクシ一目で恋に落ちました……」

それってあの大司教背信事件の時のおじいちゃんバージョンの神王様の事だよね~。あれ? じゃあまだみーちゃんが神王様って事はバレてない?

「あの~……それ、みーちゃんには何で近付いたの~?」
「そ、それはっ ミヤビさん、いえ、ミヤビ様が神王様の御子様の乳母だと知って……」
「あ~、それで近付いた、と」
「は、はい……申し訳ございませんっ」

ん~乳母? 何でみーちゃんが乳母なの~??

「みーちゃんが乳母だって、どこで聞いたの~?」
「ぁ……お、王宮で、騎士とミヤビ様の話している所を偶然耳にしたとワタクシの侍女が」

ちょっとみーちゃん王宮で何話してるの~!? 騎士って事はリン君かな? リン君が神王様の御子様って口に出しちゃった~? それは後でお説教だね。

「それなら神王様はすでに伴侶も御子様もいらっしゃるってわかるよね~」
「承知しております……っ ですから、側室……いえ、妾でも良いのです! あの御方の御側においていただけるならっ」
「いや~、それは無理だと思うよ。だって神王様の伴侶であらせられる神は、それはもう独占欲が強くて気性も荒い御方だからね~。そんな事口にしたら殺されちゃうよ~」

本気マジでロードさんに聞かれちゃったら命が危ないからね~。

「それに、神王様も側室や妾なんて召されるような御方じゃないしね~」

地球(日本)ですごした影響で一妻一夫が常識になっちゃってる上、みーちゃんは潔癖だからな~。この先ずっとロードさんだけだよ。

「そんな……っ」

崩れ落ちるグレちゃんについ苦笑いが漏れちゃったよ~。自分が神王様のお手付きになれるなんて、よくそんな図々しい事考えられるよね~。ロードさんじゃなくても不快だよ。

「ねぇ、話が終わったなら出ていってくれる? お客さんの邪魔になるし」
「っ……申し訳ございません。また改めて参りますわ」
「“また”なんてないよ。君とはもう二度と会うことはないからね~」
「!? お、お待ち下さいっ どうして……!?」
「どうしてって、自分の主に不埒な思いで近づこうとする人間を許すと思ってるの?」
「!?」
「君たち人間だってそうでしょ~? 王様に妾にしてくれって平民が近付く事を許す貴族や騎士はいないよね」
「っわたくしは……!! ワタクシは平民などではありませんわ!!!!」
「同じだよ。私達にとっては人間が平民でも貴族でも、王族であっても、等しく人間だ」
「ぁ……ぁ……」

自分の愚行がやっと理解出来たのか、グレさんは真っ青を通り越した土気色の顔色のまま、よろよろと店を出て行った。

最後まで失礼な人だったな~。あ~早くみーちゃんに会って癒された~い。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



雅視点


「今日のBBQは海鮮祭だ~!」
「主様~ショコラはあの赤いプチプチが食べたいです~」
「赤いプチプチ……もしかしてイクラ? 鮭はちょっとないからなぁ。イクラ以外でも美味しいものは沢山あるから楽しみにしておいで」

ショコラの頭を撫で、上機嫌でリンとアナさんに向き直る。

「リンもアナさんも今日のBBQパーティー楽しみにしててね!」
「今日!? しかもパーティーって、オレがパーティーに着て行ける衣装1枚しか持ってないの知ってるだろ!? もっと早く言ってもらわないと、シワ伸ばしたりとか色々あるんだけど!?」
「やだなぁ。パーティーっていっても皆でわいわい野外でご飯食べるだけだよ? それに今回は深淵の森ウチ(珍獣村)が会場だから身内だけだし、普段着で大丈夫だから」
「突っ込みどころ満載なんだが!?」

そういえばリンもアナさんも珍獣村に招待するの初めてだっけ? 天空神殿や浮島はよく来てるよね。

「アナさんは勿論奥さんと一緒に来て下さいね」
「有難うございます。妻も喜びます」

アナさんはこういう催しは奥さんが一緒じゃないと来ないだろうから、一緒に誘ってあげるのが良いってロードが言ってたもんね。

「おい、副師団長の奥方は今妊娠中って聞いたけど大丈夫なのか?」

リンがコソッと耳打ちしてくる。体調は良くなるようにしたから大丈夫だと言えば、違うと首を横に振られた。一体なんだろうか?

「体調もだがそうじゃなくて、人族はつがいが妊娠したら家に監禁するんだろ?」
「あっ そういえばそうだった!」

アナさんの方へ振り向けば、にっこり微笑まれ、ついリンと共に一歩後退してしまう。
だってこの笑みが何だか恐ろしいのだ。

「人族が妊娠中のつがいを家から出さないのは、危険からつがいを守るためです。私は家よりもミヤビ様のお側が最も安全だと判断致しましたので、ミヤビ様のご招待はお受けする事に決めております」

((神王をつがいの護衛扱いしている!!!?))

「さ、さすが副師団長……」
「人族ってパネエ」



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補足

グレさんは両親は人族ですが祖母が竜人の為、見た目人族、性質竜人という珍しいタイプの人間です。
なので神王様をつがいとして認識しているわけではありません。

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