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ズボラライフ2 ~新章~
閑話 ~もしも主人公が20才の時に転生していたら10~
しおりを挟むロード視点
「━━━……そうか。やはりミヤビ様は神王様だったんだな」
「ああ。ウチに次々と創世の10神が来て参ったぜ」
「そ、創世の10神……」
事務室の一角で、昨日あった事をトーイに愚痴りながら必死に事務処理していれば、「邪魔するぞ!!」と勢いよく扉が開いた。今の時間は事務官も外に出ていて俺とトーイの二人だけだから良いが、普通は驚いて飛び上がっていただろう。
なにしろウチのトップ直々のお出ましだ。
「師団長!!」
トーイがすぐさま立ち上がり敬礼する。勿論俺も立ち上がり敬礼して目の前の人物を見た。相変わらず厳つい見た目のおっさんだ。
「おうっ お前達だけか! 丁度良い!!」
「何か用か。師団長」
「ロード、師団長は止めろ。お父様と呼べと言ってるだろうが」
「職場じゃ一応上司だろうが」
「お前態度はデカいくせに堅いぞ」
「るせぇ。それより何の用だ」
俺達の会話にトーイは苦笑いだ。このやり取りはしょっちゅうやってるし、第3師団長が俺の親父だってのはトーイを含め一部しか知らねぇからな。
まぁ親父っつっても血は繋がってねぇが。
「何の用かじゃないだろうが!! お前っ つがいが出来たのに親に報告の一つも無いとはどういう事だ!!」
「あ~……ちょっと事情があってな」
「事情なんぞ知るか!! 他人から聞かされた身にもなってみろ!!」
どうやら誰かが親父に知らせたようだ。別につがいが出来た事は秘密にしてねぇから当然か。
トーイを見れば、報告してなかったのか!? 何やってんだ!! と目が訴えている。
「とにかく!! つがいを紹介しろっ」
血が繋がってないとはいえ、この人は俺を育ててくれた恩人だ。いずれはミヤビと会わせてやらないととも思っていた。それに、協力者はいた方が良い。なにしろミヤビは王都や王宮に興味を示したり、騎士や侍女を気にしたりととにかく人間との距離が近い。近いうちに問題を起こす事は目に見えている。
「親父、あんたを信用して言うが、俺のつがいは人間じゃねぇ」
「ロードよ、いくらわしにつがいを会わせたくないとはいえ、その言い訳はないだろう。よりによって人間でないなどとっ お前のつがいは獣だとでも言う気か!?」
「ちげぇよ。俺のつがいは、“神”だ」
「つまらん冗談を」
「冗談じゃねぇよ。トーイも知ってる事だ」
親父はトーイの顔を見て顔色を変える。
「ほ、本当なのか……?」
「ああ」
「かみ…………、そ、そうか……神か………………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ミヤビ視点
「中世ヨーロッパな街並みだ!! みーちゃんすごいよ!! まさにファンタジー!!!!」
「ふふっ トモコ、そんなにはしゃいでいると人間にぶつかってしまうよ。こちらにおいで」
「はーい。あっ 屋台がある!! ねぇアーディン、あれ食べたい!!」
「任せておくれ。すぐ買ってくるから、わが君とあそこの噴水の前で待っていてくれるかい」
「了解で~す!! みーちゃん、噴水の方に行こ」
トモコがこちらの世界にやって来て数日。トモコはつがいのアーディンととてもうまくやっている。アーディンはデレデレで、今のようにトモコの為なら何でもする尽くす男と成り果て、トモコはアーディンに甘え、常にイチャイチャしている。
そんなバカップルのデートに巻き込まれ、私は何故か王都へ連れ出されていた。
「トモコ、買ってきたよ。わが君もお待たせ致しました」
「わ~い。おいしそ~」
「ありがとう」
アーディンが買ってきたのは肉の串焼きで、確かに美味しそうだ。受け取ってかぶりつくと、まず生臭さが鼻にきて、次に塩辛さが舌を刺激し吐きそうになる。
「まっず!!」
隣ではトモコがあまりの不味さに顔をしかめ、不味いと口にだしてしまっていた。アーディンはそれを見てオロオロしているではないか。
どうやらこの世界、飯マズの世界らしい。
「いや~、あまりにマズくてびっくりしたね~」
「こらこら。大きい声でそんな事言わないの。営業妨害になるでしょ」
「やはりトモコとわが君が口にするものは、私が作ったものでなくてはなりませんね」
「アーディンが作ったご飯美味しいもんね~」
「トモコの口に合うよう、地球の様子を見ていた際に覚えたんだよ」
安定のストーカー発言である。
「しかし自分で創った世界ながら、飯マズは致命的だね……。アーディンもそうだけど、ロードが作ってくれるご飯も美味しいから、こんなことになってるなんて思わなかったよ」
「わが君、申し訳ございません。人族の管理を行っておきながらこのような体たらく……っ すぐ食に力を入れるよう教会に伝えておきます!!」
いやいや、美味しいご飯作りなさいって教会に言うの!? 何その間抜けな御告げ。教会も戸惑うよ!?
「アーディン、美味しいご飯作ってもらうなら教会より料理人じゃないかな~。レシピ教えてあげると広まるんじゃない?」
神がレシピの御告げ!? トモコ正気か!? そんなことしたらアーディンは人族の神じゃなく、料理の神として奉られることになるぞ!!
「!! 確かにそうだね。さすがトモコだ! 君は私の自慢のつがいだよ」
誰かこのバカップルを止めてくれ!!
こうしてバカップルの暴走で、アーディンは料理の神と呼ばれるようになり、地球のレシピは神のレシピとして広まっていったのだ。
『おぬし、いつから“料理の神”などという新種にクラスチェンジしたたのだ?』
「突然人族が言い始めたんだ。なんでだろうね??」
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閑話は一旦、今回で終わりになります。長々と閑話にお付き合いいただきありがとうございました!!
雅さんが20歳で異世界に来ていたら、ルーベンスさんとカルロさん以外は皆幸せになってますね~。
アーディンはトモコのせいで料理の神にクラスチェンジしましたが幸せです。
次回からは本編に戻りますが、本編忘れた~と思われる方はもう一度読み直して次回をお待ちいただけると嬉しいです。
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