532 / 587
ズボラライフ2 ~新章~
閑話 ~もしも雅が20才の時に転生していたら7~
しおりを挟むアーディン視点
【ちょっとアーディン!! 神王様がお戻りになっていたなら早く言いなさいよ!!!!】
【ランタンの言うとおりだ。何故すぐ連絡しなかった!】
魔素が世界に満ちてすぐ、10神達から次々と念話が届いた。
私とて知っていれば、わが君のお側に駆け付けた後に連絡位したのに……。
【私もお戻りになっているとは知らなかった……】
【嘘でしょう!? あんた神王様をストーカー並に追い掛けてたじゃない!】
【異世界に行かれたと言っていたではないか】
ストーカーとは失礼な竜神だな!! 私はわが君のお世話を担当しているんだ!!
【まさかお主……見失ったのか】
ヴェリウス!? 君、酷すぎる!! 何もそんなにはっきり言わなくても……。
【あら……おほ、おほほほほほッ 異世界まで監視していたあんたが、まさか神王様の行方を見失ってたなんて……っ】
【ランタン!! 笑うなっ】
【あのアーディンが!!】
【うるさい!! 私も力が溜まって無かったから……っ】
【いやぁねぇ。言い訳ぇ?】
【く……っ とにかく、戻って来られたわが君のお世話に駆け付けねばならないから、君たちと念話している時間は無いんだ】
わが君もお待ちだろう。わが君がお好きな菓子とお茶を作ったらすぐ出発しなければ。
【ちょっと待ちなさいよ。神王様のお世話を何でアーディンがするって決まっているわけ? アタクシだってお側に侍りたいわ】
【お主らに今の神王様の世話が出来るとは思えん。神王様のお世話はこの私がする】
何だって?
【昔から神王様のお世話は私がしてきたはずだが……?】
【だから今回もってちょっとズルいんじゃなくて?】
【私が適任だ】
わが君のお世話係の座は渡さない!!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
雅視点
「ぶぇっくしょい!!」
「何だそのオッサンみてぇなくしゃみ。可愛すぎか」
誰かが噂してるな。
何かキラキラしていたのが落ち着いた頃、疎らだった夜の街に人々が集まり始めた為に、急いで馬を走らせたロードさん達。彼らにわけもわからず連れて行かれたのは、お城でした。
今は王様と王妃様が国民に向けて演説している最中で、その傍らにはピンクの髪の赤ん坊(王妃様に抱かれている)と、ピンクの髪の幼児、ピンクの髪の少年が見えます。
「この国の王族ってピンクの髪なんですね」
「そうだな」
城壁内側の騎士達が集まる庭から、バルコニーの王族達を見上げつつ思う。
私、ここに居ても良いのだろうか。
「ロードさん、部外者がお城の敷地内に入ったらマズいんじゃないですか?」
「オメェは俺のつがいで部外者じゃねぇ」
「いやぁ、どの騎士もそのつがいとやらを連れてませんケド」
それに私、あなたの外套を頭から被せられてどう考えても隠されてますよね。
「……王族が話してる間に動くと目立つ。もう少し我慢してくれ」
演説が終わってお祭り騒ぎの騎士達の中、ロードさんとトーイさんは私を連れてお城の離れにやって来た。
「あの……私後日、出直した方が良い気がしてきました。王都がどんな所か知りたかっただけだし、あの森に帰ります」
本当は王都の美味しいご飯屋さんとか、可愛い服屋さんとか行きたかったけど、そんな雰囲気じゃなかったし。
「ミヤビ様、勿論我々が貴女様の行動を制限する事などございません。が、もし森に戻られるのであればロードもお連れ下さい。人族はつがいと離れる事を嫌います。可能であるならば、ここにあるロードの部屋とミヤビ様の神域を繋いでいただくのが一番良い方法かと思われます」
トーイさんがそう言うのでロードさんを見れば頷かれた。
そっか。ここと森をどこで○ドアのようなもので繋げばいつでも王都に遊びに来れるや。
「わかりました! ロードさんの部屋のどこかに私の家と繋ぐ扉を設置します」
「ミヤビ様、その扉は開けられる者をミヤビ様の信用できる者のみで限定された方がよろしいかと」
なるほど。確かに知らない人が家に来たらびっくりするもんね。
「じゃあ、ロードさんとトーイさんのみで」
「ロードだけでなく、私も宜しいのですか?」
「え? むしろロードさんのみの方が怖くないですか?」
「どういう意味だコラァ」
こうして騎士寮のロードさんの部屋に、ウチに繋がる扉を設置したのだ。
で、何故かロードさんがウチに住み着きました。
◇◇◇
「うっま!! ロードさんすごい!! 天才!!」
「これだけの食材と調味料がありゃ、どんな奴でも美味いもん作れんだろ」
何故か一緒に暮らす事になったロードさんは、料理の天才でした。
「え、私こんなに美味しいもの作れないんですけど」
「オメェはまぁ……俺が居るから安心しろ」
一度料理作って以降、キッチンに立たせてもらえなくなった私の料理の腕は押して知るべしだろう。
「しっかし、ここは不思議なもんばっかだなぁ」
「でも便利でしょ」
「まぁなぁ……。オメェ、外じゃ絶対ぇここにあるもんの事、口にするんじゃねぇぞ。後簡単に俺ら以外信用すんなよ?」
「はーい」
「不安すぎる……」
何て話していた1週間後━━━……。
「わが君!! 駆け付けるのが遅くなり申し訳ございません!! このアーディン、誠心誠意お世話させていただきますので何なりとお申し付けください!」
「神王様! ランタンですわ!! アーディンなんかよりアタクシの方が痒いところに手が届きましてよ!!」
『ふんっ 貴様ら雄に何が出来ようか。神王様! 私が美味い肉を狩ってきます!!』
ロードさんが仕事に行って暫くしてからやって来たのは、超絶美人の白い人と、メロンのようなおっぱいをぶら下げた美女、そしてデカいわんこだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
雅さんの息子、ディーク君の物語が新しくスタートしました!!
タイトルは、「自己評価下の下のオレは、血筋がチートだった!?」です。ちなみにジャンルはファンタジーBLです。
はい。BLです。
それでも良いよという方は、是非ご覧下さい。
人間として育てられたディーク君が、16歳になってからのお話ですよ。楽しんでいただけたら嬉しいです。
41
お気に入りに追加
2,574
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?
せいめ
恋愛
女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。
大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。
親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。
「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」
その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。
召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。
「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」
今回は無事に帰れるのか…?
ご都合主義です。
誤字脱字お許しください。
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる